インフィニット・ストラトス 龍の戦士たちの日常   作:すし好き

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はい、本編でなくてすいません。
書き始めたら、こっちに力を注いでしまいまして(苦笑)
まあ、これで書きたいと思った番外編は書けたので、
次は同じく時間がかかりますが本編となります。

それにしても、暑くなりましたね~。


禁断の地にて

「手伝い……ですか?」

 

来る決戦に備えて、高みを目指す修業の夏休み。

そんな修行の日々で、つかの間の休息日に、一夏は雅から頼まれごとを

されるのであった。

 

「そうなのよ。

 知り合いがやっているお店があるんだけど、夏風邪で

 従業員がほとんど休んじゃったみたいなのよ。

 明日、手伝いをお願いされたんだけど、私も他の用事があってね?

 もちろん、無理なら無理で別の人を当たってみるけど……」

「いいですよ、別に。

 休みって言っても、体を動かさないと落ち着かないし、

 いい気分転換になりそうですよ」

「ありがとう~。

 明日の晩ごはんは、カレーにするからね」

「そりゃあ、楽しみだ♪」

 

快く一夏は雅の頼みを承諾したが、後日……どうしてこの時、

どんな仕事の手伝いをするのか、何故聞かなかったのと遠くを見ながら、語るのであった。

 

 

 

 

 

「いや~、君が雅さんが言ってた一夏君だね?

 今日はよろしく頼むよ♪」

「ええ……。

 よろしく頼まれるのはいいんですけど……

 俺が手伝う仕事って、まさか……」

 

翌日、雅から聞いた住所に出向いた一夏は、そこにあった

店に愕然とした。

ショッピングモールの中にある店の一つであり、

置かれていた商品で、どんな店かは一目瞭然だったが、

視線を泳がせながら自分の勘違いであってくれと一縷の望みにすがって

聞かずにはいられなかった。

 

「うん!ランジェリーショップだよ♪」

「だぁぁぁっ!店を間違えたとか、そういうオチじゃなかった!!!

 てか!男が働いていい店なの!?」

「大丈夫大丈夫!問題ナッシング♪

 うちのお店はオバサマが多いから、若い男が店員なら逆に

 大喜びよ!」

 

一夏が本日手伝うこととなる店は、“女性用”の下着販売店。

男なら、恋人や妻と一緒でない限り、入ることなどまずない店である。

爛漫な性格なのが見てとれる、雅の知り合いと言う店長は、一夏が男であることなど

全く意に介さず、気楽にがんばってとばかりに肩をバンバン叩く。

 

「そうですか。お客さんが大喜びなら、確かに問題ナッシング……

 じゃねぇぇぇよ!

 問題しかねぇよっ!!!」

「あっははは!冗談冗談♪

 ちゃぁ~~~んと、考えてあるからさ♪」

「(…………なんじゃこりゃぁぁぁ!?)」

 

最初から一夏をからかっていたのか、一夏の抗議を軽~く流す店長は、

男の店員がいても問題ない秘策を一夏に渡した。

そして、一夏は……子供向けの教育番組に出てきそうな犬の着ぐるみを

着せられ、手にはセールの案内を書かれたプラカードを持たされた。

毛色や服からして、女の子の設定のようだ。

 

「このモールのマスコットキャラ“ワフちゃん”よ♪

 これなら恥ずかしくないでしょ!?」

「っ!っ!

(違う違う!そうじゃなくて!あれ?声が出ない!?)」

 

自分が言いたいのは、こういうことでないと再度抗議をしようとする

一夏だったが、何故か自分の声が着ぐるみから出なくて焦る。

 

「それじゃあ、まずは店の前に立って呼び込みを……ん?

 はい、もしもし……ああ!娘の保育園の園長さん!

 しばらくですね~。

 えっ!?

 娘が熱を出した!?」

 

更に突然かかってきた一本の電話から聞こえる内容は、

頭を抱える一夏に更なる追い打ちがと身構えさせるには十分だった。

 

「……ごめん一夏君!

