俺達、ツインテールになります。〜赤い勇気と白い絆〜 作:スターダストライダー
そして、遅ればせながら、新年明けましておめでとうございます。
今年度も不定期更新になりますが、よろしくお願いいたします。
あとがきの方で、ちょっとしたお知らせがあります。
では、どうぞ。
ゴールデンウイークも来週に控えた、土曜日の休日。
この日は大手ショッピングモールの玩具屋のテナントには、整理券を持つ客達が溢れかえっていた。今回はとある特撮のアイテムが新発売される日であると同時に、この店舗限定の購入特典を手にする為に並んでいる人達がほとんどである。
陽月学園の生徒会長、神堂 慧理那もその一人であった。
現在彼女は普段以上ににこやかな表情をしたままレジに並んでいるところだ。その様子を、メイドの桜川 尊は慧理那に見えない所でため息をつきながら眺めていた。
「(買い物だけなら私でもどうにかなるのに、お嬢様は、『自分で買うからこそ、真の愛着が湧くものだ』と申していらっしゃる……。さすがに反対は出来ないな……)」
尊が心配しているのは他でもない。アルティメギルの存在である。彼らがこの地球に襲来して以来、決まって慧理那は狙われる立場にある。そしてその度にツインテイルズに助けられ、ヒーロー好きの慧理那はますます憧れを強くする。
「(お嬢様はツインテイルズに心酔しているから、そう思うのも無理は無いかもしれない。しかし……、ここ最近はそうなる事を予測して、自ら危険な道を進んでおられる気がしてならない……)」
尊がそう考えるようになったのは、つい最近である。あまりにもお決まりのパターンにはまってしまっている為に、そう疑ってしまうのだ。無論それが本当ならば自分達がなんとしてでも止めなくてはならない。それが自分達の使命なのだから。だが、メイドの宿命故、口出し出来る立場では無い。
陰ながら、慧理那を守っていくしか無い。そう思っていた矢先、部下達からレシーバーを通じて連絡が入った。その内容が言い終わる前には、すでに尊はダッシュで慧理那の側に立っていた。
「お嬢様! すぐにこちらへ!」
「み、尊?」
買い物袋を手に持った慧理那が怪訝な顔をしているが、尊は気にせず抱え上げて、階段を素早く駆け下りて、出口に向かった。その速い事と言ったら……。さすがは護衛主任を任されるだけの事はあった。だが、外に出て駐車場に躍り出た時に、尊は舌打ちした。
「くっ……! 遅かったか……!」
その視線の先を追って、慧理那は初めて異変に気がついた。目の前には、何度も見慣れた光景が広がっていたのだ。
黒ずくめのアルティロイド達が奇声をあげながら駐車場を覆い尽くしていた。唯一違う光景があるとすれば、その中心に、蟹のようなエレメリアンが仁王立ちしている所だった。そのエレメリアンは2人の、特に慧理那の方を見て、関心したような声で叫んだ。
「ほう……! なかなかの幼女と見受けた! それにこれだけ強力なツインテール属性を持っているのなら、さぞかしあれも……」
「貴様ら! またお嬢様を狙ってきたか!」
「我が名はクラブギルディ! ツインテール属性と共に生きる麗しきエレメーラ、
「ネープ⁉︎ って、確かうなじの事⁉︎」
「また訳の分からん事を……!」
尊が歯軋りしながらクラブギルディを睨みつけていると、遠目で部下達が駆け寄って来るのが見えた。それを確認した尊は、慧理那を下ろして伝えた。
「お嬢様、ここは私に任せて、早く彼女達の元へ!」
慧理那は一瞬戸惑ったが、仕方なく部下達の方へ向かった。
そして、尊はクラブギルディの前に立ちはだかった。
「お前の相手は私だ!」
「ほう。お主もツインテールを嗜む者か。だが惜しいな。妙齢の女性には、私もさほど興味が無いものでな」
「この化け物が……! 私を妙齢と罵るとは……!」
とはいえ、尊も今年で28歳になる為、クラブギルディの言っている事はあながち間違いでは無いだろう。だが、尊にとっては、それだけで怒りに燃えるこじつけとしては十分だった。
「ええい! こうなればもう我慢出来ん! ツインテイルズに頼らずとも、私が直々に成敗してくれる!」
尊は果敢にもクラブギルディに接近して、その短いミニスカートのフリルをなびかせて、仁王立ちしたままのその体に蹴りを入れた。その威力は凄まじく、並の人間なら失神してもおかしく無いだろう。
……そう、相手が人間ならば。
「⁉︎ か、硬い……!」
「ふはは!その程度の攻撃、痛くも痒くも無いわ!」
高笑いするクラブギルディは、背中の甲羅だけでなく、胴体部分も硬く出来ていたのだ。その為、逆に蹴りを入れた尊の足にダメージが入ってしまった。
さらに、悪い事態が起きた。
「きゃあ〜!」
「! お嬢様!」
