俺達、ツインテールになります。〜赤い勇気と白い絆〜 作:スターダストライダー
そして、この話数で20話目に突入! これからもよろしくお願いいたします。
では、どうぞ。
『この場にいるアルティロイドの総数は987体。ほんの少しでも気を許すと、残りが見る見るうちに侵攻してしまいます。ドラグギルディだけには集中出来ませんよ!』
3人の耳元に、仮面ツインテール……もといトゥアールの通信が入ってきた。
それを聞きながら、ホワイトは次のアクションを考えていた。ここから効率良く対処するには、3人では多少キツい所もあるが、それでもやらなければ世界は終焉を迎えてしまう。
亡きフィーリアの為に、そして、彼女やトゥアールが守ろうとしたツインテールを、彼女らに代わって守り通す為に、ホワイトは次の指示を出した。
「ブルー、お前はアルティロイド達をぶっ飛ばしてきてくれ。俺とレッドで、ドラグギルディを倒す」
実際、この策は賭けだった。数の多いアルティロイドに1人で対処するのはあまりにも絶望的と思うのが普通だが、ドラグギルディの強さは、その概念を超越している。先ほどまでも、2人がかりでやっとだった事を考えると、これが一番の策なのだ。
さらに言うと、その方がブルーにとっては効率が良いと思ったからである。その証拠に、ホワイトの指示を受けたブルーは、笑みを浮かべていた。
「いいけど、それならあたしの方が楽だと思うけど?」
「そうか。それなら一安心だ」
「俺は信じるぜ、ブルー。お前なら出来るって」
「それはこっちのセリフよ。ここまでお膳立てしといて負けたなんて事になったら、ネットで晒してやるんだからね」
「ははっ、そいつはちょいとやだな」
「だな。負けられねぇ」
レッドとホワイトも笑みを浮かべてから、3人は拳を突き合わせた。
そして、ブルーは飛び上がって、アルティロイド達のど真ん中に突っ込んだ。
「ほう……。1人で全て受け立つか」
その間、ドラグギルディは妨害するような事はせずに腕組みをしたまま素通りさせた。彼も武人たる所以、その無防備な背中を狙うような事はしないというプライドがあるのだろう。
レッドとホワイトはドラグギルディの射程圏内に歩み寄った。そして、レッドはある事を尋ねた。
「お前らがエレメーラを取り込まないと生きられないのは聞いている。けど、譲歩は出来なかったのか?」
「ふんっ! どちらが上の存在と言うつもりはないが、食い食われる連鎖の中、話し合いなど所詮不可能なのだ! 我らはお主らと別の生命なのだからな!」
「食物連鎖ってやつか……。確かにそうかもな」
ホワイトはドラグギルディの言葉を受けながら、これまでの事を思い出していた。
理由はどうであれ、自分達はこれまでいくつもの
「「……行くぜ」」
「ふっ……」
レッドはブレイザーブレイドを持つ手に、ホワイトはシャイニンググローブを備えた腕に力を込めて、そして、
「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」」
「ぬぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
両者は一斉に駆け出した。目の前に認識した敵を討つ為に。
「でやぁ!」
「はぁっ!」
レッドは剣で、ホワイトは装甲でドラグギルディの剣を気迫で受け止めていた。休む間も無くドラグギルディは斬撃を繰り出してきたが、2人は難なく捌いていた。
一瞬の隙をついて、ホワイトは飛び上がって蹴りを入れた。
「うぉらぁ!」
「ぬぅ……!」
ドラグギルディはその蹴りを左腕で受け止めたが、その瞬間に痛みが走り、ドラグギルディは後退した。
「(この強さ……! レッドだけでは無く、ホワイトも……!)」
ドラグギルディは、ホワイトのパワーが上がっている事を実感して思わず叫んだ。
「先ほどよりも遥かに強さと美しさを増したな……! まるで別人のようだぞ!」
「ったりめぇだろうが! こちとら気合いが違うんだよ!」