 娘を迎えに行くから、後はよろしく!」

「っ!?(ちょっと待ってぇぇぇっ!!!?)」

「待ってろよ、娘!お母さんが、すぐに行くよっ!」

「(待ってなのは、あんただよ!店長っ!!!!!)」

 

店内に一人、声を出せない着ぐるみを着たまま一夏は途方に暮れた。

 

『(……それで?どうする?)』

「(どうするも何も、このまま帰るわけには行かないだろ?

 もう、店長が戻ってくるまでお客が来ないことを祈ろう……)」

『(お前は、またそうやってフラグを立てて……。

 そんなことを言ってると、来るぞ?

 しかも、知り合いが)』

「(ははは。おいおい、何を言ってるんだい?ゲキリュウケンさんや~。

 たまたま、手伝いを頼まれた店にたまたま知り合いとバッタリなんて

 そんな偶然……)」

「あのー、店員さん。すいません」

 

典型的なフラグの構築を見せる一夏に、話しかけたのは……

弾の妹である蘭であった。

 

「(ありましたね~。ははは……)」

「えーっと……その……い、今どきのだだだ男子高校生って、

 こーゆーセクシーなのとこーゆー清楚系……どっちが好きですかね~?

 なんて、ははは……」

「っ!?」

 

自分が話しかけている着ぐるみの中にいるのが、想い人である一夏なんて

夢にも思わない蘭は、照れながら両手に下着を持ちながら質問を続けて

一夏を固まらせていく。

 

「別に、誰かに見せる予定とかないんですけど……万が一にそういうことが

 あった時のためと言うか……。

 実は……私の好きな人……そ、そんなに信用できない情報なんですけど、

 お、おおおおっきいおっぱいをいつも見てるとか、何とか……。

 だから、大きく見せられるセクシー系で……

 せ……攻めた方がいいかなー……なんて……」

「(何だ、その男は!!!)」

 

頬を赤らめながら、蘭はだんだんと声のボリュームが小さくなっていき、最後は

ボソボソと呟いていき黙り込んで、顔から湯気を出してうつむく。

そんな蘭の話に、一夏はこめかみに青筋を浮かべて拳を握りしめる。

 

「(まさか、蘭に好きな男がいて、そんなふざけた奴だなんて!

 弾は、このことを知っているのか?

 くそっ!一体、どこのどいつなんだ!!!)」

『(とんでもなく、バカなことを考えているな……このバカ)』

 

一夏が何を考えているか感じ取ったゲキリュウケンは、

深く深~~~~~くため息をつくのであった。

 

「…………」

「あの…………?」

「……っ!」

 

悶々と腕を組んで考えに考えた一夏は、答えを出し、

蘭が持つ下着の一つを指差した。

 

「あ。

 清楚系なんですね!

 じゃあ、こっちを買います!」

 

アドバイスを貰えたと思った蘭は、その下着を購入して店を後にした。

 

「(これでよかったのだろうか?

 何だか、私情が入ったような……。

 まあ、いい。

 とにかく、蘭が好きだっていう男が誰なのか調べないと!

 そんでもって、もしもそいつが蘭の言ってたような奴なら、

 弾がハチの巣にした後、三枚おろしにしてやる!)」

『(……とか、考えてるんだろうな、コイツは。

 その場合と言うか、このことを言った時点で、弾は

 ブラックリュウガンオーもとい、リュウガンオーシスコンモードに

 なって、このバカをハチの巣にするだろうな)』

 

ゲキリュウケンは、何かを決意する一夏に、起きるかもしれない出来事に

頭を抱えるのであった。

最も、その原因の一つである蘭が言っていた信用できない情報と言うのが、

弾からもたらされた情報であることに、一夏とゲキリュウケンが知る由はなかった。

 

「それでな?

