あとがきにてご報告が御座います。
神の愛は既に尽きた。
失せた楽園には、罪が溢れる。
「あなたがこの国を治める王か?」
童女の形をした闇の化身が語り掛ける。
月明かりを映す白銀の頭髪が、その神秘性を駆り立てている。
此より彼方は地母神が領土。
進むは冥府、退けども囚われ、骸へ朽ちて死屍累々。
ああ、この世はなんて
「俺の
神殺しの刃が鳴動する。
昏く、昏く、世界へ向けた恩讐が滾る。
我が
ありがとう、ありがとう。だからその身を斬り拓こう。
ありがとう、ありがとう。そうしてくれるのを待っていた。
ああ、神とはなんて罪深い。
この世界は歪んでおり。
この世界は狂っており。
この世界は――故に孤立し、隔離されているのだから。
では一つ、皆様私の歌劇をご観覧あれ。
『――太・極――』
「――太・極――」
その筋書きは、ありきたりだけれど。
『
役者が良い。至高と断ずる。
「
ゆえに面白くなると願っているわ。
それは日本より遠いイタリアの地。
一人の少年が神へと向けて宣誓を放った。
「……草薙護堂だよ。覚えておけ」
それはあまりにちっぽけな。
しかし当人たちには欠かせぬ意味を持つ存在証明。
「これだけいっしょにあれこれやってきたんだから、名前ぐらい覚えておけ。エリカにも言ったけど、俺の名前とか気にしてなかっただろ? ったく、失礼な連中ばかりだ」
直後、景色は稲妻と白焔に飲み込まれる。そして――
「さあ皆様、祝福と憎悪をこの子に与えて頂戴! 第八の神殺し――最も若き魔王となる運命を得た子に、聖なる言霊を捧げて頂戴!」
地上に顕現した女神は宣う。
それは祝福。愛し子の幸を望む母の愛。
それは呪詛。神を贄とし、子を怪物へと成り上がらせる忌まわしき邪法。
「ふっ、よかろう。ならば草薙護堂よ、神殺しの王として新生を遂げるおぬしに祝福を与えようではないか! おぬしは我の――勝利の神の権能を簒奪する最初の神殺しじゃ! 何人よりも強くあれ。ふたたび我と戦う日まで、何人にも負けぬ身であれ!」
地上より消え去る贄たる神もまた宣う。
それは祝福。好敵手を認め加護を与える神の愛。
それは呪詛。仇を憎み、その生より安寧を奪う忌まわしき怨嗟。
七人目のカンピオーネ、石上鉄也の再誕から僅か二年。
新たな魔王がここに誕生したのである。
斯くして物語の序章は終わりを告げた。
そして今、舞台の幕が上がる。
「――
「
これより、激動となる一年間の物語――――。
かれこれ半年ほど放りっぱなしにしていたこの拙作ですが、ずっと放置しておくのも何ですので、未完ということで一応の終了をさせていただきます。
つきましては、ちょろちょろと書き溜めていた第二部の妄想をクリスマスにでも投稿しようと思っておりますので、もうしばしお付き合い下さいませ。