やってきたのはBW!   作:エレンシア

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前回の……あらすじっ!

歩美、一時退却

以上!


第四十四回~とうこさんとのばとる!~

 

 

 

 

『……また一人になっちゃった』

 

 

 

 

 

 

……また……夢……?黒い……ボヤの……夢……

 

 

 

 

 

 

 

『まぁいいや、五月蠅いのが居なくなっただけだし』

 

 

 

 

 

 

…………以前より、しっかり聞こえる……でも……この前は……白いボヤも、あったような……?

 

 

 

 

 

 

 

『これでもう、誰にも邪魔されないしね?』

 

 

 

 

 

 

…………聞こえる……はっきりと……でも、あれ……?誰の声……?

 

 

 

 

 

 

 

 

『ずっとずっと……ずっと─────』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────そこで、僕の意識は途切れた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……っ……ん、ん~……?」

 

朝……?それとも……昼?

 

「……モノ」

 

モノズが不機嫌そうに鳴く、どうやらすでにお昼のようですね……レンゲさんも起こしてくれればいいのに……

 

「……レンゲさん?」

 

ベッドの上にも、部屋を見渡しても、レンゲさんの姿はそこにはなかった……ふと、机の上に置手紙があるのが見えた

 

「レンゲさん、ですよね?」

 

僕はその手紙を手に取り読み上げる……すでに嫌な予感がするのはどうしてでしょうか……

 

 

『はぁ~い!ヤナく~ん!起きましたかぁ~?皆のアイドルこと美少女おねぇさんレンゲちゃ───────』

 

 

「さ、モノズ、ご飯を食べに行きましょう」

 

「モ、モノ……」

 

僕は手に取った手紙をその場に捨てて、急ぎ足でドアへ向かう……僕は何も見ていないし、決してイライラしているわけでもありません、決して、そんなことはありません!

 

 

ドアノブを捻ろうと視線を落とした先に、貼り紙が一枚……僕はそれを嫌々読み上げる……

 

 

『ごめんごめん!怒らないで!冗談だから!冗談!で、本題なんだけど……私ちょっとやることあるから!しばらく姿を現しませ―ん!寂しい?さみしい??そっか~!さみしいの───────』

 

 

「さ、モノズ!今すぐご飯を食べに行きましょう!」

 

「……モ、モノ……」

 

僕はすぐさまドアノブを捻り、部屋から出る……───────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「─────よ!ヤナ君!」

 

…………

 

「……さ!モノズ!何も見ずにご飯を食べに行きましょう!」

 

「モノ!」

 

僕は全力で駆け出す、目の前のそれを全力で無かったことにした

 

「え、ちょ!?ま、待ってよ!ヤナ君!ごめん!ごめんて!もうふざけないから!」

 

レンゲさんは僕の腰にしがみついて待ったをかける、さすがにこのまま引きずっていくのも可哀想だったので、僕も停止する

 

「もう、なんですか……?」

 

「なんだかんだ許してくれるヤナ君やさしいな~♪」

 

今この場で捨てていきましょうか……

 

「……要件はなんですか?」

 

僕はため息混じりにそう質問する……すると、レンゲさんは時折見せる、真剣な雰囲気をまとい言葉を紡ぐ……

 

 

「うん……あのさ!やっぱりヤナ君もプラズマ団に……!」

 

「いやです」

 

ピシャリと言い放つ僕に、レンゲさんはきょとんとして……

 

「……っぷ!アハハ!うん!やっぱり君はそうだよね!」

 

そう言って大笑いした……もうなにがなんだか……

 

「そんなことを言うためにこんな手の込んだイタズラしたんですか?」

 

「イタズラって……お茶目でかわいいでしょ?」

 

「イラっとしました」

 

ざ~んね~ん────そう言って、またクスクスと笑うレンゲさん……なにがそんなにも楽しいんでしょう……

 

「君がプラズマ団に入ってくれたら、私があのサイコパスから守ってあげるよ~?」

 

レンゲさんは再び、能天気にそう言った……歩美のことはもうサイコパスで固定なんですね……

 

「……歩美とは、僕自身が決着をつけます」

 

「……そっか!うん!それがいいね!」

 

そう言って、レンゲさんは僕から少しだけ距離をとり、くるりと向き直る……

 

「もう私は助けてあげられないけど、今のヤナ君なら……うん!やってくれそうな気がするよ!」

 

ケラケラと笑うレンゲさん、今日のレンゲさんは笑いっぱなしですね……

 

