魔法少女リリカルなのは~鬼神降誕~   作:汰蹴

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初めまして、汰蹴です。


原作崩壊し兼ねないものになるかもしれないので、原作崩壊が嫌な方、転生ものが嫌な方、俺TUEEEEEEが嫌な方、オリジナル展開が嫌な方、ハーレム展開が嫌な方、オリキャラの登場が嫌な方は、読むのをスパッと切る事をお勧めします。


これらの要素があっても「大丈夫、問題ない」という方は、厚く歓迎すると同時に、感謝の意を表します。


序章

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァ、ハァ、ハァ…やばい……目が霞んできたぜ、畜生……」

 

 

 

 獣の様な縦に伸びた赤い瞳をし、額に五寸程の一本角を生やした青年、『如月 大雅(キサラギ タイガ)』は、柄が白く赤みがかった刀身と、柄が黒く青みがかった刀身の二振りの刀を地面に突き立て、膝立ちで息も絶え絶えに自答する。

 

 

 

 如月大雅は今、異様な風体を晒していた。

 

 

 

 衣服はボロボロで全身が血塗れ、擦過傷、打撲痕、裂傷、火傷、噛み傷と、至る個所に傷が見受けられる。

 

 

 

 特に目に付くのは、今にも千切れそうで、皮一枚で繋がっている状態の左腕と、右目は抉られ、左の肋骨が皮膚を貫き、右脇腹が喰い千切られた様な噛み傷があり、まさに満身創痍な出で立ちが目に付き、今生きているのが不思議なぐらいだ。

 

 

 

 

「ハァ、ハァ……まだだ……まだ倒れられん……。どれもこれも重傷と言える傷だが、特に困るのはこの左腕か……。こんな左腕じゃ……刀を扱うどころか、握る事すらままならん……。逆にプラプラして邪魔ですらあるか……」

 

 

 

 

 如月大雅は、左腕を一瞥すると、徐に、右手を千切れ掛かっている左腕に添えて、一気に引き千切った。

 

 

 

 

「ふぅ……ここまでくると……痛みを感じる事が鈍くなってきたな……」

 

 

 

 

 此処までボコボコにされると、ランナーズハイみたいに、痛みが薄らいできているらしい。

 

 

 

 満身創痍になっても尚、倒れるわけにはいかない理由があった。

 

 

 

 それは、目の前に在る敵に起因する。

 

 

 

 その敵というのが、神話の大怪物『八岐大蛇』が居るのだから。

 

 

 

 そんなの冗談だろ?とか、ただの伝承でしょ?とか、スサノオに斃されなかったっけ?とか、第一、ハイテク社会である現代で、何故あんなのが居るの?だとか、色々疑問はあるが、実際に目の前に居るのだから、その存在を認めるしかない。

 

 

 

 『八岐大蛇』の特徴である、一つの胴体に、八つの頭と八つの尾を持ち、鬼灯の様に目は真っ赤で、その胴体から苔や檜、杉等が生え、八つの谷と八つの峰に跨る程の巨体で、腹からは血で爛れていたりと、日本書紀に記されている特徴と合致するのだ。

 

 

 

 夢や幻ではなく、冗談だと思えても納得せざるを得ない。

 

 

 

 そもそも、何故、如月大雅が『八岐大蛇』と対峙しているかというと、簡単に説明するなら、彼は、陰陽師に近い存在だからだ。

 

 

 

 つまり、仕事の一環として、『八岐大蛇』と対峙しているのである。

 

 

 

 しかし、前触れもなくいきなり現れたものだから、神話の様に酒を使って退治するやり方が出来ず、シラフで討伐を試みて、戦い続けた結果が、今ではご覧の有り様だ。

 

 

 

 それでも、今ここで力尽きてしまえば、人類が滅亡する事は想像に難くない。

 

 

 

 それが分かっているからこそ、まだ力尽きるわけにはいかないのだ。

 

 

 

 

「あと少しだ……。あともう少しで……奴を斃せる……。もう少し持ってくれよ……俺の体……」

 

 

 

 

 如月大雅は『八岐大蛇』と戦い始めて、八日目を迎えていた。それも、八日も不眠不休でだ。

 

 

 

 その苦労も実り、一日一つずつ首を斬り落とし、ようやくあと一本まで漕ぎ着けた。

 

 

   

 

「さぁ、最終章《フィナーレ》といこうか……。頼むぞ、我が愛剣『霊蒼剣』『霊紅剣』」

 

 

 

 

 剣の担い手たる主に問い掛けられた『霊蒼剣』と『霊紅剣』は、主の問い掛けに応えたかの様に、青と赤に輝く光りを、より一層に輝かせた。

 

 

 

 それに満足した如月大雅は、立ち上がって『霊蒼剣』を口に咥え、『霊紅剣』を右手に持ち、スタンディングスタートの構えをとり、一気に駆け出した。

 

