俺達、ツインテールになります。〜赤い勇気と白い絆〜   作:スターダストライダー

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今回は、アルティメギルの中でも1、2位を争うぐらいの変態度を持つエレメリアンの登場です。
それでは、どうぞ。


Tail14:驚異の妄想力! フォクスギルディ現る

「ふぁ〜……」

 

幕張での戦いから2日経ったある日の休日。テイルレッドこと観束 総二は、あくびを一つしてからリビングへ入ると、奇妙な光景が目に入った。

 

「……トゥアール? どうしたんだ、その傷?」

 

椅子に座っているトゥアールの顔には大量の絆創膏が貼られていたのだ。よく見ると頬は腫れている。

 

「き、気になさらないでください……。私は大丈夫です。ただ、世の中には科学の力を持ってしても覆せない事もあると身に染みて感じました……」

「……? (もしかして……)」

 

ふと、総二の脳裏に浮かんだのは、先日、秘密基地を散策していた際、偶然立ち入った武器開発室と呼ばれる部屋にあったホワイトボードに書かれていた、数式に紛れて「アンチアイカシステム」という悍ましい文字を発見してしまった事だった。

昨日、風呂に入る前にテイルレッドになって自身のツインテールを堪能してから風呂に入っていた時に、下の方で騒がしかったが、もしかしたら、そのアンチアイカシステムが起動したのは良いが、愛香にあっさり壊されて反撃を受けたのだとしたら……。

そこまで思考が回った時、総二は恐ろしくなって頭を振って想像するのを止めにした。とりあえず席に座ると、未春が総二の分のトーストやミルクティーを机に置いてから、ニヤニヤしながら総二に言った。

 

「まぁ、とりあえず今日は休日なんだし、トゥアールちゃんを労ってあげてね♪」

「あ、ありがとうございます! 私の体をなんなりとご活用ください!」

「いや、そう言われてもな……」

 

総二が困惑していると、下の方から康太と愛香の声が聞こえてきた。どうやら遊びに来たらしい。アルティメギルが襲来してからは、2人は休日にも家に来る事が多くなった。

総二が声をかけようとした時、不意にトゥアールの白衣のポケットからアラームが鳴り始めた。

 

「! これって……!」

「エレメリアン反応です!」

 

トゥアールの言葉を受けて、総二と何故か未春の2人の表情が引き締まった。トゥアールが先頭に立って扉を開けると、ちょうど階段を上がって来た2人とすれ違った。

 

「な、何? どうしたの?」

「エレメリアンが現れたんだ! 康太、行くぞ!」

「マジかよ……! 休日だってのに……」

 

康太は若干愚痴りながらも、秘密基地に向かう事にした。愛香も総二と未春に続いてついていった。

エレベーターで降下する中、トゥアールが総二と康太にある事を伝えた。

 

「総二様、康太様。昨夜のメンテナンスで、エレメーラオーブを使えるように改良しておきました。今後はそれらを活用してみてください」

「エレメーラオーブを?」

「はい。これまでお二方が回収したエレメーラオーブを使って、属性力変換機構(エレメリーション)システムを起動させる事で、その属性力の力を操る事が出来るのです」

「なるほどな。攻撃のバリエーションを増やせるって事か……」

 

康太が頷いて納得していると、総二はトゥアールにこう告げた。

 

「気持ちはありがたいけど、俺はツインテールの戦士だ。出来る限り、ツインテール属性の力だけで戦いたい」

「そーじ……」

 

愛香が心配そうに総二を見つめる中、今度は康太がトゥアールに言った。

 

「なら、そのエレメーラオーブは俺が預かっておこっか。戦力が増えるなら、それに越した事はないからな。それに、俺は総二ほどツインテール一筋で戦おうとは思わないし」

「分かりました。では、変身後、康太様のテイルブレスに転送しておきます」

 

トゥアールがそう言うのと同時に秘密基地に辿り着いた一同は、一斉に定位置についた。総二と康太は転送装置に向かいながら、

 

「「テイル・オン!」」

 

と叫んでテイルギアを身に纏うと、転送装置に乗り込んでエレメリアンが現れたとされる場所に出撃した。

 

 

 

 

 

