前回、当分続きの投稿はないと言ったのですが、
勉強ばかりじゃつまらないと言うわけで、
2話の物語りだけ書いてきてしまいました。
と、言うわけで、お話しの方どうぞ。
感情に任せて行動するなんて俺らしくない。
本当にそう思う。何やってんだ俺。
これじゃあ、その辺のリア充(笑)と変わらないだろ。
だが……まぁ、悪い気はしない。
一色を捜し出して数分。
もうこの辺りは粗方捜した。
あとは普段誰も行かない校舎裏だけだ。
「っ、……はぁはぁ」
普段運動をしてないせいか、汗は滝のように流れ、膝はガクガクと笑っている。
いや……多分違う。
俺は必死なんだ。
一色を…"本物"を掴み取るために。
目の前にある"本物"を掴み取るために必死に走り回っているんだ。
必死だからこんなにも辛いんだ。
校舎裏に着いた俺の目に映ったのは、校舎を背にしゃがみ、涙を服で拭いながら啜り泣いている一色だった。
俺は思わず出てしまいそうな声を噛み殺し、一歩、また一歩と、確かに一色との距離を詰める。
それは、俺が一色に心を許し、心の距離を詰めているとも言えた。
だが、俺が一方的に心の距離を詰めてしまっては意味が無い。
そんなことをしてしまっては、"本物"なんて手に入る訳がないのだ。
だから俺と一色は、互いに距離を縮めなければ駄目なんだ。
「……………一色」
息を整えてから静かに声をかける。
一色は、突然の声に驚いたのか、身体をビクッと揺らした。
そして、涙で濡らした顔をあげ、弱々しくこえを出した。
「………せん…ぱぁい」
一色が浮かべている顔は、驚いているようにも見えるし、安堵しているようにも見えた。
………多分どっちもなんだろうな。
その顔を確認した俺は、その場を動かずに問いかける。
「…………どうしてあんな事をした」
俺の知る一色いろはは、打算的で計算高い。
そして、一時の感情に流されるような奴じゃない。
だから、一色が………。
普段の一色ならば、絶対にこんな事はしないのだ。
だから…もし、もし俺の予想が当たっているのなら…俺の"本物"は一色だ。
当たっていて欲しい。
そんな願望を胸に、一色の言葉に耳を向ける。
「先輩…見てたんですね。
…………私、先輩が悪く言われるのが、我慢出来なくなったんです。
私、葉山先輩に振られた後、言ったじゃないですか…。
『私も"本物"が欲しくなったんです』って…。
それに先輩は言いましたよね。
『今いっても無理って分かってただろ』って…。
ええ、分かってましたよ。
だから私、わざと振られにいったんです。
………今までの偽物と決別する為に。
そして…"本物"を手に入れる為に」
そこで一色は大きく息を吸った。
まさにその行為は、これから大切なことを言うと宣言しているようなもので、俺は耳に全神経を傾けずにはいられなかった。
そして一色は声を放つ。
「先輩、私の"本物"になって下さい」
一色の言葉を聞いた瞬間、今まで抑えてきた感情が込みあがってくる。
その感情を押しとどめることなんてできる筈もなく、大粒の涙を瞼に溜めて、脇目もふらずに一色のもとへと歩きだしていた。
また一色も同じように涙を溜め、ゆっくり…ゆっくりと俺の方へ歩いていた。
2人の距離がなくなるまで少し時間はかかったが、確かに互いのもとへと辿り着いた。
俺は一色を胸に抱き寄せ、優しく頭を撫でながらこう返事をする。
「一色、俺の"本物"になってくれ」
その日俺は、初めて"本物"を手に入れた。
大量に流れる涙を堪えず、そう確信した。
───俺と一色の心の距離は、もう無いのだから。
皆様は"本物"って何かわかりますか?
私は実はわかっていません。
「わからないなら書くなよ」なんて思ったりしてしまうかも知れませんが、そこは触れないで頂けると嬉しいです。