星くずWaltz   作:碧兎

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おはこんにちばんわ、碧兎ですよ。

今日の今頃投稿してる理由ですか?
Wi-Fiが死んでて投稿出来なかったんですホントです。
許してください(´•ω•` )

今回はなんか楽しく書きました、それでは是非最後までお楽しみ下さいませ……



今日の僕明日の私

 

 

僕は男子というものに憧れる16歳の女だ。

 

筋肉質のすっとした身体、女子は到底敵わない力の強さ、低い声。

女子の持たないものを沢山持っているそんな男子という生き物に、僕は昔からなりたいと思っていた。

 

勿論ただ口で言っていただけではない。男に近付けるような努力もした。

一人称は名前から僕へ。剣道を始めて、筋トレもした。

低音が出るように練習したり、行動も紳士を目指したが、そんな努力虚しく、男子に近付けた実感などは全くと言っていいほど持てなかった。

女子特有の発育が進んだことも一因だろう。

 

しかし何故か女子にはモテてしまうものだから、おかげで男子には変に敵視されてしまうようになってしまった。

 

男子にもなれず、かといって女子でもない不思議なポジションについてしまった僕には、恋愛なんて縁のないものだと思っていた。

 

……君に出会うまでは。

 

「ねぇ、君が噂の佐藤くん?」

 

後ろからかけられた楽しそうな声に振り向くと、そこには何処かふわっとした男子が立っていた。

 

「確かに僕は佐藤だが…残念ながら"くん"ではないぞ、僕は女だ」

 

「あはは、女の子がそんな喋り方しないし、僕なんて言わないよ?佐藤くん」

 

僕が否定した後もにこにこしながら話すこの男は…

 

「あ、そうだ…自己紹介してなかったね。俺は加藤、よろしく」

 

…加藤は、僕のことを"くん"と呼んだ。

 

いつもの僕なら喜んだだろう。

憧れに近付けている実感を得て舞い上がったかも知れない。

 

しかし今の僕はそれを嬉しいと受け取ることは出来なかった。

胸が、ちくんと痛んだ。

嗚呼僕ってやつはまだ、この男のことが好きだったんだ…。

 

「うん…よろしくな、加藤……」

 

ホントは、僕は加藤のことを知っていた。

名乗られる前から、ずっと、ずっと前から。

 

僕が男子に憧れるようになったのは小学3年生からだ。

いじめにあったことが理由で僕は強くなりたいと望んだ。

逆に言うとそれまではなんでもない、ただの女の子だったんだ。

 

いじめられていた僕を助けてくれた男の子、僕が女の子だった幼稚園の頃の初恋の相手。それが加藤だった。

だから名乗られなくても彼のことは知っていた。知らないわけがなかった。

 

「なぁ、加藤…」

 

「んー?」

 

僕、覚えてたんだよ、君のこと。

助けてくれたよな、よく話してくれたよな────。そう言おうと思った。

 

「……いや、ごめん…やっぱり何もない」

 

でも、やめておいた。

 

「……そう?じゃあ、行くね」

 

話しかけるなら…それに答えてもらうなら…僕は、女の子として彼と話したい。

 

男に憧れて努力したものくらい彼のためなら捨ててやる。

男としての強さは得られなかった僕だけど、人のために何かを捨てられる強さは持ち合わせているはずだ。

 

だから僕は女として、恋する乙女として、強くなってみせよう。

僕は君のために、私になってみせよう。

 

女の子になれたら、また話しかけるから。

その時にはもう"くん"なんて呼ばせないから。

……私を女の子にしたんだもん、覚悟しててよね。

 

 

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