俺達、ツインテールになります。〜赤い勇気と白い絆〜   作:スターダストライダー

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今回、新たな戦士の登場です!
では、どうぞ。


Tail5:康太の決意 もう一人のツインテール戦士

「総二……!」

「ね、ねぇ……! ちょっとヤバいんじゃない⁉︎ そーじが逃げちゃってるよ⁉︎」

 

その一方で、総二が必死にトカゲ怪人から逃げている様子を物陰から3人は見ていた。遠くにいた為、トカゲ怪人が何を言っていたのかは分からなかったが、おそらく気色悪い事を言われたのだろう。総二の目は完璧に引きつっていた。このままでは何をされるか、たまったものじゃない。そう思った康太はいてもたってもいられずに、総二のもとに向かおうとした。が、愛香に手を掴まれて阻まれてしまった。

 

「ちょ、ちょっとこーた! あんたどこに⁉︎」

「決まってんだろ! 総二を助けなきゃ……!」

「い、いけません! 生身のあなたが立ち向かったところで、返り討ちにあうのがオチですよ⁉︎ ここは総二様が……」

 

愛香だけでなく、トゥアールにも止められてしまうが、康太は首を横に振った。

 

「目の前で友達が困ってんのに、黙って見過ごすなんて、俺には出来ねぇ! それに約束したんだ! 何かあったら助けるって……! だから、相手が何だって構うもんか!」

 

そう言って愛香の制止を振りほどいて、総二の方に向かって駆け出した。

 

「こーた!」

「! 」

 

慌てて追いかけようとしたが、このままではトカゲ怪人達に見つかってしまう危険性がある為、これ以上動く事は叶わなかった。

 

「(待ってろ、総二! 今助けに行く……!)」

 

康太はがむしゃらに総二めがけて走っていた。

実を言うと、康太も内心、慧理那らツインテール少女からツインテールを奪っていったあの怪人達の行為に腹が立っていた。彼女達が大切にしていたであろうものが、勝手に奪われていく。これほど酷い仕打ちは無いだろう。だからこそ、総二の怒りが彼にはよく分かっていた。

トカゲ怪人は総二を追いかけている最中、こちらに向かってくる康太の存在に気づいたが、眼中に無いと言わんばかりに鼻を鳴らした。

 

「ふんっ……。ツインテールでも無ければ、ましてや男の身である者になど皆無! 者共! その男を適当に摘み出せ! 多少手荒でも構わぬ!」

 

トカゲ怪人がそう指示すると、康太の前に、何十体ものアルティロイドが立ち塞がった。それによって康太の行く手は遮られた。

 

「! 邪魔すんなぁ!」

 

それでも康太は果敢に立ち向かっていった。が、最初の4、5体は武術を駆使して倒す事は出来たものの、いかんせん数が多すぎる為、倒してもまたすぐに襲いかかってくる始末。

遂にはアルティロイドに囲まれてしまった。

 

「くそ……! こんな、ところで……!」

 

そのうち、アルティロイド達の体当たりを受けて、康太は軽く吹き飛ばされてしまった。

 

「ぐあっ……⁉︎」

「! こーた!」

「康太さん!」

 

康太が倒されたのを見て、愛香とトゥアールは悲痛な声をあげた。

 

「(くそっ……! 俺が絶対助けるって大見得切っておいて、なんてザマだよ……! このままじゃ、誰も助けれねぇじゃねぇかよ……)」

 

康太は己の無力さに悔しさを滲ませながらも、握り拳を作って立ち上がろうとした。

 

「……これじゃあただの大嘘つきじゃねぇかよ! そんなの、死んでもごめんだ……!」

 

すると、目の前にフィーリアから貰ったあの白い巾着袋が転がっているのが見えた。吹き飛ばされた際に落としてしまったのだろう。それを見た時、不意にフィーリアが言っていた言葉を唐突に思い出した。

 

〜もし、みんなから大切なものを奪おうとする悪い奴らが現れたら、この袋の中にあるものを使ってね〜

 

