俺達、ツインテールになります。〜赤い勇気と白い絆〜   作:スターダストライダー

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お待たせしました。
今回はテイルブルーの辱めタイムです。
では、どうぞ。


Tail16:破壊神の理解者はヒーロー好き?

「何なのよこれぇぇぇぇぇぇっ!」

 

新たな仲間、テイルブルーが加わり、強敵フォクスギルディを倒した翌日の早朝、破壊神こと津辺 愛香の咆哮が観束家に響き渡った。

 

「俺が聞きてぇよ…。むちゃくちゃ恥ずかしい姿が映っちゃってるし……」

「こうして見ると、中々のもんだな……」

 

3人は現在、テレビに映る、変身した自分達の様子を見て感想を述べていた。

テレビでは、特にテイルレッドがフォクスギルディにいじめられて涙目でへたり込む(実際は少し違うが…)様子や、テイルホワイトがエレメリーションで反撃する様子が取り上げられていたが、肝心のテイルブルーにはほとんどノータッチだった。

 

『それにしても、昨日の彼女達の奮闘は素晴らしいものでしたね!』

『そうですね。小さいながらも果敢に怪物達に立ち向かうテイルレッドには、本当に感銘しますよ』

『私としては、テイルホワイトの逆転劇には賞賛の意を表しますよ。あの状況下で敵の弱点を突く。中々の策士である事が伺えます』

『世界各国からも、惜しみない声援が届けられており、各国首脳も支援を行う方針が示されています』

 

などと、世界を巻き込むほどに大々的に報道される一方、ブルーに関しては、良くてもこんな風に伝えられていた。

 

『しかし、その一方で突如現れた、テイルブルーと名乗る少女の登場。皆さんはどう思われますか?』

『そうですね……。ただ、映像から判断するに、非常に暴力的な性格が伺えます。実際、彼女はテイルレッドに模した人形を躊躇無く破壊していますからね』

『なるほど。つまりは彼女が2人の味方かどうか分からないと?』

『えぇ。今の段階で判断するのはいささか危険でしょう』

 

と、かなり大真面目に議論されているのを見て、愛香は軽く発狂した。

 

「何でよ⁉︎ あっちもこっちもレッドやホワイトばっかりじゃない! 同じ正義の味方なのにどうしてあたしはこんなに評判が悪いのよ! テレビもネットもブルーに関しては爪弾きにあってるし!」

「お前、ネットまでチェックしてたのかよ!」

「結構勇気あるよな…。俺もさすがに怖くてここ最近は開いて無いぞ?」

 

2人が愛香の度胸を賞賛する中、愛香はイライラしていた。

 

「……まぁ、ネットは悪口の方が多いのも仕方ないとは思ってたわよ。それでで嫌な思いしたからテレビなら…って思ってたのにこの反応よ!」

「テレビもテレビで酷かった気もするけど、ネットはそれ以上なのか?」

「そりゃあ酷いものよ! ネットでブルーを絶賛する書き込みしたら、音速で「自己乙」ってレズが返って来るし! あるいは「本人さんチース」とか、他には……」

「ほとんど事実だけど……」

 

康太が最後まで言い切る前に、愛香の空手チョップが炸裂し、康太は床にうずくまった。

 

「仕舞いには動画サイトじゃあたしのIDをNG推奨って晒されるし、本当に酷いものよ!」

 

総二は康太の無事を確認してから、愛香にこう言った。

 

「別にいいじゃないか。人気者になりたくて戦い始めたわけじゃないんだろ?」

「あんた達は大人気だからそんな余裕かましてられるのよ! 何かこう……、メディアに露出したのにハブられるって、モヤモヤするのよ!」

「う〜ん……。分かるような、分からないような…」

 

頭を押さえながら康太は呟いた。

ちなみに未春は、愛香がテイルブルーになった事に素直に喜んでおり、愛香も照れながら笑っていたのだが……。

そこへ、トゥアールが邪悪な笑みを浮かべながら、自前のものであろうパソコンを手に持って現れた。

 

「愛香さん。テイルブルーも人気には違いありませんよ。ほら」

 

そう言って見せた画面には確かに非難しているコメントは見られなかったが、その代わり、胸の事をかなり強調しているものが多かった。

 

「誰が書いたのよこんな事! トゥアール! 今すぐ消して! あんたなら出来るでしょ⁉︎」

「いや、さすがに個人情報は保護されてないと……」

「あたしの身体的悩みも保護しなさいよ!」

「……まぁ、愛香さんの場合はツインテール属性よりも貧乳属性が勝っているのかもしれませんね」

「胸が小さい事も、エレメーラに関係するのか?」

「本人が気にかけていれば、もちろんそれもありです」

「なるほどな…」

 

