世界の終わりに咲く炎花   作:航鳥

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遅くなりましたすみません。


第8話 孤独のエルフ

シーラはアキに紅茶のような飲み物を作って差し出すと自分の過去を話だした。

 

「これは今から大分昔の事です。

160年いや、170年くらい前でしょうか?まぁ、あの忌まわしい剣撃の雨が降るよりも昔の話です。

私、シーラは孤児としてエルフの国の修道院で育てられていました。

それはもう暖かく。

修道士の方々、他の子供たち、みんなが優しくしてくれてました。

それを今でも薄っすらと覚えていられる程には私にとっては暖かな日々でした。

 

しかし、私が10歳になる頃に転機が訪れました。

元来エルフの国では10歳になると魔法の基礎教育が始まります。

私も、例外ではありませんでした。

魔法教育はまず始めに魔力量を量ります。ここから各自の伸ばし方を考えるからです。

しかし、ここで問題が起きました。

私の体には魔力が備わっていなかったのです。

エルフは魔法に特化した長寿の種族です。それ故に魔法が使えないなんてことは史上初だったそうです。

孤児だった私は他種族や混血など彼等にとって最も忌むべき子である可能性を指摘され次第に周りから人が消えていきました。

修道院のみなさんも私を捨てることこそしませんでしたが、私と彼等の距離は日を追う毎に離れて行ったように感じます。そして、段々と私は孤立していきました。

 

それからかなりの年月が過ぎた日のことです。

今から凡そ80年程前ぐらいだったでしょうか?

忌雨が降るようになって私達エルフ族は結界を作って自分達の身を守っていました。

外からの魔法や魔力を一切受け付けない強力な結界です。

しかし、その結界の術式に不備があったとかでエルフは領土を捨てて移住することに決まりました。

そして、私には移住の手管、目的地その一切が伝わることはなく、私はこの森の不完全な結界の中に取り残されてしまいました。

それから長く長く独りこの森で過ごしています」

 

アキは一言も口を挟まず、シーラの話を聞いていた。

それは、思う言葉が見つからないのもそうだが彼女が話をしているとき彼女はとても生き生きとしていたからだ。

 

一通りを話し終えるとシーラは紅茶のような飲み物に一口、口を付ける。

 

「すみません、話すぎてしまいましたね」

 

そう言い彼女は優しく笑った。

恐らく、彼女の言うことは全部真実なのだろう。アキはそう考える。

 

長い長い孤独。想像するだけでアキは震える。ルーファスやバニラ、街の人々、彼等に会えない日々は想像するだけでとても苦痛だった。

 

「大丈夫ですよ。シーラさんのことを知れて良かったです」

 

「ふふふ、優しいですねアキは。その口調も私に合わせてくれているのでしょう?」

 

「いや、そんなことはないですよ」

 

「そうですか?無理してるのを感じますよ。あと私のこともシーラで構いませんから」

 

「…それじゃあ、お言葉に甘えて…」

 

「ふふふ、アキは面白い人ですね」

 

「そんなことないよ、ただシーラがエルフなら絶対俺より年上だから丁寧にすべきかなって」

 

「そんな配慮要りませんよ、私だってもう何十年も森から出てないですし、外の事も知りません。まぁ、アレです。赤子のようなものですよ」

 

「随分、長生きな赤子ですね」

 

「むむっ、それは失礼ですよ!そしたらアキなんて産まれたても同然なのですからね!」

 

シーラは明るく笑う。

それにつられてアキも微笑む。

 

「それでは、次はアキのことを聞かせてください」

 

そう訊かれアキはここまで来ることになった経緯を一から話した。

人族について、コレクターという自分の立場について、莫大な魔力を持つ魔剣に転移させられたことについてを。

 

「そうだったのですか。本当に大変だったのですね」

 

驚きの表情を残してシーラが言う。

 

「うん、まぁ、そうだね」

 

「それでは、これからはリギート大陸を目指すのですか?」

 

「うーん、それは止めようと思ってる。忌雨のことだってあるからね」

 

「まぁ、その方が安全だとは思いますが…何かアテはあるので?」

 

「この剣がここに俺を導いたならこの剣が俺を元の場所に帰してくれるかなって」

 

そう言うとシーラは険しい顔をする。

 

「それは希望的推測に過ぎないのでは?」

 

「いや、それが…」とアキはこの剣に宿る意志のようなものや今朝の夢について話す。

 

「なるほど、だとすると何かを成さなければならないのですね」

 

「そうなります、ところでシーラ」

 

「はい、なんでしょう?」

 

「光の柱って知ってる?そこを目指すように言われているんだけど」

 

「言われてるって剣にですか?」

 

アキは首を縦に降る。すると、シーラは少し驚いたような表情に変わる。

 

「光の柱ですか…思い違いじゃなければ子供の頃に聞いた寓話か何かにあった気がしますけど…」

 

「覚えてる⁈」

 

思ったより近くに答えがあったことに驚きつつアキは問う。

 

「いえ…」と彼女は首を横に降る。

 

「ですが、運が良ければ図書館に残っているでしょう。これでも偶に掃除にいって整えているんですよ」

 

少し得意げに胸を張るシーラを見てアキはどこか暖かな気持ちになる。

 

「じゃあ、行こう!今すぐに」

 

希望の光が差し始め、アキはゆっくりと歩を進め始めた。




今回少なめですみませんでした。
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