やってきたのはBW!   作:エレンシア

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前回のあらすじ!

Nさんとの二度目のバトル!

以上!


第十九回~ぼくとやな~

「……戻ってきましたね」

 

「……モノ」

 

僕達は今、再び博物館の前に戻ってきた……Nさんとのバトルでボロボロになっていたはずの地面は、なぜか綺麗に元通りになっていた……

 

「さぁ、今度こそ入りましょう!」

 

「モノ……!」

 

僕達は今度こそ、博物館へ入館するのだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「シッポウ博物館へようこそ!当館ではポケモンはボールの中へ入れて下さい」

 

「モ、モノ!?」

 

受付の言葉に、モノズは驚愕する……なんだ、結構楽しみにしてたんだね……

 

「仕方ありませんよモノズ、ボールに戻ってください」

 

「モ、モノ……」

 

……そんなに落ち込まないで下さいよ、罪悪感がうなぎ上りですよ……

 

「……また後で、なにか埋め合わせしますから、ね?」

 

「…………モノ」

 

そう鳴いて、モノズはボールの中へと戻っていった……埋め合わせ、って言っても何をどうすればいいんでしょうね?

モノズへのお土産でも考えながら、僕は館内を見学することにした……

 

「おやおや?貴方はひょっとしてトレーナーさんかな?」

 

……訂正、館内を見学しようとしたら、やせ気味の歳40代ほどのおじさんが、僕に話しかけてきた……

 

「え?あ、はい、あの……失礼ですが貴方は?」

 

「私はここの副館長をしているキダチといいます、なるほど、トレーナーですか……では、ジムに挑戦ですか?」

 

ジム戦?ここは博物館では?それとも、サンヨウシティのように、博物館を経営しながらジムを営んでいるということでしょうか……

 

「いえ、今日は博物館の見学を……」

 

「ほう!若いのに博物館の見学を……では、私に館内を案内させていただけませんか?」

 

突然の申し出、ありがたいですが……仕事は?

 

「最近めっきり人が減ってね……仕事といえば、館内の掃除ぐらいですよ……」

 

……あとで入場料ぐらいは出しておこう、そう心に決めて、僕はキダチさんの後ろについていくのだった……

 

 

 

「これは古代のドラゴンポケモンの全体の骨格ですね」

 

「お、大きい……」

 

「そうでしょう?どうやら、世界中を飛び回っていたらしく、何かの事故で死んでしまい、そのまま化石になったようです……」

 

古代のドラゴンポケモン……ロマンですね……ロマン、いい言葉です……

 

「この骨のおかげで、その時代のことなどが色々明かされていったんですよ」

 

 

 

 

「こちらはすごいですよ!なんと隕石です!」

 

「い、隕石!?こんな大きさの岩石が宇宙から飛んできたっていうんですか!?」

 

「すごいでしょう?この石には何かしらの宇宙エネルギーがあるらしいです」

 

宇宙からやってきた隕石……壮大ですね、スケールがとても大きいです……

 

 

 

 

「……?キダチさん、この黒い石はなんですか?」

 

「ん?あぁ、それはただの黒い石ですね、綺麗なので飾ってありますが、古代のモノということ以外は何の価値もないただの古い石です」

 

「そうなんですか……でも綺麗ですね───」

 

       

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    ───………………せ……─────

 

 

 

───!?……今……なにか……?

 

「?どうかしましたか?」

 

「……あ、いえ、なんでもないです……」

 

僕はもう一度、その黒い石を見る、が、何も変わった様子はなかった……

……気のせい……ですよね?

 

 

 

 

 

 

「疲れてしまいましたか?二階にベンチがありますので、そちらで休んでください、では、ごゆっくり……」

 

それと、そこでしたらポケモンは出しても構いませんよ?……そういい残して、キダチさんは出入り口へと戻っていった……

 

「……さっきの黒い石……」

 

あれはいったい何だったのでしょうか……あの石、僕に何かを伝えようとした?何を?どうして僕に?

 

「……アホですか、僕は……」

 

石ですよ?しゃべるわけないし、心なんてない……まぁそういうポケモンだと言われたら、たぶん納得しちゃうんでしょうけど……あ、そういえばギガイアスも石だよね?ひょっとしてひょっとする?

 

「……アホですね、僕は……」

 

生き物が、生きたまま展示品として飾られてるわけないよね……

 

「……生き物……さっきの骨になったドラゴンも、生き物だった……」

 

どんなに強くても、どんなに長生きでも、終わりは来る……一度死んでしまっている分、とてもはっきりと実感できた……いや、本当は出来ていないのかも知れない、死ぬことに慣れなんてないだろうし、本来なら、僕という存在こそが異端なのだろう……

 

「……死んだら、それまでなんですよね……」

 

死者は生き返らない、【佐野 夜奈】はもう死んだ、だから僕はこの世界にいる……死んだらそれまで、じゃあ今の僕は……?

