りゅうのいかりが効かない!?
「そ、そんな……!?」
「モノ!?」
確かな手ごたえ、確かな命中音……それでもなお、イシズマイは無傷で立ちはだかった……
「イシズマイ![シザークロス]!」
「っ!?モノズよけてください!」
「モノー!?」
呆けていた僕の指示が間に合うはずもなく、モノズはイシズマイの鎌の直撃をくらい、受身も取れずに吹き飛んだ……
「モノズ!大丈夫ですか!?」
「モ、モノ……」
早くも限界ぎりぎり……こちらの攻撃は効かないのに……いや、なにか原因があるはず……!
「モノズ!もう少しがんばってください![かみつく]!」
「モ、モノー!!」
悲鳴をあげる体に鞭をいれ、モノズはイシズマイに牙をむく……多少フラついてはいるものの、しっかりとイシズマイに狙いを定めている
「イシズマイ![あなをほる]!」
「…………!」
モノズの[かみつく]が直撃する寸前、イシズマイは自身の体を地中に隠した……当然、モノズの牙は空振りに終わるが……
「モノズ![りゅうのいかり]の準備です!」
「モ、ノ……!」
すぐさま次の行動に移り、モノズは口にエネルギーを蓄えはじめる……
…………ズ……ズズ…………ズゥ……ズズ…………!
「……!今です!右後ろに向かって[りゅうのいかり]!」
「モォォノォォ!!」
同時だった……モノズの攻撃が放たれるのと、イシズマイが地上に姿を現すのは……
「イッシ……!!?」
「イシズマイ!?」
今度は先ほどのように無傷とはいかず、[りゅうのいかり]の直撃をもらったイシズマイは、ゴロゴロと地面を転がっていく……
今度は、しっかりとダメージを与えられた……じゃあさっきのは?外していた?そんなはずはない……いや、でも!
「チャンスです!モノズ![ずつき]!」
「モノ……!」
追い討ちとばかりにモノズに指示を出す、モノズは一直線にイシズマイに接近し、さらなる一撃を加えようとする……
「イシズマイ![まもる]!」
イシズマイに、モノズの攻撃は入らなかった……
突然現れた薄緑の壁、その壁によって、モノズの攻撃はさえぎられ、モノズの体は弾き飛ばされた……
「モノ!?」
「モノズ!?」
「イシズマイ![シザークロス]!」
体勢を立て直したイシズマイの攻撃が、体勢を崩したモノズに襲い掛かる……なにもかもが手遅れだった……
「モノズ戦闘不能!イシズマイの勝ち!」
審判の宣言通り、モノズは地面に突っ伏していた……僕は慌ててモノズに駆け寄った
「モノズ!大丈夫ですか!?」
「モ……ノ……」
傷ついたモノズが、力なく返事をする……後悔の念が僕を襲う……
もし僕が、初撃でイシズマイの[まもる]という技に気がついていたなら……
もし僕が、深追いせずに慎重に物事を進められたら……
もし僕が、もっと的確な指示ができていたなら……
「……ごめんなさい……モノズ……ゆっくり休んでください……」
「……モノ」カプ
ボールに戻そうとすると、モノズは僕の手を噛んだ……いつもの甘噛みだった
「……ありがとう、モノズ……」
そういって、僕はモノズをボールに戻した…………さて……
「完全にしてやられましたよ……アーティさん」
「いやいや、ボクも驚いたよ、まさか地面の中の移動音を聞いて位置を把握しちゃうなんてねぇ……桁外れの空間把握能力、見事なものだったよ」
そりゃあ、ね?完全に把握しないと刺さりますからね……それよりも……
「[まもる]でしたっけ?あれはいったい何ですか?」
モノズの攻撃を防いだ薄緑の壁、おそらく[りゅうのいかり]を防いだのもあの技……
「んん~……いや、やめておこう……どうやら今回はそれなりに厳しくなりそうだからね~……敵に塩を送るような真似は、ナンセンスだよね?」
……大人気ない、と思ってしまう僕はやはり子供なんでしょうか……実年齢はそんなに差はないはずなのにな……
「僕みたいな素人相手に本気ですか?ずいぶんせこいですね……」
「んんぅ、それを言われると耳が痛いんだけど……君はどうやら、戦いに関しては素人ではなさそうだしね?少なくとも普通じゃない」
ひどい言われようですね……まぁ確かに?普通とはとてもいえない人生を歩んではきましたが……
「まぁそういうわけだから、謎の解明は自分の力で頑張ってちょ~だい」
「……いいですよ、わかりました……いきますよ!ドレディア!」
「ディ~♪」
クルクルと回りながら登場し、静止と同時にお辞儀をする……うん、礼儀正しいことこの上ないですね、トウコさんも見習ってほしいですよ……
「ドレディア![りんしょう]!」
「ディ~ア~♪」
ドレディアの歌声が、衝撃波となってイシズマイに襲い掛かる……
……が、しかし
「イシズマイ![まもる]!」
先ほど同様、謎の薄緑の壁によって、ドレディアの[りんしょう]はイシズマイに届くことはなかった……
[まもる]……その名のとおり、自身の身を守る技……モノズの[りゅうのいかり]さえも無効化した技……少なくとも、僕に対してなら絶対防御といっても過言ではない……
でも……だったらなんで……────
『モノズ!もう少しがんばってください![かみつく]!』
『モ、モノー!!』
『イシズマイ![あなをほる]!』
『…………!』
────そう、どうして[あなをほる]の指示を出したのか……結果として僕の油断へと繋がりましたが、それにしたって、ダメージを追うはずのないあの場面で、自身の身を守るのではなく、隠すという選択をしたその意図は?
