魔法少女リリカルなのは~鬼神降誕~   作:汰蹴

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今回は大雅の過去の話しです(ダイジェスト版)。


まず、初めに行っておきますが、嫌悪する場面が多々あります。


ちょっとしたネタバレがあるんで、それでも問題ないという方は、どうぞご覧なさって下さい。


取り敢えず、此処を読まなくても本編にはあまり影響はないかな?


一応、主人公の自己紹介も兼ねた感じなので、彼の為人を知って頂けたと思います。





序章 参 追憶編

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 如月大雅は、17歳までは、何処にでもいる様な普通の男子高校生だった。

 

 

 

家系が少し特殊なのを除けば……。

 

 

 

 実は、大雅の家系は、遥か昔に鬼と人間(陰陽師)との間に出来た子供が先祖で、鬼と陰陽師の血を引いていた。

 

 

 

 普通なら、本当の事でも知る機会なんてないが、如月家には蔵があるのだが、その蔵の中を掃除していた時に、家系図や古文書が出てきて、何故か大雅はその古文書が読めて、それを見て初めて知ったのだ。

 

 

 

 ただ最初は、大昔の文字だったにも係わらず、現代人である大雅が読めたのには、自分自身疑問を感じていたが、鬼とか陰陽師の気配なんて親達からすら感じられなかった為、眉唾物ではないかと大雅は疑っていた。

 

 

 

 第一、千年以上も前の事なのだから、血なんて当然薄まっているし、あまり気になる程のモノでもなかった為に、次第に記憶の片隅に追いやられていった。

 

 

 

しかし、大雅が18歳の誕生日を迎えたその日の深夜、事件が起きた。

 

 

 

 突如、現れた妖怪に因って、よく分からないまま家族を殺され、それに怒り狂った大雅は反転し、血に従って鬼となり、家族を奪った妖怪を斃したのだ。

 

 

 

 つまり、感情の爆発が起因で、先祖返りを起こし、鬼と成った。

 

 

 

 復讐を遂げた後、燃え尽き症候群の様になり、この後どうしようかと悩んだが、自分の特性を活かして、人の為に何かしようと考えたのが、除霊と妖怪退治(以下、除霊と妖怪退治を含めて化け物退治と総称)だった。

 

 

 

 鬼と成った事に因って、悪霊、妖怪の類が見える様になり、人に悪さをしようとする、悪霊や妖怪が目に付いた為、自分の様な想いをするのは自分だけで十分だと想い抱き、始めたのが切っ掛けだった。

 

 

 

 それからは、それとなく怪現象の噂を聞けば、東奔西走、南船北馬、あちこち駆け巡り退治して回った。

 

 

 

 その途中で、魅空と夕魅に出逢う事にもなるのだが……。

 

 

 

 そんな事を続けているうちに、大雅の噂が広がる様になった。

 

 

 

 基本的に、化物退治をしている所を、大っぴらに見られない様にやっていたが、ちゃんと隠してやっている訳でもなかった為、大雅が化け物退治をしているのを、見た人が居たのだろう。

 

 

 

 そんな噂が広まり始めた時、京都でとてつもない大物妖怪が現れた。

 

 

 

 それは、妖怪についてあまり詳しくない者でも、詳細は兎も角、名前ぐらいは知っている程の大物、日本妖怪のビッグネーム、『鵺』だった。

 

 

 

 初めて対戦するとてつもない大物に、噂に違わず苦戦必至だったが、どうにか勝利をもぎ取った。

 

 

 

 しかし、激選過ぎた所為で、大雅の存在が知られ、マスコミや報道を通じて、瞬く間に日本中に広がった。

 

 

 

 当初は、英雄の誕生だと日本中が沸き、次第に自分から向かうのではなく、依頼が来る様になった。

 

 

 

 その時に、ある少女を怪現象から助けたのが切っ掛けで、その少女と恋仲になった。

 

 

 

 そして何時しか、大雅の事は、日本のみならず、国外まで帯びる様になり、国外からも依頼が来る様になった。

 

 

 

 しかしある時、海外のジャーナリストらしき人物が、【あの力は、非常に危険ではないか?特に戦争などで使われれば、それこそ核兵器と同じ様な災厄が起きるのではないか?】等と、のたまわった」

 

 

 

 ジャーナリストらしき人物の発言は、ある意味、的を射た発言であったが為に、【それは、確かに】みたいな考えが働き、それが海外で、同時多発するシンクロニシティ現象の様な形で悪評が広まった。

 

 

 

 それから、海外の政治家を中心に、大勢が大雅を非難し始めた。

 

 

 