 このお店、大きいサイズで可愛いデザインのがたくさんあるんや♪

 フェイトちゃんもよくここで買ってるから、箒ちゃんや明ちゃんが

 気に入るのもきっとあるで~」

「助かるぞ、はやて」

「鈴も来れればよかったのですが」

 

とにもかくにも一段落と、一夏が一息つこうとするとまた新たな客が

やってきたが、はやてを先頭にして鈴を除くIS学園でのいつものメンバーが

そこにいた。

 

「(…………逃げよう)」

 

彼女達を目にするや否や、一夏はこの場からの退避を決断する。

 

「はやての言う通り、お手頃価格でかわいいのがたくさんあるね♪

 おっきくなってきたのか、ラウラのちっちゃくなってきたんだよね~」

「別に、下着など何でもいいと思うのだが。

 シャルロットとの買い物は、長くなるから疲れる……」

「ダメだよ!ラウラは、可愛いんだから、可愛いものを着ないと!!!」

「完っ全に、娘や妹と一緒に買い物に来た保護者になってるわね、

 シャルロットは……」

「にゃははは。そうだね、アリサちゃん」

「ほほ~。ラウラちゃんは、順調に成長しとるということは、

 鈴ちゃんもうかうかしとれませんなぁ~。

 ほな、いっちょ!

 帰ったら、鈴ちゃんのためにこのはやてちゃんのゴールデンフィンガー

 による特別マッサージを!」

 

シャルロットが、ラウラのために可愛い下着を!と決意に燃えた目を輝かせて

ガッツポーズするのをアリサとなのはの二人は、苦笑いを浮かべて

見守るのであった。

その傍らで、はやてはゴールデンフィンガーの指をわきわきと怪しく

動かしていた。

 

「う~ん……。

 一夏君を落とすためには、こんな大胆なものが必要かしら?」

「お、お姉ちゃん!ちょっと!」

「簪ちゃんは、かわいいわね~。

 でも、ちょっとは興味あるでしょ?

 それに、あっちは全然ためらってないわよ」

 

楯無は頬を若干赤らめながら、高校生がつけるにはちょっと勇気がいるような

下着を手に、購入するかどうか考える。

姉のそんな姿を見て、わたわたと顔を赤くして慌てる簪だったが、楯無が

指差す方を見ると、ますます顔を赤くした。

 

「こっちもいいけど、こっちも捨てがたい……かな……」

「フェイトちゃんは、大胆だね♪」

「ここここれが下着ですの!?」

「そ、そういうすずかだって」

「おい待てお前達!」

「それは、高校生が着ていいものなのか!?」

「せや。フェイトちゃんもすずかちゃんも落ち着き。

 その手に持ってるんもんは、まず明ちゃんと箒ちゃんに着てもらって、

 破壊力を確かめな!」

「「誰が着るか!!!」」

 

フェイトは、色んな下着を吟味してすずかにからかわれるが、

その下着を見たセシリアは驚きで目を見開く。

二人が見ていたのは明と箒が言うように、高校生がと言う以前に、

本当に下着なのかと疑問に思うようなものであった。

無論、そんなのを見てはやてが黙っているわけはなく、明と箒に

それを着せようと暴走を始める。

 

「(ひえ~~~!

 こんなの聞いてたなんてバレたら……考えたくもねぇ~~~!?)」

『(考えるどうの以前に、考えられないようにされてしまうからな)』

「あっ、店員さーん!」

 

もしも、彼女達に自分がいることを知られたら、その先は間違いなく

お先真っ暗闇な事態だと、抜き足差し足忍び足でコソ~っと逃げようとする

一夏だったが、はやてに声をかけられてしまう。

 

「ちょ~っと、この子らのカップサイズ測ってもらっていいですか~?」

「(な・ん・で・す・とぉぉぉっ!!!!!?)」

「いや~。

 この二人の立派なお山は、まだまだ成長しとるみたいなんですよ~。

 フェイトちゃんといい、どこまで膨らむんやろね?」

「ちょっ!は、はやて!」

「余計なことを言うな!」

「はうっ!」

「ええやん。今、店には私らと店員さんしかおらんし」

『(その店員が、男の知り合いなんだがな)』

「(どうすりゃいいんだ、ゲキリュウケン!)」

 

自分達の目の前にいる着ぐるみの中が、一夏などと夢にも思わない

はやてはお気楽に笑うが、一夏は崖っぷちであり笑えない状態。

藁にも縋る思いで、ゲキリュウケンに助けを求める。

 

『(どうもこうも、着ぐるみを脱いで状況を説明するしかあるまい?

