Another IS ―もう一つのIS―   作:colorless

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第十一話 一人部屋

「疲れた」

 今日から俺の自室になる部屋に入って第一声がこれだった。これはしょうがないか。新しい環境ってだけでも少し疲れるのに、女子の変な注目を浴び、オルコットとの決闘の約束までさせられた上、そのあとは女子たちから敵意を向けられ続けたのだ。疲れないはずがない。

 のほほんさんとの交流がなかったら、もっと疲れていただろう。彼女と接していると癒される。

「それより――」

 部屋を眺めてみると、大きなベッドが一つ。机と本棚が一つ。少し進むと洗面所やシャワールームらしき扉もある。

 俺の部屋は寮の端にある一人部屋。本来全ての部屋は二人部屋なのだが、寮の設計上の都合によりこの部屋だけが少し狭い一人部屋となっていた。

 一夏は女子と相部屋だそうだ。その女子をこの部屋にやって、俺と一夏で二人部屋を使えばいいのではないかとも思ったが、その女子の部屋移動についてはいろいろ手続きがあるようで、すぐには難しいそうだ。

 まあ、俺も一夏とあまり接しないほうがいいのだし、これはこれで好都合か。

「すごいな、ここ。本当に一人部屋か?」

 これで一人部屋だというのなら、二人部屋はどれだけ広いのだろう。そんな考えが頭をよぎるが、俺にはそれを確認する機会なんてないだろうから、気にするだけ無駄だろう。

 そんなことより、部屋自体も結構広いので、たくさん物が置けるな。壁際には俺が前もって送っておいた荷物のダンボールが四つ。ちゃんと送った数と一致する。

 ダンボールの中から衝撃吸収剤に包まれたノートパソコンを出し、電源を入れる。そして何か面白いニュースがないか検索してみたら、色々出てきた。

 IS学園入学式や男で唯一ISを使える一夏についてのニュースに並んで、こんなニュースが掲載されていた。

『IS学園に二人目の男子入学』

 これは間違いなく俺のことだ。内容を見てみると、こんなことが書かれていた。

『あのIS学園に今年、二人の男子が入学した。一人は以前から話題となっていた織斑一夏だが、新たにもう一人の男子が入学。IS学園からの説明によると、二人目の男子、須藤明宏はISに乗れるわけではないが、ISに次ぐ新型パワードスーツのデータを取るためにIS学園に入学したとのこと。なお、その新型パワードスーツの開発国及びに開発企業は明らかにされていない。これからの彼と開発元の動向に注目したい』

 ……これなら大丈夫だな。学園に情報操作を頼んでおいてよかった。一応『俺はISが動かせない』ことと『博士の名前を出さない』という条件を守ってくれるように頼んだが、ここまでいい作り話をでっち上げてくれるとは。ほとんど事実だが。

 そんなことを考えながら、他のニュースを探していたら、IS関連でもう一つニュースが見つかった。

「えーと、『デュノア社、またまた株価下落』か」

 デュノア社はフランスのIS企業なんだが、最近株価が下がる一方だ。これで何ヶ月連続だろうか? まあ、フランスは『イグニッション・プラン』から除名されたし、デュノア社自体も第三世代型を開発できてないから、不自然ではないか。

 そのあともいくつかニュースを閲覧し終え、パソコンの電源を落とす。

「さてと、荷解きでもするか」

 俺についてのニュースが気になってパソコンを開いてしまったが、それよりも先にすべきことを思い出す。

 本と私服と、あとは束さんにもらったいくつかの機械くらいだからすぐに終わるだろう。

 そう思いながら一つ目のダンボールに手をかける――直前に、部屋のドアがノックされた。

「誰だよ……」

 今まさに荷解きをしようとしたところで水を差され、いい気分ではないが、出なくてはならない。もし先生とかからだったら――それがもしも織斑先生だったら、後々大変なことになりかねない。

 先生でなければ、隣の部屋の女子が挨拶にでもやってきたのだろう。それなら俺の顔を見ればすぐにいなくだろう。すぐにでも荷解きが始められる。

「はい。何でしょうか」

 ドアを開けながら、ドアの向こうにいるであろう誰かにたずねる。

「えへへ~、遊びにきたよ~」

 のんびりとした口調。制服と同じように袖の余りすぎた私服らしく服。

 言ってしまえば、のほほんさんがドアの向こうに立っていた。

「……一つ、質問いいか?」

「どうぞ~」

「なんで、俺の部屋を知っている?」

 俺がこの部屋に来たときは、誰とも会わなかった。もしかしたら死角に誰かいて、見落としていたのだろうか。

「私には~、特別な情報網があるので~す」

「特別な情報網?」

 俺の部屋割りを知っているとなると、中々の情報網だな。先生たちしか知らないはずの情報を知っていたというのは、興味を引かれる。

「詳しいことはまた今度話すよ~。中入っていい?」

 残念ながら、すぐには教えてくれないようだ。また今度といっているから、そのときに期待しよう。

「別にかまわないぞ。まだ荷解きしてないから、楽しくないと思うが」

「全然大丈夫~」

「ならどうぞ。俺の一人部屋だから、誰も気にする必要はない」

「おじゃましま~す」

 そういってのほほんさんは、部屋の中に入っていく。

 荷解きは始められなかったが、まあいいか。

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