ヤナ君おやすみなさい……
以上です!
「……モノ……?……っ!?モノ!?」
な、なんでモノズがこんなところに……っていうかこのモノズ……
「ヤナのモノズよね……?」
「……モノ……」ガクガク
うん、このビビリ方は間違いなさそうね……でもなんでモノズだけ……ヤナ本人はどこに……?
「ねぇモノズ、ヤナがどこに行ったか知らない……って、あれ?」
「……モノ……モノ……」フラフラ
ちょちょちょ!?どこ行っちゃうの!?っていうか無視!?私のこと嫌い!?
「モ、モノズ!ちょっと!ちょっと待って!」
「モノ……モノ……モノ……」フラフラ
……!?違う……探してるんだ、ヤナのこと……モノズもヤナがどこに居るのか知らないってこと……?
「……なんだろう、胸騒ぎがする……」
あのバカ、また何かに巻き込まれてるんじゃ……!
「こうしちゃいられないわ!モノズ!一回戻って!ベルとチェレンにも手伝ってもらうから!ね?」
「モノ……モノ……」フラフラ
っ!?聞こえてないの!?それだけヤナのこと好いてるってこと……?
「……ごめん、モノズ」カチッ
私はヤナのボールを使い、強制的にボールに戻す、ボールの中身がさっきよりもゆっくりと、大きくガタガタと揺れている……
「……急がなきゃ!」
───────私はヤナさんのことが好きです
───────ヤナさんは私のことが好きですか?
───────私はヤナさんとずっと一緒にいたいです
───────ヤナさんは私とずっと一緒に居てくれますか?
───────私はヤナさんを信じています
───────だからヤナさん、私を信じてくれませんか?
「─────というわけなのよ……」
「……うん、大体分かったよ……僕も探そう、ベルもだよ?」
「わ、分かってるもん!」
ベルとチェレンは意外にも早く見つかった……ジムの前で……チェレン、アンタ一応怪我人でしょ、どんだけバトルに飢えてるのよ……
「でもどうやって探すんだい?トウコもどこに居るのかは分からないんだよね?」
「それは、そうだけど……」
手がかりが何も無いんじゃ動きようがないわ……
「大丈夫だよ!ハーデリア!お願い!」
「わっふぅ……」
ハーデリア……確か、ヨーテリーの進化系……ベル、いつの間に……
「トウコ、ヤナのモンスターボール貸して?」
「え?う、うん……」
私が渡したボールを、ベルはハーデリアの顔の前にさらす……あぁ、そういうこと
「いい?このにおいだよ?探せる?」
「……わっふ!」
そう一声吠え答え、周りのにおいを嗅ぎ始める……見つけられるといいんだけど……───
「─────おもしろそうな話してるね?私も混ぜてくれないかな?」
─────一方その頃……
「……ん……んん……?」
ここは……?僕、なんで…………っそうだ!?
「っはやく逃げないと……!?って動けない!?」
な、なんですかコレ!?手錠!?鎖!?なんでこんなものがついてるんですか!?
「むぐぐ……はずれません……」ガチャガチャ
これ、どう考えても歩美の仕業ですよね……なんでわざわざこんなこと……それに……
「僕のボールとバッグがない……!」
プルリル、モグリュー、ドレディア……皆どこに……
「……呆れましたね、もう起きたんですか?」
っ!?この声……!
「歩美!?これはどういうことですか!?」ジャラジャラ
「結構多めに入れたはずなんですけど……やはり兄様はさすがというべきでしょうか……」
無視ですか、そうですか……こんなときでも貴女は平常運転ですよ……
「どういうことですかって聞いてるんでるんですけど?」ガチャガチャ
「どう……とは?見たまんまですよ?お似合いです」
手錠と鎖が似合う人ってどんなですか!?ってそうじゃないんんですよ!
