インフィニット・ストラトス 龍の戦士たちの日常   作:すし好き

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記念すべき、新年号「令和」での初投稿となります。
楽しんでもらえれば、幸いです。


リトル・パニックの嵐

織斑一夏。

女性にしか動かせないパワードスーツ、インフィニット・ストラトスを

動かした世界初の“男性操縦者”として、その名は世界レベルで認知されている。

また、地球を守護する魔弾戦士リュウケンドーとしての顔も持っている。

……しかし!

今、彼は目の前で起きている事態に、どうやって立ち向かえばいいのかと困惑していた――。

 

 

 

 

 

 

「これは……今まで最大のピンチかもしれない」

「いちかー!しゅぎょうだぁ!しゅぎょう~~~!」

「いちかさん。のどがかわきましたわ~」

「お~な~か~すいた!」

「いちか、えほんよんで♪」

「だっ~こ~」

「おんぶ~」

「いっしょにてれびみて……」

「もう、みんなおちつけ!いちかにくっつくな!」

 

両手を女の子に引っ張られ、一夏は体を右に左に揺らされる。

聞いただけなら、男の憧れのシチュエーションかもしれないが、

現実は憧れから程遠いものである。

一人は、髪をポニーテールにまとめた勝気な印象の女の子。

一人は、金髪で如何にもお嬢様といった気位の高さを感じさせる女の子。

一人は、ツインテールで好奇心旺盛そうな女の子。

一人は、社交的で礼儀正しそうな女の子。

一人は、他の者より小柄で甘えん坊な女の子。

一人は、イタズラ好きそうな女の子。

一人は、イタズラ好きそうな女の子に顔が似ていて、内気そうな女の子。

一人は、しっかり者に見えるが、いじられて可愛がられそうな女の子。

いずれも10にも満たない小さな女の子達だが、あらん限りの力とおねだりで

自分に構ってと奪い合われるのだから、一時間と経たず、一夏は

肉体的にも精神的にも疲弊していた。

 

「……いい天気だよなぁ~。

 こんな日は、の~んびりと畑とか耕して縁側でお茶とかすすれたら、

 気持ちよさそうだなぁ……」

『一夏、いくら現実から目を逸らしても、無駄だぞ?』

「本当に、どうしてこうなったんだろうね……」

「『お前が元凶だよ』」

「はい。おっしゃる通りでございます……」

 

遠い目で窓の外に広がる青空を見ながら、一夏はそこへ逃避しようと

妄想の翼を広げようとするが、ゲキリュウケンによって現実へと連れ戻される。

そんな彼の傍らで、何故かIS学園の一夏の部屋にいるユーノがため息をついて

嘆くが、一夏とゲキリュウケンのツッコミに頭を下げる。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

事の発端は、一時間半ほど前。

再び、ユーノが遺跡から魔弾キーに似たものをカズキに持ってきたことが

始まりである。

前回起きた幼児化事件の反省を踏まえ、今度は誰も触れないよう

透明なケースに入れて持ってきたのだが……

 

「まさか、発動条件がコレのそばに魔弾戦士と一定数以上の女性が

 いることとはねぇ~」

『いやはや、おてんとさまもびっくりだね~』

「呑気にしてる場合じゃないでしょ!」

「は~い、みんなぁ~。いい子だから、ちょっと大人しくしててね~?」

 

タイミングよく一夏がカズキの元を訪れ、後についてきたいつもの面々が

突然発動した魔弾キーのようなものから出た光によって小さくなってしまったのだ。

みな、小さくなったことでダボダボになってしまった制服を辛うじて

着ている状態である。

 

『ご丁寧に説明文が浮かび上がるとは……』

 

混沌としか表現のしようがない中、ゲキリュウケンは、魔弾キーらしきものから

浮かび上がった説明文に呆れの感情を隠せないでいた。

 

「この説明文から察するに

 研究一筋で異性と付き合ったことのない研究者が、異性を小さくして

 自分好みに成長させるためのキーらしいけど、執念はすごいと言うか呆れると言うか」

『で?どうするんだよ、結局?』

「できることなんて、前と大差ないさ。

 俺がこれを調べてる間、一夏とユーノに彼女達の相手をしてもらう。

 ええ~っと、確かこうやって小さくなることがあった時のために

 用意してあった制服が……」

「ちょっと待った!何で小さくなった時のための服があるのかとか、

 ツッコミたいけど、俺とユーノでこいつらの面倒を見る!?」

「正確には、ゲキリュウケンもだけど」

『お前もどこかズレてるな、ユーノ』

 

ためらうことなく、ごくごく自然な流れで自分達が子守をすることに

抗議の声をあげる一夏だったが、ユーノのズレたツッコミに勢いを削がれる。

 

「どうするも何も、お前に解析なんてできるのか?」

「うっ!