「そういうこった! まだまだ行くぜ!」
と、今度はホワイトが先行して、ドラグギルディに突撃した。どのような意図があるか理解出来ないドラグギルディだったが、間合いに入ったのを見て剣を振り下ろした。すると、ホワイトは文字通り、真剣白刃取りで剣の動きを止めたのだ。
「何⁉︎」
「(今だ、レッド!)」
「(! 分かった!)」
剣を受け止めている間に、ホワイトは後方のレッドに目配せした。その意図を理解したレッドは走り出して、ホワイトの、そしてドラグギルディの股の下を滑るように通り抜けて、ドラグギルディの背後を取った。
「でりゃぁ!」
そして、ブレイザーブレイドを一振りして、今まで傷一つつけた事のないと言われたその背中を斬りつけた。
「ぐぁっ……! わ、我の背中に傷を……!」
「へっ! 背中をゴシゴシこすって欲しかったんだろ! 望み通りにしてやったぜ! ホワイト!」
「おっしゃあ! くらえぇ!」
「ぬぁぁっ……!」
背中越しのレッドに気をとられたドラグギルディは、ホワイトからのアッパーを腹に受けて僅かながら後方に吹き飛んだ。
2人のツインテールを守りたいという想いと、トゥアールやフィーリアの心も託されたという想いを受けた今、彼らのエレメーラは今までよりもさらに燃え上がるような熱い情熱に満ちていた。そしてそれが彼らを強くしたのだ。
膝をついていたドラグギルディは、ゆっくりと立ち上がって、改めて2人の強さをその身に感じた。
「まさか、一本取られるとはな……。これがお主らの真の力か! ならば、我も命を懸けてその想いに全力で応えようぞ!」
すると、ドラグギルディは剣を地面に刺して、
「おぉぉぉぉぉっ!」
と咆哮をあげながら、その全身に強烈なオーラを纏った。
「な、何だ⁉︎ まさかあいつもフォクスギルディみたいに妄想を……!」
「フォクスギルディか。確かにあやつの強大な空想力には一目置いておった。だが! 人形に頼るなどは惰弱! 真の戦士とは、身体一つで愛を生み出す者なのだぁ!」
すると、ドラグギルディの頭部から、2本の光が伸びた。それを見て、2人は驚愕した。生命の如く黄金色に輝くその容姿は、まごうこと無く今の自分達が象徴としているものだった。
「な、何だよあれ……⁉︎」
「ドラグギルディが、自らツインテールにした……だと⁉︎」
「そうだ! これこそが自らの命を糧として、ツインテール属性を極限まで解放する事で出来た最終闘態、「ツインテールの
見る者を圧倒するようなその居姿に、2人は思わず後ずさった。そして同時に思った。
これは、とてつも無く強いと。
「男子に許されしは、何もツインテールを愛でる事にあらず! 自らツインテールになる、それがツインテール属性を持つ者の本分よ!」
「敵で無けりゃ、深々と一礼しちまいたくなっちまうぜ……! ツインテールにしようとしてた事に躊躇していた俺達とは、覚悟が違う……!」
「まったくその通りだな……!」
2人が冷や汗をかいていると、ドラグギルディは剣を持ち直して叫んだ。
「ゆくぞ、ツインテイルズ!」
ドラグギルディの攻撃は、先ほどよりも速く、そして重みが増していた。地面はマグマが流れているかのように溶解し、剣から放たれた衝撃波によって2人は上空に舞い上がった。ドラグギルディは逃すまいと飛び上がって剣を振り下ろしたが、それを2人は歯を食いしばりながら受け止めた。
「我も礼を言おう! お主らの輝きを見て、我は将の立場を捨てた! 武勲無き一兵として、がむしゃらにツインテールを愛していた、あの日に戻る事が出来たのだからな!」
「だったらなんで……! そこまでツインテールを愛していたのなら、奪われる悲しみもまた分かっていたはずだ!」
「恨み言など、とうに受け慣れたわ! 心を喰らう者として、当然の運命よ!」
「そうか……」
ホワイトは呟きながら、その腕に力を込めた。無念に属性力を失って散っていった異世界の住人達と、その1人であり、今は亡き想い人、フィーリアの為に……!