 そして、その大雅を擁する日本そのものが、非難の対象に晒された。

 

 

 

 最初は、日本が大雅を擁護していたが、非難と侮蔑の目が強まり、情勢が悪くなった途端、手の平を返した様に、あっさり大雅を見限った。

 

 

 

 そして、日本政府、果ては国民からも、大雅を非難する様になった。

 

 

 

 その為、旅費を稼ぐためにしていたバイトを、強制的に辞めさせられ、友人もいなくなり、住む場所を、大雅をアンチする人達の手に因って放火で失い、モノを買う為に店に入っても、門前払いさせられ、挙げ句の果てに、道を歩いているだけで、後ろ指を指しながら、石や鉄片を投げつけられる事だって遭った。

 

 

 

 いきなりの事で大雅は茫然としたが、力を恐れられるのは、仕方のない事だと思い直し、自分がやる事は何一つ変わらないと……、だから、怪現象の噂を聞けば、その場へ赴き、行く先々で、恐怖、侮蔑、非難の視線をぶつけられようとも、曲げずに、化け物退治を続けた。

 

 

 

 そんな事があっても頑張れたのは、恋人の存在があったからだ。

 

 

 

 大勢が非難する中で、恋人とその家族だけは、大雅の味方だった。

 

 

 

 家を失い、路頭に彷徨っていた時も、恋人とその家族が、引き入れて住まわせ、匿ってくれた程だ。

 

 

 

 だから、大雅は頑張れた。自分を信じてくれる人の為に……。

 

 

 

 何カ月か経った頃、何時もの様に化け物退治を終え、帰宅すると、恋人の家に十数人ぐらいの人達が、恋人の家に集まっていた。

 

 

 

 曰く、彼等はかつて、大雅によって助けられた人とその家族で、大雅が非難されている事を知り、恋人の呼び掛けを下に、大恩ある大雅を擁護しようと決起した一団だったらしい。

 

 

 

 その一団の名を、『如月会』と命名したそうだ。

 

 

 

 因みに、他の命名候補に、『鬼兵会』とか、『鬼は内会』とか、『鬼人教』だとか、『如月教』だとかが、あったとかなんとか……

 

 

 

閑話休題

 

 

 

 ただ、表立って擁護は出来ない為、隠れキリシタンみたいにひっそりと信奉し、これから大雅をどう援護しようかと、計画を企てていたらしい。

 

 

 

 そして、心の安住場所を手に入れた大雅は、彼等の為にも、一層の努力を誓った。

 

 

 

 そんな誓いとは裏腹に、ある事件が起きた。

 

 

 

 その事件とは、架空の怪現象をでっちあげて、呼び寄せた大雅を、暗殺するという計画だった。

 

 

 

 まんまと誘き寄せられた大雅だったが、力の差が歴然としていた為に、暗殺する事は出来ず、容易く逃げだせたのだが、その逃げ出し方がまずかった。

 

 

 

 大雅は、逃げ出そうとする際、小競り合いがあり、その暗殺者を負傷させてしまったのだ。

 

 

 

 普通の人からすれば、暗殺者なんて見分けがつかないし、そもそも暗殺者なんて居るかどうかも分からないし、【あの化け物にやられた】なんて言えば、悪評がある為に大抵の人間が信じ込んでしまう。

 

 

 

 案の定、暗殺者が善良な一般人にしか見えなかった人達は、今まで、大雅が他に人を怪我させてなくても、負傷させたのが大雅だと分かり、その一件だけなのにも係わらず、【遂に馬脚を露わしたな!?】の大合唱で、日和見だった人達も非難する様になった。

 

 

 

 その後直ぐに、大雅は賞金を懸けられた。DEAD or ARIVEで……。

 

 

 

 お尋ね者となった大雅は、それから、賞金稼ぎやら、傭兵やら、果ては警察や自衛隊、海外の軍隊等にも追われる様になった。

 

 

 

 そういった人達に狙われても、大雅には其処まで脅威を感じなかったが、殺さずとも、襲撃者を無力化する度に、懸賞金は上がり、悪循環に陥っていた。

 

 

 

 そこで、大雅は思った。

 

 

 

 このままでは、恋人、そして、自分を信奉してくれる、如月会の人達にまで余波を受け、危険に晒してしまうのではないかと、疑心暗鬼になった。

 

 

 

 だから大雅は、恋人には別れを、そして如月会には、会の解体をして欲しいと申し出た所、返って来た言葉は、拒否する言葉だった。

 

 

 

 恋人に至っては、大雅を殴ってまで拒否られた。

 

 

 

