やってきたのはBW!   作:エレンシア

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前回のあらすじ……


「ま、い、ご……なう……」ポチポチ

ヤナ「Twitter!?」


第四十六回~きゅうてんかいにときめくな!~

「あいつ……なにやってんのよ……」

 

ヤナが私を置いて行ってしまってから、10分が経とうとしている、これを長いととるか、短いととるか……少なくとも私には嫌に長く感じた……私はそんなに短気な性格ではなかったはずなんだけど……

 

「まぁ、まだ10分だしね、そのうち戻ってくるでしょ」

 

この10分で私の体力も幾分か回復したし、ヤナが戻ってきたらすぐ動けるようにはしておかないとね!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……30分が経過した、あいつは戻って来ない

 

「どこまで探しに行ったのよ……」

 

もう戻ってきてもいいんじゃない?なんで帰ってこないのよ……

 

私の中のイライラが膨らんでいく……落ち着かない、嫌に、落ち着かない……

 

「……誰か見つかったのかな?」

 

それで少し話し込んでるとか?あいつは人を待たせているっていう自覚はあるのかしら……?

帰ってきたらまた説教してやんなきゃ……!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……1時間が経過した……あいつはまだ戻って来ない……

 

「……いくらなんでも遅すぎない……?」

 

まさか……あいつになにかあったんじゃ……!

 

 

 

 

『何かあればライブキャスターで連絡します』

 

 

 

私は自分のライブキャスターを取り出す……着信はなし……

 

「…………」

 

私は無言でヤナにつなげる……そもそも、何かあってからじゃ連絡なんてできるわけないじゃない!

 

 

 

Prrrrre……Prrrrre……

 

 

 

 

「っ!?なんで出ないのよ!」

 

まさか本当に……!

 

私はすぐさま駆け出しそうになったが、一つの疑念がその歩みを止める……

 

 

 

 

────もし、全部私の早とちりだったら?

 

 

ヤナが戻って来た時に私が居なかったら、ヤナはどうする?

 

 

そう考えた時、私はここを離れるわけにはいかなかった…………

 

「…………」

 

私は力なく座り込み、膝を抱え、ただ待つことしかできなかった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………二時間が……経過した……あいつは……

 

 

「大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫ダイジョウブダイジョウブダイジョウブダイジョウブ…………」

 

瞼を固く閉じ、両手で耳を塞ぎ、ただひたすらに自分に言い聞かせ、暗示をかけ、思い込もうとした……

 

瞼の裏に、鮮明に焼きつて消えないその時が、浮かんでは消え、また浮かぶ……

 

 

 

 

 

一番道路────バスラオに噛みつかれて全身ボロボロのヤナの姿があった……

 

 

 

 

 

プラズマ団アジト────全身黒焦げのヤナがビルから落ちてくる姿があった……

 

 

 

 

 

リゾートデザート────足に酷い火傷を負ったヤナが、砂漠の真ん中で倒れている姿があった……

 

 

 

 

 

ヒウンシティ路地裏────鎖と手錠に繋がれたヤナの姿があった……

 

 

 

 

 

今までは生きていた……偶々、偶然、運良く、奇跡的に生きていた……

 

 

じゃあ今回は?

 

 

そんな保証ある?

 

 

 

「大丈夫、アイツは帰ってクル……ちゃんと帰って……」

 

私は自身の疑念を必死に追い払う……しかし、それは私を嘲笑うかのように、その疑念は増大されていった……

 

 

 

Prrrrre……Prrrrre……

 

 

 

ライブキャスターはなおも呼び出しを続けている、がしかし……その無機質な機械から、あいつの声が聞こえてくることはなかった……

 

何かが音を立てて崩れていく、張り続けなければならない糸が解れ始める、切れてはいけない何かが、ゆっくりと、確実に……そして──────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────さん……トウコさんっ!」

 

 

私の肩を掴みゆする手が、視界の端に捉えられた……ぼやけた視界の中、徐々に目の前のものに焦点が合い始める……

 

 

 

 

 

「……ヤ、ナ……?」

 

「大丈夫ですか!?どこか痛いですか!?」

 

あたふたとする幼馴染の姿が、そこにはあった……ちゃんと、帰ってきた……

 

 

 

 

 

「よかった……本当に……っ」ポロポロ

 

「ぅえ!?な、なんで急にっ!ぇえ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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───────────────────────────

 

─────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

「……で?なんで出なかったのよ……」グスッ

 

目を赤くし、鼻をすすりながらトウコさんは僕を責めたてる……泣くか怒るかどちらかにして下さい……罪悪感で砂に埋もれます……

 

「えと、その、道を教えてくれた人と話し込んでいて気づきませんでした……」

 

嘘だ、もちろん嘘だ、通知が来ていたことには気づいていた……でも出ることはできませんでした……

 

もし僕がプラズマ団の方と一緒にいるということがトウコさんに知られていたら……きっと、何も考えずに僕を探してくれたんでしょうね……でもそれでトウコさんが岩場から離れてしまったら?

