明くる日の朝ーーーー
「ふぁーあ…………」
一夏は大きな欠伸をしながら目を覚ました。
今日は授業がある訳ではないが、基本的に一夏は早起きなのだ。
「ティナは……寝てるか」
ルームメイトのティナはまだ夢の中。
それを見た一夏は勢い良く体を起こす。
「じゃ…………屋上でも行くか」
眠い目を擦って、一夏は屋上へと足を運んだ。
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一夏が屋上に到着すると、目の前には眩しい朝焼けが。
「おぉー、綺麗だな!」
先程までの眠気は何処へやら、一夏は感動した様子を隠さずに叫んだ。
「………………葛葉、君?」
「…………へ?」
と、後ろから一夏の名を呼ぶ声が。
一夏が振り向くと、
「………………お、おはよう」
眼鏡を掛け、水色の髪をした少女が、控え目に挨拶をしてきた。
そして一夏はその顔に見覚えが。
「確か……四組の代表の、更識簪さん?だよね」
「う、うん…………知ってるんだ」
「こう見えてユグドラシルのテストパイロットだからね、色々覚えさせられたよ」
勿論君の事もね、と付け加える一夏。
だが肝心の簪は一夏を食い入る様に見つめていた。
「………………」
「……え、えっと、更識さん?」
「えゃぁっ!?」
不意に声を掛けられ、変な声を出してしまう簪。
それを見た一夏は苦笑い。
「どうかした?俺の顔スゲー見てたけど」
「……う、ううん!何でもないの……(やっぱり似てる……あの時の鎧武者に)」
恥ずかしげに目を反らしながらも、目の端では確りと一夏を見ている簪。
一夏はどうした物かと頭を掻くと、ここでポケットのスマホのアラームが。
「……っ」
「ど、どうしたの?」
急に目付きを鋭くさせる一夏に困惑する簪。
「ゴメンな。少し用事を思い出した」
「あっ……」
簪が止める間もなく、一夏は屋上を去って行った。
『聞けなかった…………』
その場で簪は己の口下手な性格を嘆いた。
だがそれも数秒の間のみ。直ぐに顔を上げると、
「でも…………変わるなら、今!」
一夏の後を追い掛けて行った。
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「ハァ、ハァ…………」
一夏の後を必死に追い掛けたのは良いが見失ってしまった簪。
それでも諦めずに辺りを見渡す。
「簪ちゃん!」
「あ、お姉ちゃん……!」
と、そこに姉の楯無も合流した。
彼女の頬にも、うっすらと汗が。
「どうしたの?」
「さっき葛葉君が走ってたのを見掛けてね。追い付こうとしたんだけど彼速くて……ッ!」
「?お姉ちゃん…………!」
更識姉妹が振り向いた先には、不気味なジッパー。
そして周辺には、奇っ怪な草木が。
「お姉ちゃん……」
「簪ちゃんはここに…………って言ってもダメよね」
そう呟く楯無。
それ程までに、簪の瞳は真っ直ぐに此方を見ていたのだから。
「私も、行く……!」
「……じゃ、一緒に」
「…うん!」
姉妹は、再びヘルヘイムの森へ足を踏み入れた。
ーーーーそして、一方の一夏はと言うと。
「……やっぱり、学園にもクラックが開くな」
ヘルヘイムの森を見渡し、誰に言うでもなく呟いた。
「…………人が入り込んでる様子は、ないな」
慣れた様子でずんずん歩を進める。
と、ここで一夏はその足を止めた。
『ヴゥ……!』
『グォォォ…!』
下級インベスの群れと、鹿を連想させる上級インベスーーーーシカインベスだ。
「……悪いけど、この先へは行かせないっ!」
力強く言うと、一夏は懐から戦極ドライバーを取り出し、腰に宛がう。