 曰く、全員が【危険なら最初から立ち上げない。覚悟の上で如月会を立ち上げた】のだと言われ、逆に説得された。

 

 

 

 大雅の胸の内を話した事で、更に絆が深まった。

 

 

 

 ところが、世界は大雅に厳しく、悲劇が起きた。

 

 

 

 如月会の中に、スパイの様な人が居て、大雅が化け物退治に出張し、如月会が集会している所に、賞金稼ぎや傭兵を手引きされ、壊滅させられたのだ。

 

 

 

 それこそ、老若男女関係なく殺された。

 

 

 

 大雅がその事に気付いて帰った時には、全てが終わっていた。

 

 

 

 その光景を見て、大雅は年甲斐もなく泣き崩れた。

 

 

 

 それでも、幸運な事は二つあった。

 

 

 

 それは、霊的存在を見る事が出来るという大雅の特性上、霊体となった如月会の人達に別れの挨拶を告げられた事。

 

 

 

 そしてもう一つは、襲撃中に恋人の家族が機転を利かしたお陰で、恋人を逃がす事が出来、生き延びていた事が、自暴自棄になりかけた大雅にとって、それは救いだった。

 

 

 

 それから、大雅は恋人と落ち合い、如月会の人達と恋人の家族を弔った後は、追手から逃れる為に、恋人を連れたって、旅烏の様な生活を始めた。

 

 

 

 旅烏生活は、中々に過酷で、大雅は悪い意味で有名過ぎた為、ホテルや民宿などの宿泊施設に寝泊まりする事が出来ず、掘立小屋や、廃屋、そのまま野宿なんて事がざらにあった。

 

 

 

 食事も満足に取る事が出来ず、自生している食べられる野草や果実、魚、蛙、ザリガニ、蜂の子等を獲って食い繋いでいた。

 

 

 

 そんな背景から、春、夏、秋は兎も角、冬は特に厳しかった。

 

 

 

 そんな生活を続けているにも関わらず、相変わらず化け物退治は続けていた。

 

 

 

 海外で怪現象の噂を聞けば、密航してまで行った程だ。

 

 

 

 それでも尚、恋人は大雅の元を離れる事はしなかった。

 

 

 

 寧ろ、【波乱万丈だけど、大雅とずっと一緒に居れて嬉しいし、慣れればこの生活も結構楽しい】と言う程の、女傑だった。

 

 

 

 日本、海外と行き来し、旅烏生活を続ける事数年後、栃木の大手企業の社長が病死したのを皮きりに、関東一帯の大手企業、遂には永田町でも、似たように病死するという怪死事件が多発した。 

 

 

 

 普通に病死なら、其処まで気にする必夜もないが、その病死というのが、大手企業の社長、会長、政治家と社会に影響がある人を中心に多発した上、死因は全てが心筋梗塞で、健康だった人まで起きたものだから、マスコミ、新聞各社は、ある事ない事面白可笑しく書きたて、ニュース等でも連日連夜報道された事で、あっと言う間に日本中に広まり、震撼させた。

 

 

 

 当然というべきか、必然というべきか、その怪死事件の犯人として、急先鋒に上げられたのが大雅だった。

 

 

 

 大雅が無実を訴えた所で、恋人以外、誰も信用してくれる人なんていない為、無視していたが……。

 

 

 

 大雅自身は報道される以前から、その怪死事件を不審に思った為、既に原因究明へ調査に乗り出していた。

 

 

 

 その時恋人に、【大雅を裏切った人達なのに、態々助けようとするのか?】と問われたが、これを放っておいたら、日本が滅ぶかもしれないと、悪い予感を抱いた為に、【見て見ぬ振りは出来ない】と伝えた所、恋人は大雅の言葉を予想していたので、あっさり受け入れた。

 

 

 

 調査の結果、大雅の予感は当たっていて、調査上に出た犯人は、『九尾の狐』と呼ばれる、『鵺』以上に有名で日本三大悪妖怪にも数えられる、大妖怪だった。

 

 

 

 大雅は、以前にも狐の妖怪『白山坊』と戦った事があるが、その時も苦戦した記憶があった為、今回はこれ以上に苦戦必至だろうと予想し、気を引き締めた。

 

 

 

 大雅が『九尾の狐』と対峙して思った事は、大雅の予想の範疇を大きく超える程強力で、特に呪術や妖術は類を見ない程強力だった。

 

 

 

 激戦の末、討伐出来たが、大雅にとって不幸な事が起こった。

 

 

 

 『九尾の狐』の死に際に、置き土産として、恋人に強力な呪いを掛けた。

 

 

 

