やってきたのはBW!   作:エレンシア

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前回のあらすじ!

トウコさんはやっぱりトウコさん!

以上!


第三十一回~ぼくのぜんとぼくのぎぜん~

「プルリル![みずのはどう]!」

 

「ミジュマル![みずでっぽう]!」

 

「プ~ル~!」

 

「ミ~ジュ!」

 

ビルの中は火と煙に包まれていた……とりあえずは、前に進むために障害となる火を消していく

 

「トウコさん、後何階ぐらいでしょうか」

 

「……わかんないわ、とにかく上よ上!」

 

そりゃそうですけど……僕はいいですよ?でもトウコさん、きつくないですか?

 

「ハァ……ハァ……ぐっ!」

 

……きつそう、ですね……だから一人でいいと言ったのに……まぁそこがトウコさんのいいところなんですけどね?

 

 

 

『……だから…………でしょ?』

 

 

 

!?い、今の声は……!

 

「レンゲさんの声です!」

 

「レンゲ……って黒マント?放っとけば?」

 

いやでも……

 

 

 

『……無関係の…………のか!?』

 

 

 

……ちょっと待ってください……今の声は……

 

「……トウコさん、大変です……もう一人、知り合いがいました……」

 

「そ、そうなの?私には全然聞こえないからわかんないけど……」

 

もうね?知り合いというか……腐れ縁というか……

 

 

 

「チェレンくん、ですねこの声……」

 

「……マジ?」

 

そうして、声のするほうから、凄まじい爆音が鳴り響いた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「チェレンくん!……っ!?」

 

「……うぅ……」

 

「んん?あぁヤナ君!それにトウコちゃんも!君たちもきたんだ!」

 

何階かは定かではないが、階段を上った先の一番奥の部屋……そこには、ウルガモス従えるレンゲさんの姿と、ボロボロ体で床に突っ伏しているチェレンくんとツタージャの姿があった……

 

「ヤナ……トウコ……ご、めん……止められなかった……」

 

「止める?いやそんなことよりその傷は!?」

 

全身いたるところにやけどの跡……どうやったらこんな風になるんですか……!

 

「……ヤナ……よく聴いてくれ……このビルの有様はこの女の仕業だ……」

 

……なんとなく予想はできていましたけど……なぜでしょう、理由がわからない……

 

「そう!まぁもういらないかなって!立派なアジトが別にあるしね~♪」

 

もういらない?アジトは別にある?……ダメだ、頭が回らない……煙を吸いすぎたかな……

 

「で!いざ壊そうと思ったんだけど……チェレンボーイが邪魔してきてさ……」

 

チェレンくんが?

 

「……このビルには……まだたくさんの人間と、奪われたポケモンがいるんだ……!」

 

「なっ!?」

 

「?何か問題でもあるの?最低な人間と弱いポケモンしか、このビルにはいないんだから別にいいでしょ?」

 

い……!

 

「いいわけないでしょう!!ポケモンになんの罪があるっていうんですか!!?」

 

「……罪?ないよね?弱いことが罪なんて、チープな悪役のどうでもいい持論だけど、私はそんな風には考えてないよ?」

 

そこで、レンゲさんは一度言葉を切る……そして続ける……

 

「結局ね?罪がないから死なないなんて、おかしな話だと思わない?どんな善人でも死ぬときは死ぬのよ、奪われたポケモンやあのゴミクズたちは……今がその時なんだよ」

 

「ふ、ふざけるのも大概にしてください!!貴女は何様ですか!!?}

 

なぜか哀愁を漂わせるレンゲさん……彼女は言葉を重ねる……

 

「……死にたくて死ぬ奴なんて、本当はどこにも居ないの……事故、自殺、他殺、病死、溺死、餓死、寿命……理由は様々だけど、どれ一つ自分が望んだ結果ではない、でも死ぬ、あっさりと死ぬのよ」

 

……確かに、僕だって望んで転生したわけじゃない……よりにもよって神様のミス殺された……それでも……!