 うまくいけば、1発殴られるか、何かを奢らされるかですむだろう)』

「(そうだな!それしかない!

 このまま黙っていてバレるよりかは、マシだ!)」

「ねぇ?あれ、何してるのかしら?」

「頭の痒い所をかいてるのかな?」

 

もう一刻の猶予もないと、一夏はゲキリュウケンの提案に乗り、

着ぐるみを脱ごうと頭の被り物を取ろうとする。

そんな両手を頭の後ろで動かしている様を、アリサとなのはは不思議に

思い、他の者達もよく分からない行動に?を浮かべた。

 

「(あれぇぇぇっ~~~~!?

 ファスナーに手が届かない!!!!!

 これ、一人じゃ脱げんやつだ!!!?)」

『(万事休すだな)』

「あっ!わかった!

 店員さん、入ったばっかの新人さんやろ~?

 そら、測り方なんてわからんわ」

「(た、助かっ……)」

「じゃあ、私が測り方を教えたるわ♪」

 

ファスナーを一人で降ろすことができないという物理的な壁に、

自分の命はこれまでかと絶望する一夏だったが、はやての勘違いにより

助かったと安堵するが、命の危機は去らなかった。

 

「メジャーをこうして、こうやって……」

「おい、何で私が測られ……」

「明ちゃ~ん。ちょ~、動かんといて~」

「ん……っ」

「(ひょぉぉぉっ!!!!!?)」

 

はやての言葉に思考が停止した一夏は、そのままメジャーを持たされ、

明のカップサイズを測らされる。

 

「(俺、何してんのっ!?)」

『(着ぐるみの中が、自分だと知らない恋人のカップサイズを測っているのだろ?)』

「(そういうことじゃねぇよっ!!!)」

『(だが、ここまできたらやり過ごさなければ、一寸先は

 地獄でのお説教だぞ?)』

「(そうだ!

 落ち着け……落ち着くんだ、織斑一夏!

 今、お前はモノだ!

 数字を測るただのモノなのだ……っ!)」

「うわっ!何や、これ!

 三桁目前やん!」

 

心を無にしてこの場を乗り越えようとする一夏だったが、

はやての一言で、心を無にするどころか一瞬で頭が沸騰するのであった。

幸い、明の驚きの数字にみな意識が向いて、悶絶して不審な挙動する

一夏を気にする者はいなかった。

 

「さ、三桁って……箒もフェイトも明と変わらないわよ……ね?」

「卒業する頃には、山田先生より大きくなってたりしてね♪」

「お姉さんも自信あったけど、流石に悔しいかも」

「アリサ?すずか?」

「ど、どこを見ているんだ!

 楯無さんも何で、はやてみたいに指をわきわきさせてにじり寄っているんですか!?」

 

アリサは測定の結果に、ゴクリと唾を飲んでほぼ変わらない大きさの箒とフェイトに

視線を向ける。すずかも好奇心を隠せてない笑顔で二人の方を向く。

同じく、楯無もライバルと相対したような真剣な表情を浮かべるが、

はやてと変わらない指の動きが、真剣さを台無しにしていた。

そんな視線のど真ん中にいるフェイトと箒はたまったものではない。

 

「ぐぬぬぬ……大きさが戦力の全てでは、ありませんわ!」

「う~ん……形や大きさのバランスは、いいと思うんだけどな~?」

「ふふふ……それやったら、私が最大戦力とどれだけの戦力差があるか、

 確かめたるわ!」

 

ハンカチを噛みしめんばかりに悔しがるセシリアと自分の胸を触るシャルロットに

はやての魔(?)の手が迫った。

 

「(さんけたって……)」

「なのは?さっきからあの店員はどうしたのだ?」

「にゃははは。きっと、女の子同士でも恥ずかしいんだよ、ラウラちゃん」

「まさに混沌(カオス)とは、このこと」

 

騒ぎまくる明達と、頭から煙を出す着ぐるみに?を浮かべるラウラとなのはの

温度差のこの状況を簪は的確に表現した。

 

 

 

「(ふぅ~。やっと行ったか……)」

 

サイズパニックは何とか収まり、下着を購入して明達は店を後にしたことで、

今度こそ一息つけると肩の力を抜く。

 