 多少の呪いであれば、大雅は普通に解呪出来るが、『九尾の狐』日本三大悪妖怪に数えられる程の大妖怪で、三妖怪の中でも呪術に関してならトップに躍り出るぐらい、呪いのスペシャリストで、大雅とは力の方向性が違う為、呪いを解く事が出来ず、日に日に衰弱していく様を、見ている事しか出来ず、悲しみ嘆いた。

 

 

 

 そんな大事になっている時に、また事件が起きた。

 

 

 

 京都において、『鵺』に続く大妖怪、『酒呑童子』が配下の『茨木童子』『熊童子』『虎熊童子』『星熊童子』『金熊童子』を伴って、突如現れた。

 

 

 

 そして、『酒呑童子』達が公共の電波を乗っ取ると、『酒呑童子』は言った。

 

 

 

「我が名は、『酒呑』なり、この日より、この大和の国を我が支配下にする。この国の民を失いたくなくば、直ちに、金、財産、酒に食料と若い女を献上しろ!」

 

 

 

 という感じの言葉を、古語で大言を吐いた。

 

 

 

 その時に、若い女性を凌辱し、生きたまま喰ったのを、公共の電波に乗せた。

 

 

 

 言う事を聞かなければ、お前達もこうなるぞという見せしめと脅しを込めて……。

 

 

 

 当然、納得出来る筈もなく、『酒呑童子』の行動に許せなかった日本政府は、警察や、SAT、自衛隊、果ては、海外の軍隊にまで応援を求め、『酒呑童子』を捕縛、不可能であれば殲滅する様にと要請した。

 

 

 

 しかし、どれだけ集めようとも、力の差は歴然としていて、あっと言う間に『酒呑童子』とその仲間によって、赤子の手を捻るかの様に、簡単に壊滅させられた。

 

 

 

 何時もなら、そうなる前に大雅が駆け付けるが、恋人が呪いで苦しんでいた為、後ろ髪が引っ張られる思いだったが、恋人の元を離れる事が出来ず、大雅は看病を続けた。

 

 

 

 しかし、恋人が、【貴方がすべき事は、私に構うのではなくて、大勢の人の命でしょ?その力はこういう日の為にと誓ったのでしょ?だったら、私に構ってないで、今すぐ向かいなさい!】と、大雅を突き放した。

 

 

 

 しばらく押し問答を続けたが、恋人の度重なる説得に、大雅は折れ、『酒呑童子』の討伐に向かった。

 

 

 

 結果的に、それが恋人との最後の会話だった。

 

 

 

 速やかに斃して、速く恋人の元へ戻りたかった大雅だったが、最強の鬼の集団であった為に、中々上手く行かず、配下の鬼を一体斃す事すらまる一日時間が掛かり、その後も連戦に継ぐ連戦で、満身創痍になりながらも、七日間掛けて全ての鬼を斃す事に、どうにか成功した。

 

 

 

しかし大雅は、勝利の余韻に浸る事なく、傷だらけのまま、恋人の元へ一目散に戻った。

 

 

 

 だが、恋人は既に事切れていて、霊体どころか、霊魂すら見つける事が出来なかった。

 

 

 

 また大切なモノを亡くした大雅は、自分が傷だらけであるのも忘れて、一日中泣き崩れた。

 

 

 

 涙が枯れる程泣いた大雅は、どうにか少しだけ気を取り直し、恋人の葬式をしようと考え、亡骸を抱え上げた時、枕元に封筒があるのに気付いた。

 

 

 

 大雅はその封筒が気になり、恋人の亡骸を一旦下ろし、それを確認した。

 

 

 

 その封筒には、【如月大雅様へ】と書いてあり、その封筒の中を見ると手紙が入っていて、それを読み始めると、その手紙にはこう書いてあった。

 

 

 

 

 

 

                如月 大雅様へ

 

 

 

 この手紙を読んでいるという事は、私は死んでいるのでしょう。

 

 私が貴方に初めて出会ったのは、15歳の時でしたね。

 

 夢魔によって、精神を蝕まれていたあの時、貴方に助けられなければ、貴方と一緒に居る事も出来ず、ここまで永く生きていられなかったでしょう。

 

 その時から、私は貴方に恋をしました。

 

 年齢がネックで、最初はずっとフラレ続けていた、あの頃が懐かしいです。

 

 あの時、呪いを受けたのは、貴方の所為ではなく、足を引っ張ってしまった、私のミスです。

 

 気にするなっと言っても、貴方の性格を考えれば、ずっと自分を責め続けるのでしょうね。

 

 キツイ事言うけど、自分を許してあげなさい!