総二と康太がトゥアールの説明に納得する中、愛香は歯ぎしりしながら、トゥアールを睨みつけていたが、すかさずトゥアールが手を打った。

 

「いけませんよ愛香さん! そうやってまたすぐに手を出すから、世間から悪く言われるんですよ!」

「ぬぐぐ……!」

 

図星を言われた愛香は押し黙るしか無かった。それをいい事に、トゥアールは鬱憤を晴らさんとばかりにネチネチと言い始めた。

 

「悔しかったら先ずはすぐに人を殴る癖を直しましょう。それが直る頃にはきっと皆さんもブルーの事を認めてくれますよ。…レッドやホワイトの引き立て役として」

 

刹那、トゥアールの両目に愛香の二本指が突き刺さった。

 

「ギャァァァァァァ!」

「言ってる側から何してんの⁉︎」

「しょうがないでしょ! トゥアールの話聞いてると、何か体が勝手に反応しちゃうのよ!」

「反射神経が敏感になってるって訳か。まったくお前は…」

 

康太が呆れていたその時、愛香はトゥアールの持つパソコンに目がいった。

 

「……ねぇ、そのパソコン」

「……あっ!」

 

何かを感じ取ったのか、愛香はパソコンをひったくって、テーブルの上に置いて器用にキーボードを動かした。そして起動していたブラウザの検索欄に「じ」と入れて見ると、予測変換機能が働いて、1番上の欄に「自己乙」と出てきた。

 

「「「……」」」

 

総二と康太も思わず顔をパソコンに近づけた。トゥアールは完全に顔を青ざめている。不意に愛香はブラウザを最小化してデスクトップにあった、ある一つのテキストファイルをクリックすると、そこにはテイルブルーへの書き込みが下書きとして箇条書きされていた。

『マゾなの…?』というくだりもそこにあった。それを見た瞬間、愛香はトゥアールの首を即座に絞めた。

 

「テメェが犯人かぁぁぁぁっ!」

「ひぃぃぃぃぃっ!」

「世界を飛び越える科学力持ってるくせにちまちまネット弁慶してんじゃないわよ!」

「愛香さんには分かりませんよね! 力無き者の最後の心の拠り所がであるネットにまで口出ししてきて、これだからリア充は嫌いなんですよ!」

「個人への中傷を心の拠り所にすんなやボケェ!」

「そして私は大傷を負うっ!」

 

いつも通りといえばいつも通りなのだが、時折鈍い音が聞こえて来るので、総二は自然と目を背けていた。無論、康太も同じようにしていた。そんな中、トゥアールは虚ろな目でこう呟いた。

 

「う、うふふ……。薄々気付いていましたが、お二方は痛めつけられている私を見て恍惚感を得ているのですね…。そういうエレメーラもお持ちのようですね」

「「違うから」」

「隠さなくても結構です……。例えそうであっても私は心を殺してこの仕打ちに耐えてみせますよ。常人ならとっくに絶命しているこの苦行に…」

 

言いながら、トゥアールはぐったりとして倒れこんだ。

 

「「トゥアール!」」

 

慌てて2人は愛香をトゥアールから引き離して、どうにかなだめる事でトゥアールの寿命は絶えずに済んだ。……多分。

 

 

 

 

 

それから3人は学校に登校する事になるのだが、未だに愛香の足取りは重かった。

 

「はぁ……」

「元気出せって。トゥアールも言ってたみたいに、そのうちブルーも人気になるって」

「全く説得力が無いんですけど……。……っていうか、今更かもしれないけど、「ブレイクレリーズ」とか、「オーラピラー」とか叫ぶ必要ある?」

「あるんじゃね? 実際やる気が出たりとか、集中出来たりとか……」

「そうだな。これ以上愛香の愛玩動物みたいな扱いも見てられないし、出来る限りヒーローっぽく振る舞おうぜ。多少大袈裟でもさ」

「効果あるのかな……?」

「つーか愛香だって初戦から結構ノリノリだったのに、今更気にする所かよ? 俺もそうだったけど」

「あの時は自己暗示も含めてヤケクソ気味だったのよ! なるべくあんた達と同じようにしようと思ったのよ!」

 

そう言い終わってから、愛香は何故かそっぽを向いてこう呟いた。

 

