ダッシュ→ガブガブ
以上!
「……これは……どういうことですか?」
あの後僕は、モノズを連れて一度帰宅して、皆を呼んで研究所に行こうと思ったのですが……
「い、いいだしっぺはベルよ!」
「あ!?ひ、ひどいよトウコ!トウコだってノリノリだったじゃない!」
二人は醜い争いをしていますが、そんなことは、僕にとってどうでもいいんです、えぇもうほんとにどうでもいいですよ!
部屋を見渡せば、何故か床は水にぬれてびしゃびしゃに、ケースの置いてあった机は、ほとんど原型がないほど黒焦げに、壁には引っ掻ききずのようなものがちらほらと、家具は壊れ、窓ガラスは粉々になっていた……
「…………人の家でなにをしたらここまでのことになるんですか!?!?」
「だ、だからそれはベルが……!」
「トウコ、無理だ、ここまでになったのは僕たちが加減も知らないくせにテンションだけでポケモンバトルを始めたことが原因なんだから」
チェレンくんの発言から、この惨劇はポケモンバトルによって引き起こしてしまったらしい……
「チェレンくん……君がいて、どうしてこうなるのさ……」
「……ごめん」
「……ハァ、もういいです、ベルさんとトウコさんが暴走するのはいつものことですからね……」
これ以上怒っても、モノズを怖がらせてしまうかもしれませんし……
そう思って、ふとモノズの方を見ると、もといた場所には居らず、僕の後ろでビクビクしていた、モノズの視線をたどってみると…………あぁ、
「ちょっとチェレン!なんであんただけ別の扱いなのよ!」
やはりというかなんというか、やはりその先にはトウコさんがいた
「……モノズ、やっぱり僕達気が合いそうですよ?」
「……モノ」コク
僕とモノズの距離が、少し縮んだ瞬間でした……
「ハーイ!皆、やっと来たわね!」
アララギ博士が元気に迎えてくれる、顔の湿布ははずされていた
「どれどれ……うんうん!皆もうバトルを済ませたようね!」
僕の家で、ね……僕とモノズはまだしてないですけど
そもそも僕は、ポケモンバトルというのを見たことがない、テレビでもなんでもそうだけど、今日この日のために、この日からのドキドキのために、僕は一切の知識も待たない状態でいたかった
「博士!ヤナはまだバトルしてないですよ?」
ベルさんが博士に進言してくれていますが、正直戦い方が分からないので先に見ておきたかったです
「あら、そうなの?じゃあ……トウコ!相手してみて!」
「あ、はい!ヤナ!手加減しないからね!」
……よりにもよってトウコさん……モノズ、大丈夫かな……
「使用ポケモンは一体!先に倒れた方が負けよ!なお、審判は私、アララギが勤めます!」
まぁ僕もトウコさんも一体しか持ってないですからね、審判も、僕たちではまだ役不足ですし……
「出てきて!ミジュマル!」
「ミジュ!」
トウコさんがボールを投げると、その中からポケモンが、ミジュマルが飛び出てきた
「えぇと、お願いします!モノズ!」
「……モノ」ササ
「わっ、ちょ、モノズ!?」
対して、僕のモノズもボールから出てくるのまでは同じだが、すぐさま僕の後ろに隠れてしまった、
僕は正直、こうなるのではないかと薄々感じてはいた、が、バトルになればきっとかっこいい姿を見せてくれると信じていたのだが……
「モ、モノズ、前に行かないと戦えないよ?」
「モノ……モノ……」フルフル
僕がそう呼びかけても、モノズは動いてくれる気配がありません
「……なにそれ、あんたのポケモン、全然ダメじゃない!」
トウコさんが心のない刃をこちらに向ける
「あんたそれ、ハズレよ、は・ず・れ!主人の言うことも聞けないなんてさ!」
……ちがう……モノズはハズレなんかじゃない……!
「しかもなに?その主人を盾にしてさ!ひどいなんてもんじゃないじゃない!」
ちがう……僕とモノズは主従関係にあるわけじゃない……!
「挙句の果てにはただビクビクして怯えてるだけなんて、ほんと情けないポケモンね!」
ちがう、モノズは情けなくなんかない!
「ヤナ、あんたほんと災難ね、そんなポケモンとじゃこの先旅なんて───」
「───ちがう!!モノズは災難なんかじゃない!!」
「……っ!?」ビリビリ
僕の声に驚くモノズ、確かに、かっこいいとは言えないかも知れない、情けなく見えるかもしれない……でも!