ハッと振り返ると、慧理那がアルティロイドに捕まっているのが見えた。部下達も慧理那を取り返そうと必死に応戦しているが、いかんせん尊よりも若干身体能力が低い為、まるで歯が立たない状況だ。そうこうしているうちに、尊もアルティロイドに捕まってしまった。
「し、しまった……! お嬢様!」
「尊、大丈夫ですわ! きっと彼女達が……!」
自信に満ち溢れているそれを聞いて、尊は確信した。慧理那は、この状況を望んでいたのだ、と。
「後ろを向かせろ!」
不意に、クラブギルディがアルティロイド達に指示を出した。彼らは慧理那の肩を掴んで180度回転させて、背中をクラブギルディに見せるようにした。クラブギルディは腕組みをしたまま、ある一点を見つめて、満足そうに頷いた。
気味の悪くなった慧理那は叫んだ。
「い、一体何をジロジロと見ているんですの⁉︎」
「見ての通り、うなじだ! 良いか幼女よ! ツインテールにする以上、うなじが見えるのは必然! 美は相乗効果をもたらし、さらなる輝きを増す! この素晴らしさを、俺はもっと多くの仲間に伝えたいのだ! そしてそれをお前達にも理解してほしいのだよ!」
「ただ奪う事しか考えないあなた達に教わる事などあるものですか!」
「たわけが! 男は背中で語り、女はうなじで語る! そんな世界の理を知らぬとは、見た目だけでなく、知性も幼女か貴様は!」
「なっ……⁉︎」
ここに来て、慧理那は初めて動揺を見せた。当然その言葉を受けて尊が黙っているはずも無い。
「この腐れ外道が……! お嬢様への侮辱は、私が許さんぞ!」
「年増のうなじを持つ貴様に用は無い! せいぜいツインテール属性の糧となれ!」
「私はまだ28だ! 本気で殺すぞ!」
……なぜかその怒りの度合いは、慧理那が貶められた時以上のようにも見えるのだが、今の慧理那にはそこまで考える余裕は無かった。
「さて! それではツインテール属性をいただくとしよう!」
「!待て! ぐっ……!」
尊が必死に抵抗したが、アルティロイドの手刀によって気絶させられてしまった。
「尊! そんな……⁉︎」
慧理那は、まだ買ったばかりの商品を抱きしめながら、迫り来るクラブギルディを睨みつけていた。
自分が何度も狙われる立場にいる事は、承知していた。その原因がツインテールにある事も。無論、そうならないようにするにはツインテールを結ばなければいいだけの話だ。そうすれば、危険に身を晒す事は無くなる。だが、慧理那には、そうしたくても出来ない、悲しい理由があった。それが、彼女のコンプレックスでもあった。
だが、その理由は、ある戦士達の登場でかき消される事となった。故に、彼女は目の前の脅威に怯えなかった。信じるものを、心の内に秘めてあるのだから。
「むはは! 安心しろ、痛みは感じぬ! さぁ、そのうなじを俺に捧げろ……!」
「……ヒーローは」
「むっ……?」
「ヒーローは、必ずやって来ますわ! 私は知っています! どんな状況でも駆けつけて、あなた達の野望を打ち砕く、真のヒーロー達を!」
慧理那が必死にそう叫んだその時だった。
「エレメリーション! ラビット!」
はるか上空から、甲高い声が聞こえて来て、何者かが慧理那の肩を掴んでいたアルティロイドを吹き飛ばした。
「な、何だ⁉︎」
クラブギルディやアルティロイド達が戸惑う中、慧理那は確信した。待ち望んでいたそのヒーローがやって来たのだ、と。
ラビット属性を駆使してアルティロイドを吹き飛ばしたのは、青の戦士、テイルブルー。
慧理那の周りにいたアルティロイド達をその拳一つで殴り飛ばして慧理那の前に立ったのは、白の戦士、テイルホワイト。
そして……、
「ブルー! その人達を頼むぞ!」
ホワイトの横に立ったその戦士こそが、慧理那の憧れた、幼い容姿ながらもエレメリアンに勇敢に立ち向かう、赤の戦士。
「あぁ、やっぱり来てくださいましたのね……! テイルレッド!」
慧理那の、テイルレッドを見つめるその瞳は恍惚としていた。
という訳で、今回はこの辺で。
……うなじって、見ててそんなに美しいものなんでしょうか? 僕は正直、興味はありません。(多分閲覧者の皆さんもそうかと思いますが……)
うなじの話はここまでにして、冒頭で話したお知らせについてお伝えします。
今回、新年を迎えたという事もあり、何か新しい事に取り組んでみようと考えた結果、この「ハーメルン」で、新しいシリーズを執筆していこうと決心しました。内容は、「魔法少女 まどか☆マギカ」シリーズと、「仮面ライダーゴースト」のクロスオーバーです。(完全に中の人ネタかもしれませんが、何となく合いそうだったので……)
早速明日、時間があれば一話だけでも投稿したいと思いますので、そちらの方も、改めて応援よろしくお願いいたします。もちろん、「俺ツイ」の方も引き続き頑張っていきますが、おそらく投稿ペースは今まで以上に落ちると思います。その辺りはご了承ください。
それでは、次回「うなじと高速移動と慧理那の疑問」に、テイル・オン!