「(……! そうだ! 今まで何で気付かなかったんだ! 悪い奴らが来たらって、今がまさにその時じゃねぇかよ……!)」

 

康太は立ち上がると一気に袋に詰め寄って拾い上げて、アルティロイド達に気付かれないように、近くにあった車の陰に隠れた。

 

「こうなったら神頼みだ! 姉ちゃん、なんか良いもの入れておいてくれよ……!」

 

康太は必死に祈りながら袋の紐を緩めて、中にあったものを取り出した。

 

「……えっ?」

 

それを見た時、康太はリアクションに困り果てた。康太が手にしているもの。それは……。

 

 

 

 

 

今現在総二が付けているものと全く同じデザインの、白いブレスレットだったのだ。

 

 

 

 

「な、何だよこれ……⁉︎ これって総二のやつと同じもんじゃねぇかよ……⁉︎」

 

どう見てもそれは総二のものと似ていた。何故フィーリアがトゥアールが所持していたものと寸分違わぬものを巾着袋に入れて、康太に渡したのだろうか。そう思った時、康太はトゥアールの言葉を思い出した。

 

「(そうだ! こいつを使えば、俺も総二みたいに変身出来るかもしれない……! それだったら、あいつらとも十分に戦えるはず……!)」

 

そう思った康太は立ち上がってブレスを右手首につけようとした。その時、不意に先ほどまでの、総二が変身してから現在までの光景を思い出して、康太のブレスを持つ手が止まった。

 

「(……もし、俺がこれを使って変身したら、俺も総二みたいに女の子になっちまうって事になるんじゃ?)」

 

そう思った矢先、先ほどのトカゲ怪人の気持ち悪い行為を思い返して、思わず身震いした。

次第に助けたいと言う気持ちから、恐怖という2文字が康太の精神を支配した。それ故に、全く動けずにいた。あの総二でさえ怯えてしまっているのに、もし自分があんな事をされたら、果たして無事でいられるのだろうか。そう思って、震えながら立ち尽くしていると、

 

「きゃあああああああっ⁉︎」

 

という女性の悲鳴が聞こえた。ハッとしてその方向を見ると、総二が必死になってトカゲ怪人の魔の手から逃れようと涙目で走っていた。

 

「(総二……!)」

 

追いかけられている総二を見て、康太は5年前の事を思い出した。

フィーリアが亡くなって、落ち込んでいた康太を誰よりも気にかけてくれたのは総二だった。康太が泣き出しそうになる時は、決まってテレビでお笑い芸人がやっていた一発芸を恥ずかしげなく康太の前で披露して、康太に笑顔になってもらおうと必死に張り切っていた。それを見て、康太は何度も救われた気分になった。

そして今、総二は危険を顧みず、ツインテールを守るという目的を掲げてあのトカゲ怪人に立ち向かっている。そんな勇気のある親友が今まさに大ピンチを迎えている。

そう思った時、康太の決意は揺るがないものへと変わっていった。

 

「(……そうだ! 俺は総二や、周りで支えてくれたみんなのお陰でここに立っていられる! その人達を、この力で守れるなら、どんな姿になったって今さら構うもんか……!)」

 

そこまで思考が回った時、不思議と康太の中の恐怖心は薄れていった。

その様子を、離れたところから愛香とトゥアールも見ていた。特にトゥアールは、康太が手にしているブレスを見てこれでもかと言わんばかりに、目を見開いていた。

 

「な、何あれ……⁉︎ 何でこーたもそーじと同じものを……⁉︎」

「あれは……! そんな……! どうしてあなたがそれを……⁉︎」

 

康太は意を決して、ブレスを握る手の力を強めて、総二のいる方向を見つめた。

 

「(俺は迷わない! 俺が持つこの力で、絶対に総二を助けてみせる……!)」

 

そして、

 

「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」

 

大きな雄叫びと共に、ブレスを右手首に装着した。フィットしているのを確認した康太は、トゥアールが言っていたように、心に強く願った。

 

