Another IS ―もう一つのIS― 作:colorless
「織斑一夏だ。一夏って呼んでくれ。これからよろしく頼むぜ」
「これからよりしくな、一夏。俺も明宏でいいぞ」
一時間目のIS基礎理論授業が終わって今は休み時間。基礎理論なんて今更習うことかと思うんだが、基礎を疎かにしては実技なんてできないということなのだろう。
ISは世界最強の兵器だ。何かあったとき、ちょっとした事故ですまないだろう。その何かを起こさないためにも、基礎をしっかり頭に叩き込んでおく必要がある。
ちなみに、IS学園ではできるだけIS関連教育をするために、入学式当日から普通に授業がある。学園の案内は、地図を見ろだそうな。新入生に優しくない学校だ。
現在、廊下には他クラスの女子、二、三年の先輩も大勢詰め掛けている。恐らく織斑、ついでに俺を見たいが為なんだろう。恐ろしいほどの人口密度だ。
とりあえず唯一の味方であり、共感者でもある一夏と挨拶を終え、周りの雰囲気を忘れるために談話に入る。
「そういえば、明宏もIS動かせるんだよな。俺以外にISを動かせる男なんて知らなかったから、ビックリしたぜ」
「自己紹介の時にも言ったけど、俺が動かせるのは正確にはISじゃない。俺の知り合いが作ったISのような物なんだよ」
「……なんだかよく分からないんだが」
「すまないが、俺もよくわからないことがあるからちゃんとした説明はできない。まあ、だいたいはISと同じものと考えてもらっていい。ISを唯一扱える男の称号はお前だけのものなのは変わらないさ。俺としてはお前のほうが凄いと思うぞ? 男でISを動かせるだけじゃなく、あの織斑先生の弟なんだからな」
「いや……それはあんまり触れて欲しくないんだが」
「すまないな。触れないようにする」
地雷だったか? まあ、確かに色々と気疲れしそうだな。あんなすごい人と比較されたりしたら。
そんなこともあったが、その後も面白いように会話が進む。こんなに男の友達の存在が頼もしいとは思わなかった。特に女子に囲まれたここだからこそ、それを強く感じる。
「……ちょっといいか」
「え?」
突然、話しかけられて一夏が声をあげる。女子の間では『あなた話しかけなさいよ』という空気と『ちょっとまさか抜け駆けする気じゃないでしょうね』という緊張感が満ちていたんだが、それを振り切ってきたのとでもいうのか? なかなか肝の据わった女子だな。
「……箒?」
「…………」
目の前にいたのは、髪をポニーテールにまとめた、少し不機嫌そうに見える目をした女子だった。束さんから見せてもらった画像で見たことがある。こいつが篠ノ之箒だな。
「外でいいか?」
教室では話しにくいことみたいだ。それなら俺はいないほうがいいよな。
「早くしろ」
「ほら行ってこいよ。俺のことは気にしなくていい」
「お、おう」
ごめんな、と俺に謝ってから篠ノ之を追って教室を出て行く一夏。そして、それを追いかけるように歩いていく約半数の女子。話があるみたいだから放っておいてやれよとも思うが、まあ周りの女子が少なくなったから別にいいか。
半分より少し多いくらいの女子が一夏のほうに行ったようだが、それでもかなりの女子がいる。
別に視線にさらされるのはどうでもいいことだが、暇だな。一夏と話す前だったらここまで暇に感じなかったのだろうが、一夏と話す楽しさを知ってしまった以上、話し相手がいないのが若干つまらなく感じる。
さて、どうしようか。