これも皆様が読んで下さったお陰です。この場をお借りして本当にありがとうございます!
これからも頑張っていきますので、どうかお付き合いの程宜しくお願いします!
「はぁ……中々にキツイな」
自己紹介を終えた後の休憩時間、一夏はIS学園の屋上へとやって来ていた。
「くっそ~……やってけるのかな?」
何しろ先程までずっと視線の嵐だったのだ。
一夏が不安に駆られるのも無理はない。
「…………一夏」
「…?」
と、ここで一夏は何者かが自分を呼ぶ声がした為後ろを振り返ると、
「…………箒、か?」
そこにいたのは、髪をポニーテールにした武士然とした女の子がいた。
彼女は篠ノ之箒。
昔の一夏の幼なじみであり、ISの産みの親、篠ノ之束の妹だ。
「……覚えていて、くれたのか」
「そりゃあな。だって髪型昔と変わんないし」
恥ずかしげに問い掛ける箒に一夏は苦笑い気味に答える。
「そう言えば剣道の全国大会、優勝したんだってな。おめでとう」
「な、何故知っている!?」
「え?あぁ、新聞で見たから」
「そ、そうか…………それよりも一夏」
箒は若干聞きづらそうに声が小さくなるが、一夏は何となく察しが付いていた。
「そ、その目はどうしたのだ…?それに、織斑ではなく、葛葉という名字は、一体…………」
「……また、機会があったら話すよ。大丈夫だって!千冬姉と喧嘩別れした訳じゃないからさ」
「…………分かった」
不服な感じではあるが、取り敢えずは納得した模様。
一夏は少しの罪悪感を感じながらも、先に教室に戻って行った。
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それから早く時が流れ、もうHRの時間に。
「ではこの時間を利用して、このクラスの代表候補生について決めたいと思う」
「はいっ、葛葉君が良いと思います!」
「私も!」
「右に同じ!」
開始数分で早くも一夏が候補に。
「え、えぇ…………この場合、辞退は」
「自薦された物に拒否権はないぞ。腹を括れ」
ばっさり千冬に斬られ、辟易する一夏。
「では候補者は葛葉一夏だけか?他にはーーーー」
「お待ち下さいっ!その様な選出は認められませんわ!!」
と、ここで一夏の立候補を否定する声が上がった。
セシリア・オルコット。
イギリスの代表候補生にして、名家の出身。
「大体男がクラス代表なんて良い恥さらしですわ!実力から行けば私が代表になるのは必然……それを物珍しいからという理由で男を、こんな片目の潰れた極東の猿にされては困ります!」
じゃあ何で自薦しないんだよ、と一夏、そう言う貴女も猿よ、と耀子がそれぞれ思う中、セシリアの言葉はどんどんヒートアップしていく。
「良いですか!?クラス代表は実力トップがなるべき。そしてそれはイギリスの代表候補生、セシリア・オルコットが相応しいですわ!それに文化としても後進的なこの島国で過ごす事自体私にとっては耐え難い苦痛でーーーー」
「その辺にしとけよ。オルコットさん」
ここでとうとう他国の誹謗まで飛び出たセシリアを一夏が止めた。
聞き流そうとも思ったが、それでは彼女が駄目になる。そう踏んだからだ。
「あら?男の癖に言い返す度胸はあるのですね?」
「他国の誹謗中傷は君の首を締める事になるぜ?ねぇ
、織斑先生?」
「そうだな…おい、オルコット」
「は、はいっ」
有無を言わせぬ千冬の迫力に、緊張が走るセシリア。
「お前は今、この国を文化としても後進的と言ったな?だが、お前が今使っているIS……それを開発したのはその後進的な国の女なのだぞ?」
「ーーーー!?」
千冬の言いたい事が分かったのか、セシリアは顔面が蒼白になる。
「お前のその発言はイギリスの物でもある。それを日本が受け取ったら……どうなるだろうな?」
