長門の視線 ー過去編開始ー   作:電動ガン

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page5B 私と妹

やあ諸君、長門だ。久しぶりにキレちまったよ。むっちゃんと仲良くなる(物理)んだ。

おかしいなぁ・・・砲弾使っていちゃいちゃするはずではなかったんだが・・・まぁいい。

とにかくまずは陸奥の要望、私より強くなりたいというのをどうするかだな。正直叩きのめしても円満に解決するとは思ってないし。根本的な解決になるとも思えない。ちょっと強引だが戦いという信念をぶつかり合う場に出ていくしかなかった。でもなければ心優しい筈の陸奥があのような暴力的になるわけない。・・・それだけ追い詰めてしまったのか、私は。そんなに悩んでいるなんて・・・まぁ会話などなかったわけだからわかるわけがないな。そこでだ。私はひとつ策を考えてこの演習に応じた。

 

「ふふっ・・・さぁ姉さん。はじめましょう?」

 

「いいだろう。」

 

それにしても・・・こえぇ!!!なんだあれ笑ってるけど笑ってないぞ!深海棲艦よりこわい!!!どんどん至近弾が増えていく。やべぇ今私の艤装にかすった。

 

「・・・。」

 

「くっ・・・さすがに動きながらは当たらないわね。」

 

実弾にしたのは策の為に一応意味はある。死なないギリギリでやるつもりだけど。

 

「姉さん?いつまでそこで睨んでるつもり?やる気があるわけ?」

 

「問題無い。そのまま続けろ陸奥。」

 

「舐めてくれちゃって・・・私だって長門型よ!!!」

 

そうさっきから私は腕を組んで陸奥を睨んだまま動いていない。いや動けていない。予想以上に陸奥がこわかったから。いやホントは避けるくらいは動くつもりだった。だけどもう足ががくがくしてるんだ。アイアンボトムサウンドで一人取り残された時よりこわい。

 

「全砲門開け!!」

 

「・・・。」

 

「撃てぇー!!」

 

爆音と共に鋼の砲身から鋼鉄の塊が吐き出されたのが見えた。艦娘の実弾は念の力の塊だ。深海棲艦も同じ、それがプラスの念かマイナスの念かというだけ・・・これを直で受ければ陸奥の気持ちが多少なりともわかるのではないか・・・そういう策なんだけどこれって超痛いよね。

 

「・・・。」

 

放たれた砲弾は見事私の周りに着弾。艤装にダメージを蓄積させていく・・・微損といったところか。にしてもそろそろ当たらないもんか。流石に肝が冷える!一発でもあたってしまえば感動のシーンに持って行く自身はあるのに!!ここは姉としてハッパかけるしかないのか・・・!

 

「当たらない・・・!?どうして・・・!?」

 

「陸奥。」

 

「な、なに?姉さん。」

 

「いつまで遊んでいるつもりだ?」

 

「なっ・・・!」

 

『長門さん!不必要に煽ることはやめてください!これは実弾演習なんですよ!?轟沈もあり得るんです!』

 

「陸奥、提督は無視しろ。」

 

「ね、姉さんも言うようになったじゃない。」

 

『な、長門さん!?くっ・・・金剛さん出撃して長門さんの周りに・・・!?』

 

うるさいな・・・悪いが提督には黙っていてもらおう。

 

「ね、姉さん・・・!?無線を・・・!」

 

「これで、ここで何が起きても誰も知る由も無い。思いの丈をぶつけてこい。陸奥。」

 

「・・・どういうつもりか知らないけど、後悔してもしらないわよ?」

 

・・・これで命中率はあがってくれるかな?にしても、ギラついた目だなぁ・・・まるで餓えた獣・・・私が欲しくてたまらないという目だ。それでいて乳を求める赤ん坊のような渇きを満たさんとする目だ。なんだか目を見るだけでもうわかったような気がする。

 

「喰らいなさい!一斉射、撃てェー!!」

 

陸奥は主砲を放ちながらこっちに近づいて来ている。うーん大体陸奥の気持ちはわかった・・・あとは・・・そのひん曲がった強さを姉として直してやるだけd

 

「・・・!!!!」

 

「やったわ!!!」

 

