星くずWaltz   作:碧兎

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お友達の誕生日祝いに書いたお話です。

それでは是非最後までお楽しみ下さいませ…





いちご

1月5日は私にとってほんのちょっぴり特別な日。

 

「おはよ……待った?」

 

そんな今日、私は朝から"ある人"と会う約束をしていた。

 

その人は、私が約束の時間に5分遅れてしまって絶対に待ってくれていたはずなのに、小さく首を横に振った。

 

"ある人"は私の幼馴染みの陽乃の、お兄ちゃん。

 

あまりにも一緒にいた時間が長くて、私も陽乃と同じように"健人にぃちゃん"と呼んでいた。

 

昔から優しくて、かっこよくて、頼りになって…憧れだった。

 

好きなんだけど、別に恋愛に発展するとは思っていない。

 

健人にぃちゃんは想い人というよりかは私のヒーローだったんだ。

 

「めざまし時計鳴らなくなっちゃってて……私から誘ったのにごめんね……?」

 

言い訳をして謝る私を、健人にぃちゃんは仕方ないなと笑って許してくれた。

 

「でも、友達と遊ぶ時とかはちゃんと5分前行動しとけよー?」

 

こういう所がホント、"お兄ちゃん"なんだ。

一人っ子の私は、こういうお兄ちゃんな所が大好きなんだ。

 

「ところでさ、鈴から2人で会おうなんて珍しいじゃん」

 

「うん、まぁね。ちょっと健人にぃちゃんと行きたいとこがあって…良いかな……?」

 

「良いよ、今日お前の誕生日だもんな。どこでも付き合うよ」

 

そう、今日は一年に一度のほんのちょっぴり特別な日。

私がこの世に産まれた日。

 

「いがいだな、覚えててくれたんだ」

 

「1月5日でしょ、当たり前」

 

呆れたような笑顔でピースサインを作られて胸に針が刺さったような感覚がした。

1人どぎまぎしていると健人にぃちゃんが、今度は不思議そうな顔でまた笑った。

 

「年、いくつになったんだ」

 

「にぃちゃんの3つ下だよ、16になった」

 

そっかそっかとふむふむ頷く健人にぃちゃんの手を引っ張って、私は果物屋さんの隣にあるカフェに入った。

 

「なんだ、ここ来たかったのか?陽乃と来れば鈴も楽しかっただろうに」

 

そう言いながらも健人にぃちゃんはメニューを開いて美味しそーなんて目を輝かせている。

にぃちゃんは相当な甘党で、それは私が今日の日に、にぃちゃんを誘う口実にもなり得た。

 

「りんごのパイが美味しいお店なんだけど……」

 

私はメニューを裏返して裏表紙を見せて、いちごのパフェを指差した。

 

「まよってるならいちご、食べて。旬とかじゃないけど、ほら今日いちごの日でしょ」

 

「すすめ上手だな鈴は…すげぇいちご食べたくなってきた…」

 

多分すごいのは私のセールストークではなくて美味しそうないちごパフェの写真と健人にぃちゃんの甘党ぶりだと思ったけど黙っておいた。

 

「よしっ、じゃあこれ2つ!」

 

にぃちゃんが店員さんに気前よくパフェを2つ頼んだ。

 

「うまいわ、これ…!甘くて美味しい…!」

 

運ばれてきた魅惑の甘味に目尻を下げる健人にぃちゃんを見ながら同じものを食べる。

 

甘い、甘いと彼が連呼するそれは、私には少しだけチョコレートの苦味が強いように感じた。

甘酸っぱくてほんのり苦い、今の心と同じ味。

 

気付いてしまった気持ちを隠すホイップクリームはとても甘くて美味しかった。

 

食べ終わって、少しウィンドウショッピングして。

 

それから私達は解散した。

 

「にぃちゃん、今日はありがと。楽しかったよ!」

 

楽しかったよ、だから、これ以上苦い想いをしないように、兄ちゃんとは今日でさよなら。

 

出来るなら兄ちゃんじゃない貴方に今日からよろしくって伝えたいの。






ちなみに台詞(「」の中の)部分を縦読みすると「おめでとう 良い1年になりますように」となるように書いてます(*´-`)

気付いて下さった方はいるでしょうか?笑
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