「さて、と……私はもう行くね!これからちょっと大きなことしないといけないからね!」

 

「……あまり僕たちの迷惑になるようなことはやめてくださいよ?」

 

僕は一応釘を刺しておく……きっと無駄に終わってしまうのでしょうけどね……

 

「ん?あぁうん!大丈夫!プラズマ団関係じゃないから!完全に私事なんだよね~」

 

そう思った矢先、どうやらそうでもないようです…………いえ、そんなはずありませんね、彼女の行動が、僕たちになんの迷惑もかけないなんてありえません……出会って数日ですが、そんなことはなんとなく分かってしまいますね……

 

「む!なんか今、バカにしなかった?」

 

「気のせいだと思いますよ?」

 

むぅ、ほんとかなぁ?────そうボヤきながらも、どこか嬉しそうな声色の彼女は、そのまま踵を返し……

 

 

 

「ばいびー♪」

 

 

その言い捨て、手を振りながら去ってしまった…………

 

 

「……さ!今度こそ、ご飯を食べに行きましょう」

 

「……モノ!」

 

僕たちはそのまま、ゆっくりと歩き始めた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ?あんなことあった後に言うのもあれなんだけど、私とのバトルってどうなったの?」

 

フードコーナーにて、サンドウィッチを頬張っていた僕に、トウコさんは話しかけてきた……どうやら少し、ご機嫌ななめのご様子……

 

「え、っていうかトウコさん、体調は?」

 

「大したことないわよ?私結構丈夫だから!」

 

そういう問題ですか……?結構酷い目に会いましたよね……?

 

「アンタに比べたら全然よ、それよりバトルよバトル!」

 

相も変わらず血の気の多いトウコさん……

 

「あ、えぇと、はい!バトルですね!うん!」

 

「……アンタ、完全に忘れてたでしょ?」

 

わ、忘れてたわけじゃないんですよ?ただ忘却の彼方へ置き去りにしてただけと言いますか、それどころじゃなかったと言いますか……

 

「……なによ、もうしないわけ?」

 

分かりやすく膨れるトウコさん……子供っぽいのは体型だけにしてください……

 

「……なんて言ったら殺されますね……」

 

「?で、どうなのよ!」

 

僕に詰め寄るトウコさん……特別断る理由も……ないですね

 

「え、えぇと……じゃあこの後しますか?」

 

「……あたりまえでしょ」

 

そう言って、ぷいっとその場を去ってしまうトウコさん……僕はその背中を、ボーっと眺めているだけだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「使用ポケモンは二体!交代はありね!どちらかのポケモンが二体とも戦闘不能になったら負け、いいわね?」

 

「大丈夫ですよ」

 

ヒウンシティの中央広場で、僕とトウコさんは対峙していた……先ほどよりもいくらか機嫌の良いトウコさんは、はきはきとルールを説明する……

 

「お願い!エルフーン!」

 

「エルゥ!」

 

「頑張ってください!モグリュー!」

 

「モグゥウ!」

 

久しぶりのバトルということもあり、俄然やる気のモグリュー……少し暑苦しいと思ったことは、彼には言わないでおきましょう……

 

「相変わらず暑苦しいわね……」

 

僕の気遣いは無に帰りました、トウコさん、思ったことをすぐに口にするのはよくないですよ?

 

「……モグゥ」

 

お、落ち込んでる……モグリューも少し気にしていたんでしょうか……

 

「だ、大丈夫ですよモグリュー!僕は元気なモグリューが一番好きですよ?」

 

「モ、モグゥ……!?モグゥウウウ!!!」

 

……ヒートアップしちゃいましたね……

 

「……もういいわ……エルフーン![はっぱカッター]!」

 

「エ、ルゥ!」

 

エルフーンの体から、無数の木の葉がモグリュー目がけて放たれる……動きは直線……それなら!

 

「モグリュー![あなをほる]!」

 

「モグゥ!」

 

モグリューの十八番[あなをほる]により、モグリューの体は地面へと消えた……当然、標的を失った[はっぱカッター]は虚しく空を切る

 

「注意してエルフーン!」

 

「エ、エル!」

 

周囲に意識を向けるエルフーン……でも、遅いです!

 

 

 

「モグリュー!」

 

「モグ!」

 

モグリューが地中を這って現れた先は……エルフーンの真正面……!

