俺達、ツインテールになります。〜赤い勇気と白い絆〜   作:スターダストライダー

22 / 31
大変長らくお待たせしました!
今回から2巻目の内容に入っていきます。
では、どうぞ。


Tail21:ツインテール部、始動

ドラグギルディとの死闘から1週間近く経とうとしていた。幹部クラスの敵を倒した見返りなのか、連日アルティメギルが侵攻する日々は一旦幕を閉じた。

その間、トゥアールからの要望で、かつてはトゥアールと同じ世界の住人で、先代テイルホワイトのフィーリアの墓参りに向かった。トゥアールがフィーリアの墓の前にいる間は、総二ら3人は少し離れた所で様子を伺っていた。かろうじて聞き取れた内容として、久しぶりにフィーリアの名を聞けた事、そして新生ツインテイルズによって、ドラグギルディを倒し、自分達の仇を討ってくれた事の報告だった。時折トゥアールの涙を流しながらポツポツと語るその姿に、総二や康太はもちろん、あの愛香も胸を痛めた。

ドラグギルディを倒したとはいえ、敵の戦力はまだまだある。むしろここからが正念場だろうと、墓参りの後、トゥアールは語った。

そしてこの日、朝の通学途中に新たなエレメリアンが現れたのだった。だったのだが……。

 

「フハハハハハハ! 我が名はタイガギルディ! 学校水着(スクールタイム)属性を持つ者だ! ドラグギルディを倒した所でいきがるなよ若造が! 亡き友のドラグギルディの仇、ここで果たさせてもらおう!」

 

今回現れたのは、スクールタイム、いわゆるスク水の属性を持つ、トラを連想させるエレメリアンのタイガギルディ。会話の内容からして、ドラグギルディの敵討ちをしにやって来たのだろう。

 

「はっ! こちとら遅刻するわけにはいかないんでね。さっさと片付けさせてもらうぜ! 行くぞ! レッド、ブルー!」

「「了解!」」

 

そう言って、レッド、ホワイト、ブルーの3人はタイガギルディに攻撃を仕掛けた。数で有利になっている事に加えて、個々の戦力がこの1ヶ月で成長している為、タイガギルディは只々翻弄されるしか無かった。加えてツインテールに見惚れてしまっている為、はっきり言って弱かった。

 

「むぅぅ……! さすがはツインテイルズ……!」

 

そう言うと、タイガギルディはなぜか急に仰向けになって、大の字に寝転がった。

 

「な、何してんだ……⁉︎ 急に腹出して寝転がって……」

 

レッドが怯えながら尋ねると、タイガギルディは高笑いして叫んだ。

 

「フハハハハハハ! 素晴らしきスク水を纏う幼女、テイルレッドよ! 後生だ。我が腹を海と見立てて、元気良く泳いでくれぬか!」

「ギャァァァァァァ! 気持ち悪っ!」

 

思わず後ずさりするレッドの代わりに、ホワイトとブルーが前に出てきた。

 

「ちょっと! こんなのいつもの事でしょ!」

「まぁいい。ここは俺達で何とかするぜ!」

 

すると、タイガギルディはブルーの方を見て不機嫌そうに怒声をあげた。

 

「テイルホワイトはともかく、テイルブルーが我の邪魔をするとは何事か! そのような布面積の少ない水着など、スク水と比すれば尻を拭く紙も同然! 早々に我の前から立ち去れぇ!」

「……ほぅ」

 

それを聞いて、ブルーはこめかみを震わせながら、ウェイブランスを握りしめた。その様子を隣で見ていたホワイトは、嫌な予感がした。そしてそれは見事に的中した。

 

「オメェこそさっさと消え失せろやぁぁぁぁぁ!」

 

と叫んで、ウェイブランスでタイガギルディにこれでもかと言わんばかりに攻撃した。あまりの速さにタイガギルディは言葉すら発せれない状況だった。

 

「オーラピラー!」

 

そして止めと言わんばかりにオーラピラーでタイガギルディの身動きを封じた。

 

「エクゼキュートウェーブ!」

 

そしてウェイブランスを投げ飛ばすと、タイガギルディを難なく貫通した。

 

「う、ガァァァァァ……! せ、せめて、テイルレッドの腹の下で、倒されたかった……!」

 

そう呟いて、タイガギルディは爆散した。

 

「す、すげぇ……」

「そ、そうだな……」

 

レッドとホワイトは呆然とその戦闘を見つめるしか無かった。ブルーはスク水属性のエレメーラオーブを回収すると、変身を解除した。幸いマスコミ関係も場所が学校のプールという事もあり、この場にはいなかった為、問題は無かった。