 確かにそうだけど……その心は?」

「小さな子供なんて厄介な相手をするお前達を見るのが、面白そうだから☆」

「隠すことなく言い切りやがったぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」

 

そんなこんなで、小さくなってしまった明達の面倒を見ることになった

一夏とユーノであった。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「そんでもって、連絡した虚さんに服を着させてもらって誰にも見つからないように

 俺の部屋に連れてきたのはいいけど……ふぅ~~~。

 毎日残業でクタクタなのに、休日に子供に遊んでとせがまれる

 お父さんって、こんな気持ちなのかね……」

『何か、やつれ始めていないか一夏?』

 

乾いた笑いをする一夏に、ゲキリュウケンの言葉は洒落に

ならないかもしれなかった。

小さくなった明達は、みな可愛らしいのだが、元気いっぱいにはしゃぎ回り、

思い思いに一夏に構ってとせがんでくるのだ。

体力無尽蔵と思われる元気な小さな子供が8人。

15歳の高校生には、少々どころかかなり荷が重いかもしれない。

 

『前回のお前のように、記憶を持ったまま幼くなるのではなく、

 幼くなった体に引っ張られて精神が子供になっているな。

 お陰で、説明もある程度省けたが……』

「予想以上に大変だね、これは」

『お前も現実逃避の旅から戻ってこい』

 

リトル・モンスター達に振り回される一夏に同情するユーノだったが、

彼も一夏と大差ない状況だったりする。

 

「ユーノくんは、私と魔法の勉強するの~!」

「ううん!ユーノは、私にバインドの縛り方じゃなくて使い方を

 教えるの~」

「何を言うとるんや、フェイトちゃん。

 ユーノ君は、私とお風呂に入って洗いっこするんや!」

「あああ!もう!違うわよ!ユーノは、私と買い物に行くの!」

「ユーノ君が取られそうになってるからって、熱くなりすぎだよアリサちゃん?

 後、ユーノ君は私とお昼寝するんだよ?」

「あははは……」

 

ユーノもまた、明達と同じく小さくなったなのは達に引っ張りだこにされていた。

 

「なんか僕が出会った頃の年齢になっているけど、その時より幼くなっているような……」

「そんなことより、どないしましょ?これ?」

『まずい。一夏が変な言葉使いになってきた。

 早く手を打たないと、本格的に一夏が壊れる……ん?

 おい、鈴はどこ行った?』

「「え?」」

 

一夏とユーノがゲキリュウケンの言葉に反応するのに応えるように、ドアが

バタンと音を立てて閉まった……。

 

 

 

「いたぁぁぁぁ!!!!!」

「あっ、みつかちゃった♪」

 

鈴が部屋を抜け出したことに気付いた一夏はユーノを部屋に置いてすぐさま探しに出て、

食堂付近で見つけることができた。

幸いなことに、今日は休日の為か、人の目はない。

 

「お前、何で部屋を抜け出して……」

「だぁって~、いちかみんなばっかあいてにしてつまんないんだも~ん」

「も~んって……はぁ~。

 わかったわかった。ちゃんと遊んでやるから、大人しく部屋に戻ってくれ」

「やったぁ♪」

「うわっ!おいっ!」

 

人の気を知らないと言うか無邪気に笑う鈴に、怒るもの馬鹿らしいと思ったのか、

一夏は鈴を含めて今日はとことん付き合ってやろうと腹をくくる。

遊んでくれるのが嬉しいのか、鈴は一夏に飛びつくが同時に、新たな騒動の

引き金となった。

 

「あああっ!」

「ずるいですわ!ずるいですわ!」

「いちか!ぼくもぼくも!」

「わたしも!わたしも!」

「とうぜん、わたしもよね♪」

「ひいきはだめ……」

「なにをだきついているんだ!ずるいぞ、りん!」

「ごめ~ん、一夏。止める間もなく飛び出しちゃって」

 

一夏の後を追ってきた明達が、一夏に飛びついている鈴を見て、自分も自分もと

取り囲み我先にせがむ。

なのは達の手を引きながら来たユーノも追い付くが、時すでに遅く、

一夏はもみくちゃにされる。

 

「おりむ~。何してるの~?」

「の、のほほんさん!?」

「あれれ?何か、その子達お嬢様やかんちゃん達に似てる……はっ!

