Another IS ―もう一つのIS―   作:colorless

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第二十話 代表候補生との決闘

 翌日、火曜日。俺とオルコットの試合の日。

 試合を目前に控えた俺は、アリーナのピットで試合の準備をしていた。といっても、ほとんどすることはないのだが。

 強いて挙げるとすれば、なぜか観客席ではなくこのピットに来たのほほんさんと雑談することくらいか。

「一つ聞くが、なぜここにいる?」

「すーくんの応援のためで~す」

「それなら観客席でもできると思うんだが。というより、勝手に入っていいのか?」

「昨日しののんがおりむーのピットに入ってたからいいんじゃないかな~?」

 そうなのか。だったら特に問題はないかもしれない。

 しののんというのは篠ノ之のことだろう。のほほんさんは誰にでもあだ名をつけるので、一週間もすればもう慣れてきた。

「ここにいたって何も面白いことなんてないだろうに……」

「ここにいれば~、試合終わったらすぐ、すーくんにお疲れ様~って言えるもん」

「……それだけのために、ご苦労なことだ。まあ、気分良く言ってもらえるように、是が非でも勝たないとな」

「それがなくても負ける気なんてないくせに~」

「ご名答」

 図星を突かれ、苦笑する。のんびりしているくせに、たまに鋭い。

 そんなやり取りをしていると、アリーナにオルコットが出てくるのがモニターに映し出された。

「じゃあ、いってくる。負けるつもりはないが、俺の勝利を祈っててくれると嬉しい」

「じゃあ~、祈っててあげる~」

「ありがとう」

 神王を展開。軽く体を動かしてみて不具合がないことを確認すると、のほほんさんに小さく手を振り、ピットから発進する。

 勝つ。ただ、それだけのために。

 

 

「……来ましたわね」

「待たせて悪いな。テンションが低いが、具合でも悪いのか?」

「いいえ、問題はありませんわ」

 ピットを出た俺を迎えたのは、なにやら元気のないオルコットだった。

 いつもの高飛車な態度で迎えてくると思っていたので、少し調子が狂う。嫌味を言われたら倍にして返そうと思っていたのに。

 そういえば、昨日の試合の後からオルコットの騒がしい声を聞いていない気がする。一夏に追い込まれたのがショックだったのだろうか。

 まあそんなことはどうでもいいか。どうやら昨日一夏に墜とされた第三世代兵器《ブルー・イェィアーズ》も予備機があったのかしっかり搭載されているようだし、万全の試合ができる。

「だったらいいけどな。じゃあ、早速始めようぜ。レディーファーストだ。お先にどうぞ」

「っ……馬鹿にして……!」

 俺の挑発に、いつものオルコットに戻りかける。

 昨日の試合で一夏に不意打ちじみた攻撃したのはどこの誰だよと追い討ちをかけてもいいが、別にいいや。あの時はもうすでに試合は始まってたから、正当な攻撃だし。

「それなら、お望み通り倒して差し上げますわ!」

 そう叫ぶなり、オルコットは昨日の試合でも使ったレーザーライフル《スターライトmkⅢ》を展開。俺へと標準を定めて引き金を引いた。

 レーザーが俺に向かって飛んでくるが、それを俺は横へ移動することで回避。さらに挑発を重ねる。

「その程度の攻撃当たるわけないだろ。ほら、もっと来いよ」

「いつもいつも癇に障ることを……!」

 ほとんどもういつものオルコットに戻り、ライフルからレーザーを連射する。

 一つ一つがかなりの威力を持ったレーザーの弾雨。……だが、当たらなければさして問題はない。

 いくら連射されているといっても引き金を一回引くごとに一発しかレーザーは発射されない。そしてレーザーの速度が一定である以上、俺の元に二発以上のレーザーが同時に来ることはない。なら俺のところにくるレーザーを一つずつ見極めて回避すれば――決して当たることはない。

 昨日使っていた《ブルー・ティアーズ》を使われない限り、俺に攻撃を与えることはまずできない。

 さて、どうする。オルコット。

 

 

 

「……すげぇな、あいつ。あの攻撃を簡単にいなしてやがる」

 観客席で試合を見守っていた一夏は、目の前の光景驚愕していた。

 昨日自分が散々苦戦したセシリアの弾雨。それをいとも簡単に回避していく明弘の姿は、それを実際に食らった一夏からすれば信じられないものである。

 自分と明弘の実力の差。この光景を見るだけでそれを否応にも実感させられて、ハンデなんて何も考えずに提案した自分が恥ずかしく思えてくる。

「俺も……もっと強くならないとな」

 拳を強く握り締めながら、そう呟く。

 その呟きに答えるように、その手首に着けられた白式の待機形態である白いガントレットが陽光を小さく反射させた。

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