 

「さ、行くよ。学校に行かなきゃね」

 

愛香がそう言うと、他の2人も変身を解除し、カバンを持って学校に向かった。

 

 

 

 

 

 

さて、戦いの日々が再び始まりを告げたこの日、彼らにはもう一つのビッグイベントがあった。

ツインテール部の設立である。

先日、生徒会長の慧理那から申請が通ったとの連絡を受けて、ようやく本格的に事が動き出そうとしていた。ツインテール部の表向きの活動は、ツインテールについて語り合い、ツインテイルズを応援するという事になっており、実際にはツインテイルズとしてエレメリアンに対抗する為の拠点としてこの部活を運営する事になる。

そして今、総二ら3人は、とある部屋の前で立っていた。中では今度から学校に通う事になっているトゥアールが部屋を改造しており、覗かないようにというトゥアールからの忠告通り、外で待機していたのだが、中からは奇怪な音が聞こえていた。

愛香はその状況に眉をひそめて訝しみながら、ポツリと呟いた。

 

「……にしても、こんないい部屋、良く空きがあったわね」

 

その疑問に、康太が説明した。

 

「その事だけどさ。この部屋ってなんでも、幽霊の目撃情報が絶えなくて、今まで閉鎖されてたんだとよ」

「えぇ⁉︎ 何それ⁉︎ 何でそんないわくつきマンションみたいな所を部室にしてるのよ!」

 

と、今度は総二がこう答えた。

 

「それなら俺も聞いたな。それで、部員に愛香がいるって言ったら先生が問題無いって事で、使用の許可をもらったんだ」

「いや、あんたら! あたしを何だと思ってるのよ! あの担任もそうだけど!」

 

すると中から「この世の全てを破壊する蛮族でしょ?」と言う声が聞こえてきた。愛香は無言で拳を握りしめたまま部屋に入ろうとするが、そこは慌てて2人で引き止めた。

やがて音が聞こえなくなり、中から「どうぞ〜」と言う声が聞こえてきたので、3人は部屋の中に入った。ついでに愛香はトゥアールに一発殴りを入れる事も忘れずに。

中は綺麗に整備されており、新品な用具があちこちにあった。だが、これといって特徴的な設備は見当たらなかった。

 

「……ねぇ。どこが変わったのよ? 全然分かんないんだけど」

「ふふふ……。それは自分の胸のうちに聞いてくださいな。もっとも、胸の薄いあなたには到底分からな……」

 

言い終わる前に、愛香のストレートパンチが炸裂し、トゥアールは再び顔を押さえる始末。

しばらくして、ある程度回復したトゥアールは、ポケットの中から、4つのスマホのような物を取り出した。どうやら新アイテムのようだ。総二と康太が気になっていると、トゥアールが胸を張って説明した。

 

「これは、ツインテール部始動の記念に作ったツインテイルズ専用のツールです。高性能通信端末、名付けて『トゥアルフォン』です!」

「トゥアルフォンって……。あんた、名付けてて恥ずかしくないの?」

「思いませんよ?」

 

しれっと返されてしまい、愛香は黙るしか無かった。それから、トゥアールはトゥアルフォンの機能の説明をした。

 

「このトゥアルフォンさえあれば、地下だろうと深海だろうと宇宙だろうと、圏外になる事なく通信が可能です!また、変声機能、成分解析機能、その他様々な機能を持ち、バージョンアップすれば、機能の追加も可能です!」

「何で宇宙での戦いを想定してるんだ……?」

 

康太が気になってそう呟くが、トゥアールは気にせず説明を続けた。

 

「今までですと、大勢の前でブレスによる通信はかなり怪しまれる危険性がありましたが、この端末なら、先ほども申したように変声機能があるため、通信内容を暗号化する事が出来るのです」

 

これは総二達にとって大きな利点だった。この機能があれば、例え公衆の前でアルティメギルの事を話しても、そう聞こえるのはトゥアルフォンで受ける人だけで、周りには一切その会話は入ってこないのだ。

 

「基本的に通常のスマホと同じ使い方ですので、試しに私にかけてみてください」

 

そう言われて、総二はさっそく登録されていたトゥアールの番号にかけてみた。康太と愛香が耳を傾けると、なぜか、総二のトゥアルフォンからは、やたらと「ツインテール」と言う単語が鳴り響いた。ついでに言うと、トゥアールの方からは「黒の下着」だとか、「スケスケ」だとか、意味深な単語が聞こえてきた。