一発の砲弾が私の胸を撃つ・・・ふむ・・・予想通り陸奥のいままで寂しい気持ちと今こうして私と戦える嬉しい気持ちに溢れているな。

 

「うぐ・・・」

 

「まだ、膝を突きもしないのね・・・なら・・・!」

 

「っ!?・・・ぐはっ・・・んぐぅッ!?・・・ぐわあああ!!」

 

爆音が連続で響いて何度も何度も・・・やめ・・・やばいってこれはさすがにやばい。沈む。すごい近距離だから。やばい。艤装が吹き飛んだ・・・!?ああああああ待って陸奥!お姉ちゃんはフラフラです!タイム!タイム!!タイムゥゥゥゥ!!!!!

 

「はぁ・・・はぁ・・・うそ・・・」

 

「うぐ・・・はぁ・・・・はぁ・・・満足・・・か・・・!?」

 

「くっ・・・照準・・・って弾薬が・・・!?」

 

「どうした・・・陸奥・・・これが実戦なら・・・お前はこれから死ぬぞ・・・?」

 

「な、んのぉぉぉぉ!!」

 

陸奥が一気に肉薄して近づいてきて・・・あぁあれですかそうですね弾がなくなったらそうすればいいですよね。私のマネしてたってきいてますしおすし。

 

「くら・・・」

 

「大 戦 艦 パ ン チ !!!」

 

「ぶへっ!?」

 

ここはいっぱつクロスカウンターといこうと思ったら私の方が出が速かった。右頬に私の大戦艦パワーを受けた陸奥は砲塔を爆発させながら大きく吹っ飛んでいって・・・

 

「ヘーイ!長門ーっ!?無事でsへぶぅぅぅぅぅぅっ!?」

 

「ひええええっ!?おねえさまーっ!?」

 

様子を見に来た金剛達に衝突した。哀れ金剛・・・お前の分の紅茶は飲んで置いてやる。

 

「そ、そんな・・・練度も・・・上げた私が・・・一撃なんて・・・」

 

「陸奥・・・教えてやる・・・お前が強さだとおもっているものが何なのか・・・」

 

「姉さん・・・」

 

金剛を下敷きにした陸奥というのは何とも不思議な絵面だが・・・どうにか感動のシーンに持って行けそうだ。陸奥も良い具合に落ち着いているし・・・

 

「何が・・・何が悪かったの・・・?私は姉さんと仲良くしたかっただけなのに・・・強くなるだけじゃ姉さんの隣に立てないの・・・?」

 

「陸奥・・・聞け。」

 

「いや・・・いやよ・・・姉さん・・・また遠くにいってしまうの・・・?行かないで、行かないで姉さん、私を一人にしないで、私も連れてってよぉ・・・!」

 

「話を聞かんかぁーっ!!!」

 

大戦艦パンチテイクツーです。話を聞かない子にはげんこつでオシオキです。すごいなげんこつで10メートルぐらい水柱があがったぞ・・・ん?

 

「ひえええええーっ!?おねえさまが沈みましたーっ!?」

 

「ま、まずい!陸奥!引っ張り上げるの手伝え!早く!」

 

「いったぁーい・・・え、な、なに?」

 

「金剛が巻き添えくらって沈没した!早く!曳航用意!いそげーっ!!!」

 

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「で?言い訳を聞いてあげようか?」

 

「「大変申し訳ありませんでした。」」

 

大破した陸奥と中破した私、そして比叡の三人で座礁した金剛を曳航し、ドックに戻ると顔を真っ赤にした提督が待ち構えていた。すぐさま執務室へ連行させられて立たせられた。入渠させてくだしぁ。

 

「実弾演習という危険が伴う演習で本部と連絡を取る無線機が破損した時点で中止にするべきでした。で?なんですかこの妖精さんの報告書は?長門さんは?危険な実弾演習で?陸奥さんの砲弾を避けるもせずタダ立ち尽くして受け続けたと?」

 

「その通りです。」

 

「やめてくださいよ!!41センチ砲被弾28発って!?なんの冗談ですか!!!!心臓に悪いですよホント!!なのになんで中破で済んでるんですか!?ほんと規格外ですね長門さんは!!!それよりほとんど被弾してないのに陸奥さんは何があったの!?」