 もしかしてぇぇぇ~~~!?」

 

どうして、こんな誰かに見られたら面倒なことになるタイミングに限って

誰かに見られるのか。

一夏は、神様という奴は、カズキの類友なのではと変なことを勘繰る。

そうやって、一夏が混乱している間にものほほんさんは、頭に獣耳が生えていたら

ピンと立たせるぐらい、はっ!となりいつも眠たげな眼を見開いて一つの結論を導く。

一夏の周りにいる楯無や簪、そしていつもの面々にそっくりな子供がいるのは……。

 

「おりむ~が……おりむ~が……織斑先生を伯母さんにしちゃった!!!!!?」

「ちょっと待てぇぇぇっ!!!

 その誤解は、冗談抜きの本気で命に関わるぅぅぅっ!!!!!!!!!!」

「本音~。何、大声出してるの?……って!?」

「わ~可愛いね~♪

 どうしたのこの子達?」

「ここは、地上最後の天国か!?」

「け、穢れを知らない清らかな肌……じゅるり……」

「ほ~ら~?おおおおおお姉さんは怪しくないよ~?

 ちょちょちょちょ~っと、お姉さんの部屋で遊ぼうか~?」

「なん~か、原田さんや篠ノ之さん達にそっ……くり……まさか!?」

「織斑君!?

 明ちゃん一人だけじゃ物足りず、自分のハーレム全員を!!!?」

「待って!

 お願いだから、ちょっとSTOP!!!

 何かとんでもない誤解をしてない!?」

「みなさん、はじめまして」

 

のほほんさの後に続いてやってきたクラスメート達にあっという間に

拡散していく誤解。

今ここで止めないと、取り返しのつかない事態になると直感した一夏は必死に

説明しようとする中、トコトコとすずかが前に出た。

 

「私は、月村ゆかです。

 母の月村すずかが、いつもお世話になってます」

「お、おい……っ!」

「父はあそこにいる、ユーノ・スクライアです」

「すずかさぁぁぁんっっっ!!!

 何言ってるのぉぉぉぉぉ!!!!!?」

 

火にガソリンを注ぎ込むとはこうやると言わんばかりに、すずかは

爆弾発言をして、ユーノを含めた全員を驚愕させた。

 

「えええええっ!?

 織斑君だけじゃなくて、月村さんも勝ち組で子持ちなの!?」

「ユーノ、お前いつの間に……」

「何で一夏まで、信じてるんだよ!?」

「すずか!ユーノは、私がお嫁さんになるの!」

「違うよ、アリサ!ユーノは、私のご主人様だよ!」

「ちゃうで、フェイトちゃん!

 ユーノ君に毎日味噌汁を作るんは私や!」

「もう、みんな!

 まとめて、頭冷やそうか!」

『まさしく、カオスだな……』

「今しゃべったのって……誰?」

 

一夏まですずかの嘘を信じて驚愕して、ユーノが声を張り上げるが、

そんなこと関係なく黙っていられない乙女が4人。

各々がユーノは自分のだと主張し、もう誰にも手が付けれなくなるほど

みんな混乱していく。

その中で、ゲキリュウケンのつぶやきに対するツッコミが静かに

呑まれるのであった。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「「……あ~~~疲れた~~~」」

『お疲れさん……』

 

一夏とユーノは廊下の椅子に腰を下ろして、うなだれた。

あのリトル・パニックは、ラウラがすずかの真似をして

一夏のことをパパと呼んだのを

皮切りに明達も参戦したことでさらに拡大し、あわや学園はパニックの海に

沈没するかと思われた。

しかし、そこへIS学園最後の砦にして最強教師、織斑千冬騒動を聞きつけて

瞬く間に鎮圧された。その中でのほほんさんが、

 

「織斑先生~!織斑先生が伯母さんに……へびゅっ!!!」

 

と言って、脳天に拳骨を叩き込まれて潰されたのは余談である。

その威力は、通常の黒き宝剣(出席簿)の数倍の威力だったそうな(一夏談)。

 

無論、状況の説明は当然求められ、説明中一夏にかけられた無言のプレッシャーの

重圧は計り知れなかった。

概ねの流れを理解した千冬は、この子達は、明達の親戚だと

押し通してその場を解散させた。

そんなこんなで、時は流れ夕方。

遊びまわったおかげで、彼女達は汗だくとなり風呂に入ることになったが、

一夏やユーノと入ると言いだしたのは、ある意味自然な流れであった。

まあ、千冬にまた怒られてもいいのかと一夏が言ったことで、

一緒に入ることは免れた。

そして、現在。

彼女達からせめて、風呂から上がるまで待ってってとねだられ、こうして

浴場付近の廊下で待つことになった。

 

「俺……世の中のお父さんとか保父さんとか、尊敬するよ……」

「右に同じ……」

『やれやれ。そんなんで、将来子供ができた時大丈夫か?