「(俺も変身して、みんなのツインテールを……! 大切なものを守りたい……!)」

 

 

 

 

そして、その願いは叶った。

 

 

 

 

「モケッ……⁉︎」

 

突然近くから光が放たれて、目が眩んだアルティロイド達。すると、

 

「モケェ⁉︎」

 

近くにいた3体のアルティロイドが、上空に吹き飛ばされて消滅した。何事かと思い、アルティロイド達が一斉に3体がいた地点の方を振り向いた。そこには……、

 

 

 

 

 

純白な、総二と同じウェットスーツに、両肩の肩パットにつけられたゴツいブースター、クルリとした瞳、そして何よりも特徴的な、首に巻かれたスカーフにつられてなびく、2対の純白で美しさを兼ね備えたツインテールの少女が右腕を高く上げて立っていた。

 

 

 

 

 

 

その少女こそ、康太が変身した姿だった。ほとんど無我夢中でアッパーを決めた訳だが、改めてテイルギアをまとった時の力を体感して、その凄さを実感した。

 

「……本当に凄いな、これ」

 

その声も本来の声からソプラノボイスの女性の声に変わっていた。アルティロイド達が動揺している間に、総二と同じように、近くにあった車のフロントガラスを覗いて自分の姿を確認した。

 

「(……やっぱ、女になっちまうのは変わらないんだな)」

 

康太は心の中で、若干沈んだ声で呟いた。ツインテールの少女になってしまった事は覆せない事実であったが、身長が変わっていないところから見て、不幸中の幸いか、総二のように幼女になる事だけは避けられたようだ。

 

「モ、モケェ!」

 

一瞬、そのツインテールの美しさに見惚れていたアルティロイド達も、気を取り直して一斉に押し寄せてきた。

それを確認した康太は、焦る事なく、

 

「……さぁて、それじゃあちゃっちゃと片付けさせてもらおうか! ハッ!」

 

試合の時のように気合いを入れて、アルティロイドを撃退した。変身してから動体視力が上がったのか、不思議と敵が次にどこから来るのかが分かり、難なくかわしたり、カウンターを決める事が出来た。元々武術に長けていた事が功を奏したのだろう。ほとんど力を入れずに落ち着いて殴ったり蹴ったりする事が出来た。加えて、

 

「(このスーツ、何となく俺のスタイルに適応してるのか……?)」

 

初めて着たはずのスーツなのに、全くと言っていいほど違和感を感じないのだ。まるで最初から自分のスタイルに合わせて作られていたかのように……。だが、すぐに気持ちを切り替えた。

 

「(今は何でもいい……! あいつらを倒して、ツインテールを守れる力だって事が分かれば、それで十分だ!)」

 

アルティロイド達も康太の圧倒的な強さに怖れをなしていたが、それでも戦闘員としてのプライドがあるのか、果敢に立ち向かってきたが、康太にはそれほど脅威にはなり得なかった。

 

「せいっ! はぁっ!」

 

康太の戦う姿に、愛香は呆然としていた。

 

「す、凄すぎ……」

 

一方で、トゥアールは康太の身にまとっている戦闘用スーツを凝視していた。

 

「あのスーツ……。やはりあれは、フィーリアの……。何故彼が……?」

「(こいつ、フィーリアさんの事、知ってるの? もしかして知り合い?)」

 

トゥアールの呟きを聞いて、愛香は彼女とフィーリアの関係が気になった。

そうこうしているうちに、ようやく周りにいたアルティロイド達の数も減り、康太は一気にたたみかけた。

 

「はぁぁぁぁぁっ! だぁっ!」

「モケェ〜!」

 

残りの残党も、康太のストレートパンチで吹き飛ばされた。それによって、周りには康太以外いなくなった。遠くにはまだアルティロイド達が捕らえられた人達を囲んでいたが、戦闘に参加する様子はなさそうだった。この分だと、先に親玉を倒した方が早そうだ。そう思った康太は、