 

「姉さんに二回殴られて金剛さんに衝突しました。」

 

「二回も殴られたのかならしょうがないね。よく轟沈しなかったね。」

 

「ちょっと待て。」

 

私の扱いはなんだこれは。

 

「旧査定とは言え練度99だぞ。戦艦も大破くらいする!」

 

「知ってるかい長門さん。99以降の新査定練度審査の方がきっついのさ。」

 

「・・・。」

 

「まぁそんなことよりだね。」

 

提督は私、陸奥と視線を移して・・・なんだ?半裸の私達を眺めたかったならそう言えば良いのに。おっと何を察した、止めるな陸奥。

 

「これだけ大暴れしたんだから、解決したんだろうね?長門さん?」

 

「・・・いや、これから王手をかけるのさ。だから入渠させてくれ。」

 

「・・・わかりました。もう、長門型に喧嘩はおこしてもらいたくありませんからね・・・でも、もう解決したと思いましたけど?」

 

「?」

 

ちらと陸奥を見たら顔を赤くして目をそらした・・・なんだその反応、姉妹でする反応じゃないぞ。待て、コラ、提督、お前まさかそういう趣味か。

 

「高速修復材はいりませんね?目のやり場に困るのでいってきてください。」

 

「・・・わかった。」

 

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浴場に入ったらカポーンという音が響く・・・この音はいったいなんだろうな。まぁまずは体を洗って・・・なんだりかんだり・・・

 

「あの・・・姉さん?背中流すわ。」

 

「お、すまないな。大破しているのに。」

 

「今回大破したのは艤装だけよ。顔を殴られたのに痣もないのよ?どういう技なのかしら。」

 

「ふつうに・・・陸奥の顔を傷つけたくなかったから・・・力が他所に流れるように分散させただけだが・・・」

 

「・・・なにそれ・・・あーあっ!やっぱり姉さんにはなにしても敵わないのねっ!」

 

「それは当然だろう。姉より優秀な妹がいてたまるか。」

 

一回は言ってみたい台詞言えました-!満足満足。それより自分で力を分散とか言ったけどまじでいみわかんないな。なんだよパンチの力を分散って。漫画じゃないんだぞ。いや艦これの世界は二次元だけど私にとってここは三次元でリアルで・・・ああもうややこしいな。

 

「ん、陸奥、もっと強くしていいぞ。」

 

「ダメよ!姉さん背中も胸も痣だらけなのよ!?強くやったら悪化しちゃうじゃない!」

 

「ん?ああ本当だ。」

 

「ほんと・・・規格外ね、姉さんは。」

 

「・・・みんなを守る為に戦ってたら、いつのまにか、な。」

 

そうだ。このわけのわからないタフさもあの戦争を乗り切って身に付いた物だからどうしたって今から教えようなんてのも無理だ。

 

「・・・姉さんが言ってた私が強さだと思ってる物さ・・・それってただの暴力、だったね・・・姉さんに構ってもらえなくて寂しくて力尽くで見てもらおうとするための暴力・・・」

 

「・・・そうだな。」

 

「・・・いまさらだけど、私は姉さんと仲良くしたいわ。前みたいに見向きもされないのはイヤ。私、ずーっとこんなだったからひとりぼっちになっちゃった・・・」

 

「・・・私も一緒さ。戦って戦って、また戦っているうちにひとりぼっちだった。だがな?意外なところに友人だと言ってくれるやつがいるさ。」

 

「・・・私にもいるかな?」

 

「ああ、きっとな。」

 

「・・・うん。」

 

どうやらまだもやもやしているようだが・・・そのもやもやがなくなるのも時間の問題のようだ。うんうんまさか艦娘でも姉妹で大きく似るなんて思わなかったな。陸奥も私とどっこいの不器用なようだ。

 

「・・・それにな陸奥。新しい友人も作るのも大切だ。」

 

「・・・そんな、どうしたら・・・」

 

「簡単だ。」

 

そう簡単なのだ。教えてもらったものだが実戦したら簡単に友人になれた。

 

「一緒にご飯を食べよう。」

 

 

 

 

 


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