「(流石に、もう知り合いと会うことはないだろう)」

『(お前はそうやって、懲りずにまたフラグを)』

「すいません……。すいませ~ん、店員さん……」

 

息つく暇もなく、一夏はいつからそこにいたのか試着室に

いたお客から小声で声をかけられる。

カーテンから首だけ出ている状態の女性は、実年齢より幼く見えそうな

童顔で丸眼鏡をかけた緑色っぽい髪の一夏がよく知る人物……。

IS学園一年一組副担任、山田真耶であった。

 

「(なんでここに先生が!?)」

「ちょっと……いいですか?

 試着したら、サイズが合っていなかったのか、ホックが外れなくて……」

「(わー!わー!わー!

 隠して先生!隠してぇぇぇ!!!!!)」

 

チラっとカーテンから背中を見せて、ブラを外してくれとお願いする

彼女の姿は、破壊力抜群の一言であり、年頃の男子高校生には目に毒な

レベルではない。

 

「あの~?流石に、ここでは恥ずかしいので……」

「(へ?)」

 

目を逸らす一夏を山田先生は試着室に連れ込んだ。

一瞬で更に状況が激変した一夏は、目を白黒させる。

 

「(にょへぇぇぇぇぇっっっ!!!!!?)」

「早く外してください……」

「(何なんだ、この状況は!?

 何で下着売り場の試着室で、先生のホックを外すことになってるの俺!!!)」

『(段々、お前の巻き込まれ体質というかラッキースケベ体質が

 パワーアップしてないか?)』

「(くっそ~~~。

 こうなったら、さっさと外すして出るしかない!

 ……ん?あれ?

 と、とれない?

 着ぐるみの手、握りづらっ!?

 そもそもホックって、どう取るの!)」

「どうしたんですか?もしかして……」

「(き、気づかれた!?)」

 

状況を打開するために、一刻も早くホックを外そうとする一夏だったが、

着ぐるみを着てるためうまく外すことができず、山田先生に怪訝に思われ始める。

 

「このブラ……壊れ、ちゃいまし……た?

 すすすすいません!

 弁償します!」

「(大丈夫でした!!!)」

『(たまに本気で心配になってくるな、この先生は)』

 

着ぐるみの中が自分だと気づかれたと思った一夏だったが、山田先生は

ホックが外れないのは自分が着たせいで壊れたのかと勘違いをし、一夏を

ほっとさせた。

 

「うぅ~~~。やっぱり、去年よりまた大きくなったのかなぁ~?」

『(誰かさんが聞いたら、色々と爆発しそうだな……)』

「(あっ、取れた!)」

「あれ?壊れてなかった?

 店員さん、お手数かけました」

「(ほきょぉぉぉぉぉっっっ!!!)」

 

何とかホックは外れたが、一夏に礼を言おうと山田先生が振り向くと、

ブラが重力に引かれて落ちそうになり、丸見えになりそうになった。

明や箒達を上回るものが。

 

 

「(いつもの修業や戦いより疲れたかも……)」

 

更衣室騒動は、無事にバレることなくやり過ごすことができたが、

一夏はグデ~となるほど疲労困憊であった。主に精神的に。

 

『(これ以上誰かが来る前に、逃げた方がいいんじゃないか?)』

「(そうしたいのは山々だけど、流石に店を無人にするわけにはいかないだろ?)」

『(だが、ここでまだ来ていない鈴辺りが来たら、今度こそ感づかれるぞ?)』

「(何言ってんだよ、ゲキリュウケン。

 そうそう、都合よく知り合いが来るなんて……)」

『(……さっきから来てるのは、知り合いばかりだがな)』

「(…………。

 いやいやいやいや。

 だから、そんなご都合主義みたいにバッタリ知り合いとなんてこと……)」

 

二度あることは三度あるとゲキリュウケンが忠告するが、一夏は

必死にお約束みたいな展開はないと否定すると、物陰に隠れながら店の中を

見回る鈴を見つける。

 

「(……もう、どう驚いていいのかわからないよ、ゲキリュッシュ)」

『(それは、パト〇ッシュとかけているのか?)』

 

度重なる驚きの遭遇は、一夏から正常な判断力を奪っていき、

どうしようかと途方に暮れた。

 

「(よし!誰もいないわね!