光が解けて辺りを見回すと、そこはお花畑だった。一面に花が咲き誇っており、どこかの外国のようだが、これまでと違うのは、ギャラリーらしき人影が一切見当たらないのだ。

 

「……あれ?」

「えらく静かな場所だな……」

 

2人が困惑していると、

 

「あぁ、やっとお逢い出来ましたね、テイルレッド、そしてテイルホワイト!」

 

ハッと振り返ると、そこには灰色の体に白いリボンのような紐がついているエレメリアンが恍惚とした表情で立っていた。

敵の戦力が未知数な為、まさか連日戦いの日々を送る事になるとは思っていなかったホワイトは苦々しい表情を浮かべていたが、エレメリアンは気にする事なく自己紹介を始めた。

 

「私はフォクスギルディ。以後、お見知り置きを……」

「誰が覚えるかよ!」

「全くだぜ……。こっちは毎日律儀にやって来るお前らの相手をしなきゃならないから、今日ぐらいは休みたかったのにな」

 

2人が呆れる中でも、フォクスギルディは平然と話をしていた。

 

「その同胞達はことごとくあなた方に倒されてきた。故に今回はあなた方を堕とす為だけにきました」

「なるほどな。それだけ俺達も警戒されるようになったって訳か」

 

とはいえ、これだけ周りに人がいない状況なら、危害が及ぶ事も無いし、マスコミに騒がれる事も無い為、こちらとしてはありがたい限りだった。

 

「なら、一気にカタをつけてやるぜ!」

「そうだな!」

 

2人はブレイザーブレイドとシャイニンググローブを具現化して構えた。しかし、フォクスギルディは怯むことなく、目線を2人に付けられているリボン型パーツ……フォースリヴォンに向けながら言った。

 

「ふふふ……。可憐でありながら力強い、素敵なリボンだ。見ているだけで心がとろけそうですよ」

「そこまでリボンを強調するって事は、さしずめリボンに関する属性力を持ってるって事だな?」

「その通り! さすがはテイルホワイト! あなたの推理通り、私は髪紐(リボン)属性を持つ者。それを初見で見破るとは、やはりあなたはリボンに魅入られていますね〜!」

「別に褒められても嬉しかねぇけどな」

 

ホワイトは冷ややかな眼差しを向けるが、フォクスギルディにはまるで通じていなかった。

 

「それにしても、屈強な同胞達を倒した武器がリボンより生まれ出でし物だったとは、運命を感じますねぇ! ハァッ!」

 

すると、フォクスギルディはどこからともなくピンク色のリボン紐を取り出して2人めがけて放った。

 

「な、何だこれ⁉︎」

「うぉっ!」

 

ホワイトは横に飛んで回避したが、レッドはブレイザーブレイドを振り回して斬ろうとしたが、変幻自在に動くリボンに翻弄されて、ついには体をリボンに巻かれてしまった。

 

「! レッド!」

「ふむ。ホワイトにつけるよりも前に、先ずは彼女につけた方が良いかと思いましてね。その予感は当たりました! やはり幼女にはピンクのリボンが一番似合う。私に全てを捧げてくれるのですね?」

「き、気色悪い事言うなぁ!」

「レッド! 今助ける!」

 

ホワイトが慌ててレッドに巻きつかれたリボンを引き千切ろうとしたが、それよりも早く、フォクスギルディが次の段階に移った。

 

「いいえ、捧げてもらいますよ!」

 

一瞬、レッドの体が光ったかと思うと、リボンはあっさりとレッドから離れて、フォクスギルディの方に戻っていった。そして、フォクスギルディの前で球体に変化して、淡いピンク色の光に包まれた。

 

「……何だ?」

 

2人が不思議に思う中、それを見たフォクスギルディは何かを感じ取ったのか、歓喜した。

 

「おお……! こ、これほどのものとは……! グフォ……!」

 

何故か鼻から吐血して膝をつく始末。2人は目の前の光景に困惑していた。

 

「……はい?」

「な、何だこいつ? そんなに強くないのか?」

 

すると、通信機からトゥアールの声が聞こえてきた。

 

