もうラスボス?とかも決めちゃってるのであまり変更はしません。
人は、何時しか必ず戦わねばならぬ時が来る……
それがーーーー血を分けた肉親同士であっても。
『うおおおおおお!!!』
『はああああああ!!!』
全部が白黒に映るその世界ーーーー様々な異形やロボットがぶつかり合う中、二人だけ、色が付いていた。
一人は、橙色の鎧武者。
もう一人は、黒をベースに白が入り交じった骸骨の様な戦士。
手にした得物を振りかざし、刃をぶつけ、そしてーーーー
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「ーーーーハッ!?」
時刻は午前5時、まだ辺りは暗闇に包まれている時間帯に、少年は目を覚ました。
「また、あの夢だ…………」
少年の名は、葛葉一夏。
嘗ては、世界最強の女性ーーーー織斑千冬の、実の弟。
一夏は最近、同じ夢をよく見る。
しかも、自分が戦っている相手は、何処か他人とは思えないのだ。
「何なんだろうな、一体…………」
考えても仕方ない、そう割り切った一夏はジャージを着てランニングに出掛けた。
今一夏が住まわせて貰っている場所は、ユグドラシル・コーポレーション。
今では知らない者はいない程の大企業で、一夏の地元に大きく聳え立つユグドラシルタワーがシンボルだ。
「ハッ、ハッ………………」
ランニングをしながら一夏は、自分がここに身を寄せる切欠になった出来事を、思い出していた。
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ISーーーー正式名称、インフィニット・ストラトス。
今のこの世界に知らぬ者はいないほど有名な、近未来のパワードスーツ。
その性能は既存の兵器が存在意義を見失う程の力を持つ。
だがISには決定的な欠点が一つだけ存在した。
それは、女性にしか動かせない。
それにより、今の世界は女性を中心とした社会、即ち女尊男卑と呼ばれる最悪の世界。
一夏の姉、千冬は有名なIS操縦者として名を馳せていた。
そして、第二回モンド・グロッソ決勝戦手前。
「う、ん…………」
「気が付いたか、坊主」
その時、一夏は何者かによって誘拐された。
目を覚ますと、一夏は体を縛られ身動きが出来ない状態に。
「何だよお前ら!?」
「わりぃな。だがこれはお前の姉貴を優勝させない為でもあるんだ」
「だから暫くはこのままで……」
「オイ大変だ!ーーーー織斑千冬が大会に出てるぞ!」
別の男が告げた事実に、一夏は呆然とした。
千冬姉が、俺をーーーー?
その事実を理解するよりも早く、一夏の目の前では異様な光景が広がった。
何もない筈の虚空ーーーーそこに、ジッパーの様な物が開き、そこからこの世の物とは思えない怪物が溢れ出てきたのだ。
『ヴゥゥゥ………!』
『グワァ……!』
『グゥゥゥ…!』
「な、何だコイツらは!?」
「に、逃げろー!!」
犯人達は相手が人間ではない事を悟ると、一夏を見捨てて逃げ出した。
一夏はロープを何とかほどこうともがくも、中々ほどけず、気付けばその怪物が手を振り上げ、一夏の左目目掛けて降り下ろした。
「ぐっ、あぁぁぁぁぁぁあああ!!!」
左目の視界が真っ赤に染まった瞬間に迸る激痛に耐えられず、悲鳴を上げる一夏。
だが怪物は無情にも一夏を獲物と見なしたらしく、ジリジリと迫ってきた。
朦朧とする意識の中、一夏は姉の千冬への謝罪を口にしていた。
「ご、めん…千冬姉。俺、もう………………」
そう言いかけた時、
ブゥゥゥゥン!!