 誘ってくれたみんなには、悪いけど下着は一人で選びたいのよ、私は。

 ……と言うか!

 あんなオッパイおばけ達と一緒に下着を選ぶとか、どんな拷問だ!

 ごらぁぁぁっ!!!)」

 

背後に打ち寄せる波が来ている様を幻視させ、

決して相容れぬ宿敵と相対するかの如く、鈴は拳を握りしめワナワナと

震わせる。

 

「(そんな訳で、存分に……!)

 あの!これとそれとあれのAサイズ……と、Bサイズを

 試していいですか?」

 

鈴は矢継ぎ早に試着するものを指差し、相手が一夏とは気づかず

それらを取ってもらう。

 

「えっ、あっ、いや!

 Aとは言っても、限りなくBとも言えなくはないAと言うか、

 人間、諦めたらそこで試合終了というか!なははは……」

 

必要もないのに、自分が試着をする理由を説明する鈴は、笑いながら

試着室へと入っていった。

 

「(……ゲキリュウケン)」

『(何も言うな……言ってやるな、一夏。

 お前が今すべきなのは、鈴が試着をしている内に、ここから逃げることだ。

 手遅れになる前に……!)』

「ごめ~ん、一夏君!お店一人でありがとね~。

 娘を実家に預けてきたよ~」

 

何と言っていいのか分からないと言った感じで、一夏は鈴が入った試着室に

視線を送り、ゲキリュウケンに声をかける。

ゲキリュウケンは、自分達にできるのはすぐにこの場を立ち去ることだと

言ったのと同時に、店長がようやく帰ってきた。

 

「……………。

 どうせ試すなら、Cも試していいかな?

 ……うん!可能性は追及すべきよね!

 自分を信じなくちゃダメよね?

 すいませ~ん!これのCサイズも試させてくださーい♪」

 

満面の笑みで自らの可能性を確かめようと鈴は、試着室のカーテンを開けると……

 

「いや~、これ一人で脱げなかったから暑かったでしょ?

 ははは。汗だくだね」

「そんなのいいですから!俺、早くここから逃げないと!」

 

店長に、着ぐるみの頭を脱がされた一夏という光景が目に飛びこんできた。

 

「…………………………」

「あっ。り、鈴……………っ!」

 

満面の笑みのまま鈴は目の前の光景が理解できず、思考が停止する。

一夏は、引きつった笑みで目を泳がせる。

 

「…………………………」

「…………………………。え、ええ~っと……」

 

段々と目の前の光景がどういうことなのか理解し始めたのか、鈴は満面の笑みのまま

顔を俯かせる。

気まずい空気の中にいる一夏は、視線を逸らす。

 

「…………………………。

 ねぇ、一夏?

 神様が本当にいるかどうか、天国まで行ってきて確かめてくれない?」

「…………………………っ!」

 

全てに絶望したように光が消えた目を向けて、鈴は気さくに一夏に頼みごとをする。

それを聞いた一夏は、全力で逃げ出した。

 

 

 

理由を付けて別行動し、もしもの時のための戦闘服をこっそり購入しようと

ランジェリーショップにやってきた明達が耳にしたのは、

例えるなら生きたまま体からはぎ取られた肉を思いっきり壁にぶつけたような

びちゃっ!びちゃっ!という音であったとか、何とか。

 

 

 





雅は当然どんな店か知ってますが、男がいてもいいのかとかは
考えてません。そんな大した事とは思っていないのでwww

フェイトやすずかがどれにするか迷い、最後にラウラ以外がこっそり
買おうとしたのは透けてたり紐の間違いじゃないかと思えるような
ものです。

後日、このランジェリーショップでは声にならない悲鳴が聞こえると言う
噂が流れました。

着ぐるみを着ていたと知られて、鈴に神様の存在を確かめに
”いかされた”一夏は、全員にデザートをおごることになりました。

もちろん、後で話を聞いたカズキは大爆笑www
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