世界の終わりに咲く炎花   作:航鳥

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エタってましたね。申し訳ありません。多大に反省させていただきます。
少し、文体までも変わってしまったかもしれません。そんな今回ですが、読んでくださると幸いです。
今回、少ないです。


第15話 海王の咆哮

竜巻が2つ着陸する。もはや海岸周辺は大嵐だ。宙を漂い既に半日の刻が過ぎている。着地した状態の上下感覚に体を慣らすために皆、何歩か進んだり戻ったりしている。

 

「さて」

 

海岸には魔力を大量に使い切ったレガーロとピーニャ、そして手負いのルーファスが海の王たるリヴァイアサンと対峙している。

 

「半日の間ずっと大型魔法を起動させ続けるとか生まれて初めての経験ですよ」

肩で息をしながらレガーロが言う。

余裕のありそうな口振りとは裏腹に魔力の消耗が激しく、中々に苦しそうだ。

 

「私も初めてだなー少し疲れたかも」

えへへと笑いながらピーニャが言う。こちらはあまり消耗の様子が伺えず発言の割に見目はピンピンしている。

 

「お疲れのところ悪いがこっからが本番だぜ。二人とも」

一言ルーファスがこぼす。その一言から緊張が走る。

嵐の前にも後にも静けさなどない。

 

「グルァァァアアアアアアア— —!」

 

それは怒りか嘆きか。もしくは唯の独り言なのかも知れない。

リヴァイアサンがその咆哮を轟かせた途端、状況は一変する。

 

『忌雨』が降り始めた。寸分の狂いもなく、かの海竜が咆哮を上げたそのタイミングで。

 

「ハッ、マジかよ…ピーニャ分析!」

「属性付与有り、水!」

「チッ、厄介な!逃げるぞコイツは対峙するには分が悪い」

 

吐き捨てるようにそう言うと、ルーファスは足元に満遍なく魔法を込めた種を投げつける。

「茂れ!」

彼の蒔いた種は即時、大きな木々や蔦へと成長する。

「そーれ!」

合わせてピーニャが無言詠唱の光魔法で海竜の目を潰しに掛かる。

 

「今の内だ、上手くいくかわからんが行くぞ」

「はい!」

「おー!」

頭上の剣を薙ぎ払いつつ進む。

着地した剣の一々からは莫大な量の水が漏れ、消える。

属性付与の力だ。

こうして属性を宿した忌雨は地に着くと同時に効力を及ぼす。ただでさえ死を運ぶこの惨劇の雨は、属性付与を伴ってより悪質な、周囲の生けとし生けるもの全てを殲滅する脅威となる。

 

水位を上げるその水に足を取られぬようルーファスたちは、ルーファスの種から茂った木と木の間を飛び進む。

 

「グルァアアアアアアアアア!」

リヴァイアサンの哭く聲が響き渡る。ここまで一緒に連れて来てしまったのが失策だったようだ。ルーファスたちは一瞬でそう理解する。なまじ実力がある分彼らは後方から迫る信じられないような魔力に極度の危機感を覚える。

伝承通りならば、津波が発生する。

そう言い伝えられている。

そしてそれは誇張でもなんでもないのだとそう3人は確信する。

ルーファスは視界からそれを逃れる術を探すも周囲に広がるのは水の氾濫した大地とそこに流れる木片、後は自分が作り出した木々の数々だ。希望なんてないに等しい。

 

「なぁ、ピーニャ…アレ止めれる?」

弱々しく彼はそう問う。

「うーん、全快なら…なんとか」

「だよなぁ…」

 

つまり、不可能だ。

 

「クッ、一か八か流されるぞ!レガーロももう少し踏ん張れ、できるだけ勢いは止めてやるからピーニャと丈夫な匣を作れ」

「……しょうがないですね…」

本当に弱々しい声だとルーファスは思う、そういえば無茶ばかりさせている。

 

ルーファスはチッと舌打ちをすると種を作りだす。飛びっきりの魔力をこめて。

「俺も、無茶するか…頑張るのとかマジで嫌いなんだけどなぁ…

種の数を増していく。従来の彼が一度に作っておける数は23。そして彼は今それを遥かに超えて30の魔法の種を作りだした。

 

「グルァアアアアア— —!」

もう一度の激昂。

「神よ、主在りし日の贖いを今ここに『アイアンジェイル』」

ピーニャのフル詠唱付きの土魔法。

彼女声音はいつになく真剣なものだと気づくルーファスは現状の悪さを心の中で静かに嘆く。

「大地に根を張り天をも穿て『ユグドレイル』」

ルーファスの30の種が一斉にその背を伸ばす。それは絡み合い壁となって彼らの前に聳え立つ。

「女神の愛よ、我が身を守れ『護盾』」

レガーロの振り絞った魔法。

 

3人の全力、全ての力がこの一瞬に集約する。

隙間なく生い茂った木々の壁に天まで届きそうな程の高さを誇った津波が迫る。まるで大陸一つぐらい飲み込んでしまうのではないかとさえルーファスは感じた。ピーニャの土魔法が鉄の匣を作りだし中に3人を閉じ込める、そしてレガーロの結界魔法がそれを覆う。

 

「もってくれよ – –!」苦々しくそう呟くと3人は自分の魔法の操作にと意識を集中させた。

苦しさと、魔法を酷使し限界に近づいていく感覚が増していくのを感じながら。




ご閲覧ありがとうございました。

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