 

 

 如月大雅の動きに合わせて、『八岐大蛇』は迎撃態勢に入る。

 

 

 

 口から火を吐き、大きく太い尾を鞭の様に撓らせ、迎撃する。

 

 

 

 如月大雅は、その攻撃を確実に避けながらも、前へ前へと突き進む。

 

 

 

 火の攻撃も、尾の攻撃も既に何度か受けていて、当たればどうなるか身をもって体験している為、前へ進みながらも機が熟すまで、きっちり避ける。

 

 

 

 どれかの攻撃を一つでも受ければ、恐らく二度と立ち上がれないだろう。

 

 

 

 はっきり言って、掠る事でさえ、尾の風圧の相乗効果によって、20tトラックで高速で突っ込まれるぐらいの威力を誇るのだ。

 

 

 

 だから、掠らせる事もなく確実に避ける。

 

 

 

 そして、如月大雅は何時でも斬り込める場所までくると、確実に斬る為に、タイミングを計りながら、『八岐大蛇』の足下のすぐ側で、隙を窺う。

 

 

 

 【結構危険な場所で観察しているなぁ】と思うだろうが、巨体であるが故に、灯台下暗しという言葉がある様に、比較的安全なエリアで、観察はしやすい。

 

 

 

 それでも、踏み鳴らす足だとか、鋭い爪が覗く振り子の様に振って来る手だとか、時折落ちてくる水滴を注意する必要があるが、ビュンビュンとやってくる尾と、津波の様に吐き出される炎に比べれば、遠方に居るよりかは幾分かマシである。 

 

 

 

 足なんて、右から左まで結構離れている分、踏み付けられる心配は少ないし、手での攻撃も複雑怪奇な動きをする複数ある尾(3本程、尾を斬っている)よりかは、読み易いし、避け易い。

 

 

 

 近場において、意外に曲者なのが、時折落下している水滴が中々厄介だったりする。

 

 

 

 何故、水滴に注意しないといけないかというと、実はその水滴というのが、『八岐大蛇』が口から零す涎なわけだが、その涎が零れ落ちた個所から、地面を腐食させ、草木が焼け爛れたような形跡を見せている。

 

 

 

 実際に飛沫が衣服に掛かり、その衣服をボロボロにさせているのを確認していて、衣服をボロボロにさせている一番の原因がその涎だったりする。

 

 

 

 恐らく『八岐大蛇』の唾液には、地面を腐らせる事から、高濃度の毒性があり、尚且つ、草木を焼け爛れさせている事から、硫酸の様な成分も含まれているのだろう。

 

 

 

 非常に危険ではあるが、ただ落ちてくるだけなので、避け易いが、飛沫にも注意する必要がある為、近場では比較的一番厄介である。

 

 

 

 ただ、如月大雅は毒性に強い耐性を持っているのと、毒の巡りをレジストする手段はある為、多少は抵抗出来る。

 

 

 

 実際に、今、毒の巡りを不可思議な力でレジスト中である。

 

 

 

 噛み傷で分かる通りに、既に厄介な成分を含んだ唾液が付いた牙で噛みつかれている為、流石にある程度抵抗出来るとはいえ、次毒を被れば、毒の巡りを加速させ、死へと至らしめると予測出来るからこそ、きっちり避けるのだ。

 

 

 

 結局のところ、この戦いで勝とうが負けようが、如月大雅は十中八九助からないであろう事は、自分自身も分かっている。

 

 

 

 だが、まだ倒れるところは、今この時ではないし、許されない。

 

 

 

 時が来るまで、毒と傷に耐え続け、時折隙の多い腹下を刀で突っ突いたり、斬り裂きながら、ひたすら待つ。

 

 

 

 あまりに巨体すぎる所為で、斬っても致命傷とならないが、ボディブローの様な攻撃がそこそこ効いているらしく、少しずつ動きも鈍くなってきている様で、段々と最後の攻撃が仕掛けられそうな、後一歩のところまできている。

 

 

 

 

「……光明が見えて来たか?だが、まだだ……。違う、これじゃない……。違う、これでもない……。これも違う……。落ち着け……慌てるなよ。……チャンスは、一度きりだ……」

 

 

 

 

 一見、大振りで隙が結構ある様に思えるが、斬る予定のある首の位置がかなり上空にある為、隙が隙でなくなり、下手に斬りに行こうものなら滞空中に攻撃される。

 

 

 実際にこれをやって、相打ちという形で数回攻撃を受けているから油断が出来ない。

 

 

 

 空中を蹴るという形で、空を駆け上がる事は出来るのだが、飽くまで跳んでいるのであって、飛んでいるわけではなく、多少は空中で融通は利くものの、鳥の様に自由は利かない為、少々の隙では如月大雅の方が分が悪く、打ち落とされるビジョンしか見えない。