「モノズは僕のパートナーだ!これから僕たちは、ドキドキがいっぱいの旅に出るんだ!たくさんの冒険をモノズとするんだ!見たこともないようなものをモノズと一緒に見るんだ!なにが災難だ!なにがハズレだ!僕のパートナーをこれ以上悪く言ってみろ!僕は貴女を絶対に許さない!!!」
…………周りが急に静かになる、反発されたトウコさんはもちろん、ベルさんも、チェレンくんも、アララギ博士も、皆、何も言えなかった
「…………モノズ、ごめんなさい、また怒鳴ってしまいました……」
「…………モノ」
モノズが一鳴きすると、その体を、僕の前へと運んだ
「モノズ……?」
モノズの体はまだ震えている、それでも、僕の後ろに下がろうとはしなかった
ただただ、目の前の敵を睨み続けるその姿に、僕はモノズの意思を感じられずにはいられなかった、
「モノズ……行けるんですね?」
「……モノ!」
僕の問いに、今までで一番大きな声で鳴き返す
「……バトル開始!」
アララギ博士の、バトルを告げる合図が発せられる
「───ハッ!?ミ、ミジュマル[たいあたり]!」
「ミジュ!」
トウコさんの呼び声に答えて、ミジュマルがモノズに突っ込んでくる
体当たり……その言葉どうり、体でぶつかってくる技でしょうか?だったら!
「モノズ!右にジャンプ!」
「っ!?モノ!」バッ
若干反応が遅れたもの、モノズは確かに右にジャンプし、ミジュマルの攻撃をかわした
「なっ!?嘘でしょ!?ミジュマル!もう一度[たいあたり]!」
「ミジュ、ミジュ!」
技の使用後だったためか少々バランスを崩しているようだったが、かまわずモノズ突っ込んでくる
先ほどと同様に体当たり……よけてばかりでは勝てないけど……
「モノズ!左にジャンプ!」
「モノ!」バッ
モノズは言われたと通り、左にジャンプした、これでミジュマルの攻撃はあたりようがない───
「今よ!ミジュマル![シェルブレード]!」
「ミ……ジュ!!」
───そう思っていた
「モノ!?」
シェルブレードという技を受けたモノズは、地面を滑るように吹き飛んだ
突如ミジュマルは方向転換し、モノズが避ける動きに合わせて距離を置き、そのまま懐の貝を武器にして攻撃してきたのである
「モノズ!?大丈夫ですか!」
「モ……モノ!」
まだ体力に問題はなさそうなモノズ、しかし、決して安心していられる場面ではなかった
僕たちには、技を回避するための知識がない、技を撃った経験もない
そもそも、モノズが使える技を、僕は把握していない、たいあたりならモノズでもできそうだ、それとかみつくこともできそうだ……これだけでどうしろと?
「なによヤナ、言うほどでもないじゃない!」
「……まだまだこんなもんじゃないですよ!モノズ![たいあたり]!」
「モノ!?……モノ!」
一瞬躊躇したが、モノズはミジュマルに向かって突進する
「ついに自棄になったわね!ミジュマル![シェルブレード]で向かい撃って!」
「ミジュ!」
ミジュマルは懐の貝を再び出し、力をためる
モノズがミジュマルにぶつかるその瞬間、ミジュマルは貝の剣を振り下ろす───
「モノズ!右にジャンプ!」
「モノ!?モ、ノ!!」
「え!?」
「ミ、ミジュ!?」
皆が皆、僕の指示にかなり驚くがモノズはしっかりと、跳んだ
当然、標的を失ったミジュマルの攻撃は虚しく空を切ることになり、そのままバランスを崩した
「いまです!モノズ!もう一度[たいあたり」!」
「モノ!」
素早くミジュマルに照準を合わせ、ありったけの力を籠める、そして……
「ミジュ!?」
モノズのたいあたりは綺麗にミジュマルに命中し、そのままトウコさんの足元まで吹き飛ばした
「ミジュマル!?」
「ミジュ~……」
「ミジュマル戦闘不能!モノズの勝ち!よって勝者、ヤナ!」
アララギ博士のその宣言は、僕の初勝利を決定付けるものとなった
第五回終了です、今回は結構長めでしたね……
バトル描写は難しいですね……どうしても長くなってしまいます、色々おかしなところも出てくるし……
ここまで読んでくださった方、ありがとうございました!
~キャラ紹介~
モノズ ♀ Lv8
ヤナの最初のパートナー、ドラゴン&悪タイプの珍しいポケモン
とても臆病な性格、大きな音がすればとりあえずビクビクする
しかし、ヤナや他の仲間をバカにされると、どんなに怖くても相手に立ち向かう心優しい子
ちなみに女の子
─使える技─
たいあたり
かみつく
竜の怒り