この広い砂漠です、トウコさんを見つけ出すのは難しくなってしまうでしょう……

 

「あんたね……気づかなかったら連絡も何もないじゃないのっ!」

 

「ぶへっ!?すみませんでしたっ!」

 

トウコさんの右ストレートが僕の頬を抉る……まぁ、これで済んでよかった、と考えておきましょう……

 

「ったく……やっぱりあんた一人で行動させるのは駄目ね……」

 

酷い言われようですが甘んじて受け入れましょう、殴られるよりは痛くないですからね……

 

「これからは一緒に行動しないと、また変なのに巻き込まれるかもしれないし……」

 

この旅の目的を忘れ去られてはいないだろうか……僕たちは僕たちの各々が選んだ道を各々で進むはずでは?というか、これは本当に一人旅なのかとたまに疑いたくなることも多々ありましたけどね?

 

 

 

 

「一緒、これからずっと一緒……うん、大丈夫……」

 

 

 

…………大丈夫、じゃない気配がします……不思議です、全然大丈夫だと思えない気配がします、悪寒が全身を駆け巡ってますよ、砂漠なのに寒い寒い……

 

「さ!さっさと行くわよ!こんなところに長居は無用だわ!」

 

そう言って、僕の手を握り、ここに来た時と同じように、僕を前へと引っ張っていく……気のせい、ですよね?

 

 

「……またバテないで下さいよ?」

 

「平気よ!誰かさんのおかげでい~っぱい休めたからねっ!」

 

 

握られた手の痛みに耐えつつ、僕たちは砂漠の中を歩いた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ライモンシティに……」

 

 

 

 

 

「ついたぁぁぁぁぁぁぁあ!」

 

「あんた、それ毎回やってんの?」

 

トウコさんの冷たい視線も何のその、僕たちは無事、ライモンシティに到達することができました……

 

ライモンシティ……テレビで何度も見たことのある街……街全体がアミューズメントパーク、様々な娯楽施設の整った街……小さい頃から……というと語弊があるかもしれませんが、こっちに来てから、一度は行ってみたいと心に固く誓った場所が、今僕の目の前に……!

 

 

 

───────ガシッ!

 

 

 

 

 

 

「まずは宿をとってからよ、それに街探索は明日にしなさい」

 

 

目の前にあるのに、目の前にあるのに……!

 

「トウコさんっ!僕は遊園地に行かなければならないんですっ!夢にまで見た遊園地がっ!目の前にっ!!」

 

「お、落ち着きなさいよ、砂漠を渡り切った今のその体じゃたいして遊べないんだから、楽しみは明日にとっておけばいいでしょ?」

 

そういって、僕の体をずるずると引きずっていく……遊園地が、観覧車がだんだん遠のいていく……

 

 

「…………」ポロポロ

 

「マジ泣きするのやめなさい……」

 

 

ハァ、と溜息を漏らしながら、トウコさんは僕をずってポケモンセンターへと向かった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お疲れ様です、ポケモンの回復ですか?それとも宿泊ですか?」

 

「宿泊です、部屋は一つで大丈夫ですから」

 

「二つ、二つですよ、僕とトウコさんで一つづつですよ」

 

ジョーイさんは苦笑いを浮かべて……あれ?デジャヴ?

 

「一応、今日は宿泊者が少ないから別々のお部屋を用意できますけど……」

 

「別々でお願いします!」

 

「……まぁ、別にそれでもいいけど」

 

そう言って、トウコさんは自分の部屋のカギを受け取る……ベルさんと違って、こういったところは聞き分け良いですよね……

 

 

 

 

「あ、でもこの先もし宿泊者が増えるようだったらその人たちと相部屋になるけど、その辺りはお願いね?」ヒソッ

 

ジョーイさんが僕にだけ聞えるように耳元で話す……このジョーイさん……空気読めるタイプの人だ……!

 

「分かりました、ありがとうございます」ヒソッ

 

僕は軽く会釈をして、ジョーイさんからカギを受け取り、トウコさんとともに自室へと向かった……

 

 

 

 

 

 

 

「明日はどうするの?アンタは遊園地に行くのよね?」

 

自室へと向かう廊下を歩いているとき、トウコさんが不意に僕に質問を投げかける

 

「もちろんです!トウコさんはジム戦ですか?」

 

トウコさんにとって、ジムは何よりも優先順位が高いのではないかと思い、僕は半ば確信をもってトウコさんに質問する

 

 

 

「う~ん……いいわ、あんたに付き合ってあげる!」

 

僕の確信とはなんだったのか、僕の予想とはまったく違う返答が、トウコさんから帰ってきた……

 

「え、でも……」

 

「そのかわり!あんたも私のジム戦付き合いなさいよ!」

 

どんだけですか、どんだけ僕にジム戦させたいんですか、前回のアーティさんとの戦いで結構懲りたんですけど、まだ戦わせますか……

普段なら間髪入れずに断っていたと思う、実際、どう断ろうかと考えてもいました……

 

……でも─────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『────大切な人なんて、私がいれば十分でしょう?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もう、逃げないって、決めたんですよね……

 

 

「……いいですよ、ジム戦、行きましょう」

 

「ダメって言っても無理矢理連れて…………え?そ、そんなあっさり?」

 

僕は強くなる、僕たちで、強くなる……!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………」カタカタ

 

「……?兄様?震えてますよ?お体の調子が悪いのでは?」

 

 

……この展開は聞いてないですよ……?




第四十六回、終了です!

トウコさんが一歩ずつ階段上ってくれているようで、僕は嬉しい限りです!

ただ、大切な人が目の前で何度も死にかける、なんて状況になったら、気がおかしくなっても仕方ないのかな、なんてことを書いてて思いました!

ここまで読んで下さった方、ありがとうございました!
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