俺達、ツインテールになります。〜赤い勇気と白い絆〜 作:スターダストライダー
本格的な戦闘は次回からになります。
では、どうぞ。
光が収まるとそこは喫茶店では無く、どこかの広場の光景になっていた。
突然景色が豹変した事に、3人は驚きを隠せなかった。
「えっ⁉︎ 嘘、何これ⁉︎」
「どこだよここ……⁉︎」
「ど、どうなってんだ……⁉︎」
3人が混乱する中、ただ一人、ここまで連れてきた張本人は平然とした表情で口を開いた。
「突然失礼しました。説明するよりもこうした方が早いかと……」
不意に康太が背後を振り返って、辺りを見回して叫んだ。
「! お、おい、2人とも! あれってコンベンションセンターじゃねぇか⁉︎ 「マクシーム
「えっ⁉︎ 本当だわ……!」
「嘘だろ……⁉︎ うちからでも車で20分はかかるぞ⁉︎」
総二達の目に映ったのは、イベントやライブ、学校行事などに使われたりする、大小2つあるホール……「マクシーム空果」だった。
だが、先ほども総二が呟いたように、家からかなり離れている場所だ。それを僅か3秒ほどでここまで連れてこられた事が不思議で仕方がなかった。
まさに瞬間移動したとしか言いようがなかった。
「(この人、一体何者なんだ……?)」
康太はトゥアールに不信感を抱きながら凝視した。それは愛香も同じだったらしく、警戒しながらトゥアールに尋ねた。
「あんた、あたし達に何したの⁉︎」
「本来なら愛香さんと康太さんをお連れするつもりはなかったのですが、有効半径にいたものですから……!」
トゥアールがそう説明していると、何かを発見したかのように、総二と愛香の間を割って駆け出した。
「お、おい!」
3人も慌ててついていった。すると、トゥアールが駆け寄った先に誰かが倒れているのが見えた。
「大丈夫ですか⁉︎」
トゥアールが近づいて少女の無事を確認した。目立った外傷も無く、息をしているところから見て、単に気絶しているだけのようだ。3人は倒れていた少女の服を見てある事に気づいた。
「うちの高校の生徒だよな……」
「うん。先輩みたいだけど……」
やがてトゥアールが少女の身体を起こした時、総二がその少女の顔を見て見覚えのある少女である事に気づいた。
「! この人、ストロベリーツインの人だ!」
「えっ?」
「間違いない。ツインテール愛に満ちた、丁寧で清楚なまとめ方をしてた先輩だよ!」
「マジで……?」
総二の言葉を聞いて、康太も前の方にいた、イチゴのヘアゴムでツインテールにしていた少女の事を思い出した。確かに髪の色もよく似ているが、一つだけ不可解な点があった。それは……、
「……ツインテールが、解けてる?」
そう、目の前の少女はツインテールにしておらず、本当にただのロングヘアの少女にしか見えないのだ。彼女を気絶させた誰かがツインテールを解いたのだろうか。3人のその疑問にトゥアールが答えた。
「こうなった原因は、そのツインテールにあるんです」
「「「えっ?」」」
3人が素っ頓狂な声をあげると、少女が目を覚ました。
「……あれ?私……」
「だ、大丈夫ですか⁉︎」
「あなた達は……? 見たところ同じ学校の人ですよね?」
総二が心配そうに声をかけた。
「何があったんですか? あんなに美しいツインテールだったのに……!」
「今それ聞く⁉︎」
何故かツインテールの事を心配する総二に愛香がツッコンだ。その一方で少女はキョトンとした表情になった。
「何の事ですか……?」
「何の事って……! 髪型ですよ!こうやって、2つにまとめてたでしょ⁉︎」
総二が手を使ってツインテールの事を表現したが、本人はケロッとした表情でこう言った。
「私が……?まさか、そんな髪型する訳無いでしょ? 子供じゃあるまいし……」
「! そんな……⁉︎」
「ツインテールの事を、覚えてない……?」
