長門の視線 ー過去編開始ー   作:電動ガン

40 / 46
epilog 私と艦隊これくしょん

やぁ諸君・・・久しぶり、だな。

 

「司令官!お手紙です!あっ!後、新しい仲間が来たみたいですよ!」

 

「ふむ、わかった。新入りの艦種はなんだ?」

 

「装甲空母が1、練習巡洋艦が2、駆逐艦が1です!」

 

「ありがとう吹雪。四人は講堂に集めてくれ。すぐ向かう。」

 

艦娘は変わった。昔の様に大型の艤装を扱う巨大な工廠が必要なくなった。装備は手のひらほどの小さなカードで管理され、艦娘の船魂自体もB5程の札で保管される。鎮守府の数も多くなり提督の数も昔の倍近くなっている。

 

 

「ふむ・・・大鳳に、香取、鹿島・・・秋月か・・・戦力は大分整ってきたな。南方海域攻略の為の訓練をさせなければ。」

 

「お母さ・・・提督!」

 

「翔鶴・・・次、間違えたら。おやつ抜き一週間だからな。」

 

「そ、そんなぁ~!」

 

「それで?なんのようだ?」

 

「大型建造で装甲空母が建造されたって聞きまして・・・」

 

「会ってみたい・・・と。」

 

「はい!」

 

「構わん。付いてきなさい。」

 

「ありがとうございます!」

 

この多くの提督が艦娘の船魂や装備を集める様子を見て、誰かが艦隊これくしょんと呼んであっといまに広まった。今では艦娘の提督を艦これ提督と呼ぶらしい。

 

「翔鶴、夕立はどうした?」

 

「お姉様は、今日、潜水艦の訓練に標的艦として参加しています。」

 

「あとで行く時があればほどほどにしろと言って置いてくれ。」

 

「はい!」

 

建造も長くても十時間もかからず、装備を作るなども一瞬。これくしょんのし易さは昔と大違い。昔は一隻建造するのに何日、何週間とかかるものだったのに。

 

「・・・翔鶴、それと・・・」

 

「ママぁぁぁぁああああ!!!!」

 

「ぐはっ!!」

 

「お、お姉様!ダメですよ!お母様は今は普通の人間なんですから・・・!」

 

「でもママは夕立のママだから大丈夫だよ?」

 

「そうだ、私は無敵だ。侮るなよ。」

 

「ひえ~・・・」

 

「それより夕立、標的艦として訓練に参加したそうだな。どうだった?」

 

「爆雷投げたらみんなすぐ浮いて来ちゃってつまらないし、訓練不足がにじみ出てるよ。」

 

「やはりオリョクルか・・・」

 

入渠修理などもすごい。例え腕がちぎれようが足をもがれようが入渠ドックのお風呂に入って高速修復材を使えば元通りだ・・・船魂が札に分離してるから体は直しようが効くのか・・・?・・・大昔も大昔、遠い昔の記憶らしきものに、魂を体から宝石に移して怪物と戦うテレビ番組があったような・・・まぁそれはいい。

 

「潜水艦共に三日間の休暇・・・その後再訓練だな・・・」

 

「ママこれからどこっぽい?」

 

「提督と呼びなさい。これから新入りと顔合わせだよ。」

 

「夕立もいくー!」

 

「・・・仕方の無い奴だ。」

 

解体もそうだ。艤装と船魂を素体から分離し、人間にする。そうして人間になった艦娘に仕事や学校を斡旋し、何度も鎮守府から送り出してきた。昔は、船魂を体から妖精と人間の手で外科手術で取り出して解体していたのだがな・・・この話はよそう・・・

 

「あ!司令官!夕立さんと翔鶴さんもこんにちは!準備出来ていますよ!!」

 

「わかった。」

 

そうそう、私は今、柱島泊地で提督をしている。私はあの日、北方海域奪還作戦が終わると解体を申し出た。このままでは私は再びボロボロになるまで戦うだろう。そうなってはせっかくの友にまたいらぬ心配をかけさせる・・・と。

 

「諸君、私がここ柱島泊地の提督、山元長門だ。歓迎しよう。盛大にな。」

 

「「「「はっ!」」」」

 

「出迎え、ありがとうございます。提督…貴方と機動部隊に勝利を!」

 

