世界の終わりに咲く炎花   作:航鳥

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戦闘シーン難しい。
指摘や感想、アドバイスがあれば教えてくださると幸いです。



第11話 魔剣の真価

「っくしゅん」

シーラが寒そうにくしゃみをする。湖から出て体を布で拭き取っり衣服を纏っていく。

 

「もういいですよアキ」

 

アキがいた場所に声をかけるがその声は虚空に消えていく。

 

「あれ?アキ?」

 

アキがいたはずだった場所には茂みへと力強く大地を蹴った跡だけが残っていた。何かあったのだ。シーラはそれを確信する。

シーラを目を閉じて深く息を吐くと腰にある剣に手をかける。

気を引き締めると彼女はアキの残した足跡を辿って走り出した。

 

 

アキは黒装束の男を追って進んでいる。今一度、距離を詰めているのは確かだが一向に男の姿は見えてこない。

何かがおかしい。そう感じ始めたアキは一度立ち止まり再び気配を探る。

すると、違和感の正体はすぐに分かった。

「上か!」

アキが上を見上げると枝と枝とを飛び越えて進む男の姿を捕捉した。

バレたと気付くや否や男は投げナイフで牽制を始める。

今度は喰らうまいとアキは素早い剣捌きで向かい来るナイフを次々と払い落とす。

すると今度は男が足場にしていた枝をへし折るほどの力で跳躍し、アキへと襲いかかる。

アキはその一撃をフルーレで受け止めるが衝撃に耐え切れず後ろへと飛ばされる。

「…ガハッ……」

木にぶつかり勢いが止まる。

フットワークの軽い黒装束にこの地形は些か有利らしい。

 

アキはフルーレを杖代わりに立ち上がる。すると、フルーレの刀身がメキメキと音を立てて砕け散った。

アキは一層警戒を強めると背中に背負った青い箱からディルガーンを取り出す。

 

「やるしかないか…」

 

ディルガーンを両手で握り力を込め跳躍、アキを振り払い尚も逃げようとする男に距離を詰める。

男に近づくと男はまたしても投げナイフを二本投擲する。

 

「それは、もう読んでいる」

 

アキは最小限の動きで二本のナイフを躱しきるとディルガーンを振り上げる。

そして、一歩踏み込むと同時に振り下ろした。

男は「キヒヒヒヒヒ」と妙な鳴き声のようなモノを発しながら短剣でディルガーンの斬撃を防ぐ。火花が散り、鍔迫り合いが始まる。

 

「お前、何者だ?」

「キヒヒヒ」

 

まるで会話にならない。黒装束の男はナイフの刀身をディルガーンに擦り合わせながらアキへと迫る。

 

「クッ…」

咄嗟にアキは魔力を熾すが外側から強く抑え込まれる。

男の斬撃がアキを襲う。反応が遅れたアキの左の肩から腕に掛けてその刃が振り抜かれる。アキはディルガーンの構えを解き下段からそれを振るう。

男は素早い反応でそれを防ぐ。

だがアキも読んでいたとばかりに剣に意識が向いている男に回し蹴りを浴びせる。

男が2、3メートル程すっ飛ぶのを確認しアキはディルガーンを構え直す。

 

「クソッ、力が入らねぇ…」

 

思っていたより悲惨なその状態の自分の腕を一瞥する。

左手に斬撃を浴びた際に大事な筋を持っていかれたようだ。全く力が入らない。見ると腕から血が足下へと滴っている。

 

だが、それにしてはおかしい。

まるで痛みが湧いてこない。

 

そんな疑念を他所に黒装束の男はアキへと力強く踏み込む。

「キヒヒヒ」

奇妙な声音と共に迫り来る男をアキは右手で握っているディルガーンで応戦する。

 

再びアキの脳内に疑念が走る。

剣が軽い。

 

片手で先程と遜色なく、いや先程よりも軽々と男の剣技を受け切る。男も流石に動揺したのか「キヒッ?」と驚きのような反応を見せる。

 

体が火照る。体内の魔力が著しく活性化しているような不思議な感覚がアキを侵す。

 

『我、汝と共にあり』

 

脳内に直接言葉が届く。力強いその声はアキの何かを駆り立てる。

 

「これがお前の力だってか?」

 

アキは右手の大剣へと目を移す。すると黒い刀身は光を放ち始める。

 

『汝が我に力を与うならば我は汝に力を持ってそれを返そう』

 

アキは自分の口角がつり上がっているのを感じる。どうにも悪そうな顔をしているのだろう。

 

「フッ、最高だ。俺がお前の主だ、如何なる時もお前と共に常に勝利を貪り続ける事を誓おう。まずは手始めだあの不気味な奴をぶっ潰すぞ」

 

アキはディルガーンへとありったけの魔力を流す。まるで体内で魔力が自然に巡っているような感覚で外から抑えられるようなモノは何一つ感じない。

光を放っていた刀身は忽ちその黒き姿を黄金色に変える。

 

「盛りし炎渦の胎動よ我が願いを聞き届けここに咲け『アマリリス』」

 

アキ手早く詠唱を済ませると黄金色に輝く刀身に炎の渦が包み込む。どうやらディルガーンへと流される魔力は禁魔結界の影響を受けないらしい。

アキの魔法に対する圧倒的なポテンシャルがその大剣へと体現する。

いつもの癖で放った、先程の大口も今は紛う事なき真実として説得力は十全だ。

 

「反撃開始だ。覚悟はいいか変態野郎」

 

明らかに流れの変わった空気が震撼する。運命の羅針盤はまた指し示す方向を変えていた。




今回少なめでごめんなさい。大分キリが良かったのでここで落としました。
また早い内に投稿できると思います。
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