「言葉には気を付けなよ。あのまま進んでたら、アンタは終わってたよ」
続けざまに一夏からも正論が飛び出る。
だがセシリアは顔を俯かせ、プルプルと震えると、
「どこまで私をコケにするのですか…………決闘ですわ!」
何故か一夏をビシッと指差し宣言した。
「な、何故そうなるのさ!?」
「あら?あれだけ啖呵を切ったのに逃げるんですの?所詮は男ーーーー況してや、片目の無い猿の度胸なんてその程度ですのね」
啖呵っつーか事実なんだけど…………そう呟く一夏だったが、ここで後ろにいた耀子が声を上げた。
「だったら一夏君。受けて上げなさい」
「み、湊さっーーーー先生!?」
思わず何時もの癖でさん付けしてしまう所だった一夏。
「湊先生、そんな男を煽るのは止めておあげなさい。どうせ片目でろくに戦えないのに……」
「でも一夏君、IS試験官を倒したわよね?」
「はい」
「…………へ?」
今明かされた衝撃の事実に、呆然となるセシリア。
「くくっ…………女子だけと言うオチだったらしいな、
オルコット」
千冬の茶化しにあちこちから失笑が飛び交う。
果ては耀子や一夏もだ。
「~~ッ!!そ、そうですわ!貴方はそんな体たらくなのですから、ハンデを付けて差し上げましょう!」
セシリアの苦し紛れの発言に一夏は、
「ハンデは…………いらない。それに、俺と君はISを動かせる。条件は五分五分だろ?」
そう自信満々に言ってのけたのだった。
「フッ…………では、クラス代表決定戦はまた一週間後だ。それまでに準備をしておけよ」
手を叩いてそう告げた千冬の言葉を〆として、今日の授業は御開きとなった。
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「え~っと、1022室はっと…………」
放課後、一夏は副担任の山田真耶から渡された寮の鍵を手に部屋を探していた。
取り敢えずは何時も通り、耀子と一緒に基礎訓練を行い、改めて群青の性能を試したりした。
「広いな~………………ん?」
と、ここで一夏のスマートフォンが何かのアラームを鳴らした。
それを確認した一夏は顔付きを変えると、別の方角へと足を進めた。
鬱蒼と茂る草木、そしてその蔦から生える奇っ怪な果実。
「ここ…………何処……?」
そんな不気味な森ーーーーヘルヘイムと呼ばれるそこに、更識簪はいた。
簪がこの森への入り口を見つけたのは、殆ど偶然だった。
何時もの様に教室から部屋に戻ろうとした時、廊下の端にジッパーの様な物が出現していた。
そして簪は興味本位でその中を潜ると、そこは森だったーーーーと言う訳だ。
「何だか、怖い…………」
ビクビクしながら先へと歩を進める簪。
だが、行き先で、ガサッと大きな物音が聞こえた。
「ヒッ……!」
未知の場所への恐怖心から、体が動かない簪。
すると、物音の正体が姿を現した。
「簪ちゃん……!?」
「……お姉、ちゃん?」
その正体は、簪の姉ーーーー更識楯無だった。
頼れる姉が姿を見せた安心感からか、簪は形振り構わず楯無に抱き付いた。
「お姉ちゃんっ!!」
「きゃっ!ど、どうしたの、簪ちゃん!?よーしよし……」
一瞬ビックリするも、何とか頭を撫でたりして簪を宥めすかした。
「で、お姉ちゃんはどうしてここに……?」
「ジッパーみたいな物が空いてて、その中を潜ったら、ここに……」
「私と、おんなじ…………」
やはり姉妹は似ているのかと思い、少しだけ笑みを溢す簪。
だが、そんな安心な時間も長くは続かなかった。
『ヴぅ…………』
「「!?」」
森の奥から、ヘルヘイムの住人とも呼べる異形ーーーーインベスが姿を現したのだ。
「何、コイツら!?」
「に、逃げよう……お姉ちゃん!」
「そ、そうね…………走るわよ!」
「うん!」