「油断してはなりません、レッド、ホワイト。今のうちに斬っちゃうべきです!」

「そうだな! 行くぞ、ホワイト!」

「あぁ!」

 

2人が気を取り直してフォクスギルディに向かおうとしたが、時すでに遅し、フォクスギルディは行動を起こしていた。

 

「……もう遅い! 結晶せよ、我が愛! はぁぁぁっ!」

 

すると、球体から2本のリボンが飛び出してフォースリヴォンと同じ形になった。さらにリボンから突然ツインテールが形成された。

 

「な、何だ⁉︎」

「これって、まさか……!」

 

ホワイトが嫌な予感を感じながらその光景を見ていると、その予感が的中した。ツインテールから頭が、頭から胴体が、胴体から手足が出揃って、人型になった。

そう、その姿こそ、まごう事なきテイルレッドの姿そのものだった。

 

「お、俺と同じ……⁉︎」

 

2人や、秘密基地にいたメンバーが驚く中、フォクスギルディはもう一度リボンを取り出して、レッドの等身大人形の体に結んだ。

 

「リボンとは、結ぶもの。特にツインテールを引き立たせるには唯一無二の存在。あなたのその神々しきツインテール属性、僭越ながら私の属性力にて結ばさせていただきました」

「俺の力をコピーしたのか⁉︎」

「ふはは! まさか。これはただの人形です。ましてやリザドギルディほどの強大なドール属性を持たぬ私では、自ら動かす事も出来ませんからね」

「(つまり、こいつはリボン属性とドール属性の2つを兼ね備えているって事か……⁉︎)」

 

以前、トゥアールから、場合によっては属性力を2つ以上持つ者も稀にいると言っていたが、どうやらそのパターンが今回対峙しているフォクスギルディのようだ。

本来備えているリボン属性に加えて、ドール属性を利用して、リボンにコピーした外見を人形に仕立て上げるのが彼の能力のようだ。

 

「(けど、力までコピー出来ないなら、そんなに恐れるものでも無いよな……?)」

 

ホワイトがそう思っていた次の瞬間、フォクスギルディはとんでもない事をしでかした。

 

「ですが、外見だけはこの通り見事なものでしょう? ンフフ……」

 

その人形の頬に自分の頬を擦り付けて、いやらしい目つきで堪能した。

 

「ひぃぃぃぃぃっ……!」

「おぁぁぁぁぁっ……⁉︎」

 

その光景に、レッドとホワイトは悪寒を感じて鳥肌がたった。次にフォクスギルディは人形の手を取り、ダンスを踊り始めた。人形は無表情とはいえ、ツインテールがなびいているように、あまりにもリアルに出来た造りからは、さながら本当のダンスを踊っているように見えた。これで音楽が流れていたらさぞかし本物と見間違えてしまうだろうが、今の2人には悍ましく見えた。

 

「て、テメェ! な、何してんだよ……!」

「き、気持ち悪りぃ……!」

 

2人が戦慄する中、フォクスギルディはさらに追い討ちをかけるように次のステップに入った。

 

「ふふふ……。まだまだ行きますよ」

 

そう言って指をパチンと鳴らすと、辺りが光に包まれた。すると、フォクスギルディがこんな事を言い出した。

 

「おぉ、これこれ。走ってはいけませんよ。まだ体を拭き終わっていないのですから。湯冷めしちゃいますよ」

「どんな妄想してんだよぉぉぉぉぉっ⁉︎」

 

レッドが叫ぶ中、2人の視界には、何故か風呂場の光景が入ってきた。

 

「あ、あれ……? なんか、やけにリアルに見えるような……」

「く、くそ……! これは、幻覚だ……! そうじゃなきゃ絶対におかしい……!」

 

ホワイトはどうにかして正気に戻ろうとしているが、人形が本物の幼女のように動いているように見えてしまっている。仕舞いには、

 

「あぁ、お待ちなさい。せっかく風呂に入ったのに、アイスキャンディーでそんなにベタベタにしてしまって……。やれやれ、いけない子ですね。うふふ……」

「ぎょえぇぇぇぇぇっ⁉︎」

「ぬぁぁぁぁぁぉっ!」

 