「戦う事に関してはいいのよ。自分で決めたからね。でもさ、もう少し淡々とやっても良いと思うんだけど?」

「いわゆる、孤高のヒーローってやつか?」

「そう、それ」

「……あいつらがそうしてくれる機会を作ってくれればの話だけどな」

 

康太がため息をつきながら、校門をくぐろうとした時、不意に総二が立ち止まった。

 

「……? どうした?」

「……増えてる」

「はっ?」

「ツインテールにしてる人達が増えてんだよ!」

 

総二が歓喜しながら見つめるその先には、確かにツインテールにしている女子生徒達が大勢いた。どうやらツインテイルズの活躍もあって、ツインテールによる経済効果が出ているようだ。

 

「確かに増えてるな……」

「本当ね」

 

2人も意外そうに呟く中、総二がふとある事を思い出した。

 

「ツインテールといえば、生徒会長って、いつからツインテールにしてたんだろう?」

「何でいきなりその話になるのよ⁉︎」

「いや、だってあんなに凄いツインテールの人なら中学の時に絶対気付いてるよなって思って……」

「クラスの子から聞いたんだけどさ。会長って高等部からの編入らしいよ。それなのに半年足らずで学園の顔になったみたい」

「へぇ……」

 

総二がそう呟いていると、

 

「おはよう! 良い朝ですわね!」

 

背後から女子の声が聞こえてきた。振り返ると、噂をすれば何とやら、そこには生徒会長の神堂 慧理那がいた。その側には護衛に付いていたメイドもいる。

 

「あっ。おはようございます。なんか機嫌良いですね」

「えぇ! レッドとホワイトに仲間がいると分かって、嬉しいんですの!」

「! そ、そうですよね! やっぱテイルブルーは最高ですよね!」

「はい! 本当に……」

 

さっきまでの不機嫌さはどこへ行ったのか、愛香は自然と明るい表情になり、慧理那と意気投合していた。

 

「2人に仲間がいてくれて、本当に良かったと思ってます。どんなに強くても、2人だけではいつか辛くなるでしょうけど、仲間がいればいるほど支えあっていけますもの。私達がどれだけ応援しても、本当の意味で支える事は出来ない……。だから、テイルブルーの登場は本当に嬉しいのですわ」

「会長は本当にツインテイルズを応援してるんですね」

 

熱く語る慧理那を見て、総二はそう質問した。慧理那は恥ずかしがりながらこう返した。

 

「この歳で変だと思うかもしれませんが、私、ヒーローに憧れていますの。ですから未だに子供向け特撮番組を見たり、玩具を買ったり……。全校集会が行われた時に言ってた、私が襲われたあの日もメイド達の目を盗んでヒーローイベントに足を運んでいて、その帰りに彼らに……」

「そうだったんですか……」

 

後から分かった事だが、リザドギルディが現れたあの日、「マクシーム空果」ではヒーローショーが行われていたらしい。身長の低い慧理那なら違和感無く溶けこめるだろうと3人は思ったが、口に出さないでおいた。

 

「だから、運命を感じますの。レッドとホワイトに出会い、助けられた事に……」

「運命……」

「あら、失礼。何故こんな事を話したのでしょう……」

 

それを聞いて2人は一瞬どきりとしたが、総二はすぐに切り返した。

 

「会長。きっとレッドもホワイトも、そしてブルーも会長みたいに応援してくれる人がいる事を本当にありがたく思ってる。心の支えになってる筈だよ」

「俺もそう思う。応援って、結構励みになるからなぁ。中学の時は空手の大会で2人が応援してくれた事が嬉しかったし……」

「ありがとう。確か、観束 総二君と風宮 康太君でしたね」

「俺達の名前、知ってるんですか⁉︎」

「当然ですわ。生徒会長ですから。……あら?」

 

不意に慧理那は、総二の顔に近づいた。

 

「か、会長? どうかしましたか……?」

 

総二が顔を赤くして呟いた。隣では愛香がムッとした表情で総二を睨んでいる。

 

「気のせい、ですわね。ごめんなさいね。それでは……」

 

そう言って笑みを浮かべながら校舎に入ろうとした時、ふと思い出したように振り返って総二に告げた。

 

「そういえば、観束君。ツインテール部の申請の件ですが……」

「あっ、はい!」

「同好会としてですが、上手く部活として通りそうですよ。良かったですわね」

 

それだけ告げると、今度こそ校舎に入って行った。康太と愛香はポカーンとしてたが、ただ一人、総二は喜びのあまり、愛香のツインテールを掴んでいた。

 