「なんでこんなことするんですか!?今すぐ外してください!」
「どうしてですか?」
ど、どうしてって……逆にどうして僕がこんな目にあわなくちゃいけないんですか……
「私の愛の大きさが伝わるかと……」
「うん、伝わらないよ?これっぽちも」
「ふふっ、兄様ったら、照れちゃって……」
もうやだこの妹……誰か助けてくれませんか?無理?あ、そうですか……
「はぁ~、ようやく兄様を捕まえました、長かった、長かったですよ……なんせ前世からの因縁なんですからね、それぐらい私達の関係は深かったってことですよね?そうですよね?だって死ですら私達を分かつことができなかったんですから、私達はやはり結ばれる運命なんですよね?だから今こうして兄様は私の前に居るんですから、兄様もそう思いますよね?ね?ね?」
「いえ、あの……全然」
むしろコレ嫌がらせですよ?いえ、決して歩美が嫌いというわけではないんです、仮にも元妹ですから……でもですね?さすがに前世で何度も死線を見せられ、現世で監禁なんてされちゃいましたらもう……ね?
「コレは運命なんかではないんです、ただの偶然なんです」
「人はそれを運命と呼ぶんですよ?ただの偶然だとしても、私にとってそれは運命なんです」
なんともまぁ都合のいい解釈……まぁ僕もただの偶然だと都合のいい解釈をしてはいるんですけどね……これが必然でないことを祈るばかりです
「……まぁ、このさい運命でも偶然でも必然でもなんでもいいですよ……兄様が今、私の前にいる、コレが全てです」
「……まぁこんな格好ではありますけどね?」ジャラジャラ
しかもこの手錠、何か違和感が…………っあ
「……鍵穴がない……!?」
「ふむふむ、さすが兄様、はやくも気がつきましたか」
え、っていうよりありえなくないですか?どうやって開閉するんですかこの手錠……一回限りの使い捨てですか?あ、でもこれ外れないから一生物ですね、かなぐり捨てたい……
「それは特別製ですよ……出ておいで、ゴチミル」
「ゴチミ……」
歩美がボールから出したゴチミル……黒と紫を基調とした人型ので小学生ほどの大きさのポケモンの姿がそこにはあった
「……随分とかわいらしいポケモンですね?」
「私の数少ない手持ちです、その手錠はこの子のエスパーの念力でのみ開閉できます……兄様が何をしようと外れることはありません」
エスパータイプ……確かムンナと同じで、変わった力を持ってるタイプ、でしたっけ?
「……また変なところで応用力高いですよね……」
「愛ゆえに」
それ言えばなんでも許されると……って、これ前に言いましたね
「そう、愛ゆえに、全ては兄様への愛なんです、兄様のことがが好きだから、大好きだから、誰にも触れさせたくないから、誰にも見られたくないから、誰にも聞かせたくないから、誰にも感じさせたくないから、私だけの兄様でいてほしいから、だからこうして閉じ込めるんです、だからこうして縛るんです、全部全部全部!兄様への愛ゆえなんです!」
「……分かりませんね、少なくとも僕には、この行いが愛のある行動とは思えないです」
好きな人を独占したいという気持ちは……分からなくはないです、でもそれは愛ではなく、ただの独占欲、あえて『愛』と言うなら自己愛の塊……
「……大丈夫です、時間はたっぷりあります、ゆっくり分からせてあげますよ」
「……僕の手持ちはどこですか……」
「……あぁ、そこの台においてありますよ?開閉スイッチは破壊させていただきましたけどね」
よく見ると確かに、部屋の隅の台の上にボールが3つ……開閉スイッチを破壊されたということは、もう皆をボールから出すことはできない……
「兄様には必要ないですよね?なんといっても私がいるんですから」
「……傷つけてないなら……いいです、とりあえずは……」
今はあまり歩美を刺激しないようにしないと……そのうち誰かが助けに来て─────
「─────……ふ~ん……兄様には私がいるのに、ポケモンなんかの心配をするんですか」
……今、なんていいました?
「ポケモン『なんか』?僕の大切な友達に向かって?いくら僕でも怒るときはあるんですよ?今すぐ訂正してください」
「訂正なんてしませんよ?こんな世界の生き物なんて、みんな張りぼての存在じゃないですか」
「張りぼてなんかじゃない!僕達と同じです!」
「同じはずないじゃないですか、兄様だって見たことぐらいはあるでしょう?テレビの中で動き回る『ポケモン』の姿を、ゲームの中で育てられた『ポケモン』の姿を、所詮この世界はゲーフリが作り上げたシナリオの決まっている世界なんですよ、それを知っている私達と、それを知らない人達が同じ?笑い話にもなりませんね」
この世界は作られた世界……そんなことは重々承知してます、それでもです!
