千冬との暫しの抱擁を終えると、一夏は自分の部屋へと改めて足を運んだ。
「ふぅ~…………そう言えば、さっき千冬姉が言ってたな。相部屋だって……はぁ」
相部屋と言うことは、ルームメイトは女子。
本来安らげる場所である部屋ですら緊張すると思うと溜め息しか出ない。
一夏は重い足取りで部屋の扉をノックした。
『はーい』
『あぁ、やっぱり女子…………?この声、どっかで聞いた様な』
等と訝しげに考える一夏だったが、開かれた扉の中を見て、その考えは氷解した。
「あれ……一夏君?」
「あ!」
活発そうな金髪、整った容姿、そして服越しから分かるスタイル。
それは一夏がよく知る人物だった。
「……ティナ!」
ティナ・ハミルトン。
アメリカの代表候補生にして、2組の代表の彼女は、修行時代の一夏の顔見知りであった。
「久しぶりだねぇ~!……で、どうしたの?」
「や、えっと……今日からルームメイトになったんだ。よ、宜しく……」
「そうなんだ…………此方こそ宜しくね!」
取り敢えず部屋に上がった一夏は、ぎこちなく挨拶をする。
対してティナは、嬉しそうに返事をした。
「じ、じゃあシャワーの時間とか決めようぜ。何時くらいが良い?」
「んー、私は何時でもOKだけど……」
「あ、じゃあベッドは?」
「私は窓際だよ」
「分かった…………」
等と話し込んでいると、すっかり夕焼けの空に。
二人も丁度お腹が空いたので、食堂に向かう事に。
「そう言えば凌馬さん達は元気?」
「うん、変わんないぜ」
「そっかー、紘汰さんは?」
「あー……えっと」
言いづらそうに淀む一夏に、ティナは察したのか謝罪する。
「ご、ゴメンね。無理して答えなくても良いから」
「……サンキュ」
一夏は野菜炒め定食、ティナはナポリタンを買うと、手頃な席に座る。
「一夏君、オルコットさんと戦うんだって?」
「な、何でしってんの?」
「ふふーん、女の子同士の情報のやり取りを舐めちゃいけないよ♪」
「そ、そうか、ハハ……」
何やら黒い笑みを浮かべるティナに、一夏は苦笑いを浮かべる。
「……一夏、その女は一体…」
「ん?おぉ箒」
すると鮭定食のお盆を持った箒が一夏の前にやって来た。
「ティナ・ハミルトンさん。アメリカの代表候補生で、2組の代表。顔馴染みなんだ」
「そ、そうか」
「宜しくね~篠ノ之さん」
「う、うむ」
柔らかな笑顔で手を差し出すティナに毒気を抜かれたのか、箒もそれに応える。
「にしても一夏、勝算はあるのか?」
「んー……まぁボチボチかな」
「でも余裕じゃない?一夏君強いし」
「やー、そんな事ないって」
「そ、そうだ一夏!剣術が鈍っていないか確かめてやろう!後で剣道場に来い!」
仲良さげに話す二人を見て疎外感を感じたのか、箒は一夏にそう提案した。
「ん?おぉ良いぜ。俺も久々に手合わせしたいと思ってたからな」
「じゃあ一夏君、また後でね」
「おう」
ティナは先に食堂を去って行った。
「じゃあ行くか」
「あぁ」
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IS学園の剣道場にて、防具を付けた一夏と箒が硬直状態で睨み合っていた。
そしてその側では、剣道部の部員達が固唾を飲んで見守っていた。
「っ…………」
正直な話、箒は幾ら昔勝てなかったとは言え、自分は剣道大会優勝者、そして対する一夏は隻眼。
絶対ではないにしろ、箒は勝てる見込みでいた。
「……………………」
だが、その一夏からは隙を感じない。
真っ直ぐに此方を射抜く視線、それが隻眼である為か、凄まじい眼力となっているように映るのだ。
今の箒は正に蛇に睨まれた蛙、と言った様子。
だが何時までと動かない訳には行かない。
「…………やぁぁぁっ!!」
思いきった箒は一夏の死角、左の面に向けて竹刀を振るった。
だが箒が感じたのは面を打った衝撃ではなく、自らの小手に感じた痛みであった。
「…っ!」
更に続け様に一夏は箒の眼前目掛けて竹刀を突き付ける。
竹刀なのに、真剣を突き付けられた錯覚に陥った箒は、その場にしゃがみこんでしまう。
「…………俺の勝ちだな」
ふぅ、と面を外して一夏がそう言うと、箒は漸く悟った。
ーーーー一夏も、昔のままではなかった。
「お前が俺のここに目掛けて竹刀振るうってのが表情でも見て取れたぜ。ポーカーフェイスも確りな」
左目を指しながらそれだけ告げると一夏は部室を後にした。
メインヒロインことティナちゃんの登場でさぁ~
ティナ「こんにちは~!」
さてティナちゃん、これからに向けて是非一言!
ティナ「えっと~、皆さんの印象に残るようなヒロイン目指して頑張ります!」
おぉ!良いねぇ!!そして次回は、漸く!IS戦!!
ティナ「乞う御期待!!」