GOD EATER-BURST~縋る神なきこの世で~   作:A-Gyou

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優しさとは何なのか。

味方とは何なのか。

イリヤの知らない答えがそこにあった___


Family

ベテランフロア、リンドウの私室。イリヤは、少し強ばった顔で敬礼した。

 

「イリヤ・アクロワ2等兵。本日0945時を以て、支部長の命の下、第1部隊へ復帰します…………ご心配おかけしました」

 

敬礼の手を下げた後、イリヤは正面に立つ男___雨宮リンドウ___に対してぺこりと頭を下げた。

 

「あぁ、気にすんな気にすんな。頭上げろ。お前がちゃんと生きて帰ってこれた、それだけで文句は無い……んだがな」

 

リンドウは、困った、と言う風な表情でボリボリと後頭部をかきながら言葉を続けた。

 

「俺としては文句は無いんだが、上官としては1つ気に食わないことがある」

 

「何でしょうか?」

 

「どうして囮なんかした? お前がやったことは一流神機使いの英断じゃなくて、半人前の無謀な独り善がりだ」

 

気に食わない、と明言しただけあってリンドウの声にも厳しさと憤りの色が色濃く表れていた。とは言え、イリヤとしてもかなり難しい質問である。いかんせん、あの時は必死すぎて、自分でもどうしてあんな指示を平然と出したのか分からないからだ。

 

考えに考え抜いた末に得た答えは___

 

 

「……正直、全然分かりません」

 

 

正直に、本当に正直にそう言うと、リンドウもはぁ~と困ったような溜息を吐いた。指導中でも、懐からタバコを取り出すことを忘れないあたりがリンドウらしい。

 

「まぁそうだろうなぁ……お前さんのことだからそう答えるだろうとは思ってたんだが」

 

本人が分からないと言っている以上、リンドウとしても下手なことを言えない。彼とて分かっていたのだ。イリヤがそう答えることは。

 

「俺個人としてはお前の行動は買うし否定もしないぞ? そりゃあそうだ、俺だってお前と同じ状況に置かれたらお前と同じ判断をするだろうからな」

 

それでも上官としてはそれを認めるわけには行かないのだ、と暗に語る。

 

「あのまま逃げ続けても全滅すると思ったので、先に藤木2等兵を離脱させて支部からの救援を求めよう、と考えたからです」

 

思い詰めたような表情でイリヤはそう言った。

彼としては、いくらそれらしい理由を探ってもそれ以上の言葉は出てこなかったのだ。

 

「お前さんが言いたいことは分かってる。大体そんなところだろうと思ったさ。だが、お前さんも何となく分かってるとは思うが、俺が言いたいのはそこじゃ無いんだ」

 

それはイリヤも分かっている。リンドウが言っているのは、何故自己犠牲的な判断を下したのか、なのだ。だからこそ、自分自身でその答えが分からないからこそ更に思い詰めてしまう。

 

「まぁ、お前さんみたいに根が優しいヤツは何も考えずに平気でそれを選んじまうからな」

 

また、はぁ~と困り果てたような溜息を吐く。イリヤとしては、心配をかけたことに対する申し訳なさもある手前、下手に口を開けない。分かっちゃいたんだがなぁ、とリンドウのぼやきが紫煙と共に空気に溶ける。

 

「まぁ、アレだ。今後、そう言った無茶な真似をしないように……としか言えねぇよなぁ」

 

「ご迷惑おかけしました。以後、重々気を付けます」

 

「止めろ止めろ、そんな堅苦しく頭下げるな。まぁ、上官としての指導はこれで終わりだ___良く帰ってきたな、新入り」

 

ガシガシと無遠慮に頭を撫でられた。

 

「おぉ? 見た目通りサラサラだなぁ!」

 

何かがはまったのか、リンドウはおぉ~とかははは等と笑いながらイリヤの頭をワシワシと撫で続けた。

多分グッチャグチャに乱れてるだろうな、とされるがままの中でそう思う。

 

「なぁ、イリヤ」

 

突然撫でる手が動きを止めて、リンドウは真面目な声でイリヤの名を呼んだ。

 

「ちゃんとお前の味方を数えろ」

 

リンドウのその言葉に、イリヤは強い衝撃を受けた。悲しかったり、嫌な気分になる衝撃では無い。どちらかと言えば、図星を突かれた、とかそう言ったニュアンスの衝撃だ。目から鱗、と言う表現が一番良いのか。

 

「お前の味方はきっと0じゃ無いはずだ。俺もお前の味方だ。他にもいるはずだ。ちゃんとソイツ等を頼れ。分かったな?」

 

イリヤは何も言えなかった。

初めてだったのだ。

こうもいとも簡単に自分の心の領域の中に入り込まれたことが。そして何より、それが不快では無く、むしろそれに安心を覚えたことが。

 

「返事しろ返事。分かったな?」

 

少しムスッとした声。だが、その中には悪意的な感情は見えない。おもむろ父性を感じさせるような、気さくで優しさに満ちた声だ。

 

 

「___は……い………っ」

 

 

やっと絞り出した声はかすれていた。

 

「はい………………はい゙……っ!!」

 

「おぉおぉ、落ち着け………ったく」

 

リンドウは自分の目の前でボロボロと、恥も外聞も無く涙を流すイリヤを優しく撫でながら、少し強引に胸元へ抱き寄せた。

 

(どんだけ1人で背負ってたんだか……)

 

少なくとも自分が思っている以上に色んな物を背負っていたに違いない、とリンドウは思った。イリヤという少年は、端から見れば強かで達観したように見えるが、その実ただの不器用で強がりな“子供”なのだ。

 

(俺も俺で何やってんだか………)

 

ふぅ、と紫煙と一緒に溜息を吐きながらそんなことを考える。

 

(まぁ良いか)

 

変にひねた考えをするのも面倒に感じたので、リンドウはそれ以上考えるのを止めた。

 

雨宮リンドウと言う男は、飄々としてどこか少し抜けていて根はとても優しくて凄く仲間想いで___そんなお人好しとも言えるような性格が彼の本質なのだ。彼がそれをどこまで自覚しているのかは別の話だが。

 

「……リンドウさん、タバコ臭いです、髪に臭い付きます」

 

「お、おぉ悪ぃな」

 

(何かサクヤみたいなこと言うなコイツ)

 

そうは思いつつも、やはりそこはかとなくタバコの火を消すあたりがリンドウらしいのであった。

 

 

 




どうしよう、何か少しホモくさい雰囲気になっちゃつた……((((゚д゚;))))

まぁ、これはこれで良いんですけど。

2人ともノンケですし。そこを変えるつもりは毛の先ほども無いし。


これからも頑張ります!!!
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