なんか暗い話!
以上!
ヤナ「今までの中で一番ひどい!?」
「あれ?チェレンくん、どうしたんですか?」
夜の九時を過ぎようとしていた頃、突然チェレンくんが僕の部屋に訪ねて来た……
モノズとプルリルは仲良くおしゃべり(?)をしており、モグリューは……なぜか筋トレをしていた
「……ちょっと、時間いいかな?」
どこか思いつめたような表情……なにかあったということは誰の目にも明らかだった……
「そうですね……まぁ立ち話もアレですから入ってください」
僕はチェレンくんを部屋に招き、とりあえずベッドに座らせた
「それで?どうしたんですか?」
改めて、僕はチェレンくんにそう聞き返す、チェレンくんはしばらく黙っていたが、その口はゆっくりと動き出した
「……ヤナ、僕と勝負して欲しい」
「……また随分と急ですね……勝負というのはポケモンバトルのことですよね?」
チェレンくんは頷いて、僕の返事を待つ……
「……どうして僕なんですか?ここの街にはジムがあるんですよ?」
僕を相手にするくらいなら、ジムトレーナーでも、ジムリーダーでも相手にしている方がよっぽど有意義だろうに……
「……ヤナは、トウコとヤナ自身だったら……どっちの方が強いと思う?」
また突然ですね……チェレンくんは無関係の話をするような人ではないのは知っていますから、関係はあるのでしょうが……
「う~ん……初めてのバトルではなんとか勝てたけど、今は……同じくらい?」
「……トウコはそうは思ってないみたいだよ」
……それはどういう意味なんでしょうか……僕が弱いのか、それとも……
「僕はさっきトウコと戦ったんだけどね?……ボロ負け、とは言わないまでも、正直勝てる気はしなかったね」
……トウコさん……貴女はどんだけ強くなってるんですか……
「そんなトウコがだ、バトルの後で泣きながらこういうんだよ……こんなんじゃヤナに勝てないってね」
「……は?」
いや、あの、トウコさん?僕はトウコさんの中でどれだけ誇張された存在になっているんですか?
「いや、チェレンくん?僕はそこまで強くはないですよ?サンヨウジムだって、勝てたのはモノズとプルリルのおかげなんですから……」
「……あのトウコが、負けず嫌いのトウコが、ヤナには勝てないと明言しているんだよ?」
……はぁ……
「……それで?結局チェレンくんは何が言いたいんですか?」
「ヤナとバトルがしたい、最初からそう言っているじゃないですか」
「……今からならまだ、センター内の施設は使えるでしょうね……」
僕達は、ポケモンセンターの施設の一つであるバトル用のフィールドへと向かった……
モノズとプルリルは機嫌が悪そうだ、それもそうか……もう完全にオフの気分だったでしょうからね……いきなりバトルしろなんて言われたら、そりゃ不機嫌にもなる、僕だってなる……なぜかモグリューはうれしそうでしたけどね……
「使用ポケモンは1体、それで決めよう」
特に問題はないため、僕はコクンと頷く、さぁて……がんばりますか!
「いくよ!ツタージャ!」
「タジャ!」
ツタージャ……確か草タイプのポケモンですよね……う~ん……よし!
「がんばってください!プルリル!」
「プル~!」
「……ヤナ、ひょっとしてタイプ相性を理解していないのかい?草タイプのツタージャに、水タイプのプルリルを出すなんて……」
どこか小馬鹿にしたような言動、余裕たっぷりだ……
「……まぁやってみないことには分かりませんよ?」
「どうかな?ツタージャ![つるのむち]!」
「タ、ジャ!」
ツタージャの首から伸びる、植物のつる……それがまるで鞭のようにプルリルに襲い掛かる
「プルリル、[ナイトヘッド]で打ち落として、一定の距離を保ってください!」
「プル~!!」
プルリルの放った黒い光は、そのつるを確かに打ち落とす……しかしプルリルはそのまま距離を詰めるでもなく、離すのでもなく、あくまで一定の距離を保ち続けた……
「……?やる気ないのか?メンドーだな……ツタージャ![グラスミキサー]!」
「かわして[バブルこうせん]!」
草タイプのエネルギーを纏った竜巻をプルリルはしっかりとかわしきり、体勢は悪いが、プルリルは[あわ]よりもずっと早く、力強い泡をツタージャにぶつけた
「タ、ジャ……!」
「くっ!?どうして当たらない……!」
チェレンくんは悔しそうにそう漏らす……どうしてって……
「チェレンくん、攻撃すれば、当然ですけど相手は避けようとしたり、相殺しようとしたり、まぁダメージを受けないような行動をするのはあたりまえですよ?これは【ゲーム】じゃないんですから」
殴りかかれば殴られてくれるなんて……そんなに甘くないですよ?