すると黄色のベルトが巻き付き、一夏の腰に装着される。
そして一夏はポケットからオレンジロックシードを手にし、解錠する。
《オレンジ!》
「変身!」
解錠すると、左右に体を大きく振るい右腕を上に掲げ、ロックシードを戦極ドライバーに装着する。
《ロック・オン!》
装着すると、その場に法螺貝の音色が響き渡る。
だが一夏は直ぐ様戦極ドライバーに取り付けられた小刀、カッティングブレードを倒し、オレンジロックシードを切り開く。
《ソイヤッ!オレンジアームズ!花道・オンステージ!》
すると、空中にオレンジを模した球体が現れ、それが何と一夏の頭に被さった。
そしてそのままオレンジが展開され、鎧となった。
「アーマードライダー鎧武、見参!」
鎧武・オレンジアームズの変身を、
「やっぱり葛葉君が……」
「あの時の、鎧武者…!」
木の影から更識姉妹が驚愕の面持ちで覗いていた。
「っしゃあ!行くぜぇ!」
鎧武OAは意気揚々と無双セイバーと大橙丸を使い、下級インベスを切り刻んでいく。
その手慣れた戦い方に、楯無と簪は感嘆の息を飲んだ。
「凄い……」
「彼、相当な腕前ね……『ヴゥ…………!』って、簪ちゃん!」
「へ…きゃあっ!?」
だが運の悪いことに、背後からも下級インベスが。
慌てて専用機、打鉄弐式を展開しようとするも、動揺してしまっていたので、転けてしまう。
「ハァっ!……って、更識さん!?」
しかも鎧武OAとインベスとの戦いの最中にだ。
シカインベスは簪を格好の獲物と認識したのか、簪目掛けて火炎弾を放つ。
「危ないっ!ぐああああ!!」
「「葛葉君!!」」
寸での所で庇った鎧武OAだったが、踏ん張りが効かず木々の中に吹っ飛ばされる。
楯無は専用機、
武装の蒼流旋でシカインベス相手に特攻を仕掛けるも、易々と受け止められる。
「っ!?」
『グギャアアア!!』
「キャァァァッ!!」
更に蒼流旋ごと持ち上げられ、投げ飛ばされる。
何とか着地するが、追撃に火炎弾が襲いかかり、慌ててガードするも吹っ飛ばされる。
「くぅっ!コイツら、ISが効かないの……」
「駄目だって!インベス相手にISなんて無謀だ!」
息を荒げる楯無に、復活した鎧武OAが近づく。
「葛葉君!大丈夫なの!?」
「え、あぁ…………って何で俺の名前知ってるのさ!?」
「二人とも!」
今は言い争ってる場合ではないと声を荒げる簪。
「兎に角!二人は何とかして元のクラックに戻るんだ!コイツらは俺が倒すから!」
「何言ってるの!?数も増えてるのに、危険よ!」
楯無の言う通り、インベスは更に数を増やしている。
このままでは幾ら鎧武OAが戦闘慣れしているとは言え多勢に無勢。
「葛葉君も逃げようよ…」
「…大丈夫!君達二人は俺が絶対に守るから」
「「っ!?///」」
安心させる様に優しい声音でそう言う鎧武OAに、二人は場違いにも頬を赤らめる。
だが直ぐ様気持ちを切り替えて、何とかこの逆境を乗り切る策を考える。
だが、既にその天啓は得ていた。
『このベルトと錠前を使って…………』
『葛葉君への恩を返せるのなら……』
楯無は専用機を解除し、隣の簪と同じタイミングで戦極ドライバーを腰に宛がう。
ベルトが瞬時に巻き付けられ、ドライバーのフェイスプレートに対応するライダーの仮面が浮かび上がる。
「な、何で君達が!?って言うか簡単にそれを付けちゃ駄目だって!!」
その行動を見た鎧武OAは慌てて言うも時既に遅し。
もう完全に戦極ドライバーは使用者が登録されてしまった。
「私達も、ただ後ろで守られるだけじゃない…………!」
《ブドウ!》