 

「……ヤナ……」

 

そう、今の僕は【ヤナ】であって、前の世界の【佐野 夜奈】では、もうない……やっぱり、死んだらそれまで……

 

「じゃあ……今の僕とは何なのでしょう……」

 

この世界の【ヤナ】という人間でもあり、【佐野 夜奈】という人間の記憶を持つ存在……

 

「……何なのでしょうね……」

 

辛いわけでもなく、悲しいのとも少し違う、あえていうなら……

 

「……虚しい」

 

そう、これだ、虚しい……前世での十五年間を、一瞬で消されたことに対する虚しさ……それを知っているのが自分だけという虚しさ……味方がいないことを知っている虚しさ……とにかく、虚しかった

 

「……誰なんでしょうね」

 

【佐野 夜奈】とは、一体誰なんでしょうね……

 

「……いつからだっけ、こんな風に考えるようになったの……」

 

確か……2歳の時だったかな……自分が死んだという確かな事実に、今更ながら驚愕してましたね……そりゃあそうですよ、生まれて3年のチビッコが、どうして三平方の定理を理解できるでしょうか……

記憶を持っていることに違和感を持ったのもそのくらいの時だったかな……死んだ人間の記憶があるって、なんだかすごく気味が悪くないですか?まぁつまり、僕は【佐野 夜奈】でもあるわけですよ……

 

「……ハァ……」

 

「なんだい、さっきからため息ばかりついて」

 

突然の後ろからの声に、僕は驚いて振り向いた……色黒の女性で、歳は……30代前半といったところでしょうか……さっきから、という言葉からそれなりの時間、僕の独り言を聞かれていたことになる、恥ずかしい……

 

「あ、あはは、ちょっと嫌なことを考えてしまって」

 

「……話してみれば、楽になることもあるんじゃない?」

 

「……会ったばかりの人に話すようなことじゃないですよ」

 

「知らない人じゃないといえないこともあるだろうさ」

 

「…………そう、ですね……」

 

僕は、転生のことをうまく隠しながら、このように沈んでいる訳を名前も知らない女性に話した……

 

「生まれ変わった自分は、死ぬ前の自分とは違う……ねぇ……なんでそんなことを考えるのさ……」

 

「まぁ……そうなんですけどねぇ……」

 

やはり、怪訝そうな顔をする女性……まぁ分かってはいたんですけどね……

 

「そうだねぇ……アンタは死ぬこと自体は仕方のないことだと思ってるんだろう?」

 

それは……もちろん、死なないことが一番かもしれませんが……そう、仕方ない、ですよね……

 

「……アンタ、それはアレだ、死んだら意味がないと思っちまってるからいけないんだ」

 

それは……だって、そうでしょう?死んだら……それまでじゃないですか……

 

「そうだねぇ……例えばアンタ、博物館でドラゴンの骨の化石は見たかい?」

 

「ドラゴンの骨……ドラゴンポケモンのことですか?」

 

「そう、あの骨はヤーコンっていうおっさんが寄付してくれたんだけどね、私たちはあの化石から、様々なことを知ったのさ……」

 

それは、キダチさんも言っていた……あの骨のおかげで、色んなことが明らかになったって……

 

「あの化石みたいに、死んだ後でもこの世に意味をもたらすような物もある……」

 

この世に、意味をもたらす……僕は、前世で何か意味をもたらすことができたのでしょうか……

 

「アンタが死んだとき、アンタは誰にも、なんの影響も与えられない無価値な人間なのかい?」

 

……僕はゆっくりと首を横に振った……だって、僕が死んだとき……真琴さんは、泣いていました……僕が無価値な存在なら、どうして泣くことがあるでしょうか……

 

「アンタは死んでも、誰かに、何かに、何処かに、なにかを残すことができる……それが、死ぬ意味なんだよ」

 

「……でも、それは死ぬ前の自分です!生まれ変わった僕じゃない!」

 

何かを残したのは【佐野 夜奈】という僕とは別の人間で【ヤナ】でなはい……!!

 

 

 

 

 

 

 

「当たり前じゃないか」

 

「え……?」

 

ここにきて、僕を切り捨てるような答えに、僕は息を詰まらせた

 

「アンタ、一つ勘違いしてないかい?」

 

勘違い……?

 

「死ぬことは仕方ないと明言しているのに、どうして同じ人間がまた生まれてくるのさ」

 

「…………あ」

 

そうか……そうだよ……僕が【佐野 夜奈】でないのは、僕がこの世に【ヤナ】として生まれたことで、すでに決まっている事だったんだ……

 

「僕は……ヤナなんだ……」

 

僕は最初と同じ答えにたどり着く……しかし、先ほどのような虚しさは感じなかった

 

「……ありがとう、ございました」

 

僕は深々とその女性に頭を下げる、女性は少し苦笑い

 

「よしとくれ、そんなガラじゃないよ!答えが出たのならそれでいいさ、まぁ名前ぐらい名乗ってくれるとうれしいね」

 

「……ヤナです、カノコタウンのヤナ……貴女は?」

 

「私かい?私はここのジムを受け持つジムリーダー、アロエだよ!」

 

ジ、ジムリーダー!?そんなすごい人が、何で僕なんかに……

 

「道に迷った子供を助けるのは、ジムリーダーとしてじゃない、大人としての責任さ」

 

か、かっこいい……なんていうか、大人な感じです!

 

「アンタもトレーナーなら、うちのジムに挑戦していっておくれよ?」

 

そう言って、アロエさんは立ち去った……

 

(……僕は、【ヤナ】なんだ……)

 

僕は、アロエさんに教えてもらったことを再度胸に刻み、宿に戻るのだった……




第十九回終了です!

ヤナも十五歳、当然、思春期独特のネガティブ思考になってしまうのも仕方のないことです
他の作者様の転生モノを読んでいると、主人公は転生先で大活躍するせいか、前世のことを振り返ることが少ない気がします……それはちょっと違うんじゃないかな?って僕は思っちゃうんですよね……まぁ、僕の勝手な偏見なんですけどね

ここまで読んでくださった方、ありがとうございました!
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