「プルリル、もう一度[バブルこうせん]!」
「っ!?ツ、ツタージャ!避けて!」
「避けた先に[ナイトヘッド]!」
「っな!?」
プルリルの[バブルこうせん]をかわした、そこまではよかった……しかし、すぐさま放たれた[ナイトヘッド]によって、ツタージャはその場に崩れ落ちた……
「そ、そんな……!?確かにかわしたはずなのに……!」
「いや、あの、一度避けたからって次が来ないわけではありませんよ?」
むしろ、どうして一度避けただけで安心できるのか、僕には不思議でしょうがない……
「もう一度いいますよ?これは【ゲーム】じゃないんです」
アクションゲームのように、相手の行動がパターン化されているわけでもなければ、カードゲームやボードゲームのように、互いが順番に行動するわけでもない……
「タ……タジャ……!」
なんとか立ち上がるツタージャ……ん?
「体が……緑色に光っている……?」
そう、僅かにだが、明らかに先ほどまではなかったその光が、ツタージャを包み込んでいた
「……特性の【しんりょく】が発動したのか……よし!ツタージャ![やどりぎのたね]!」
「タァ……ジャ!」
「……プルリル、[ナイトヘッド]で打ち落としてください!」
「プル~!!」
ツタージャの口から、先ほどとは比べ物にならない速度で、なにかのタネが撃ちだされ、それは真っ直ぐプルリルに向けられた……しかし、いくら早くなってもそのような単純な攻撃が通るはずもなく、[ナイトヘッド]に撃ち落され、爆発する────
「────今だ!ツタージャ![リーフブレード]!!」
「タァ……ジャァァァァア!!!」
「っえ!?」
驚愕したのは僕の方だった……あの爆風と黒煙の中を何のためらいもなく真っ直ぐに突っ込んできただけでも十分に驚いたが、その中を走りぬけ、あまつさえ、プルリルに斬りかかったのだ
当然、なんの構えもしていなかったプルリルは、無抵抗にもその斬撃を受け吹き飛ばされる……
「プル~!!?」
「やった……!」
「タ、タジャ……!!」
「プルリル![ナイトヘッド]!!」
「プ……!ル~!!」
「なっ!?」
吹き飛ばされていく中で、プルリルは顔だけツタージャに向けて、全力の[ナイトヘッド]を放つ……油断していたのは相手も同じだったようで、ツタージャは動けず、そのまま倒れた……」
「プ、プル~……」
プルリルも相効いたようだ……しかし、倒れることなくその場にふよふよと浮いている……
「……ツタージャは戦闘不能、プルリルの勝ちですね……プルリル、お疲れ様でした」
「そんな……確かにクリーンヒットしたはずなのに……」
「はい、すごい一撃でしたね……もしかしたら、あのまま戦闘不能になっていたかもしれません」
しかし、過信はよくないですね……現に、プルリルはまだ倒れなかった
「知識も経験も、確かに重要なことだと思います、でも……戦い方も考えないと、悪戯にポケモンを傷つけるだけですよ?」
「戦い方……」
まぁ、その戦い方だって、知識と経験ありきなんですけどね?
「知識の多いチェレンくんならきっと大丈夫です!チェレンくんはチャンピオンになるんでしょ?」
「……そうだ、僕はチャンピオンになるんだ……!」
うん、よかった……チェレンくんが強い人で……
「……さぁ、もう戻りましょう、もうこんな時間ですよ?」
時計に目を向けると、もう10時を過ぎていた……入り口の方で、ジョーイさんがイライラしながら待っているのが見える……
「……おこられちゃいますね」
「……そうだね」
そうして、どちらからともなく笑い出した……二人とも、今日のことは吹っ切れたようだった……
僕とチェレンくんは、ポケモンをセンターに預けて、宿へと戻ることにした……
第二十回終了です!
ゲームだと命中率百パーセントの技でも、アニメだと結構かわされますよね?中学生の頃は不思議に思っていたんですが……よく考えれば当たり前ですよね?だってそれだと技を乱発していれば勝ってしまうんですから……必中技ですらたまにすかされますしね……
ここまで読んでくださった方、ありがとうございました!