弱いから誰かを守ってはいけないんですか? 『完結』 作:ちゃるもん
今宵……一人の少年が……
では、どうぞ!!
見た目は十代後半の女性。
とても美人で里の中を歩いているだけで求婚が絶えないのでは。
と、考えても当然と言っても過言ではない。
ただ、素人……それもまだ子供で霊力も扱えず、妖気を感じる事も出来ない。
それなのに……分かる。分かってしまうのだ。
肌を焼くような妖気。
体を押し潰そうとする気配。
敵わない。
一度だけ中級妖怪の大百足に会ったことがある。
ただ……その比ではない。
あの時でも妖気なんて全く感じなかった。
つまり……相手は少なくとも中級以上。
大妖怪の可能性が高い。いや、実際そうなのだろう。
なにか……なにか助かる方法は……!!
「僕を食べていいから!!彼女と人里は見逃してください!!」
気が付けばそんな言葉を口走っていた。
何時もの誓いがいつの間にか本能にでも成っていたのだろうか。
既に言ってしまったのはしょうがない。
僕は彼女を下ろし、妖怪へと向き直った。
「お願いします!!どうか、彼女と人里だけは見逃してください!!」
膝を地面につき、頭を地に擦り付ける。
『うーん……どうしよっかな~』
お願いします。お願いします。
何度も何度も繰り返しお願いする。
足音がしないことから彼女も逃げれてはいないのだろう。
むしろ、これだけの妖気と気配に当てられ動いている僕が可笑しいのかもな。
そんなこの場とは似ても似つかわしくない事を考えながらも、口からはお願いします。と続いていた。
『ん~お腹空いてるからな~二人とも食べちゃお』
あまりにも軽い返事。
僕は頭を上げ―――た、瞬間。僕の頭が有った場所を黒い影の様なものが地面ごと抉り取っていた。
その光景に背筋が凍る。
あと少しでも遅れていたら……
『へ~今の避けるんだ』
違う。偶々だ。偶然と奇跡が折り重なって結果的にそうなっただけだ。
そして……逃げれなくなったな……
「止まれ!!」
なんの躊躇もなく能力を使用する。
後ろには涙を流し、助けてと言い続ける大好きな人の姿が。
彼女を護る。その一心で僕は今立てている。
『?』
「止まれ!!」
頭をチリッと焼けるような痛みが襲う。
『ねえ』
「止まれ!!」
頭痛が酷くなり、ズキズキと頭を締め上げられるような痛みが襲ってくる。
『何してるの?』
相手から見れば至極滑稽なことだろう。
何かをしているように見えるが……何も起こらない……起こっては……くれない……
僕の能力では……僕の力では……何も出来ない。
『弱いんならさぁ……大人しく殺されてくれない?誰かを守ろうとするなんて烏滸がましいんだよ』
……確かに……僕は弱い。
強大な能力を持ちながら、弱い。
でも……それでも……
「弱いから誰かを守ってはいけないんですか?
どうせ負けるから?
弱いから家族の、友人達のために命を賭けるのも許されない?
無駄な努力にすぎないから?
弱いから大好きな人を……愛する人を護る事すら許されないんですか?
ふざ、けんなぁああ!!!」
……彼女と初めて話をして……彼女と友達になって……彼女と遊んで……
いや、彼女と初めて出会って、恋をしたときから……
「僕は大好きな人を、柊香住を命に変えても護るって……誓ったんだ!!」
今だけでいい……今だけでいいから……僕に力を貸してくれ……
大好きな人を護る力を……貸して下さい……
「止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ――――――
―――とま……れぇええええええええ!!!!!!!!!!」
そして―――
お読みいただき有難うございます!!
覚醒フラグ 生存フラグ 勝利フラグ 恋愛フラグ 取り敢えず乱立させてみた。
次回は人里の奨くんシード。
誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。
……その真の力を……発揮する……
では、また次回~