「……なら、俺は仇を討つ! お前らが汚してきた世界の人達の、そして、姉ちゃんの分をな!」
2人は気合いで剣を押し返した。
「「うぉぉぉぉっ!」」
「なんと……! ここまで来て更にその輝きを増すとは……! お主らのツインテールは底無しか……⁉︎」
「あぁ、そうさ!」
そして2人は、同時に叫んだ。
「「俺達の
3組のツインテールが乱れ、舞い、交差する。
その戦いはいつ終わるかも想像出来ないほど激しかったと、遠くからその様子を眺めていたマスコミは後に語った。
その一方で、トゥアールは彼らの戦闘を見て涙を流しながら歓喜していた。
「(フィーリア、見ていますか? 今、あなたの想い人は、私の想い人である総二様と共に、私達が成し遂げられなかった事を実現しようとしています。彼らならきっと……!)」
「って、何よあれ……⁉︎ ツインテール同士の戦いが、奇跡を起こしたっていうの……⁉︎」
あまりにも中二テンションが高い現在の状況を見て、ブルーは呆気にとられていた。
こちらもかなりの勢力の多さに苦戦を強いられていた。アルティロイド達は、ブルーのツインテールを触ろうと必死に飛びかかってきたが、ブルーはウェイブランスを振り回して薙ぎ払った。
「気安く触れないでよね! これは、あたしにとって大事なものなのよ! いつか、あいつに振り返ってくれる時まで大切にしてなきゃいけないものなのよ!」
ブルーはリボン属性のエレメリーションを使って飛び上がり、空からアルティロイドを攻撃した。脳裏にある人物を思い浮かべながら……。
「(分かってるの……? あんたは信じやすくて危なっかしいしバカだけど、あの日、迷いなく戦いに飛び込んだあんたは、あたしにとって誇りでもあったんだからね……!)」
心の中でそう呟いてから、トゥアールに確認した。
「トゥアール! 後何体?」
『後832体です!』
「面倒ね……! こうなったら、まとめてやっつけるわ!」
そう叫んでから、ブルーはトゥアールの事を考えていた。
思えば彼女は、異世界で大切なものを多く失った。自分達を応援してくれた人々や、自分達を真似てツインテールにしてくれた幼女、そしてかけがえのないパートナーであり、心の拠り所であったフィーリア。
それら全てを失い、失意の中、希望を探し求めて、遂に見つけた存在が、
当然だ。彼女も人間だ。人間だからこそ想いを寄せて、恋い焦がれる。そして自らの存在をアピールする。しかし、トゥアールは総二が求めるようにツインテールにはしなかった。
否、しなかったのではない。出来なかったのだ。それは自らのツインテール属性を手放し、レッドのテイルブレスに埋め込んだのだから。属性力を失った者は、二度とその姿を晒す事は出来ない。彼女が最初に現れた時に言っていた言葉だ。その一言に、どれだけの重みがあったのか。今なら理解出来るかもしれない、とブルーは思った。
もしかしたら、これまでトゥアールが色仕掛けでしか総二に攻めてこなかったのは、それが原因なのかもしれない。考えすぎなのかもしれないが、少し前に慧理那のツインテールの事をさも嬉しそうに語っていた総二を見て胸の奥に痛みが走ったのを思い出しながら、こう呟いた。
「お互い苦労するわね。トゥアール」
そして、ブルーは叫んだ。
「いつまでもついていくからね、そーじ、こーた! オーラピラー!」
「「「モケェ〜⁉︎」」」
アルティロイド達は水流に巻き込まれて、上空で洗濯機の中のように振り回されていた。
「ブレイクレリーズ!」
そしてウェイブランスを構えると、その水流めがけて放った。
「エクゼキュートウェェェェーブ!」
エクゼキュートウェーブが命中すると、アルティロイド達は悲鳴をあげる事なく爆散した。
それを確認したブルーは、そこで力尽きて、変身が解けて倒れこんだ。幸いにも、マスコミからは距離をとっていた為、正体がバレている事は無いだろう。
『! 愛香さん!』
トゥアールの声を聞きながら、朦朧とする意識の中で、愛香はこう呟いた。
「そーじ……。……ちゃんと責任、取りなさいよ。あたしにこのエレメーラを持たせた、責任をさ……」
その頃、激しい攻防が繰り広げられていた2人の方では間も無く決着がつこうとしていた。
「ぐぁっ……!」
ホワイトが吹き飛ばされて、地面に転がった。レッドも体力の限界が近づいて、膝をついた。
「はぁっ、はぁっ……!」
「うむ。確かに凄まじい力だった。間違いなくかつてのあの少女達よりも遥かに強い。だが、最後は経験の差が明暗を分けたな!」
「くっ……!まだだ……!」
そう呟くレッドだったが、ドラグギルディが、ブレイザーブレイドを空高く弾き飛ばした。それによってレッドは無防備になった。
「素晴らしき健闘だった! 我が生涯最強の敵、そして我が最高の想い人よ!」
そして、ドラグギルディはレッドを倒す為に、剣を高く掲げた。
「さらばだぁぁぁぁっ!」
そして剣が、レッドに向かって振り下ろされる……、
まさにその瞬間だった。
吹き飛ばされたブレイザーブレイドが放物線を描いて地面に突き刺さった。ホワイトのすぐ近くの地面に……。