 

 でないと、私が安心して死ねないじゃない……。

 

 貴方なら、私の死を乗り越える事なんて簡単ですよね?

 

 私を忘れてとは言いませんが、私はもう貴方のソバに居てあげられません。

 

 ですが、鬼でありながら、人よりも人らしい優しい心を持った貴方なら、いつか必ず、貴方を認めてくれる人、必要としてくれる人が居て、そして、貴方の助けになってくれる人が現れると信じています。

 

 心残りがあるとすれば、貴方との間に子供が出来なかった事です。何故だろうネ?

 

 産みたかったなぁ、貴方の子供……。

 

 最後に、貴方にお願いがあります。

 

 私を火葬する時は、貴方の炎に包まれて逝きたいです。

 

 そして、お墓は、如月会の人達と同じ場所に埋めてくれると嬉しいです。

 

 私は、先に逝きますが、あの世というのがあるのなら、私は上から何時までも見守っています。

  

                  

                  愛しています。

 

                  さようなら。

 

                         

 

 

 

                              

                              桃瀬 絆 改め 如月 絆

 

 

 

 

 

 

 

 

 その手紙を、一字一句余すとことなく読んだ大雅は、枯れたと思った涙がまた溢れ出た。

 

 

 

 そして大雅は、恋人の手紙通りに、自分の炎で火葬し、遺骨の一部を御守り代わりにと、子袋に入れた後、如月会のみんなと同じ場所に納骨した。

 

 

 

 その後は、傷が癒えても、まだ大分消沈していたが、恋人の想いを胸に、どうにか立ち直って、ブレずに化け物退治を続けた。

 

 

 

 しかし、恋人の想いとは裏腹に、何度も人を救おうとも、理解者は一人として現れなかった。

 

 

 

 寧ろ、あの事件の後、非難の声は余計に強まっていた。

 

 

 

 日本崩壊の危機を、救ったのにも関わらず……。

 

 

 

 何故なら、戦っていたのが、大雅も『酒呑童子』と同じ鬼であったが為に、あの事件は大雅が黒幕で、国民の気を引く為に行った、自作自演ではないかと疑われた。

 

 

 

 昔話の、泣いた赤鬼の様にはいかないらしい。

 

 

 

 いつもであれば、そんな非難なんて柳に吹く風だったが、気を紛らわしてくれていた恋人がいなくなった為に、自分でも気付かぬうちに、心が荒んで行った。

 

 

 

 だが、大雅の心が壊れきる前に、件の『八岐大蛇』が現れ、自分の命を代償に、『八岐大蛇』を斃した事で、日本国内どころか、全世界を救った。

 

 

 

 大雅の人生は其処で終わり、その先の事は全く知られなかったが、魅空と夕魅はまだ顕在だったらしく、その先の光景を、剣越しから感じ取っていた。

 

 

 

 実はあの後、『八岐大蛇』を斃して世界は湧いたが、同時に、大雅も死んだ事で更に沸いていたそうだ。

 

 

 

 更に、大雅の亡骸を、弔うどころか、そのままずっと放置され続けた。

 

 

 

とんでもない罪を犯した死刑囚にだって、弔いはするのに……。

 

 

 

 最初は英雄視されていた大雅だったが、非難される切っ掛けなんて、本当に些細な事なのに、今ではこの有り様だ。

 

 

 

 それだけ、大雅の『鬼』という存在を許せなくなったのだろう。

 

 

 

 死して尚、侮辱され続けている光景を感じて、魅空と夕魅は激しい怒りを覚えたが、刀故にどうする事も出来ない自分に、余計に腹が立ったらしい。

 

 

 

 だから、彼女達は願った。

 

 

 

 主を、救って欲しいと……。

 

 

 

 そして、自分達はその救いの手助けになれればと……。

 

 

 

 そうでなければ、大雅は行きても死んでも哀れでしかないから。

 

 

 

 そして、気付いたら、何時の間にか大雅の前に、人の姿で現れていたらしい。

 

 

 

 ここまでが、大雅が死んで、彼女達が大雅の前に居るまでの顛末だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




最後まで読んで頂いた方は、かなり嫌悪したんじゃないですか?


だから書いたのに……嫌悪する場面あるよって……


大雅の人生ハードどころかルナティックモードにしたのは、それだけ辛い前世だったら、今世で良い事があると、喜びも一入じゃない?と思って、ルナティック人生にしました。


長々と書いた序章も、次回で最後かと思います。







以下、ネタバレ。
なので、ネタバレが嫌いな人は読まない様にするべし。





















ヒロインの一人として、大雅の恋人、桃瀬 絆を出す予定です。





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