「貴方が思ってる程、私達姉妹は弱くないわ!」
《メロン!》
先程の工程を見ていた為か、流れるような動作で戦極ドライバーに其々ロックシードを装着する。
楯無の戦極ドライバーからは一夏と同じ法螺貝の音色、簪のは中華風の音楽が流れる。
インベス達が此方に向かってくるが、二人は冷静に、
「「変身!!」」
《ソイヤッ!》
《ハイー!》
カッティングブレードを倒し、其々鎧を頭から被る。
鎧の中で二人の顔に仮面が形成され、フルーツの断面が複眼になる。
《ブドウアームズ!龍・砲・ハッハッハ!》
簪は緑を基調とした中華風のスーツ、葡萄を思わせる鎧と銃を携えた軍師風のライダー。
《メロンアームズ!天・下・御免!》
楯無は白を基調とした鎧武同様武者風のスーツに、腰に携帯した無双セイバー、更に手にはメロンの皮を模した楯を装備した白い武者風のライダー。
「あれが、斬月と龍玄……!」
初めてその姿を見た鎧武OAは感嘆の声を上げる。
だがその間にもインベス達は此方に向かってきている。
「行くわよ、簪ちゃん!一夏君!」
「うん!」
「あ、ハイ!」
斬月MAの声により、龍玄BAと鎧武OAはインベスの群れと向き合う。
先ずは先手必勝とばかりに、鎧武OAが先陣を切る。
「おぉぉぉっ!!」
『ウグゥゥゥゥゥ!!』
「はぁぁぁぁっ!!」
『ギャギャァァァァ!!』
鎧武OAが取り零したインベスは、斬月MAの射撃と楯型アームズウェポンーーーーメロンディフェンダーの投擲攻撃によりそれらを打ち倒す。
そして羽が生えているインベスはーーーー
「やぁぁぁっ!」
『『ギャギャァァァァ!!』』
龍玄BAの持つピストル型アームズウェポン、ブドウ龍砲の射撃で撃ち落とす。
「決めるぜ!二人とも!!」
《ソイヤッ!オレンジスカッシュ!》
「うん!」
《ハイー!ブドウスカッシュ!》
「えぇ!」
《ソイヤッ!メロンスカッシュ!》
鎧武OAは大橙丸にエネルギーを集中させ、腰を深く落とし、龍玄BAはブドウ龍砲の後部トリガーを引き、斬月MAはメロンディフェンダーにエネルギーを溜める。
「セイッハーーーーーっ!!」
『『『グギャアアア!!』』』
鎧武の大橙一刀による一太刀がインベス達を切り裂き、
「てゃあぁぁぁっ!!」
『『『グガァァァァ!!』』』
斬月のメロンディフェンダーの切っ先から放たれるメロウブラストが更に貫き、
「やぁぁぁっ!」
『『『ギャギャァァァァ!!』』』
残るインベス達も龍玄のドラゴンショットにより全滅させる事に成功した。
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その後ーーーー
「まさか二人が戦極ドライバー拾ってたなんてな~」
ヘルヘイムの森から脱出した3人は改めて自己紹介をした後、食堂で遅めの朝ご飯を食べていた。
「でも、ゴメンね……勝手に使っちゃって」
「あー…………まぁ、凌馬さんにはもう伝わってると思うから、気にしないで」
「一夏君」
すると楯無は神妙な面持ちで一夏にある事を尋ねる。
「はい?」
「あの森は一体何なの?それに凌馬ってまさか…………」
「それはまた今度説明します。今は……」
ぐぅぅ…………
「ご飯を食べましょ!ね?」
「っ///そ、そうね!」
「会長、顔赤いですよ?大丈夫っすか?」
「へへへ平気よ大丈夫!」
「…………むぅ、まさかお姉ちゃん」
後日、二人はこの世界に迫る危機をユグドラシルの研究者、戦極凌馬から聞かされ、そこで改めてアーマードライダー、龍玄・斬月の使用者として認められたのであった。
今思えば鎧武の変身本格的に書いたのこれが初めてですね