 ……ん?』

「どうした~ゲキリュウケン?」

『前に、お前が小さくなった時があっただろ?』

「……何を言っているんだ、ゲキリュウケン?

 人間が小さくなるなんて、見た目は子供、頭脳は大人な探偵じゃないんだから、

 あるわけないだろ?」

「一夏?

 どんなに目を逸らしても、過去は変わらないんだよ?」

『そんな風に目を逸らしたくなるように、元に戻っても小さくなっていた時の記憶は

 あるだろ?

 なら、彼女達も元に戻ったら同じように小さくなっていた時の記憶が

 残るのでは?』

「「…………」」

『ましてや、言ったように彼女達は一夏が純粋に子供になったのと違って、

 小さくなった体に精神が引っ張られて、精神面が幼くなったのだから、

 記憶が残る可能性は一夏以上に高いのではないか?

 そして、お前達の記憶を消しにかかる……』

 

ゲキリュウケンがふと気づいたある可能性……。

もしも、それが的中してしまったら、彼女達はゲキリュウケンの言うように

自分達の記憶を消しにかかるだろう。物理的に――。

 

「ででででもさ???

 別に、いいいいい今すぐ戻るってわけじゃないだろろろ?

 カズキさんに相談すれば……!」

「一夏……それフラグになってない?」

 

冷や汗を滝の如く流す一夏に、ユーノが引き攣りながらツッコミを入れたのを

合図に浴場の方から、光が漏れ出た直後に声にならない悲鳴がIS学園中に

響き渡った。

 

『前のモノと同じく、時間制限付きだったみたいだな』

「……走る?一夏?」

「…………うん♪」

 

互いに向き合い、笑顔を浮かべて笑いあうユーノと一夏は、全力でその場から

駆け出した。

数秒後に後ろから聞こえる空気を裂く飛行音とか、武器の安全ロックを外した音とかを

耳に入れないよう、必死に。

 

「天誅ぅぅぅ!!!」

「お待ちなさぁぁぁい!!!」

「殺すぅぅぅ!!!」

「お姉さんの恥ずかしい所を見た罪は、重いわよ~~~?」

「記憶を失えぇぇぇっっっ!!!!!」

「ユ~~~ノ~~~く~~~ん?

 OHANASIしようよ~?」

「責任取ってもらうで!ユーノくん!」

「ユ~~~~~ノ~~~~~!!!!!」

 

羞恥で顔を真っ赤にしたり、笑ってなかったり含みのある笑顔の執行人達が、

一夏とユーノの記憶を消し去らん(物理的に)と、逃げる二人を追いかける。

 

「何でこうなるんだぁぁぁぁぁ!!!

 そもそもゲキリュウケン!

 お前、気づくのがいつもいつも遅いんだよ!!!」

『何だと!?

 私のせいだと言いたいのか!』

「二人とも!今は、逃げるのに集中して!」

 

一夏とユーノ、二人の命をかけた(本気の本気で)鬼ごっこは、

IS学園中に爆音を響き渡らせ、ブチ切れてスー〇ーサ〇ヤ人の如く髪を

黄金に輝かせた千冬によって鎮圧されるまで続いたのであった。

 

 

 




はい。今度はヒロイン勢幼児化でしたwww
やはり、ギャグ系を書くのは楽しいですね♪

ちなみに、一夏とユーノが命がけの鬼ごっこをしている時、
浴場では……。

・シャルロット、簪、フェイト
 幼児化していた時のことを思い出して、バタンキュー。

・ラウラ
 バタンキューした三人を見て、頭に?を浮かべる。

・すずか
 そんな4人を微笑ましく見る。

出番少なめだったカズキは、すずかの父母発言をのぞき見、もとい監視
もといドローンで見ていて、ザンリュウジンと共に
笑い転がりすぎて行動不能になるぐらい腹筋が引き攣ってました♪
もちろん、最後の鬼ごっこも後日見て、再び笑いすぎて
救急車を呼ぶほど腹筋が引き攣りましたwww
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