やってきたのはBW!   作:エレンシア

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前回のあらすじ!

考え方は人それぞれってこと?



以上!


第四十八回~そうしてまたいちなんやってくる~

「…………眠れない」

 

上体を起こし時計に視線を向けると、短針は3の数字を指していた……

 

次に隣のベッドで眠る少女に視線を向ける……スースーと規則正しい寝息が聞こえてくる……

 

「……杞憂、でしたね」

 

正直、どこまで信用すべきか迷っていましたが……こちらの心配を他所にしっかり熟睡している歩美の姿を見て、急に力が抜けた

 

「……結局、何がしたかったんでしょうね」

 

これがただの偶然だなんて、いくら僕でも嘘だということぐらい分かります……でも目的は?

 

不幸自慢?それに意味を成さないことは、歩美が一番理解しているはずです……

 

蟠りの解消?そもそも歩美は僕と仲違いしてるとは思っていないだろうし……

 

「……う~ん……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ぁ……兄様……」

 

「っ!?」

 

突如、歩美の言葉に僕の心臓は飛び跳ねる、全身が震え、次の瞬間まで身構える……しかし、しばらく待っても、歩美の次の言葉が紡がれることはなかった

 

「ね、寝言……?」

 

歩美は再び規則正しい呼吸に戻る……背中に嫌な汗が浮かび悪寒が走ったが、それもすぐに収まった……

 

「……ふぅ」

 

歩美の挙動一つ一つに、心が酷く乱される……これが恋慕からによるものなら、いくらか綺麗に見えたのかもしれませんね……

 

「…………」

 

僕は無言でベッドから抜け、静かに部屋を出た……少し、夜風に当たりたい気分になったのだ、そんな日もあります……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「……涼しい……」

 

最近は少しづつ気温も上がってきましたが、夜になると過ごしやすい気温まで下がる……風も気持ちがいいです……

 

「……静か、ですね……」

 

あんなに騒がしかったこの街も、夜は静寂に包まれる……少し遠目にはチカチカと光の点滅が集中している場所もあるが、今の僕には縁のない世界なのだろう

 

夜の街とはいったいどんな世界なんでしょうか……大人の世界とは、どういったものなんでしょうか……

 

……本来なら……とっくに……

 

 

 

「……もう、15年か……」

 

前世と合わせて、30年……僕ももうおっさんですね……三十路です

 

「全然大人っぽく振舞えていないのはどうゆう了見なんでしょうか……」

 

………僕がまだまだ子供だからってことですよね……まぁ大人っぽく振舞いたいって思ってる時点で子供なんでしょうけど……

 

「……歩美は今いくつなんでしょうか……」

 

僕の後をすぐに追ってきたとすると……今がだいたい12歳ぐらいだから……25歳?25っていうとアララギ博士ぐらいじゃないですか?あれ?アララギ博士はもうちょっと歳いってましたっけ?

 

「……なんてこと、本人の前で言ったら体が上下に分かれちゃいますね……」

 

夜風とは別の寒さが全身を包んだ……気を付けよう……

 

 

 

 

「歩美は……こっちに来てから、何を思って生きてきたのかな……」

 

たとえば、僕は真琴さんや歩美や優希、学校の友達や先生、それと…………まぁいろいろ関わりのあった人たちとのことを考えることが多かったですね……理由はまぁ、未練があったからなんですけど……たくさん、たくさんお世話になって、何も言わずに目の前から消えてしまって……伝えたいこととか、いろいろあったんですけどね……

 

 

 

じゃあ歩美は?僕を追って自ら命を絶った歩美は?

 

生きるために必死だった……それは聞いた、聞きました……でもどうして?自分から命を絶つようなことをしたのに、必死に生きようとしたその理由は?

 

「……僕のことを、どこかで知ったんでしょうか……?」

 

どうやって?そんなことは僕には分かりません……もしかしたら歩美は、本当に運命を信じて今日まで生きてきたのかもしれませんね……そういうところは、なんか歩美らしいですね……

 

「……今度はちゃんと、向き合えるかな……?」

 

逃げずに立ち向かえるかな?真正面から受け止められるかな?

 

 

 

「……頑張ろう」

 

小さくそう呟いて、僕は改めて決意した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「……さて、と……」

 

私は閉じていた目をゆっくりと開き上体を起こす……時計を確認すると、短針が5の数字を指していた

 

「ふむ……いつもよりぐっすりと眠れましたね」

 

これも単に、兄様のおかげでしょう……ここまで心休まる時間を送れたのはいつ以来でしょうか……

 

そんな兄様の眠るベッドに視線を移す……そこには規則正しくお腹を動かす兄様が、スースーと寝息を立てて眠っていた……

 

 

 

「…………おっと、鼻血が……」フキフキ

 

私としたことが……あまりの出来事に思わず……今回は我慢です、我慢ですよ…………それにしても、

 

「……幸せそうに寝ていますね……」クス

 

私は兄様のベッドに腰掛け、兄様の髪を手櫛でとく……兄様の髪はサラサラと指をすり抜け、元の場所に落ちる……それが堪らなく愛おしい……

 

「相変わらず、女の子みたいな髪質ですね……触ってて気持ちいいですよ……」

 

耳に触れる……耳たぶを軽く引っ張り、縁にそってなぞる……兄様が少し、ピクっと動くその姿がまた、私の気持ちを高ぶらせる……

 

「可愛い反応ですね……誘ってるんですか?」クス

 