最高のスタートダッシュを決めた二人は一目散に駆け出した。
だが、
『グゥゥ……!』
『ヴぁぁぁ!』
「「きゃっ!?」」
逃げた先にも別のインベスがいたので、二人は完全に取り囲まれた状態に。
「お、お姉ちゃん…………」
「大丈夫よ。貴女は私が守るから………………!」
楯無はやむを得まいと専用機を展開しようとするが、
「はぁぁぁっ!!」
《ソイヤッ!オレンジスカッシュ!》
二人とインベス達の背後から現れた何者かがインベスの一体を切り裂いた。
「「……え?」」
二人が目を凝らさずに見つめると、そこにいたのは
「って、一般人いるじゃん!」
橙色の鎧を付けた、武者だった。
「ちょっと待っててな~!直ぐ助けるから!」
鎧武者、改め鎧武OAは二人にそう言うと、太刀ーーーー橙色丸と剣ーーーー無双セイバーを握り締め、勇猛果敢にインベスに突貫していく。
「オラオラオラオラァッ!!」
『ヴぅぅぅぅ!!』
「トドメだ!セイハーッ!!」
一回転して、橙色丸と無双セイバーでインベスを纏めて切り裂き、全滅させた。
「えっと…………」
「あぁっと!あっちにクラック空いてたから!多分そっから出れるから!じゃ!」
「あ、ちょっと!」
止めようとする楯無に構わず鎧武は停めてあったバイク、サクラハリケーンに乗り込むと、そのまま去って行った。
「彼は一体…………」
「……あ、お姉ちゃん」
鎧武の正体が分からず楯無は首を捻る一方で、簪は先程まで鎧武が戦っていた場所で何かを見つけた。
「これ…………」
「これって…さっきの鎧武者と同じ…………」
簪の手にあるそれはーーーー二基の戦極ドライバーと、葡萄とメロンを模した錠前だった。
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「ふぅ~…………」
IS学園の廊下に戻ってきた鎧武ーーーー一夏は監視カメラに映らない場所で変身を解いた。
「あの人って確か更識…だよな」
一夏は前に凌馬から日本の暗部、更識について教えられた事がある。
そして現党首が一夏と一歳差の女の子と言うのも。
「まさかIS学園の生徒だったなんて……気を付けないとって…………アレ?」
一夏は何やら冷や汗をかきながら懐を探るが何も目当ての物がない。
「…………戦極ドライバーとロックシード落としたぁぁぁぁ!!」
頭を抱えて絶叫する一夏。
「ヤベェヤベェ!!凌馬さんは兎も角、貴虎さんや耀子さんに知られたらーーーー」
「何がどうしたのかしら?一夏君」
背後からとてつもないプレッシャーを感じた一夏は壊れたロボット宜しく首をギギッと後ろに向かす。
「一夏く~ん」
そこにはやはりと言うか何と言うか、笑顔の湊耀子が、握り拳を作って一夏を見ていた。
「くっそ~…………イテテ」
結局一夏は凌馬も恐れる耀子のげんこつを食らい、しかもその体で千冬の元に向かっていた。
取り敢えずは報告に関しては耀子に任せてあるので、問題はない。
「失礼します」
「来たか、葛葉」
机で何やら作業をしていた千冬は、一夏の前に立った。
「その…………ゴメン。今まで連絡も寄越さないで」
「……一夏」
「…?」
てっきり殴られるのかと思い身構えた一夏だったが、千冬はただ名を呼ぶのみ。
「……お前の信じた人と共に旅をしたのだな?」
「…うん」
「……お前が臨む力は、手に入ったか?」
「……………………」
千冬の問いに無言になる一夏。
「まだ、分かんない。でも、俺はあの時の弱いままの俺じゃないのは、わかる。今度は、自分の身は自分で守れるよ」
「…………そうか。一夏、強くなったな」
千冬はここで一夏を抱き寄せる。
対する一夏も、否定せずにそれを受け入れる。
今までの溝を埋めるように、暫く抱き合ったままの二人であった。
ね、眠い…………