「練習巡洋艦、香取です。よろしくお願いいたします。」

 

「練習巡洋艦鹿島、着任です。うふふっよろしくお願いします!」

 

「秋月型防空駆逐艦、一番艦、秋月。ここに推参致しました。」

 

「うむ。夕食の時にささやかながら歓迎会を開く。期待していろ。」

 

「「「「ありがとうございます!」」」」

 

ともかく、時代もやりかたも大きく変わった。艤装が外部装着の札式になる前の艦娘、旧世代の艦娘もがんばってはいるが、もう大侵攻中建造の艦娘でも稼働年数が百年以下の艦はいない戦う骨董品と化した。しかも強い。しかし時代の波には勝てず、徐々に解体されて普通の生活を送っていると聞く。

 

「まず、大鳳はこの翔鶴と点検、香取、鹿島、秋月の三人は夕立との艤装の試運転件模擬戦。この二人はうちで最高練度の二人だ。遠慮無く立ち向かってやれ。それが終わったら秘書艦吹雪に施設の案内をしてもらってくれ。」

 

「大鳳さん!頑張りましょうね!」

 

「装甲空母なんて、私一人だけかと思いましたけど・・・嬉しいです。頑張りましょう!」

 

「ぽーい!!模擬戦!早く演習場行こう?」

 

「はい!」

 

「まって秋月さんまだ提督の挨拶、終わってないわ。」

 

「あっ!?しまった・・・」

 

「大丈夫ですよ・・・きっと優しい提督さんです。」

 

深海棲艦も・・・絶え間無く襲ってきている。しかし北方奪還作戦を後に本土まで攻めてくることは無くなった。逆に怪しいくらいだ。そして、上位深海棲艦が定期的に生まれ落ちているという事実。あれほどの戦いを何度も何度も繰り返さなければならないというのは・・・恐ろしいものがある。だが妖精謹製の羅針盤がある。これがあれば絶望的な危険から確実に避けられるようになった。安全に(?)戦闘海域を進むことが出来るのは良い。

 

「君たちから質問がなければ以上で挨拶とする。何かあるか?」

 

「「「「・・・・。」」」」

 

「無いようだな。吹雪。」

 

「はい!」

 

つい先日、私の友、天龍が解体された。これで大侵攻を知る艦娘は一人もいなくなった。艦娘の時代が完全に切り替わったのだ。これからは新しい彼女達が深海棲艦と戦い、人類を勝利に導くのだ。私達が成し得なかったことをやりとげて欲しい。

 

「以上で司令官の挨拶を終わります!これからは先ほどの指示通り私が後で施設をご案内します!」

 

「「「「はい!」」」」

 

「これから私達は深海棲艦と戦います。いつ終わるかもわからない、長い長い戦いです。先代の艦娘から託されたこの思いを胸に秘め、日々を生きて行きます。」

 

「「「「・・・。」」」」

 

「今までの戦いで散っていった者の為にも、自分もとは言いません。今を生きるているのは私達だからです。しかしその今を生きる時間を無駄にするのであれば、今を生きる仲間達への裏切りです。今をしっかり生きること。この言葉を心に刻み、暁の水平線に、勝利を刻みましょう!」

 

 

 

 

艦隊これくしょん!はじまります!

 

 

 

 

 




お疲れ様でした。ご愛読ありがとうございました。

駆け抜けた感は否めませんが、自分の頭の中にあった妄想は全部はき出せた感じです。

こうして文章にする大変さを身に染みて感じました。もうちょっと上手く出来ればいいなと思う部分がありましたがそれを直す技量がない・・・苦しいですね。

感想など多くなりすぎてしまい全部に返信するのが難しくなってしまった為に自分の感覚でピンポイントに返させていただきました。

お気に入りの数、感想の数などここまで大きくなるとは夢にも思いませんでした。応援ありがとうございました。

つきましては次回の『視線』シリーズのお知らせ。

直接的な設定の共有はしないつもりでありますが、似たような設定で何個か『視線』と名の付くタイトルのものを書いて見ようかなと思います。

がばがばな設定、突拍子のない発言、展開部分などなど、いろいろあると思いますが恐縮ながらそれでも御愛読してくれるというならばまたよろしくお願い致します。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。