総二は雷に打たれたような衝撃を受けた。康太も少女がツインテールであった事を一切覚えていない事に訝しんでいた。まるで、最初からツインテールというものが存在していなかったかのような発言に、3人は困惑した。その原因をトゥアールはこう解説した。
「彼女はエレメリアンに襲われて、ツインテールの属性を奪われてしまったんです」
「……エレメリアン?」
「どういう事なんだ……⁉︎」
「簡単に言うと、ツインテールを愛する心を奪われたという事です」
彼女がそう説明するが、3人にはイマイチピンとこなかった。
「エレメリアンって一体……? それに奪われたって……」
康太がそう呟いたその時、事態は大きく急変した。
「きゃぁぁぁぁっ!」
女性の甲高い悲鳴が辺りにこだましたのだ。ホールの方からである。それを聞いて、トゥアールは舌打ちした。
「くっ……! 予想よりも早い……! 迎え撃つつもりが、後手に回ってしまうとは……!」
3人は訳も分からずホールの方を見ると、目の前に広がる光景に驚愕した。
「な、何だよあれ……⁉︎」
「奴らです!」
目の前に広がる光景、それは全身が黒い謎の集団が、ある者は素手で近くにいた人々を捕らえていたり、ある者はロケットランチャーみたいなものを担いでシャボン玉のようなものを撃っていたりと、非日常的な事態に陥っていたのだ。3人が唖然としていると、トゥアールが声をかけてきた。
「皆さん。もっと奴らに近づいてから、事の次第を説明します。ですから、私からあまり離れないでください。認識撹乱の作用範囲はそれほど広くはありませんからね」
そう言うが早いか、トゥアールは再びモニターを起動して、今度は「マクシーム空果」の駐車場に移動させた。先ほどよりも目の前の事態が鮮明に映っており、3人は現実と区別がつかないくらい呆然としていた。そうしている間にも、1人、また1人とシャボン玉に捕らわれた人々が宙に浮き始めた。やがてそれらが1箇所に集まった時、追っていった視線の先に映った異形の生物の姿に、3人は仰天した。
「な、なぁぁぁぁぁっ⁉︎」
「えっ、嘘、何よあれ⁉︎」
「何だ、あいつは……⁉︎」
それもそのはず。その生物はトカゲを連想させるような顔つきに鋭い牙や爪、地面に垂れ下がった長い尻尾、筋骨隆々とした身体つきの、甲冑を着て仁王立ちしている生物だったのだ。否、もはや生物と呼ぶには相応しくない。一瞬着ぐるみか何かかと思ったが、足元がひび割れているところから見て、すぐにそれは偽物では無い事を悟った。そう、それはまさに正真正銘、本物の……、
「か、怪物だ……!」
総二がヒステリックな声をあげて結論付けた。一方でトゥアールは苦虫を噛み潰したようにその怪物の総称を呟いた。
「エレメリアン……!」
「あ、あいつが……⁉︎」
康太も映画の撮影のような目の前の光景が信じられずに上ずった声をあげた。愛香も訳が分からず、一言も発せぬまま困惑している。
「者ども、集まれい!」
すると、トカゲ怪人が近くにいた、特撮でいうところの戦闘員らしき黒い集団に日本語で呼びかけた。総二達を含む全員の注目が集まったのを確認して、トカゲ怪人は声高らかにこう発言した。
「ふはははは! いいぞ! この調子で我らの手中に収めるのだ! この世界の生きとし生ける全てのツインテールをな!」
「ブ〜〜〜〜!」
何とも流暢な日本語で宣言された変態発言に、総二は吐血しかけた。それはそうだろう。あれだけ物言えぬ威圧を放っていた怪人が発した言葉はまさかのツインテール奪取。さすがに緊張感が解けたのか、愛香と康太は冷静になって総二の方を向いて呟いた。
「……ちょっとそーじ。あんた着ぐるみ着て何やってんのよ」
「いや、むしろドッペルゲンガー……?」
「2人して何バカな事言ってんだよ! 俺じゃねぇよ!」
「いや、だってさ……」
普段から総二のツインテールに対する愛情を間近で見ている康太は口を濁す他なかった。その後、康太は捕らえられた人達の共通点を見つけた。
「……でも、言われてみればさ。あそこに捕まってる人達ってみんなツインテールだよな……」
