星くずWaltz   作:碧兎

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若干GL?注意ですっ


それでは是非最後までお付き合い下さいませ。






特殊スキルは百合の華束

中学2年の体育祭からだろうか。校内なら何処にいてもやけに人の視線を感じるようになった。

 

「なぁ沙織…さっきからずっとあの子に見られてるんだけど……」

 

「またー?ほんとモテるよねぇ、女子に!」

 

「……最後のは余計だっつの」

 

友人である沙織に"女子"を強調されてしまっているのには理由があった。

 

「だって本当でしょー?なんなら"男子より"モテるんじゃないかなぁー?」

 

……私が女子だからである。

 

私、陽向は至って普通の女子高生だ。

髪は中学生の時、部活に入る際に思い切って短く切ってはいたものの、顔が中性的なわけでもなく、行動が男前だとかそういうこともない。そんな私が何故男子に疎まれるほど女子にモテるのか…自分にもさっぱりだった。

 

「ひなたんはイケボだからねぇ…」

 

沙織にはそう言われてるけど、これだって何処にでもいそうなただのハスキーボイス。

他にもこんな声の女子は何人もいるでしょうに…。

 

「別にそんなんじゃないし…てかひなたんって呼ぶな気持ち悪い」

 

沙織は私を普通の女子として…友人として見てくれている数少ない女子だ。

それは嬉しいのだが"ひなたん"などと私には似合わないくらい可愛らしいあだ名で呼ぶのは…それは恥ずかしいのでやめて欲しい。

 

私達2人で校内の廊下を歩いていると、今日もいつも通り男女問わず方々から声があがった。

男子からの歓声は勿論私へのものではなくて美少女お嬢様、沙織へ向けてのもので。

 

勉強運動はからきしで、いつもふわふわしている彼女だが、芸術センスにはジャンルを問わず恵まれているうえに社長令嬢とくる。

上品で美人な沙織は私とは反対に男子から、女子に疎まれるくらいの圧倒的人気を得ていた。

 

「沙織はホント男子にモテるよな…」

 

「えー?なになにー?ひなたん妬いてるー?」

 

「妬くわけないしひなたんやめろ」

 

…当の本人は恋愛だの男子だのに全く興味がないらしいものだから勿体ない。

男子にはモテたことがない私に言わせてもらうと正直羨ましい限りなんだけど……。

 

 

「あ、あの…っ!」

 

20人程の取り巻きをまいて人気のない場所に入った時、いつもなら2人しかいない筈のこの空間で男子の声が聞こえた。

驚いて振り向くとそこにいたのは私が2年ほど前から恋慕っている男子生徒だった。

度重なる衝撃に私達は上がった息を整えようとする彼のことをただ呆気に取られて見ていた。

 

「俺、君が好きだったんだ。付き合って下さい」

 

私はこの言葉を向けられている相手が直ぐに分かった…目の前が暗くなった。

でも、ここまで付いてきてまで想いを伝えようとはやはり中々芯のある人、流石私が惚れた人。

 

「だってよ、沙織。どうす…」

 

「どうかな、陽向さん」

 

「「えっ」」

 

先程を軽く上回る衝撃が私の脳天を貫いた。

初めての男子からの告白に、さっきまで暗かった筈の頭は真っ白になる。

 

「え、あ、は、はい…っ?」

 

慣れない出来事に1人あわあわしていると後ろからツンとした声が聞こえた。

 

「急になんなの?ひなたん困ってるじゃない。あっち行ってよ」

 

沙織が彼に言い放った言葉は節々に棘があって声は冷淡なものだった。

初めて聞く声、初めて見る表情。

 

「…な…なんだよ、お友達取られて寂しいってか。とんだ高飛車お嬢様だな。…ごめん陽向さん。またね」

 

彼は面倒くさそうな目で沙織を睨めつけるとすっと方向転換して離れて行ってしまった。

 

「…沙織、どうしたんだよ。なんで怒ってるの…?あの人悪くないよ…?」

 

「悪いよ。あの子が全部悪いの」

 

「どうして…?知ってただろ…?私、あの人のことがずっと好きだったのに…」

 

私は成就しそうだった2年がかりの恋路を閉ざされて少しだけ苛立っていた。

珍しく私に問い詰められた沙織は困ったような、申し訳なさそうな表情を浮かべて答えた。

 

「私以外に好きな人の目がいくのが許せなかったの…ごめんねひなたん…ごめん…」

 

私にはほろほろと涙を流しながら謝り続ける沙織をこれ以上責めることは出来なかった。

 

「じゃあ今日から恋敵だね、沙織。負けないよ」

 

責める代わりに笑顔で宣戦布告しておく。

…もしかしたら彼は綺麗な沙織に靡くかもしれない。でもそれでも良いんだ、きっとこれが正解なんだ。

沙織は驚いたような顔で顔を上げると、涙を拭った。

 

「ひ、ひなたん、違うの…っ!私が好きなのは…っ」

 

 

…ここまでくると私が女子にモテるのは何かの特殊能力なのかもしれない。

 

スキル【百合の華束】は容赦なく唯一の友人にも発動してしまったようだった。

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