短いながら新規投稿です。
いつも通りとも言う。
「シュピーネさんをロート・シュピーネと続けると、
沙耶宮馨のそんな
「――え?」
発言の意味が解らず、反射的に聞き返す鉄也。
いや、それは現実逃避だ。
彼は言葉の内容を誰より何より分かっている。
「間違えて『
一言目は脳が理解を拒んだが、続けられた言葉で流石に理解せざるをえなかった。
「室長、アンタ……」
間違いない……っ!
この男装麗人、堕ちやがった。
完膚なきまでにハマりやがったのだ。
果てと底なきこの
神殺しに戦慄を覚えさせた少女は得意げに続ける。
「リルの『人間は共食いをする生き物でしょう?』には衝撃を受けましたよホント」
「ええ、ライルの動揺も分かりますよ。俺も愕然としましたもん」
得意げに続ける。
「曙光夫婦の神世創生篇、殺し愛夫婦の威烈繚乱篇、解脱夫婦の楽土血染花篇、変態夫婦の咒皇百鬼夜行篇とクリアしていったんですが、どのルートも胸を打たれました波旬死ね」
「俺的には殺し愛夫婦に色々と思い入れがありますけど、やっぱり皆かっこいいですよね波旬死ね」
得意げに続けられるそれに、鉄也は喜々として応答していく。
馨の変化にはとてつもない衝撃を受けたが、それを越えれば彼にとって望む所だ。
同好の士が増えたことも、それが己の上司であり部下であることも、彼女とネタ会話ができることも喜ばしいことこの上ない。
思いがけない出来事に、鉄也は堪え切れない笑みを溢す。
それを見た馨もまた、爽やかながら実に
「僕はあなたの威を借る右腕ですから、第三位
即ち堕天使ルシファー、延いては神へ反逆せし魔王サタンの事である。
神殺しに仕えその威光で以って組織を束ねる彼女に相応しいと言えなくもない。
という事を本人から説明された。
入り口が中二燃えゲーだったために萌え豚の類ではないようだが、いささか設定厨のきらいがあるようだ。
組織運営の計画やら企画やらで、元から素質が育てられていたのだろう。
そこまで考えて、ふと思い至った。
「――って、それ遠まわしに俺に黒円卓を作れって言ってます?」
第三位、そして威光の代行者。
それの意味するところは、某「親愛なる白鳥
石上鉄也とラインハルト・ハイドリヒには、愛を謳う神殺しの魔王という重要な共通点もある。
困惑気味な本人とて、その手のネタを考えたことがない筈もない。
むしろ真っ先に考えた類だと言って構わない。
一人一人が一騎当千、万夫不当の勇士たち。
魂の輝きは只人と比べることすら烏滸がましく、その渇望が誇る熱量は、数多の雑魂を容易く呑み食らい焼き払う。
それぞれが
神殺しの獣が率いる黒円卓。
それを現実に再現するという耽美に過ぎる所業。
想像するだけで身が奮い立つ。
己がそれを実現できるという事実に心が揺れ動く。
だが。
「俺は嫌ですよ、神殺しの戦場に人間を送るなんて馬鹿な真似は」
そう、それが唯一にして絶対の隔たり。
神々の力が振るわれるという他に類を見ない悪魔的な――神話的な様相を成す戦場に、ただの人間を連れ立つなど徒に死者を増やす愚行でしかない。
そんな馬鹿げた真似は出来ないと拒絶する鉄也に、右腕を名乗る少女は白旗を振った。
「いえ、流石に勘繰り過ぎですよ。その辺のことは石上さん本人のご意思に委ねます」
故に強制はしないし、嫌だというなら結成もしないと。
あっさり意を汲んだ発言が逆に怪しいと胡乱な目を向ける鉄也。
「ホントです?」
「ホントですよ」
ジッと見つめる主に対しにこやかに応答する馨。
それが惚けているように見えて更なる追及を行う。
「甘粕さんあたりと悪乗りしません?」
「しませんしません(今のところは……)」
二回続けられると嘘くさく感じる。
そんな鉄也の疑念は、やはりというか当たっていた。
これぞ世界に畏れられる神殺しの軍勢、極東十三騎士団結成の前日譚であった。
「それはそれとして。もし結成するなら第十位、シュピーネさんの席は……分かってますね沙耶宮室長?」
「無論、確と滞りなく。手筈は整えて御座います
「……その呼び方に思う所はありますが、今の俺はあなたの部下ですよ」
「クスッ――これは失礼したね、石上係長。それでは今日はこの辺で」
それを一番喜んで、かつ最も割を食ったのはとある忍者な男であった。
先々の展開は思いついてるのにそこに至るまでが……
そして日常回で何を書けばいいか分からない! だれがアドバイス下さい(´;ω;`)