「……あっ! 言われてみれば確かに!」
「あいつら、ツインテールの子を集めて何する気なのよ……!」
康太の言うように、戦闘員達に囲まれているのは全員女性であり、その全てがツインテールであった。……何故か、幼稚園児、もしくは小学校低学年の比率が多いように見えたのだが、その理由は怪人と戦闘員との次の会話で明らかになった。
「者ども、隊長殿の御言葉を忘れるなっ! ツインテールの少ないこの世界で、純度の高い極上のツインテール属性はこの周辺で感知されたのだ! 草の根を掻き分けてでも探せ! ……ウサギのぬいぐるみの耳を持って泣きじゃくる幼女はあくまでもついでぞ!」
「……モケ? モケェ!」
「応とも! 究極のツインテール属性の奪取は我らの悲願! ……だが、この俺も武人である前に1人の男。ぬいぐるみを持った幼女も是非とも見たいものよ! 見つけた者には褒美を遣わすぞ!」
「モケェ〜!」
……何ともショッ○ーに似たような感覚で叫ぶ戦闘員と、トカゲ怪人の世迷言をほざく姿に、康太は頭を抱えた。それは総二と愛香も同様だろう。だが、トゥアールだけはどこか真剣な表情でトカゲ怪人を睨んでいた。
すると、ぬいぐるみを持った幼女がシャボン玉によって連れてこられた。奥の方から必死に駆け寄ってくる大人の女性はどうやら幼女の母親のようだ。彼女は明日香と呼ばれる幼女の名前を叫びながら助けようとしたが、戦闘員に阻まれてしまった。トカゲ怪人は念力のような力で幼女の入ったシャボン玉を引き寄せた。トカゲ怪人を見て涙目になる幼女を見て光悦したトカゲ怪人はシャボン玉を割って幼女を抱きかかえると、
「どれどれ〜」
と呟いて品定めをするかのように眺め始めた。幼女がますます怯え始めると、トカゲ怪人は何かに耐えるように震え始めた。
「(! な、何という
目力を強くして耐えている事で幼女はさらに恐怖して今にも泣きそうになった。トカゲ怪人は遂に耐えきれなくなったのか、周りにいた戦闘員達に指示を出した。
「だ、ダメだ……! 皆の者、あれを持てい!」
「モケェ〜!」
戦闘員達はロケットランチャーを置いて、近くにレッドカーペットを敷いて、その先にソファを置いた後、大量のぬいぐるみをセットした。照明器具を置き終わったのを確認したトカゲ怪人は幼女を降ろして、ソファにあるぬいぐるみを指差した。
「行け、ウサちゃん達が待ってるぞ」
「……?」
幼女は泣き止んだが、訳が分からず困惑していた。それは遠くから眺めていた総二達も同じだった。
「……何だあれ?」
「あいつら、ツインテールの子達ばかり攫って、何をするつもり何だ……?」
「分からん。けど、放っておくとロクでもないことになるのは間違いないかもな……」
「けど、あたし達だけでどうしろって言うのよ! そうだ! トゥアールなら知ってるんじゃない? だってあたし達をここに連れてきた張本人なんでしょ?」
「! そうだな! なぁ、トゥアール。お前は知ってたんだろ⁉︎ どうすれば……」
総二がトゥアールに尋ねようとしたその時、戦闘員の1人がトカゲ怪人の所に慌ててやってきた。
「一体何だ、大事な所で!」
娯楽を邪魔された事で不機嫌になったトカゲ怪人だが、戦闘員からの報告を受けて、態度を一変させた。
「何⁉︎ 極上のツインテールを⁉︎ 連れて参れ!」
やがて戦闘員によって連れてこられた女性を見て、総二達は驚いた。その人物は3人の見知った存在であり、恐らく総二が高校生活初日から苦悩する元凶(?)となった女性だったからだ。
「! あのツインテールって……!」
「生徒会長……⁉︎」
「何でこんな所に……⁉︎」
そう。それは総二達の通う私立陽月学園の2年生でもある生徒会長の神堂 慧理那だったのだ……。
今回はこの辺で。
学校生活も忙しくなってきましたが、何とか時間を見つけて頑張っていこうと思います!
では、次回「ツインテール、覚醒」にテイル・オン!