 

「……よしっ!」

 

一息ついてから、気合いを入れて拳を握って総二のいる方へ向かった。

 

 

 

 

 

 

……どうしてこんな事になってしまったのか。

 

目の前でトカゲ怪人がぬいぐるみを持って愛おしそうにこちらを見つめてくる姿を目の当たりにしながら、総二はそう思った。

最初は単に許せなかった。目の前で愛しのツインテールを無慈悲に奪っていった怪人達が許せなかったのだ。ツインテールの幼女になってしまったのは驚いたが、怪人達の変態ぶりに、その事さえ遥か彼方に忘れ去ってしまった。そして逃げ回るうちに気づいてしまったのだ。

今、目の前にいる怪人が自分と同類なのだ、と。

自分では気付かなかったが、他人から見れば、自分も、今の自分のように気持ち悪がられていたのかもしれない。何も知らない人からすれば、そう見えてしまうのかもしれない。

 

「強く美しき者よ。さぁ、これを抱いてくれ……」

「い、嫌ぁ……」

 

顔を近づけてぬいぐるみを差し出すトカゲ怪人を見て、自我が壊れそうになるのを感じた。

思えば、他の男子にツインテールの事を熱く語っていた時、決まって不審な目を向けてきた。好きな髪型の事を主張して何がおかしいと思っていたが、今なら分かる。みんなには、こんな怪物のように映っていたのかもしれない。本当はツインテール好きな自分に後ろめたさを感じていたのかもしれない。

そんな中、ただ一人男の中で唯一そんな目を向ける事なく、呆れながらも自分のツインテール好きを受け入れてくれた友が、頭の中に思い浮かんだ。そいつはいつでも自分の話を最後まで聞いてくれて、互いに協力し合いながら今日までついてきてくれた、かけがえのない親友。不意に総二はその男の名前を呟いた。

 

「……康太。俺は……、俺は……!」

「ふふふ……。さぁ、鬼ごっこもそこまでにして、そろそろ……」

 

トカゲ怪人が迫ってきて、総二の視界が歪み始めた時、

 

 

 

 

 

鈍い音と共に、トカゲ怪人が横一直線に吹き飛んだ。

 

 

 

 

「……へっ?」

 

総二が困惑した表情で呟いた時には、目の前に人影が映った。それは自分と同じようなデザインで、白い戦闘用スーツを着た少女だった。非の打ち所がないほどの美しい純白のツインテールが風と共になびくその姿に、総二は思わず見惚れた。

 

「(……凄いツインテールの人だ。でも、一体誰なんだ?)」

 

総二の目線を感じたのか、その少女は構えを解いて、総二に歩み寄って手を差し伸べて声をかけた。

 

「大丈夫か? 総二」

「えっ? 」

 

突然自分の名前を言われた事に驚く総二。少女の手を掴んで立ち上がると同時に違和感を感じた。先ほどトカゲ怪人に当てたパンチの構えといい、自分の名前を呼んだ時の口調といい、どことなく見覚えのあるような感じだった。そして直後に、全身に電流が流れたような衝動が走った。今言った2つの事柄に当てはまる人物を一人だけ知っている。

いつでもそばにいてくれた友人の一人であり、無意識にその名前を呼んだ人物。

それが分かった時、総二は思わずその名を口にした。

 

「康太……なのか?」

 

対する少女……康太は首を縦に振った。そして総二に向かって、笑みを浮かべて言った。

 

「言ったろ? お前がピンチになったら、必ず助けに行くってな」




という訳で遂に登場! ツインテール戦士となった康太の初陣、どうでしたか?
どことなく厨二病臭い雰囲気でストーリーが進んだ気がしますが……。でも、こういった感じが僕は大好きなんです! 男同士の熱い友情は本当に最高ですからね。特にそういうアニメは大好きな私です!

……長くなりましたが、次話でようやく一巻の第1章に当たるところが終わりそうです。では、次回「赤い勇気と白い絆」で、テイル・オン!
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