「僕はこの世界に生まれて今の今まで『普通』に生きてきました!母親が居て、友達が居て、助けてくれる人が居て、一緒に泣いて、怒って、笑って!作られた世界だろうとなんだろうと、僕達はここで、この世界で生きてるんです!張りぼてのはずがない!僕達と同じ、皆温かみのある人間です!」
「呆れて物も言えませんね、この15年で随分と汚されてしまったようですね……」
やれやれといった感じで、歩美はこちらに近づいてくる……そして……
パァン!!
「っ!?」
「目を覚ましたらどうですか?」
パァン!パァン!バキッ!ドカッ!ドゴッ!
最初は平手だった歩美も、後半からは拳に変わっていた……華奢な体からは想像もできないような暴力が僕を襲った……
あぁ痛い、最近の僕こんなのばっかりですね、まだ火傷とか治りきってないんですよ?傷口に塩を塗るといいますか、血で血を拭うといいますか、悪化させているという事実がそこにはあるといいますか……
あぁ辛い、どうしてこんな目にあうんでしょうね、昨日のは、まぁ自分から首を突っ込んだので何もいえませんが……ウルガモス元気かなー、僕は全然元気じゃないですけどねー
ドカッ!バキッ!ボコッ!ガンっ!
まだ殴ってるよ……ジャイアンだってもうちょっと優しいですよ?もう痛くもないですよ、感覚無くなって来てますよ、これまじめにやばいんじゃないですかね……
こんなに殴られたのは……あぁ、小学生のとき以来ですかね、確か中学生に苛められていた歩美と優希を守るために止めに入ったんですよ、まぁボッコボコにされましたけど、所詮小学生ですから……まさか歩美にボコボコにされる日が来るとは……世の中わかりませんね
「はぁ……はぁ……っ!」
「…………っ……っ……」
うまくしゃべれない……顔面ばっかり殴られたからですかね?あ、でも頭殴られてもちゃんと無駄なこと考えられてるってことは関係ないですね……
「兄様……?」
「……っ………ん……」
あぁ……口切れてる、鉄の味が口いっぱいに広がる……心なしか視界も赤みがかかっている気がする……
「あは……兄様、血だらけ……これは兄様の血?それとも私の手の血?」ペロッ
歩美が僕の頬をなめる……舌のぬるりとした感覚が僕を襲う……
「不思議ですよね……今の私達に流れているこの赤い血は、もうまったく別の血なんですよ?」
「……当たり前じゃないですか、僕達はもうただの赤の他人なんですから」
「でも、兄様は私のことを赤の他人として見ることはできません、もちろん私も……」
それは……そのとおりだ……僕は歩美を未だに妹として見ている、自分で赤の他人なんていっておいて……
「兄様、兄様はやっぱり兄様なんです、目を覚ましてください、そして私と一緒に暮らしましょう?」
「……歩美……」
「一緒に暮らしましょう?前までとは違います、兄様だけに負担をかけたりしません、今度は私が必死になって働きます、だから……!」
…………遅かったんだ、気がつくのが……歩美はもう、僕なしでは脆すぎたんだ……─────
──────ッッッガァァァァァァァァアアァァァァァァァァアァァアァァン!!!!?!?!?!?
「やあやあ、ヤナ君、昨日ぶりだね~」
第四十回、終了です!
う~ん、結局ヤナ君を痛い目に合わせられなかったですね……
更新速度が上がらない……!まぁ理由は分かってるんですよ、生○会役員共*と桜trickのせいです、ごめんなさい……
ここまで読んでくださってありがとうございました!
ちょっとした疑問、皆さん『兄様』ってどうやって読んでるんでしょうか……僕は『あにさま』と読ませているつもりなんですが……どうなんでしょうね?