刹那、カッ! と目を見開いたかと思うと、ホワイトはすぐさま立ち上がって、ブレイザーブレイドを手にしてレッドとドラグギルディに間に入った。
ガキィン! という音と共に、ドラグギルディの剣が受け止められた。
「なっ……⁉︎ テイルホワイト⁉︎」
「終わるのは、お前の方だぁ!」
「うぉぉぉぉっ!」
すると今度は、レッドがホワイトの背後から飛び上がって、ドラグギルディめがけて突っ込んできた。しかも、その手にはもう1本のブレイザーブレイドが握られていた。
「何⁉︎ 二刀だと⁉︎」
「伊達にツインテールじゃないってな!」
「ぐぁっ……⁉︎」
ドラグギルディの初めて動揺した隙をついて、レッドはその腹にブレイザーブレイドを突き刺した。それによってドラグギルディはよろめいたが、それでもなお、根性で立ち上がった。
今がチャンスと見たホワイトは、自分が手に持っていたブレイザーブレイドをレッドに向かって放り投げた。
「レッド!」
「おぅ!」
レッドは飛び上がってそのブレイザーブレイドを受け取ると、両手に持ったブレイザーブレイドを変形させた。
「「ブレイクレリーズ!」」
ホワイトもまた、シャイニンググローブを変形させて、空高く飛び上がった。
「(今のあいつでも、おそらくシャイニングフィストは効かないかもしれない……! なら、ここはぶっつけ本番のあの技で決めるしかない……!)」
ホワイトは心の中でそう叫びながら、いつものように片腕を構えるのではなく、両腕を突き出して、ドラグギルディの方に照準を合わせた。
「おのれぇ、ツインテイルズゥゥゥゥ!」
ドラグギルディは咆哮しながら剣を構えた。
そして、レッドは剣から炎を噴き出して、
「グランドブレイザァァァァー!」
縦一直線に切り裂いた。そこに加えて、ブースターで加速したホワイトが両腕を突き出したままドラグギルディに突撃して、
「シャイニングナックルゥゥゥゥ!」
新たに編み出した必殺技「シャイニングナックル」でドラグギルディの体を貫通した。
「……ガハッ!」
ドラグギルディはよろめきながら、後ろを振り返って膝をついた。その視線の先には、2組の光り輝くツインテールが、衝撃波になびいていた。
「美しい……! まさに神の髪……、髪、型……!」
ドラグギルディは、自分の命が燃え尽きる感覚を感じながら、レッドとホワイトのツインテールを高く評価した。
「1刀目は囮であったか……」
「いいや、咄嗟の思いつきだ。俺とホワイトの2人を守る為には、2本剣が必要なのは、当然だろ」
「俺も同じさ。ツインテールが強いって事はこの数日でよく分かった。だから俺は、2対のツインテールにちなんで、2つの拳でとどめを刺した。それだけのこそさ。難しい事なんて、俺達には限度があるからな」
「フッ……。見事だ、テイルレッド、そしてテイルホワイト!」
「それはツインテールがか?」
「無論だ! ワッハッハ!」
ドラグギルディは、敗れてなお、清々しい表情で高笑いした。
「麗しき戦姫に倒される……。うむ、これも生涯を添い遂げた事に変わりはあるまいて……」
「どこまでもポジティブな奴……」
「……お前は強かったよ、ドラグギルディ。確かに、お前が味方だったら、どれだけ心強かったし、楽しかった事か」
2人もまた、ドラグギルディを賞賛するような言葉をかけた。敵の幹部であったとはいえ、トゥアールやフィーリアのいた世界を滅ぼした張本人とはいえ、少しだけ憎めない部分もある。それがドラグギルディだった。
だが、そんな時間もやがては終わりを告げる。ドラグギルディの体からは放電が始まった。
「
ドラグギルディはそう呟くと、背中から倒れて、そして……、
「(ツインテールの輝く未来、お主らに託したぞ……!)」
大爆発と共に、その身を散らせた。
「お前がツインテールを愛する限り、そんな事もあるかもな……」
爆炎に背を向けながら、レッドはそう呟いた。
ようやく全てが終わり、2人はホッと一息ついた。と同時に、全身から力が抜けていき、2人はその場に仰向けになって倒れこんだ。大の字に倒れこむと、変身が解けて、元の男子の姿に戻った。
「やったな、俺達」
「あぁ、そうだな」
2人は弱々しくも、自然と笑みを浮かべた。
遠くからは、トゥアールに肩を担がれてこちらに歩み寄ってくる愛香の姿が見えた。笑みを浮かべているところから見て、向こうも勝てた事を知って、2人は改めてホッとした。
そして、互いに横目で見つめながら、
「これからもツインテイルズ共々、よろしくな、
「こちらこそ、これからもツインテイルズとして頑張っていこうぜ、
拳を軽く突き合わせた。
こうして、ツインテイルズはいつもの騒がしい日常を、かけがえの無い時間を、確かに守りきる事が出来たのであった。
というわけで今回はこの辺で。
遂に第1巻分が書き終えれました!
これからも応援よろしくお願いいたします!
次回からは第2巻の内容に入っていきます。ただ、作者の都合上、来週は投稿出来ないかもしれませんので、予めご了承ください。
それでは、次回「ツインテール部、始動」に、テイル・オン!