それに、アーティさんの口ぶりからも、あの技にはなにか秘密がありそうです……それが分からないようでは、バッジゲットどころかイシズマイさえ突破できずに負けてしまいますね……それは……
「…………ヤナ……」
それは……ちょっとかっこ悪いですからね?
「ドレディア!もう一度[りんしょう]!」
「イシズマイ![がんせきほう]で相殺しろ!」
再び出現した衝撃波を、イシズマイは巨大な岩をぶつけて相殺する……また、避けなかった……
なんだ?発動に条件があるのか?それとも使える回数に限度があるのか?それとも────
「イシズマイ![シザークロス]!」
「っ!?[ちょうのまい]!」
「ディ~♪アァ~♪」
僕の考えがまとまるよりも早く、イシズマイのシザークロスがドレディアに襲い掛かる
二本の鎌で斬りかかってくるイシズマイを、右に左にかわしていくドレディア、よし……ちゃんと見切れてますね……
「ドレディア![りんしょう]!」
馬鹿のひとつ覚えのように、僕はもう一度だけ、ドレディアに[りんしょう]の指示を出す……
「[まもる]!」
当然のごとく、ドレディアが発した衝撃波は、例によって弾かれてしまったわけだが……
「[はなびらのまい]!」
「ディィィアァァァァァ!!」
本命はこっち、以前かませ犬を倒した技……全身に花びらをまとい、それを自身の草タイプのエネルギーを乗せ放出する技……
「っ!?イシズマイ……![まもる]!」
アーティさんは一瞬躊躇いながらも、再び[まもる]の指示を出す……が────
「イッシ……!────!?」
────[まもる]が発動することはなかった……
ドレディアの[はなびらのまい]は、無抵抗のイシズマイに直撃し、後方の壁まで吹き飛ばした……イシズマイが動き出す気配はなかった……
「イシズマイ戦闘不能!ドレディアの勝ち!」
「よし!よくやってくれましたドレディア!」
「ディ!ディア!」
ドレディアがクルクル回って喜びを表現する、僕も当然うれしかったですが、気を引き締めるためそこまでのことはしなかった……
「んん~、やられたねぇ……もう気づいちゃったのかい?」
「まぁ、自分なりの推測は立てましたよ」
どうして[まもる]が発動しなかったのか、僕は『[まもる]という技が連続で発動することができない』と思っていましたが、どうやら違うようですね……
正確には、『[まもる]という技は連続で使うと失敗しやすくなる』ではないかと推測します、そうでなかったら、あそこで[まもる]の指示なんて出しませんよね?
「ビシッ!スイッチ入ったよ!頼むよ!ホイーガ!」
「ホー……!」
「ドレディア、油断せずに行きますよ!」
「ディァ!」
お互いに手持ちは二体、勝負はまだ始まったばかり……
第三十四回終了です
久しぶりの更新です、皆さんには本当にご迷惑をおかけします……
次回の更新なのですが、正直全然目処が立っておりません、隙を見つけては筆跡、といった感じなので、なるべく急ぎたいですが……本当にすいません……
ここまで読んでくださった方、ありがとうございました!