反省はしています。でも忘れちゃう。……いつか天罰が下る気がします。
さて今回は年下男子のお話です。
個人的にわりと好きな感じになりました。趣味です((
それでは是非、最後までお付き合い下さいませ……。
私の家の近所には一つ下の男の子がいる。名前は翔太。
勉強も運動もそこそこ出来ることを鼻にかけてて生意気な…年上の私のことも何かと馬鹿にしたりする可愛くないヤツ。
そんなアイツがある日突然"イメチェン"した。
どんな感じかというと…
「あ、佳奈、こんにちは」
翔太が挨拶…ですと…?
「髪切った?」
は……?あ、いや、切った、切りましたよ?
でも毛先をほんの5センチほどで…気付くか普通…?と思うくらい小さな変化。
「え?あ、うんっ…ほんの少しだけなんだけど…よく気付いたね……?」
「気付くよー、いつも近くにいるじゃん?」
……これである。こいつは何故か突然気遣いチャラ男子になったのだ。ナニコレ不自然怖い。
「な、何かあったの?翔太…なんかいつもと違うけど…」
「ん?なんにもないし、いつも通りだよ」
それとなく訊いてみようとしたけど、無駄だった。
なんかすごいチャラっとかわされた。誰だよこいつ絶対翔太じゃない。
「そ、そっかー……。気付いてくれて嬉しいな……?」
にこっと笑っているつもりだが多分私の顔は今、ものすごく不自然に曲がっているだろう。
いつもならここで、きもいだの、寄るなだの、暴言の嵐が飛び交う。
だがしかし今日のあいつが言ったのはこれだ。
「うん、当たり前でしょ。……ほら、笑顔にもよく似合ってて素敵だよ」
……いやなにこれ爽やか王子かよ…と、いうかもう、ここまできたらなんかもうイタい。チャライタい。
でもこいつ、無駄に顔が王子様的な感じに整っているからやけにこういう台詞が似合っている。
悔しながら一つ下の翔太に対して若干ときめいていた。ホントなんでなんだろう。
「お、おぉう……っあ、ありがとう……」
「ほら佳奈は女の子なんだから。おう、とか言わない、ね?」
女の子…女の子なんだからとか…初めて言われた……。
もうホントなんなのこいつ、王子様なの?王子様になったの?
「う、うん…えっと…あの、じゃあね……っ!」
慣れない女の子扱いに戸惑った私は家へ逃げ込んだ。
そのまま階段を走って上がり、自分の部屋へ駆け込む。
あいつは…一体何を企んでいるんだ……。
自室の扉を開くと、すぐに視界は桃色のものと、白のレースでいっぱいになる。
性格は男勝りな私だけど、結構乙女趣味なのだ。
はぁぁぁ……、と長い溜息を吐いて花柄のベッドへ倒れ込む。
天井を見上げて、最近の翔太を思い返す。
…最近の翔太はこんな私をお姫様のように大切に扱ってくれる。
いつもはあんなに…粗雑に扱っていたくせに……。
お姫様に憧れていた時期があった私だから、その名残か何か知らないが、今だってこう…お姫様のように扱われたりすると少しは嬉しかったり…しないこともないんだ……。
「まじでなんなのあいつ……。」
枕に顔を埋めた私の顔は、有り得ないほどに熱くなっていた。
そのまま何時間経っただろう、インターホンが鳴った。
びくんと飛び起きて時計を見る。
長い時間こうしていたと思ったが、時計の針はまだ11時30分を指して、あれから5分しか経っていないことを知らせていた。
「佳奈ー!翔太くんがあなたに用事ですって、降りてらっしゃい!」
「え、翔太が?」
翔太。彼の名前を口に出すとずきんと胸が痛んだ。
……なんだよ、私。ちょっと優しくされたからって翔太に惚れたのか?……ホント嫌になるくらい単純なやつ。
「……はーい!すぐ行きます!」
玄関に出ると、翔太が真面目な顔をして立っていた。
「佳奈、俺さ、君に見てもらいたいものがあるんだ」
何?と訊くと、翔太は何故か少し緊張したような顔つきになって私に紙を手渡した。うちの学校の合格証書だった。
……そういえば今日、高校の合格発表の日だったっけ。
「見て、佳奈と同じ高校受かった。……それで、さ。受かったら佳奈に言おうと思ってたことがあるんだ」
改まってどうしちゃったんだ……。何故かつられて私も緊張し始める。
「俺さ…いっつも佳奈に強く当たっちゃってたろ…ごめんなさい。でもな、嫌いだったんじゃないんだ…いつも…緊張して…どうしていいか判らなくて……っ」
ここまで一気に言い切った翔太はすとんと玄関にへたりこんだ。
「しょ、翔太……?」
「好きなんだ、佳奈。ちょっと頑張って高校まで追いかけちゃうくらいには…ずっと…好きだったんだよ…」
最後の方は消えそうなくらい小さな声での告白を、きょとんとしながら聞いていた私は、不思議と落ち着き払っていた。
「……ありがと、翔太。私も好きだよ」
「え……?」
驚いたように顔だけ上に向けて私を見上げる翔太に、私はにこっと手を差し伸べた。
「お手をどうぞ、王子様。…情けない君の、お姫様になったげる」
少し情けなくて、頼りなくて、不器用で。でも精一杯優しい私の王子様は、私を"退屈"という檻から救い出してくれたんだ。