 

「それでも!他の命を奪っていい理由にはならない!!アナタにそんな権利はない!!」

 

 

「……そうだね……でもね?私にしかできないことなの、私がやらないといけないの……もう邪魔しないでね?」

 

 

今までの比ではない殺気が、僕達をおそう……

 

「……みんな、出てきてください」

 

「モノ……?」「プル~!」「モグゥ!!」「ディぁ~♪」

 

モンスターボールを全て出し、僕の仲間が飛び出す……

 

「みんな、よく聴いてください……これからの指示は絶対に守って欲しい……いいですね?」

 

皆が皆、しっかりと頷く……うん、皆素直で……本当にいい子ですね……

 

 

「モノズ、モグリュー……君たちは捕まっているポケモンを助けに行ってください、そして、安全に外に脱出させるんです、できますね?」

 

 

「モノ……!」

 

「モグゥゥゥゥウ!!」

 

二体が一鳴きし、すぐさま行動に移る……頼みますよ……

 

 

「トウコさん、チェレンくんを連れて逃げてください……プルリル、トウコさんとのサポートをお願いします、チェレンくんを無事に逃がしてください」

 

 

「プル~!」

 

「なっ!?わ、私は残るわよ!アンタ一人でどうにかできるわけないでしょ!!?」

 

……トウコさん、貴女まで残ったら誰がチェレンくんを外に出すんですか……

 

「……やめろ……ヤナ……勝てるわけ、ない……」

 

「大丈夫ですよ、ちょっと考えがありまして……多分、なんとかなるはずです」

 

「……絶対に戻って来なさいよ?」

 

「…………はい、約束します……プルリル、頼みますよ」

 

その会話を最後に、トウコさんたちは部屋を出て行った……そうして、残ったのは僕とドレディア、レンゲさんとウルガモスになった……

 

「ディア!」

 

戦闘体勢になるドレディア……出鼻を挫くようで悪いんですが……

 

 

「ドレディア……君は今すぐポケモンセンターに行ってジョーイさんを呼んできてください」

 

 

「ディ!?ディア!!?」

 

驚愕するドレディア……説明が必要ですかね……

 

「傷ついた人やポケモンを、全部ポケモンセンターに運ぶのは無理です……いっている意味はわかりますね?」

 

「ディァ……ディ……」フルフル

 

……どうしてそこで首を横に振るんですか……

 

「ドレディア、心配しているのかも知れませんが、大丈夫です!僕には作戦があります!」

 

「ディ……?」

 

「はい、だから早く……君にしか出来ないんです」

 

「……ディア!」

 

そうして、急いで部屋を出た……さて、と……

 

 

 

 

 

 

「お待たせしました、始めましょうか?」

 

「……よくやるよね、そんなに死にたいの?」

 

……あぁ懐かしいな、このプレッシャー……本当の死が迫るこの感じ……皆元気かな?

 

「作戦なんて大嘘、君の目的はただの時間稼ぎ……別に逃げたければ逃げればいいのに、よくもまぁそこまでできるね?」

 

僕まで逃げたら、全員が逃げ切る前にドカン!でしょう?

 

「……レンゲさん、自分より大切な人っていますか?」

 

「いる」

 

僕の質問にすぐさま返答するレンゲさん……その答えは、僕の予期しない物だった……

 

「大好きだった、ううん、今でも大好き、私がどんなにアピールしても気付いてくれない鈍チンだったけど、こんな私と一緒に居てくれたあの人が好き、大好き!……だから……!」

 

「……だったら、僕の気持ちも分かってくれるんじゃないですか?────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「───オマエトイッショニスルナ」

 

刹那、部屋中に熱気が篭る……来ますね……

 

 

「なにが僕の気持ちも分かってくれるだ!!オマエの友情と私の愛情をイッショニスルナァァァァァァァァア!!!!」

 

 

ウルガモスの六枚の羽から超高温の熱風が吹き荒れる……

 