指が首筋を這い、鎖骨にそって流れていく……兄様モゾモゾと身をよじらせる……

 

「いいんですか?私の前でそんなに無防備になって……」クス

 

耳元で囁くと、兄様の体がピクっと跳ねる……くすぐったかったのでしょうか、それとも……

 

「…………が、がまん……」

 

果たして私は我慢する気があるのでしょうか、鎖骨まで下がった指を、再び首筋を這わせて耳の裏まで這わせる……

 

「…………こ、これ以上はまずいですよ?兄様が起きてしまったら昨日のことが全て水の泡に……」

 

私の言動と体はまったく連携がとれておらず、そろそろと左手も兄様の首の、少し左のベッドに手をつく……まるで覆いかぶさるようなこの状態に、私はもう……もう……────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────……モノ、ズ……」

 

 

 

「……………………」

 

 

 

私の高ぶりが、一瞬にして冷めていくのを感じる……黒い感情がふつふつ湧き上がるのを感じる……

 

 

 

気に入らない、私以外の何者かが兄様に思われることが気に入らない

 

 

 

許せない、私以外の何者かが兄様の口から発せられることが許せない

 

 

 

──したい、兄様の愛情を感じている全ての存在を──したい

 

 

 

それが何であろうと、たとえポケモンであろうとも、張りぼての存在であったとしても、私はそれを許容しない……絶対にしない……

 

 

 

「……………………」

 

 

 

 

今ここで終わらせてしまおうか……いや、まだ時期早々……前回のことで学んだはずだ、万全を期す必要がある……慌てなくても、いい……

 

 

 

 

「………………」

 

 

 

 

そうだ……慌てなくてもいい、時間はあるんです……ゆっくりと、確実に……その時を待てばいい……

 

 

 

 

 

「…………ふぅ────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────なに、してるんですか……?」

 

 

 

 

……………………、

 

 

 

 

「…………コホン、おはようございます、兄様」ニコ

 

 

 

偉かった……今の私は今世紀最大に偉かったと言っても過言ではありません、この状況で一切の動揺を見せず、ごくごく自然体で兄様に挨拶をするという偉業を成し遂げたのです

 

「あ、えと……おはよう歩美……で、なにしてるの……?」

 

「兄様を起こそうとしたんですよ?」

 

完璧……完璧すぎますよ私……これも単に兄様への愛があってこそなせる業なのですね……

 

「…………まだ、5時半なんですけど……」

 

「…………あの……」

 

あ……おわりました……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごめんなさい、ムラムラしました」

 

 

「朝っぱらからなに言っちゃてるんですかっ!!?」

 

 

 

 

時には正直に伝えた方がいい時もあります…………あるんです、あるはずです……

 

 

 

 

私の黒い感情は、この時も静かに、兄様を捉えていました……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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最悪の目覚めです……正直、終わったと思いました……終わってないということは最悪ではないのかもしれませんね……

 

「……今は何もしないんじゃなかったんですか?」

 

「まぁ、いいじゃないですか、細かいことです、細かいことを気にする男はモテませんよ?あ、でもその方が都合がいいですね……兄様、どんどん細かい男になってください」

 

「僕もう何にも気にならないです!」

 

あれ?これはこれでダメじゃないですか?この発想が細かいことなんですか……?無限ループって怖くないですか?

 

「……二度寝しようにも……さすがに自分から虎の檻に入るのは……」

 

「虎だなんて失礼ですね、同じネコ科なら私は子ネコですよ?にゃー」

 

あ、あざとい……無表情のまま『にゃー』とか言われても反応に困りますが……

 

「兄様の趣味趣向に合わせてみたのですが……気に要りませんでしたか?」

 

僕の趣味趣向の情報はどこから漏れてるんですか?個人情報流出ですよ?しかも事実無根ですよ?訴えますよ?勝ちますよ?

 

「銀髪ロリ巨乳に加え、クーデレちょいエロ妹ネコ属性まで持ち合わせているんですよ?ムラッとするでしょう?」

 

「僕はどこで間違えたんでしょうか……」

 

…………うん、最初から間違っていたきがします……

 

「大丈夫、だいじょうぶですよ、ね?」

 

「いや、なんで歩美に励まされてるんですか……」

 

歩美がバカなことを言って、僕がそれを窘める……前世から何も変わってない、

 

変わらない……僕と歩美の関係は何も変わってない……あんなことがあった後でも、僕と歩美の関係は変わらない……

 

 

 

 

「……また、難しいこと考えてませんか?」

 

そう言って歩美僕の顔じっと見つめる……どんな感情を秘めているのか、その無表情から読み取ることが出来なかった

 

 

「言っておきますが、私の兄様への気持ちは今後も一生……いえ、たとえ私が死のうとも変わりません、絶対に兄様と添い遂げます、どんなことをしてでもです」

 

「…………」

 

変わらないんじゃない、変わるつもりがないんだ……歩美はこれからも永遠に【兄様】を追い求めるのだろう……

 

「……僕は……───────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────バンッ!!

 

 

 

「ヤナ!起きてる!?さっさと仕度しなさい……よ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「………………あ」」

 

 

「………………な……」

 

 

う~ん……でんじゃらすな予感?




第四十八回、終了です

いろいろと初めての試みだったので投稿が遅れてしまいました、すみません
最初はもっとえっろえろにする予定だったんですが、作風に合わないということで没にしました
まぁ作風なんて偉そうなこと言える作品でもないですが;


ここまで読んで下さった方、ありがとうございました!
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