転生→ダッシュ
以上!
SIDE アララギ
「はぁ……遅いわね……」
ケースを届けてから随分経つが、あの子達が来る様子がない……私の予想では、ヤナかトウコが来るんじゃないかと思ってるんだけど、ん~……どういうことかしら、
「……?」
「ん?あぁ心配しないで、貴女のパートナーならもうすぐ来るから」
もしかして、またベルが寝坊しちゃったかな?まぁそれなら仕方ないか……よし!
「ねぇ、今から一緒にそのパートナーの子に会いに行かない?」
「……!」コク
そうと決まれば早速───
ドガァァァァァァァァァァァァアアアァァァァァアアン!!!!!!
「あぁぁらぁぁぁらぁぁぁぎぃぃぃはぁぁぁかぁぁぁせぇぇぇえ!!!!」
そこにいたのは、来るであろうと予想はしていたが、こんな登場とはかけ離れていると信じて疑わなかった少年、ヤナだった
研究所の自動ドアが開けきる前につっこんできたためか、ガラスは割れ、所々服が破れ、顔や腕に傷があるが、今はそれどころではなかった
「歯を食いしばってくださぁぁぁぁあい!!!」
そういって、彼はこちらに突進しながら右腕を大きく振りかぶり……
「え、ちょ、ま───」
───振りぬいた
SIDE OUT
「ほんっとにごめんなさい!!!」ドゲザ
僕は全力で土下座する、その先には顔に湿布を貼るアララギ博士が苦笑いをしていた
「いたた、ほんと、正直死ぬかと思ったわ……」
結局のところ、僕の早とちりだったわけだ、手紙はちゃんと読んだわけではないが、僕の隣にそのポケモンがいる以上、博士の言っていることは本当なんだろう……いや、なんかもうほんと
「死んでわびます……」
「いや、もういいから、顔あげなさい」
「ア、アリャリャギ博士!」
「私の名前はアララギよ」
「失礼、噛みました」
「……いいえ、わざとね」
「かみまみた!」
「わざとじゃない!?」
「神はいた」
「どんな奇跡体験をっ!?」
いや実際に会ってます、なんていえないですよね……
兎に角、このポケモンが僕のパートナーになるそうだ……
「アララギ博士、このポケモンは?」
「あぁ、このこはね……モノズっていうのよ」
モノズ……?ってどんなポケモンでしたっけ?
僕はモノズと呼ばれたポケモンに手を伸ばす…………が、
「……っ!?」ササッ
ものすごい速さで博士の後ろに隠れてしまった……これってもしかしなくても……
「……怯えてるわね」
ですよねー、登場の仕方に問題があったのかなぁ……そうだよね、聞いた話によれば、この子臆病らしいですし、失敗したなぁ……でも、
「嫌われたまま旅に出ても、楽しくないですよね……」
「え?」
僕はできるだけ身を屈め、モノズに視線を合わせる
モノズも僕のほうをジッと見返している、逃げる素振りはまだない、まるで僕を見定めているかのようだった
「モノズ、怖がらせてしまってごめんなさい……僕は僕のパートナーがいないと思ってしまったんです、僕だけ、仲間はずれにされてしまったと思ってしまったんです」
僕は思っていることそのまま素直に言葉にする、モノズは逃げない
「でもね?それは僕の勘違いだったんです……ただの勘違いで、お世話になっている人を殴ったり、ガラスのドアを突き破ったり……バカですね、僕は……」ポロポロ
言葉にするだけでは収まらない感情が、今度は目を伝って溢れてくる、モノズはやはり、逃げない
「僕は、バカです……許してなんて失礼かも知れません、醜いだけかもしれません……それでも、モノズ、君と仲直りがしたい、僕の……パートナーになってほしい」
言い切った、僕は自分の言いたいことを言い切った
出し切った、僕の目からはもう何も出てこない
僕はゆっくりとモノズに手を伸ばす……モノズは僕の手を見てそして─────
「いったぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!」
─────噛んだ
「いたいいたいいたい!!モノズ!?ごめん、ごめんなさい!あぁぁあいたい!?」
「……モノ」
ようやく開放された僕の右手は先ほどの痛みとは裏腹に大して傷は無かった……にしても、
「やっぱり……だめですか?」
「ん~……大丈夫じゃない?ヤナから逃げることもなくなったし」
いや、逃げられなくなったけど、噛まれてちゃ一緒じゃないですか?
(この臆病なモノズが、初めて人を噛んだ……)
そう、本来モノズというポケモンは【そぼうポケモン】と呼ばれるほど野蛮なポケモンなのだが、このモノズ、今まで誰も噛んだことが無かったのだ、そんなモノズが、理由は分からないが、ヤナを噛んだ
(……この子、ひょっとするとひょっとするかもね)
「モノズ!?これからのパートナーをそんなにガブガブしないでください!」
「……モノ」ガブガブ
(……やっぱりダメかも)
かくして、僕の初めてのパートナーが誕生した
第四回終了です!最初のポケモンは……モノズです!
ここまで読んでくださった方、ありがとうございます!