ネットリとしたフォクスギルディの発言に、遂に2人は頭を抱えて地面に転がった。ホワイトに至っては、もう少しで、もう一つのお花畑を作り出してしまう寸前だった。

 

「キモ〜! そーじ、こーた! さっさとやっつけちゃいなさいよ!」

「そ、そうです! そんな紛い物、構わず粉々にしてしまえばいいんです!」

 

通信機からも愛香の悲鳴が聞こえてきた。

 

「は、破壊……」

「……そうだな! あんなもん、ぶっ壊せばそれで論破だ!」

 

幸いにも、フォクスギルディは無防備な状態だ。ホワイトは気を取り直して、再度拳を握ってフォクスギルディに立ち向かおうとした時、不意にレッドがホワイトの腕を強く掴んだ。

 

「なっ⁉︎ レッド⁉︎ 何してんだよ⁉︎ 早くあれを壊さなきゃ……」

「……出来ねぇ」

「はっ……?」

 

驚くホワイトに対して、レッドは人形を見つめながら苦悶の表情を浮かべた。

 

「お前には分からないかもしれない……。あんなに凄ぇツインテールを壊すなんて、俺には出来ねぇ!」

「け、けど、あれは偽物で……!」

「偽物でも、あれはれっきとしたツインテールなんだ! ツインテールに罪は無い! それを俺達が裁くなんて、そんなの許されるはずが無い……!」

 

悔しそうに呟くレッドに、

 

「……アホかぁァァァァ!」

「んな事言ってる場合じゃねぇだろ! あいつを倒さなきゃ、この世界はあいつらの思うがままになっちまうんだぞ⁉︎ どこまでツインテールバカなんだよお前は!」

 

ホワイトと愛香の強烈なツッコミが炸裂した。

その光景を、人形を撫でながら見ていたフォクスギルディが、感心したように言った。

 

「テイルレッド。やはりあなたは本物だ」

「何⁉︎」

「テイルホワイトの言う通り、これはただの人形。それでもあなたには破壊出来ない。ツインテールを愛し、最強のツインテール属性を持つあなたには、ツインテールを滅する事は出来ないのですよ」

「くっ……! それがお前の目的だったって訳か……!」

 

普通に考えれば、何という事の無い戦略だ。心理戦とはいえ、ツインテールを意識しなければいくらでも対処出来る。しかし、今回に限ってはテイルレッドの精神に大ダメージを与えており、その結果まんまと術中にはまってしまったのだ。

 

「俺は……、俺は……!」

「ふふふ……。さて、お次はテイルホワイトの番ですよ。私と戯れなさい」

 

すると今度はフォクスギルディが人形に巻かれていたリボンを操り、身動きが封じられていたホワイトの腕に巻き付いた。

 

「何⁉︎」

 

ホワイトが驚いていると、ホワイトと人形が光に包まれて、瞬時に人形がレッドのそばに、ホワイトがフォクスギルディの前にと入れ替わってしまった。

 

「こ、これは……!」

 

ホワイトは先ほどまでの人形のようにリボンで拘束されており、手の自由が利かなくなってしまっている。

その光景を見て歓喜したフォクスギルディは巨大なリボンを用意して、ホワイトの体に結びつけた。

 

「ふふふ。あなたにはこのリボンが似合います。可愛くしてあげますからね♪」

「や、やめろぉぉぉぉぉっ⁉︎」

 

ホワイトが叫びながら抵抗するが、フォクスギルディがリボンをきつく結んでいるため、手を動かす事すら出来なかった。

 

「(くそ……! レッドも気力を無くしてるし、こんな時に、エレメリーションが使えればなんとか出来るかもしれないのに、手が使えないんじゃどうしようもねぇ……!)」

 

歯ぎしりをしながら、ホワイトはどうする事も出来ず、フォクスギルディの良いようにされていた。レッドも戦意を喪失してしまい、どうする事も出来ない状態。

果たして、この窮地を脱する方法はあるのだろうか?




という訳で今回はこの辺で。
それにしても、フォクスギルディってめっさ気持ち悪いですね……。アニメで見たら余計に戦慄して……。

次回は遂にあの蛮族(?)が大活躍!

それでは、次回「新戦力登場! その名はテイルブルー!」に、テイル・オン!
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