弱いから誰かを守ってはいけないんですか? 『完結』 作:ちゃるもん
心がぁああ!!
では、どうぞ!!
私は朝香くんを肩に背負い、人里への道を歩いていた。
「ッ!!……ウグゥ」
足が縺れ地面へと倒れる。
後ろではよく分からない大きな音が鳴り、私の耳を襲っていた。
怖い
そんな感情が私を襲う。
無理だ
そんな思考が私の動きを止めようとする。
逃げなきゃ
本能が私の体を無理矢理動かした。
―――
夢なのかもしれない。
幻聴なのかもしれない。
でも、確かに届いた……
止まろうとする世界で……ただ一言の言葉。
―――生きて―――
その言葉が、私に力をくれた。
そこから、どうなったのか分からない。
気が付けば彼はあの妖怪に殺されていた。
震える足に鞭をうち、彼の背負った痛みは、苦しみはこの程度じゃないと自身を奮い立たせる。
この程度重いには入らないと。
彼は私を背負ってここまで来てくれたのだ。今度は私が背負う番だと。
小さなこと、大きなこと。良い思い出も、悲しい思い出も…………ただ、私を奮い立たせるために。
彼との約束を……果たすために……
私は……生きるよ……朝香くん……
だから、一緒に帰ろう……ね……
目が暑くなる。
視界がボヤけ上手く前を見えない。
泣くな、泣くな!!
本当に泣きたいのは私じゃない……!!
本当に泣きたいのは朝香くんと、朝香くんのお父さんとお母さんなんだ……!!
泣くな、泣くな!!
だが、私の思いとは裏腹に涙は止まることを知らない。
自分の事をどんなに騙そうとしても、涙は滝のように溢れてくる。
この気持ちを少しでも軽くしようと、溢れてくる。
だからせめて、私は口を固く閉ざした。
漏れる声が耳を燻る。
隣を見れば彼が生き返っているのでは?そんなありもしない妄想が頭をよぎる。
ただ、私は前を向いた。
滲む世界と必死に戦いながら……前を向いた。
これは、もしかしたら逃げなのかもしれない。
まだ死んではいないと、淡い希望を持ちたいのかもしれない。
誰かに……助けてほしいのかもしれない……
『頑張って』
耳に声が届く。
私は一つ頷いた。
『もう少しで奨が来るから。頑張って』
私は、頷い……た……
前を向いて、歩を進める。
また、朝香くんに助けられたな……ありがとう。大好きだよ。
『……さかー!!香住ー!!』
滲む影にそっと浮かび上がった人影。
『朝香!?』
「しょ……う、くん……わた……し」
『……今は里に戻ろう』
肩に掛かる重みが、一気に軽くなる。
もう片方の肩を奨くんが支えてくれたからだ。
「あり……が」
『礼は言うなよ。俺は親友達に肩を貸しているだけだ』
そう言う奨くんの体は震えていた。
その震えに何の感情が隠れていたのかは、私には分からない。
けど……
「うん……三人で、一緒に帰ろうね」
私の口からは、自然とそんな言葉が溢れていた。
『『おう(うん)』』
お読みいただき有難うございます!!
香住ちゃん……
誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします
あの狂閑話、もう少し待ってね。
学校の授業で絵本を書いているんですが……シリアスな絵本ってどう思います?
物心付いたときには父が居ない。
記憶にあるのはボヤけた影だけ。
母親に写真を見せられても分からない。
お父さんってなに?
君には分かる?
的な短いやつなんですが……
因みにタイトルは『ぼくは、おぼえていない』です。
では、また次回~