コンクリートの壁を突き破り、何者かが乱入してきた。
「………………え?」
一夏が目を開くと、そこには、
「………………」
桜を思わせるバイクに乗った、橙色の鎧武者が悠然と一夏と怪物との間に立っていた。
「ギリギリセーフ、だな。…ん?」
鎧武者はそう一人語散ると、一夏に気付いたのか一夏の方に僅かに振り向く。
「……ちょっと待ってろよ、っと!」
それだけ伝えると、手にした同じく橙色の太刀と刀らしき武器で、怪物達を次々と凪ぎ払っていく。
《ソイヤッ!オレンジスカッシュ!》
「セイハーッ!!」
腰のベルトを操作すると音声が鳴り響き、太刀にエネルギーを集中させる。
鎧武者がそれを振るうと、怪物達はあっという間に爆発四散した。
「ふぅ~、って!大丈夫か!?」
鎧武者は腰に付けた錠前を外しながら、一夏へと近付く。
次に一夏の前にしゃがんだのは、オレンジ色のジャンパーを着た活発そうな青年だった。
「ちょっと待ってな……えーっと、あった!」
青年は背中に背負った鞄を漁り、次には包帯と消毒液が握られていた。
「痛いけど我慢しろよ~」
「ッ!!」
消毒液が染みるのか、一夏は悶えるが、何とか堪え治療を受ける。
何とか消毒を終えた一夏は、左目に包帯を巻いてもらう。
「うっし、取り合えずは応急措置は出来たから後は………」
「あの……」
「ん?」
バイクに跨がろうとした青年は振り向くと、一夏が頭を下げていたため困惑する。
「ど、どうしたんだよ?」
「俺、強くなりたいんです!貴方の様に、他人を守れるぐらいに!だから、俺も一緒に連れていって下さい!!」
「…………でも、君家族は」
「今の俺じゃ、家族一人も守れない。そんな弱いままで、姉とは顔向けする資格もないんです!お願いします!俺を弟子にしてください!」
「………………」
青年は一夏の目を見た。
包帯が巻かれてるにしても、意思の強い眼差し。
「……ハァ、分かったよ。けどな、俺に付いてくるって事は、すげぇ大変だし死ぬかもしれない…それでも来るか?」
「……ハイ!」
「…お前、名前は?」
「織斑、一夏です!」
織斑、その名字を聞いた青年は驚きの声を上げる。
「織斑って…………今のIS試合に出てるあの!?」
「ハイ」
「って事は、お前織斑千冬の弟なんだ………………ってゴメン」
「……いえ」
織斑千冬の弟ーーーー結局はそうとしか見られない一夏は少し表情を暗くする。
気付いた青年は慌てて謝罪する。
「…………やっぱりさ、辛いか?お姉さんの弟って見られるの」
「辛くはないっすけど……少し、重いです」
「………………うしっ!一夏、今日からお前は俺の弟分だ!」
「へ?」
ポカンとする一夏に構わず、青年は笑顔で続ける。
「だから今日からお前は俺の弟だ!あ、俺の名前は葛葉紘汰!宜しくな、一夏!」
「…………ハイ!紘汰さん!」
これが一夏と青年ーーーー葛葉紘汰との出会いだ。
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「紘汰さん、無事なんだろうか…………」
ランニングを終えた一夏は、水を飲みながら宛がわれた部屋に戻る。
紘汰と共に世界を回って半年、結局一夏の目は治らず隻眼として生きることに。
そして一夏はその過程で紘汰の友人、戦極凌馬と呉島貴虎とも知り合い、そしてこの世界に迫る危機についても教えられた。
一夏はベッドに腰掛けると、懐から紘汰から託されたベルトーーーー戦極ドライバーを見詰める。
一ヶ月前、一夏と紘汰は謎のIS部隊の襲撃を受けていた。
「クソッ!このままじゃ……!」
「紘汰さん、此方です!」
「おう!」
最初紘汰は変身して追い返そうと同じ様に思ったが向こうがそれを待ってくれる筈なく、此方を一方的に攻め立てる。
何とか物陰に身を隠すも、二人は絶体絶命。
「……奴ら、どうして俺達を?」
「…………もしかしたら」
「え?」
「一夏、アイツ等は俺が引き付ける。その隙に、これを持って逃げろ」
そう言うと紘汰は、一夏に戦極ドライバー4基と、自身の使っていた戦極ドライバーを渡す。
「で、でも…………それだと紘汰さんは!?」
「奴らの狙いは恐らくそれだ。4基も奪われたら洒落にならない…………大丈夫だ!俺はそう簡単には死なない」
「…………」
「一夏。逃げ切ったら、ユグドラシルに……凌馬の所に行け。そして、お前が信じる人達に、それを預けろっ!そして、世界を救うんだ!!」
「紘汰さん……っ!」
「お前は生きろよ………………一夏!!」
それだけを伝えると、紘汰は物陰から飛び出し、IS部隊を引き付ける。
「紘汰さんっ!!……………………うぉぉぉぉ!!」
IS部隊の攻撃を潜り抜ける紘汰を見た一夏は一瞬立ち止まるが、次には紘汰の言葉を思い出し、紘汰とは反対方向に駆け出した。
「紘汰さん…………俺、前よりもっと強くなったよ。今なら、紘汰さんにも勝てると思う」
あの後一夏は何とか逃げ切り、ユグドラシルに避難。
そこで経緯を全て凌馬と貴虎に話した。
そして一夏は、紘汰の後を次ぐ形で、紘汰の戦極ドライバー所有者となった。
「俺の信じる人達…………か」
一夏が託された戦極ドライバーは、残り2基。
取り合えずはここまでです