弱いから誰かを守ってはいけないんですか? 『完結』 作:ちゃるもん
藍様との修行。
うらやまs……ゲフンゲフン……羨ましい
では、どうぞ!!
紫様の式になるまえに基礎的な体力、技術、知識を付けて貰う。
とは、紫様の式である八雲藍様が一ヶ月前に言っていた言葉である。
藍様には別に敬称を使わなくてもよいと言われた、そこに隠された心理は出ていけ、などと言ったモノであろうが僕にその意識はなかった。だから今も、僕は貴女の思う通りには行きません。と皮肉を込め敬称を使う。
それに、此方は僕自身の命だけではなく、父さん母さん、奨や香住さんの命も預かっているのだ。そう簡単に出ていくことも、諦めることも出来ない。
まあ、そんな事もありながら最初の一週間は座学で基本的な戦術、霊力などの使い方について学んだ。
元々勉強は嫌いではなかったし、覚えることも得意だったため座学にはそこまで苦労はしなかった。
問題は技術や体力面。そして霊力だった。
何が問題か……僕の才能の無さである。武術面に対しても霊力の使用に関しても、だ。
頭では理解しても、体が付いていかない。
感覚がどうしても掴めないでいた。
これを好機と見たのだろう。
藍様は心底嬉しそうな笑みを浮かべ「実戦でやった方が上達が早い」と言って、実戦形式での修行が始まる事となる。
藍様と実戦は今日で十日目。
僕は藍様の攻撃を少しではあるが避けられるようになってはいた。
だが、どちらにせよそのまま蹂躙されるのには変わりはなかったし、そもそも藍様は妖力を一切使ってはいない。
唯のお遊びでしかない状態で僕を一方的に蹂躙しているのだ。
だが、誤算が一つ。いや、二つあった。
一つは、人の可能性を考慮していなく、人と言う生き物が弱者でずる賢いのを理解していないこと。
二つは、僕を諦めさせるつもりだったのかもしれないが……その程度のことで僕のちっぽけな誓いを折るには至っていない事だ。
さあ、人は大切な人を守るためにはどこまでも隙を見つけ、漬け込み、強者を陥れるずる賢い弱者なのを教えてあげましょう。ね、藍様?
・
「さて……今日もお前の無駄な努力を実らせるために頑張ろうではないか」
「よろしくお願いします。藍様」
腕を組み、満面の笑みを浮かべ僕を見下ろす藍様に深々と頭を下げ敬称で答える。
彼女は気付いていないだろう、実戦を始めた三日目から、僕の術中に嵌まっていることに。
強者だからこそ、僕が絶対的な弱者であるからこそ……そんな考えも考慮していない。
いや、気付くことが出来ないのかもしれない。
頭を上げた瞬間であった。
「―――カハッ」
腹部に衝撃。
そのまま引き飛ばされ、何度か地面をバウンドしドサッと音を立てながら地面へと落ちる。
「どうした?その程度なのか?」
口に溜まった血を吐き出し、目の前に飄々と立つ藍様を見上げる。
どうせ何時もの事だから気にはしない。むしろここからどうするかが問題だった。
ヒュンと音を立てながら、僕の肩を抉らんとする尾を転がることで避ける。
さっきまで僕がいたところには、地面に深々と突き刺さる黄金色の尻尾が。そして次の尻尾を避け、尻尾を避け……
そんな防戦一方な状況が続く……何時もならこのまま防戦一方で終るのだが……
―――今回は、反撃させてもらいますよ―――
僕は目の前に迫る尻尾を掴んだ。
お読みいただき有難うございます。
と言うわけで藍様との戦闘前座でした。
朝香くんが生きているのは紫様が治してあげているからです。
誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。
別にちゃるもんは藍様が嫌いではないです。むしろ好きです。あの尻尾をモフモフしたいです。
では、また次回~