長門の視線 ー過去編開始ー   作:電動ガン

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ひゃっはー!たぶんしばらく忙しいからぶちまけたぜー!上司に見つからないように。


二章 私と大戦艦
page17 私と監査


やぁ諸君。長門だ。一悶着あってから数日が過ぎた。私はというもの掃除洗濯家事食事と忙しい日々をおくっている。この間に、何度か北方海域に水雷戦隊が緊急出撃していったが、大事にはならなかった。これだけ深海棲艦が静かだと少し恐ろしくもある。

 

「ふむ、あのバカは・・・もう終わりか。」

 

「ママ、なに見てるっぽい?」

 

「電報だ。」

 

例のあいつは・・・もうサヨナラ!したらしい。粗探しすると出るわ出るわ黒いのいっぱい。ビス子が電報で教えてくれた。

 

「どーも、せんかん、さん、びすまるくです。あいつは、だいほんえい、さん、の、こだいかいぐんからてで、ばくはつしさん?よくわかんないっぽい。」

 

「そりゃあ暗号だからな。」

 

今の私の装備を紹介しよう。赤城からの餞別のエプロン、おんぶひもで背負われた夕立、右手に大量の洗濯物、左手にも洗濯物だ!汚れを一網打尽にして完全勝利待ったなしだ。

 

「さて張り切って洗濯だ。間宮!由良!」

 

「はーい!」

 

「はい。」

 

「物干し竿を用意しろ!この長門に続け!」

 

「はーい!」

 

「はい!」

 

間宮と由良に支えてもらい、物干し竿にどんどん洗濯物を干していく。圧巻の量だ。艦娘の数が違いますよ。庭にもりもりと物干し竿が増えていき、艦娘がたくさんいることがわかるな。

 

「次!」

 

「はーい!」

 

「はいー!」

 

すばやい連携だ。流石、大湊の艦娘は練度が高い・・・ん?こっちに近づいてくるちっちゃな影が・・・あれは!

 

「ほっほっほ。」

 

「あら?お爺さんここは関係者以外立ち入り禁止ですよ?」

 

「警備員は確か今日阿武隈よね?何をしているのかしr」

 

「元帥閣下に敬礼ーっ!!」

 

「え!?」

 

「っ!」

 

「ぽーい!」

 

立派な白髭と立派な白眉を蓄えたこのお方は!間違いない!しかしどうしてここに・・・

 

「ほっほっほ。よいよい、長門。直れ。」

 

「はっ!」

 

「久しぶりじゃのぉ長門。元気にやっとったか?」

 

「はい!山元提督!お久し振りです!髭の艶がよくなられたのでは?」

 

「ほっほっほ!毎日のヨーグルトは欠かしとらんからのぉ」

 

「奥様の厳命でしたからね。」

 

「あ、あのー・・・長門さん、こちらの方は・・・」

 

「元帥閣下とおっしゃっていましたが・・・」

 

「こちらは山元一元帥、海軍の頂点に立つお方だ。そして、私を建造したお方でもある!」

 

ーーーーーーーー

 

ーーーーーー

 

ーーーー

 

ーー

 

 

洗濯を間宮と由良に任せて私は山元提督を客室にお連れした。そこには大淀と提督、扶桑が既に待っていた・・・おい、なんで迎えにいかないんだ。

 

「ほっほっほ。渡辺君。わがままを聞いてもらってすまんのぉ」

 

「いえ、元帥閣下。長門は如何でしたでしょうか?」

 

「ふむ、楽しくやっているようで安心した。」

 

「山元提督、いらっしゃるならば連絡してくれれば歓迎しましたのに。」

 

「おや?長門がこちらに移籍したから、監査に入ると連絡が行っている筈だがの。」

 

「え、あれは中将閣下がいらっしゃると・・・」

 

「まぁー中将も元帥も変わらんじゃろ!ほっほっほぅ!」

 

「提督ぅー!」

 

「いや、長門さん!待ってくれ!俺も知らなかったんだ!拳!拳しまって!」

 

「ぽーい!」

 

「ほっほっほ!長門、最後の作戦で横須賀をあやつに渡して以来かのぉ。」

 

「そう、ですね。しかしあいつは・・・」

 

「わかっておる。あやつも、日本の未来を憂いてのことだったんじゃ。あの大侵攻で、深海棲艦だけではなく、艦娘の恐ろしさというのも知った。それ故じゃ・・・まぁわしの長門を葬ろうとしたんじゃ。それなりの罰はかぶってもらったからの。二度と日の光も浴びれんし、地面に足も付けられんじゃろ。」