 

 

 

 唯でさえ、既に限界突破しているのに、次、攻撃を受ければ、今度こそジ・エンドだ。

 

 

 

 だからこそ、まともに動けるのもこれが最後だと言い聞かせ、背水の陣で臨み、中途半端な隙に惑わされない様に隙を慎重に見極める。

 

 

 

 避け続ける事一時間、遂にその時が来た。

 

 

 

 

「ここだ!如月流奥義……」

 

 

 

 

 決定的な隙を見付け出した如月大雅は、空を一気に駆け上がり、『八岐大蛇』の最後の首に近づき、紫色の炎を霊紅剣に纏わせ、赤かった刀身が赤紫色に燃え輝かせて、その刀で真一文字に首を斬り裂き両断した。

 

 

 

 

「【一鬼当千鬼炎斬】!」

 

 

 

 

 切り取った頭から、紫色の炎が燃え上がり、地に落ちて行った。

 

 

 

 だが次の瞬間、頭が無くなったにも係わらず、『八岐大蛇』の咆哮が辺りを轟かす。

 

 

 

 それと同時に、複数ある尾が無秩序に暴れ狂い、その内の一本が、如月大雅目掛けて襲いかかる。

 

 

 

 

「邪魔だぁ!!」

 

 

 

 

 斬った瞬間の反動で、尾が襲いかかってくるのは何度かあった為、如月大雅は慌てず、闘牛士の様にひらりと交わし、回避際に霊紅剣で横薙ぎに斬り払った。

 

 

 

 しかし、尾がかなり太いという事もあって、完全には斬り切れず、右腕を掠らせ、そのまま引き千切って行った。

 

 

 

 

「!!!!!ッチ、ミスったか……。すまない、霊紅剣……。だが、首は獲った。そして、俺はまだ生きている!最後の仕上げだ!俺の相棒はもう一本あるぜ、行くぞ!」

 

 

 

 

 右腕を千切られはしたが、予定自体はクリアした為、悲観せず、更に追い討ちだとばかりに追撃を試みた。

 

 

 

 如月大雅は、空中で態勢を整え、口元の刀を横から縦に咥え直して、今度は刀だけではなく体全体に紫色の炎を纏い、『八岐大蛇』の四本目と五本目の間の首の付け根目掛けて、真っ逆さまに落下して行った。

 

 

 

 そして、刀の刃先が『八岐大蛇』の首の付け根を捉え、そのまま付け根を貫いて突き進んでいき、終には、胴体の下まで貫通する事に成功した。

 

 

 

 『八岐大蛇』の真下に着いた如月大雅は、すぐにその場から、『八岐大蛇』が倒れ込んで来ても大丈夫な位置まで離れた。

 

 

 

 

「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、これで…どうだ……」

 

 

 

 

 如月大雅は、剥製の様に動かなくなった『八岐大蛇』を見つめ、しばらく時間が経った後、ゆっくりと体を傾け、終には『八岐大蛇』が地に伏して、完全に動かなくなったのを確認した。

 

 

 

 それを見届けた如月大雅は、さっきまであった角が消え去り、瞳も通常に戻った後、糸が切れたマリオネットの様に膝から崩れ落ち、仰向けに倒れた。

 

 

 

 

「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、どうじゃこりゃあ!あの神話の怪物を倒してやったぜ!グアッ!ゴホッ、ゴホッ、ゴホッ、ゴフッ……ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ……ゴホッ、ゴホッ……」

 

 

 

 

 息も絶え絶えに、歓喜の雄叫びを挙げた後、力の抜けた如月大雅は、さっきまでの傷と毒のツケが一気にやって来て、苦悶の表情を浮かべ、咳き込み、大量に血を吐いた。

 

 

 

 

「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ……死ぬなぁ……こりゃ……。ハァ、ハァ、でも……悪くない……気分……だ……。ハァ、ハァ……もし……あの世……というのが……あるの……なら……ハァ、ハァ……また……あいつと……会えると……い……い……な……」

 

 

 

 

 そう呟いた瞬間、如月大雅は、そのまま眠る様に息を引き取った。

 

 

 

 傷のないところなんて見当たらないぐらい見るも無残な姿だが、如月大雅のその死に顔は、うっすら笑みを浮かべ、清々しい程に晴れやかだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

如月大雅VS八岐大蛇

 

 

勝利条件:先に斃れた者

 

 

勝者:如月大雅

 

 

敗者:八岐大蛇

 

 

勝因:折れなかった精神と諦めない心

 

 

代償:如月大雅の死

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




最後まで読んで頂き、誠に有難う御座います。


投稿間隔は不定期ですが、最低限一週間の内に一回投稿出来るのを目標に頑張ります。


チラシの裏で書いた様な文章ですが、今後とも宜しくお願いします。

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