後で確認してみると、総二は「アルティメギルが現れたって?」と言ったのに対し、トゥアールは「急いで出撃してください、総二様!」と会話していたのだそうだ。

 

「た、確かに言語は変換されてるから、周囲にバレる事はないと思うけど……」

「その代わりにそーじの変換がめちゃくちゃな事になってるじゃないのよ……。まるで古代ツインテール語みたいな……」

「総二様のツインテール好きはかなりの方々に認識されてるようでしたから、こちらの方が違和感が無いかと……」

 

それを聞いて、2人は何となく納得した。総二も、やれやれと思ったが事実であるため、どうしようも無い。

 

「じゃあ次はあたしがやるわ」

 

そう言って、今度は総二と愛香が会話を始めた。愛香の場合はどうなるのかと思ったが、聞こえてきたのは、明らかに原始時代に生きた人々が会話にしそうな言葉ばかりだった。

 

「愛香さんの方も問題無さそうですね」

「……ほう」

 

と呟いた愛香は、顔を引きつらせている康太を確認した後、自分のポケットから携帯を取り出した。機械音痴な愛香だが、どうやら前に康太から教えてもらった録音機能を使って、先ほどの会話を確認するつもりらしい。トゥアールが若干青ざめながら、立ち尽くしていると、先ほどの会話が流れてきた。

全ての事実をさらけ出した愛香は、

 

「うぉらぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

と叫んでトゥアルフォンを壁に叩きつけた。とはいえ、さすがは宇宙でも使える端末であるだけあって、傷一つ付いてないのは中々の高性能ぶりが伺える。

 

「ちょっとぉ! 何してるんですか⁉︎ いずれはバージョンアップして、変身携帯として使えるかもしれないトゥアルフォンを!」

「何が変身携帯よ! こんなの略してヘンタイじゃない!」

「お前も何言ってんだよ⁉︎ 携帯で変身する全てのヒーローを敵に回す気か⁉︎」

 

……何故だろう。康太の脳裏に、子供の頃に見ていた特撮の中に出てきた赤いマーカーの入ったヒーローが、ベルトに差し込まれていた携帯を開いて、『Exceed charge』という音声と共に右足をを突き出して、円錐みたいな赤い光を愛香に命中させて、そこに飛び蹴りをする姿が浮かんだ。が、すぐにブンブンと頭を横に振ってその恐ろしい思考をかき消した。

すると、その様子を眺めていた総二が、突然立ち上がった。

 

「? どうしたんだ、総二?」

「……ツインテールの気配がする。こっちに近づいてくるぞ」

「はぁ⁉︎ 何でエレメリアンみたいな事言ってんのよ⁉︎」

「何でも力ずくで解決しようとするお前に言われたくねーよ!」

 

総二がそう言ったその時、扉をノックする音が聞こえてきた。どうやら総二の言う通り、誰かがやってきたらしい。康太が若干驚いていると、扉の向こうから声が聞こえてきた。

 

「生徒会長の神堂 慧理那です。入ってもよろしくて?」

「えぇ⁉︎ ちょっと待ってください!」

 

聞こえてきたのは、至極のツインテールの持ち主と総二が豪語する慧理那の声だった。これには総二も予想出来てなかったようで、慌ててトゥアールに確認した。

 

「なぁトゥアール。何か隠さないといけないものは無いか?」

「これだけです!」

 

そう言ってトゥアールは愛香を指差した。刹那、愛香はトゥアールの顔面にエルボーをくらわせた。あながち間違いでは無いかもな……、と康太は思ったが、口に出せば絶対にろくな事にならない。とりあえずトゥアルフォンをポケットに入れた総二は、慧理那に声をかけた。

 

「ど、どーぞ……」

「お邪魔しますわ」

 

そう言って、慧理那ともう一人、メイドを引き連れて部室に入ってきた。2人が入ってきた事で、妙な緊張感が生まれた。

 

「……あら、そちらの方は?」

「あ、はい。俺の親戚で、海外から引っ越してきたんです。一度校内を案内してほしいって頼まれて、編入前にここに連れて来たんです」

「初めまして。「観束 トゥアール」と言います」

 

総二は前に皆で決めた「設定」を口にした。

 

「なるほど。確か今日編入手続きをされた女生徒が1名いると聞いていましたが、あなたがそうだったのですね。今日は隅々まで見学して、陽月学園を好きになってくださいね」

「ありがとうございます」

 