 

「恐ろしいお方だ。まったく。」

 

「して、長門。随分愉快な格好をしておるのぉ」

 

「あ、失礼しました!」

 

「よいよい。背中のお嬢ちゃん、ビッグセブンの背中はどうじゃ?」

 

「すっごくおっきいっぽい。」

 

「ゆ、夕立ちゃん・・・!」

 

「ほっほっほ!そうじゃろう?長い間、この国を背負ってきた背中じゃ。今はその大荷物を若い世代に託したんじゃな。その背中、独り占めとは羨ましいのぉ!」

 

「ママ、お疲れ様っぽい?」

 

「ああ、ありがとう、夕立。」

 

「ママ!ママと来たか!ほっほっほっほっほ!!見ろ扶桑!もたもたしてる間に長門は子供をこさえておるぞ!」

 

「提督?」

 

「お、おほん!」

 

「扶桑も、久しぶりだな。」

 

「ええ、長門・・・本当に。」

 

このお方、山元元帥は妖精さんにより人類に艦娘がもたらされて幾ばくか過ぎた時、提督による建造が行われ日本で初めての戦艦型の建造に成功した提督である。その際に生まれた戦艦は扶桑、伊勢、そしてこの私長門だった。戦艦が建造されて日本は深海棲艦に対して決定打を手に入れて海域を取り戻していくことになる。この扶桑もそのうちの一人だ。

 

「お前とはソロモンでの共同作戦以来だな。」

 

「ええ本当に。あれは恐ろしい戦いだったわね・・・」

 

「昔の話はやめよう。また会えて嬉しいぞ。」

 

「私もよ。貴方もその格好を見ると戦線を離れているのね・・・」

 

「貴方も・・・ということは。」

 

「ええ、私も。今は本営で提督の補佐をしているわ。」

 

「伊勢のやつはどうしているかな。」

 

「佐世保で、暴れまわっているんじゃないかしら。貴方のその格好を見たら伊勢も心変わりして少しは大人しくなってくれるんじゃないかしら?」

 

「無駄だろう。あいつには刀が似合いだ。」

 

「そうね。」

 

「ぽーいー!」

 

「あははすまんな夕立、この人は扶桑。私の古い友人だ。」

 

「ふそー?よろしくっぽい!」

 

「よろしくね夕立ちゃん。でもあなたとってもちっちゃいのねぇ。長門ママは意外と泣き虫なところがあるからしっかり守ってあげてね?」

 

「ぽーい!ママは夕立が守るっぽい!」

 

「こんな幼い艦娘、見たことないわ・・・」

 

「ドロップ艦・・・らしい。」

 

「・・・あら」

 

「元帥閣下、して今日は中将閣下に変わりうちにいらっしゃった理由とは・・・?」

 

「ひとつは長門の顔を見たかった、じゃがもうひとつはな・・・特命を持ってきたからじゃ。まだ極秘ではあるが、大和型の船魂が確認されたからじゃ。」

 

「大和型だと・・・!?山元提督!それは本当か!」

 

「長門!声がでかいわい。」

 

「し、失礼しました・・・」

 

「そ、そのような重要事項を一介の佐官である私が耳にして良いのでしょうか・・・」

 

「て、提督!どどどどうしましょう!?私も聞いちゃいましたぁー!」

 

「落ち着け大淀!閣下の前だぞ!」

 

「この大和型、通常の建造ではドックが耐えきれず、建造を失敗してしまう。それどころか建造ドックも損壊してしまう。」

 

「其れほどまでに強力な艦娘なのですか・・・!」

 

「そうじゃ。そこで、大和型の建造にも耐えうるドックを開発した。それの試験運用をしてもらいたい。わしの長門を御す君なら任せられるじゃろうと思ってな。」

 

「勿体なきお言葉です。」

 

「おほん!大湊警備府提督、渡辺博則大佐に大本営より命ずる。大型建造を行い、大和型戦艦を建造せよ!」

 

「「「はっ!」」」

 

「ぽい!」

 

「扶桑、書類を。」

 

「はい。」

 

大和型・・・大和型だぞ!日本人なら知らぬものはいないとされる大戦艦大和型だ!大型建造、実に楽しみだ!

 

「あ、長門や。大和型が出たらちゃんと教育するんじゃぞ。」

 

「は?」

 

「なーにすっとんきょうな顔しとるんじゃ、お前はここの新人教育担当なんじゃろ?」

 

「あ。」

 

すっかり忘れてた。


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