 

 

「エ、エルゥ!?」

 

突然目の前に現れたモグリューに驚きが隠せず、面食らってしまったエルフーン……隙だらけだった

 

「[メタルクロー]!」

 

「モォ、グゥ!」

 

モグリューの鋭く、硬化した爪がエルフーンを吹き飛ばす……全力の一撃、手ごたえもありました……!

 

「クッ!?エルフーン![しびれごな]!」

 

「!?エ、エルゥ!」

 

吹き飛ばされながらも、エルフーンは体を捻り、空中に花粉のような黄色い粉を飛ばす……動きはゆっくりとしており、これなら簡単に─────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「─────[かぜおこし]!」

 

「エルゥ!」

 

そう思った矢先、凄まじい強風が吹き荒れる……その風は、先ほどまでゆっくりと浮遊していた[しびれごな]を急激に加速させ、モグリューを襲う

 

「モグっ!?」

 

そのまま後方に吹き飛ばされるモグリュー……受け身も取れず、地面に突っ伏す

 

「モグリュー!大丈夫ですか!?」

 

「モ、モグ……!」

 

苦しそうに返事をするモグリュー……おかしい、まだそんなにダメージを受けてないはずなのに……

 

案の定、モグリューは未だに起き上がれずにいる……一体……見た目以上の威力があったということでしょうか……

 

「いい感じに効いてるわね!エルフーン、一気に行くわよ!」

 

「エル!」

 

対するエルフーンはまだ余力を残しており、威勢よく応える……

 

まずい、ですね……モグリューの[メタルクロー}は確実に決まっていました、それでも、エルフーンには決定打にはなりえない……おまけに、モグリューはなぜか動けない……これは

 

……!

 

 

 

「モグリュー!逃げてください!」

 

「もう遅いわ![はっぱカッター]!」

 

「エ、ルゥ!」

 

再び無数の木の葉がモグリューに向かって放たれる……動けないモグリューはそのまま……

 

 

 

 

「モグゥ!!?」

 

「モグリュー!?」

 

 

無情にも、モグリューの体は二度吹き飛ばされる……一回、二回とバウンドし、僕の足元で停止した……

 

「モグリュー……!」

 

「モ……グゥ……」

 

満身創痍────今のモグリューを表現するなら、そんな言葉が的を得ていた……でも分かりません、どうしてさっき動けなかったんでしょう……

 

「……アンタ、ひょっとして状態異常もしらないの?」

 

呆れたように、トウコさんは僕に質問する……状態異常……?そのまま訳すせば状態が異常ってことですよね……って、そのまんまですね……

 

「今のモグリューは〈まひ〉っていう状態異常なのよ、自分のポケモン図鑑見て確認してみたら?」

 

言われるがまま、僕は図鑑を取り出しモグリューの状態を確認する……すると確かに、モグリューのステータスに〈まひ〉という文字が見えた

 

まひ……麻痺ということは、痺れや痙攣などの症状が予想できますが……今のモグリューが……?

 

じゃあいつ?どのタイミングで?バトル直前まで……いえ、バトルが始まってからもしばらくは何の変化もなかったはず……変化、変化……

 

 

 

 

「[しびれごな]と[かぜおこし]……」

 

「そういうことよ、正確には[しびれごな]には相手を状態異常にする効果があって、それを[かぜおこし]に乗せてあげたってことなんだけどね」

 

ふふんと、得意気に語るトウコさん……また僕の知識不足……そのせいでモグリューは……!

 

 

「……モグ……!」

 

倒れながらも、こちらに向けて片手を上げる……

 

心配するな───そう言っているようにも見えた

 

 

「モグリュー……ありがとうございます、ゆっくり休んでください」

 

モグリューをボールに戻し、僕は改めてこの状況を見る……

 

トウコさんは強い……これが僕の第一の感想だった、この旅で随分と戦い慣れたのでしょう、エルフーンが吹き飛ばされたときも、慌てず、次の一手を確実に仕込んでいた……この短期間で、彼女は彼女の戦い方を見つけたのかもしれませんね……

 

「……すごいです」

 

戦いで必要なことは慌てないこと、よく見ること……トウコさんはすでに、大方それが出来ている……当然、知識も僕なんかよりもずっと持ってます……

 

「ふん!当然でしょ!あの時の借りはしっかり返すんだから!」

 

熱くなっているように見えて、トウコさんは冷静に次を考えている……それは目を見れば明かだった……

 

 

 

……チェレンくん、これに勝てたら苦労しませんよ……

 

「……うん、モノズ!お願いします!」

 

「……モノ!」

 

僕の二体目はモノズ……相も変わらず、足が震え、頼りない背中……でも僕は、いつだってこの背中を頼りにしているんですよ?