「やった……! やったぞ、康太、愛香! ツインテール部が正式に認められるなんて、本当に嬉しいぜ!」

「……マジで?」

 

もはや呆れを通り越して、驚きを隠せなかった康太はポツリと呟いた。

 

 

 

 

 

 

その日の夜、康太は自室のベッドで寝転がっていた。この日は珍しくエレメリアンが現れず、久々にくつろぐ事が出来た。

すると、玄関の扉が開く音が聞こえてきて、男性の声が聞こえてきた。

 

「ただいま〜」

「お帰り〜、あなた♪」

 

どうやら出張で海外にいた父親が帰って来たようだ。そう聞こえてきたので一階に下りると、康太の両親がキスをしているのが見えた。もっとも、康太にとっては日常茶飯事の光景だったから、もうそれほど気にしてなかった。

父の名は風宮 源三郎(げんざぶろう)。とある大手国際企業に勤めており、その信頼は誰からも厚いものである。

母の名は風宮 絵理香(えりか)。実は彼女は総二の母の未春とは中学までの同級生であり、親友でもあるのだ。その影響か、未春ほどではないにしろ、時折中二病を発症したりする。

どちらもアクション映画の鑑賞が趣味であり、その縁あって結婚し、康太を産んだのだ。康太が空手をやり始めるようになったのも、このアクション映画による影響があったと言っても過言ではない。

さて、それはともかくとして、久々に3人が揃ったので夕食を食べ始めた。普段、夕食での会話の内容は主に源三郎の仕事内容だったり、最近公開されたアクション映画の感想だったりと会話が弾んでいるわけだが、ここ最近は少し変わっていた。

 

「近々、ツインテイルズがこれまでに現れた箇所を聖地として観光する企画が出来るみたいでね。僕もそれに加わる事になったんだ」

「まぁ、そうなの。羨ましいわね〜。そういえば、あなた。レッドとホワイトに新しい仲間が出来たのって知ってる?」

「もちろんさ。テイルブルーだろ? うちの会社でも話題になってるよ。残念ながら良い風には言われてないみたいだけどね」

「あら、そう……」

 

会話の内容からも分かるように、とにかく最近はツインテイルズに関する事ばかりだった。特に2人のイチオシは、テイルズホワイトらしく、アクション映画好きの2人にとって、あれほど素晴らしいヒーローは他にいないと豪語している。もちろん彼らは知る由もない。その正体が、目の前で冷や汗を流しながらご飯をかきこんでいる自分の息子である事に……。

そんな中、源三郎はこう呟いた。

 

「僕は嫌いじゃ無いんだけどね。ああいうヒロインも」

「えっ?」

 

康太は思わず声をあげた。てっきり未春か慧理那ぐらいにしかファンがいないものかと思ったが、どうやらそうでもないようだ。

 

「確かに戦い方や性格としては少し変わってるかもしれないけど、少なくとも仲間想いな一面を持っている事は何となく分かったよ。でなきゃ、あそこまで大胆な事は出来ないからね」

「仲間想い……か」

 

康太は昨日の戦いを思い出していた。彼女は危険を承知で戦場に携わる事になった。それは、愛する者、信頼出来る仲間、そして想いを託した異世界の住人を守る為に、果敢にエレメリアンに挑んでいったのだ。確かに、源三郎の言い分は的を得ている。

 

「だから、僕としては彼女を他のツインテイルズ共々これからも応援していきたいんだ。同じツインテイルズの一員としてね」

「あなたの言う通りね。私も、あの子の活躍が楽しみだわ。私達家族で応援していきましょうね。康太もそう思わない?」

「あ、あぁ。いいね、それ」

 

康太はそう呟いてから、窓の外を眺めて静かに心の中でこう思った。

 

「(良かったな、愛香。お前の事をさりげなく応援してくれる人達がここにもいたぞ。だから、批判とかにめげずに頑張っていこうぜ)」

 

気分を良くした康太は白飯をお替わりした。

 

 

 

 

 

なお、康太が翌日その事を伝えた事で、愛香はすっかり気分を良くして、その後のアルティメギルの侵攻をレッドやホワイトと共に難なく退けていき、ツインテイルズはますます絶好調になっていった。




というわけで、今回はこの辺で。
少しだけブルーの評判を良くしておきました。でないとかわいそうですから……。それから、今回から登場した康太の両親はいかがでしたか?
次回は遂に、あのエレメリアンが動き出す……!

それでは、次回「強敵! ドラグギルディ出撃!」に、テイル・オン!
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