「ぐっ!?うぅ……!!」

 

顔を守るように腕を前にする、腕が焼ける……足が焼ける……体が焼ける……臭いなぁ……肉が焼ける臭い……

 

 

「私はあの人に会いたいのよ!!あの人は私と一緒に居るべきなのよ!!誰にも渡すもんか!!神にだって渡したりしない!!絶対に私の物にするんだ!!だからヤナ君!!今は君が邪魔なのよ!!」

 

 

なお勢いは衰えない……レンゲさんの怒りの炎が、僕の体を破壊する……

 

「あぐっ!?……っく!」

 

しかし倒れない、倒れちゃいけない、倒れることは僕の敗北……死んでも負けない、負けられない!

 

「死ねぇ!死ね死ね死ね死ね死ね死ねぇぇぇぇぇぇぇえ!!」

 

炎はさらに強くなる……大丈夫……僕、体力には自信あるんですよ?

 

「……ッチ!!ウルガモス![ほのおのうず]!」

 

熱風は治まったが……今度は僕を中心としたサークル状の炎に飲み込まれる……

 

「うぐ……!?あぁぁぁぁぁ……!!」

 

もう半分ぐらい意識はなかった……でも倒れることはない……

 

「……いい根性してるね?チェレンはこれで動かなくなったんだけどなぁ」

 

……皆、無事に逃げられたでしょうか……モノズ、モグリュー、プルリル、ドレディア……大丈夫かな……?

 

「……ハハ……ハ……」

 

おかしいですね……死にそうなのに……他人のことばかり……

 

「……もうちょっと……利口に、いきる、べきでした……ね」

 

……いや、これでいいんだ……僕がバカなおかげで……皆が助かる……

 

「……ハハ、アハハ……」

 

本当にバカですね……僕は……この旅で何も変われませんでしたか……まぁ、それならそれでもいいか……

 

「…………少しは……役に立てたかな……?」バタッ

 

もう立ってもいられなかった……後はもう、焼き殺されるのを待つだけの無力な肉の塊……

 

「……さぁレンゲさん……僕はもう鼻くそをほじるほどの体力も残っていません……好きにしてください……」

 

「……君にいくつか質問をするよ、ちゃんと答えられたら……助けてあげる」

 

……いつかの『楽しい催し物』と言うやつですかね……まぁ、いいか……

 

「質問、見ず知らず他人に命を張る理由は?」

 

……そうですね…………これ言ったら殺されちゃうかもしれませんね……まぁいっか、僕の本心なんだし……

 

「……僕は、助けてもらえなかったからです……」

 

「…………」

 

「僕が困ったていた時、死にたくなるくらい苦しんでいたとき、胸が裂けそうなほど悲しかったとき……誰も僕を助けてくれなかった……」

 

僕という人間を理解してくれる人が……前世では、ただの一人もいなかった……

 

「誰も助けてくれない……どうしてだろう、僕は考えました……子供っぽい結論ですが、情けは人のためならず、ってことです……」

 

「…………自分のために、人助けをしていたわけね?」

 

「……昔はそうでした……今ではもう癖になってしまいましたけどね……」

 

僕は所詮、偽善者というやつなのでしょうね……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……合格」

 

「……は?」

 

ご、合格……?なんの話ですか……?

 

「ヤナ君、逃げていいよ……ってその体じゃ動けないか……」

 

え、ちょ、え?

 

「こ、殺さないんですか?」

 

「え?殺して欲しいの?」

 

滅相もございません……

 

「君はちゃんと答えたから……助けてあげるね?」

 

そういって、レンゲさんは僕を担ぎあげるのだった……




三十一回終了です!

ゲーム中に、「偽善でもいい、だって人のために善いことをしているその行為は善なんだから」みたいなことを言う人が居たと思います……

僕もそう思いますね、どういう気持ちであろうとも、助けられた人は、きっと感謝していますよね?

ここまで読んでくださった方、ありがとうございました!
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