 

「モノズ……頼りにしてます」

 

「……モノ」

 

そう小さく鳴き返し、モノズは正面を見据えた……

 

「やっぱりモノズか……エルフーン![しびれごな]!」

 

「エルゥ!」

 

再度エルフーンの体から、黄色い花粉がばら撒かれる……次に来るのはきっと[かぜおこし]……だったら!

 

「モノズ![りゅうのいぶき]!」

 

「モノォ!」

 

ドラゴンタイプのエネルギーが、放射状に放たれる……簡単な話、焼き尽くしてしまえばいいというわけですね……

 

 

「モノズ![ずつき]!」

 

「エルフーン![コットンガード]!」

 

 

モノズが勢いよくエルフーンに突撃する……が、エルフーンの体毛と同じ、大量の羊毛によりモノズの攻撃は遮られてしまう……!

 

「っ!モノズ!バックステップをしながら[りゅうのいかり]!」

 

「モ、ノォ!」

 

今度は球体状のエネルギー弾を放つモノズ……すると、先ほどの大量の羊毛は、直撃と同時に一瞬にして霧散した

 

「!やっぱり直接的な攻撃以外は防げないか……!エルフーン![はっぱカッター]!」

 

「エルゥ!」

 

[コットンガード]が破られたのを見て、即座に[はっぱカッター]の指示を出すトウコさん……このままじゃジリ貧ですね……

 

「……モノズ!左に避けてください!」

 

「……!モノ!」

 

真っ直ぐに放たれる[はっぱカッター]を、モノズは左に跳んでかわす……かわすことはできる、相手の攻撃を流すことはできる……でも……!

 

「このままじゃ勝てませんね……」

 

直接的な技は[コットンガード]で防がれる、[コットンガード]を破るために[りゅうのいかり]を使ってもその後の反撃で攻めきれない……モノズも、体力が続く限りは避けることはできます……でも、それはあくまでも『体力の続く限り』の話……動くのにだって体力を使うし、技を使うのにだってそうです……

 

「……どうしましょう?」

 

「……モノ……」

 

モノズもまいっている様子で、精神的な疲労がにじみ出ていた……

 

というか、え?トウコさん、強すぎません?正直今、アロエさんよりも厄介だと感じているんですけど……打開策が思いつかないという意味ではアーティさんに匹敵する強さなんですけど……?

 

「どうしたの?もう降参?」

 

トウコさんはそうやって僕を挑発する……正直、もう今すぐにでも降参したい気持ちでいっぱいなんですけど……

 

「……どうします?モノズ」

 

「……モノ」

 

モノズもすでに諦めモードに突入している……先に戦ってくれたモグリューには申し訳ないですが、これ以上戦うのも……でも……

 

 

 

 

 

 

「強く……ならないといけないんですよね……」

 

「…………モノ!」

 

僕は決めました、もう逃げないと、理由も言い訳、も思いつけばいくらでも言えるかもしれない、でもそれじゃあ……!

 

 

「……!モノズ![りゅうのいかり]!」

 

「モ、ノォ!」

 

フェイントも何もいれず、モノズはエルフーンに自身の最大の攻撃を放つ……

 

「そうこなくっちゃ!エルフーン![コットンガード]!」

 

「エルゥ!」

 

しかし、やはりといえばその通りで、エルフーンはまたもその羊毛によって[りゅうのいかり]を相殺する

 

「[はっぱカッター]!」

 

間髪いれず、トウコさんは[はっぱカッター]の指示を出す……ここで避けたら、逃げたら……!

 

 

 

 

 

 

 

 

「……っ!モノズ!ごめんなさい![たいあたり]!」

 

 

 

「……モノッ!」

 

 

僕の指示通り、モノズは正面に、[はっぱカッター]の中を全力で前進する……

 

 

[モ……ノ……!?」

 

鋭い木の葉が、顔を、足を、体を切り裂く……それでもモノズは前進する……

 

 

「モノズ……!頑張って……頑張ってください……!」

 

僕は祈るような気持ちでモノズを見守る……本当はこんなことさせたくない……でも……!

 

 

 

 

「勝つんだ……!僕たちは!!」

 

「モノ……!!!」

 

「いつになく強引ね……!エルフーン!防御の準備しておいて!」

 

「エル……!」

 

身構えるエルフーン、慎重にモノズを見据えている……そして……

 

 

 

 

 

 

「モ、ノォォオオ!!」

 

ついに、その無数の木の葉の中を抜けた……!

