今週から毎週月曜日頑張って書いていきます!
よろしくお願いします!
カラフルに彩られた街。
ゆっくり点滅するイルミネーション。
幸せそうな家族やカップルの声が私の耳を通り過ぎていく。
そんな冬の寒い日に、もうどのくらいここに座っていただろう。
窓際から寄せる冷たい外気のせいで冷えていく身体だけが私に時間の経過を感じさせた。
「あーあ、何してんだろ、私」
去年のクリスマスは想い人と一緒に来た小さなレストランに、今年は1人で来ていた。
彼のことはいつだって恋しく想っている。
しかし今日はクリスマス。いつも以上にさみしさは募る。
仕事の都合で遠くへ行ってしまっている彼は、今までも3日以上の休みがなければ帰っては来られなかった。
去年はお互い近くに居たから簡単に会えたが、今年は前々から無理そうだと言われていた。
覚悟はしていたつもりだったが、やはり寂しいものは寂しい。
取り出した携帯端末で、お馴染みのチャットツールを開く。
「メリークリスマス、今日も寒いね」
それだけ送って、また鞄に仕舞った。
出された、この店自慢の苺ソースの香る甘酸っぱいケーキを口に運ぶとすぐ、仕舞ったばかりの端末が小刻みに震えた。
慌ててフォークを置いて通話に出ると、聞こえてきたのは愛しい彼の声。
「もしもしー、俺だよ」
「うん、どうかしたの?」
「いやぁ、お前が寂しがってるんじゃないかと思ってさ」
「ふふっ、なにそれ」
なにそれ、とは言ったものの声には自分でも判るくらいに嬉しさが滲んでいた。
「…ありがとね、電話してくれて嬉しいよ」
「お、おう…っ」
素直に礼を言うと彼は意外だったのか少しどもって照れているようだった。
「…あれから大体1年になるんだな」
彼はそう切り出した。
一年前、私と彼は両片想いを卒業した。
その時もこの店にいた私の口の中は、今と同じように苺ソースの風味がいっぱいに広がっていたのだ。
「そうだね」
私はそんな甘酸っぱい想い出を思い返して、少しくすぐったいような気持ちになった。
「お前、どうせそっちで1人なんだろ」
「誰のせいですかね、まったく」
あっちには見えていないけれど少し頬を膨らませて拗ねてみる。
去年と同じように、少しあどけなく。
しかし見えていないながらに雰囲気で私が拗ねているのが判ったのだろう。
彼は少し困ったような声で悪かったって、と謝ってきた。
私の瞼の裏側に、ハの字に眉を下げて笑う彼の顔が浮かんで思わず笑う。
「ううん、仕方ないよね、仕事だもん」
でも会いたいな…そう付けたそうかと迷ったけれどやめておいた。
これ以上困らせても可哀想なだけだ。
「そういえば、お前さ。またあの店来てるんだな」
彼が少しからかうように、何故か私の居場所を当てた。
「え…?どうして知って……あ……」
私が驚いて顔をあげると、そこには大好きな人の姿があった。
携帯を耳に当て、私が編んだ手作りのマフラーを巻いた彼が、店のドアの前に立っていた。
「よぉ、久しぶり。元気だったか?」
昔と変わらない挨拶をしながら微笑む彼のコートの上にはうっすら雪が見えた。
「もしかして…帰ってきてくれたの…?」
「おう、独りぼっちのお前を慰めにきた」
「なにそれ……」
今度のなにそれ、はちょっぴりこもった涙声になってしまった。
嬉しくて、思わず彼に抱きつくと、かつんっと金属がぶつかり合う音がした。
一瞬2人できょとんとしたが、私はそれが何の音かすぐに判り、彼にそれを見せる。
金属音の原因、左手薬指に光るお互いの指輪を見つめて私達は顔を見合わせて笑った。