その後、店の手伝いで慣れている総二が淹れた紅茶を全員分用意してから、椅子に座りなおして改めて本題に入った。

 

「それで、生徒会長は今日はどのようなご用件で?」

「申請のあった部活新設の書類を見て、少し気になる事がありまして。直接確かめてみようと思ってこちらへ伺いました」

「なるほど。わざわざすみません」

「お気になさらず。……それで、部活内容はツインテールを研究し、見守る事、とありますが」

「間違いありません」

 

総二は恥ずかしがる事なく真面目な顔で即答した。

 

「ところで観束君。あなたは、ツインテールが好きなのですか?」

「大好きです」

「何故ツインテールが好きなのですか? それも部活にするほどに」

「ツインテールを好きになるのに、理由が要りますか?」

 

何故ここまでツインテールに関する質問をしてくるのだろうか。康太は少し気になった。一方で、慧理那は僅かに動揺しているように見えた。

 

「(……もしかして、俺のツインテール愛を試しているのか?)」

 

そう思った総二は、もう少しツインテールについて語ってみようと思ったが、それよりも先に、慧理那の方が折れた。

 

「……なるほど。分かりました」

「活動内容に、何か問題でもあったんですか?」

 

念のため、康太がそう確認してみた。康太自身も、この部活の活動内容には結構問題があるかもな、と思っていたのでそう尋ねてみたが、慧理那は首を横に振った。

 

「いいえ。ツインテールを愛する部活なら、ツインテイルズの応援にも繋がりますから、問題ありませんよ。……あら?」

 

そう言った後、不意に机の上に置いていた総二の右腕を見つめて来た。

 

「観束君。いくら部活の中といっても派手なアクセサリーは校則で禁止ですわよ?」

「「「⁉︎」」」

 

それを聞いて、総二は慌てて右腕を庇うように左手で隠した。隣では康太と愛香も驚いた表情をしている。

当然だろう。本来テイルブレスは変身前に限っては普通の人には見えないような機能が搭載されている。それが何故か慧理那には見えていたのだ。

 

「テイルレッドのデザインですね。最近よく見かけますわ」

 

すると、そばにいたメイドが壁に掛けられた時計を見て、慧理那に声をかけた。

 

「お嬢様。そろそろお時間です」

「そうですね。では、ツインテール部のこれからの躍進を期待していますわ、皆さん」

 

そう言って、慧理那は立ち上がってお辞儀をすると、部屋を後にした。すると、慧理那の後ろをついていったメイドが3人の方に振り返った。

 

「そう言えば、自己紹介がまだだったな。私は桜川 尊(さくらがわ みこと)だ。これからお前達とは……特に観束と風宮とは長い付き合いになりそうだからな。それでは、また」

 

何やら奇妙なワードを残しながらそう言って、尊もその場を後にした。

2人が部活を離れたのを確認すると、総二がトゥアールに詰め寄った。

 

「お、おい、どういう事なんだよトゥアール! テイルブレスは変身前じゃ普通の人には見えないんじゃなかったのか⁉︎」

「そのはずですよね」

 

その一方で、トゥアールは呑気に紅茶を飲んでいた。

すると、今まで黙っていた康太が口を開いた。

 

「もしかしたら、同じツインテール属性を持っている人には撹乱の効果が薄いって事は考えられないか? それなら納得がいきそうなんだけど……」

「けど、ツインテール属性があるだけで見えてるって言うなら、ツインテイルズのブームでツインテールに憧れている人達にも見えるんじゃない?」

「いや、あながち康太の推理は間違いじゃないかもしれないぞ、愛香。だって会長はアルティメギルに狙われるくらい強力なツインテール属性を持ってるんだぞ?」

 

総二の言うように、ツインテイルズとして活動する内に、近隣に現れた際は決まって慧理那が近くにいたり、偶に標的になったりしている事があるのだ。

 

「……確かにその可能性はありますね。では、お3方のブレスを今夜メンテナンスしておきましょう」

「あぁ、頼む」

 

康太はそう呟いた。

もしかしたら、慧理那は自分達の事で何か感づき始めているのではないか……。そんな不安を抱えながら、何事も無くその日は平穏に終わった。

 




というわけで、今回はこの辺で。
ちなみに、今回の話の途中で出てきた特撮ヒーローの事ですが、特撮好きならご存知の某仮面ライダーシリーズの事を指しています。あのライダーは、全シリーズの中で、私のお気に入りです。皆さんはどの特撮ヒーローが好きですか?

では、次回「中二病をナメたらいけません」に、テイル・オン!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。