 

「モノズ![りゅうのいかり]!!」

 

「何度やっても同じよ!エルフーン![コットンガード]!」

 

もう何度目だろうか、モノズの[りゅうのいかり]はエルフーンの[コットンガード]によって相殺する……でも!

 

「モノズ!そのまま[ずつき]!」

 

「モノっ!」

 

今までは距離があったから攻めきれなかった……ならその距離を詰めればいいだけの話……でもそれは同時に、モノズのダメージを覚悟するということ……

 

 

ズドン……!

 

 

「エルっ!?」

 

一際鈍い音が鳴り響く、モノズ渾身の[ずつき]は、エルフーンを吹き飛ばし、そして……

 

 

 

「エル~……」

 

戦闘不能に落としいれるには十分な威力だった……

 

「……エルフーン、お疲れ様ゆっくり休んでね」

 

そう言って、トウコさんはエルフーンをボールに戻す……スッとこちらを、モノズと僕を交互に見据える

 

「最後の……アンタってあんな無茶するタイプだっけ?」

 

「……僕も、多少気持ちに変化があったってことですよ」

 

今回、僕は逃げなかった……僕が逃げるという選択をしなかった……その結果どうでしょう?

 

 

「モ……ノ……」

 

フラフラと、両足を震わせながらこちらに戻ってくるモノズの姿を見て、僕は後悔した……

 

 

 

 

────どうして避けさせなかった

 

 

 

 

────無理に勝つ必要があるのか

 

 

 

 

────その勝利は仲間を傷つけてでも得なければならないものなのか

 

 

 

 

 

「……モ、モノズ……ごめんなさ────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────ガブっ

 

 

 

 

 

 

「い?いったぁぁぁぁ!?」

 

戻ってきたと思った矢先、僕の足にかみつくモノズ……容赦のない噛み方だった……

 

「モノ……」ガブガブ

 

「モノズ!?ごめんなさい!ごめんなさい!ってなんでもっと強く噛むんですか!!?」

 

怒ってる!?怒ってるんですか!?なんで!?やっぱり無理させたから!?

 

 

「……はぁ、アンタって本当に鈍感ね」

 

トウコさんは呆れたようにため息をつく……え、何ですか?トウコさんにはモノズが怒っている?理由が分かるんですか?

 

「モノズはね、『ごめんなさい』なんて言って欲しくないのよ」

 

「……モノ」コクコク

 

ウンウンと頷くモノズ……噛みながら頷かない下さい、もげます……

 

「ど、どういうことですか?」

 

とにもかくに、僕はその言葉の真意が汲み取れずにいた……ごめんなさいじゃない言葉……?

 

「アンタって……ちょっと考えれば分かるでしょ!?モノズはアンタに褒めてもらいたいの!頑張ったねって!よくやったねって!それぐらい察しなさいよね!?」

 

「そ、そうなんですか?モノズ」

 

「……モ、モノ……」カプカプ

 

モノズは恥ずかしそうに俯く、噛み方も甘噛みになり、照れているようだった……僕、こんな鈍かったでしょうか?人の感性には鋭いほうだと思っていたんですが……

 

「えっと……モノズ、お疲れ様です、よく頑張ってくれました」

 

「……モノ!」

 

僕がそう述べると、モノズは途端に顔を上げ、嬉しそうにニコニコしている……僕はまだ、モノズのことをちゃんと分かってあげれてないんですね……

 

「……ハァ、なんかもうバトルって気分じゃなくなっちゃったわ……引き分けってことでいい?」

 

「え、いいんですか?」

 

突然の提案に、僕は驚いた……『あの』トウコさんが?『あの負けず嫌いの』トウコさんが……!?

 

「……アンタ、また失礼なこと考えたでしょ?」

 

「イエイエゼンゼン?」

 

今日、学んだことが一つ……トウコさんは感がいい……良くも悪くも、感がいい……

 

 

 

 

 

それと、もう一つ……

 

「モノズ、ありがとうございます!」

 

「モノ?」

 

また一つ、モノズことが知れました……!




第四十四回、終了です!

一か月……逃げない……ヤナ君も逃げないって決めたんだから……!←

頑張ります……課題に追われながらも、頑張ります……

ここまで読んでくださった方、更新を楽しみにしている方、ありがとうございました!
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