GOD EATER-BURST~縋る神なきこの世で~   作:A-Gyou

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決着の付け方 前

アナグラとA08居住区を最短で結ぶためのゲートは、皮肉にもイリヤがよく襲撃の的にしていたあのゲートだった。

 

しかし、今、そこを通過する車両に乗っているのは食べ物では無い。

 

旧時代の軍隊が使っていた軽装甲車両、ハンヴィー。それに載せられているのは狙撃銃、簡単な観測装置、そして狙撃手の女…笠原イクが1人。

 

「マザー、こちらニードル。さっきゲートを通過した。5分で現場に行く。“住まい”は10分以内に見つけるから、本隊の動きを少し急がせて。送れ」

 

『ニードル、こちらマザー。了解した。こちらも出撃準備は整ってる…後はヘリの使用申請が通ればいつでもいける。まぁそれも、隊長がどう口説き落とすかの問題だ。見つからないように上手くやれよ。…終わり』

 

ゲートから、現場の街まで、直線距離で8㎞離れている。そして、舗装された道というわけでも無いから、その直線距離をほぼそのまま道として使うことも出来る。

 

(このくらいの距離で、出来るだけ短時間で街に行きたいなら……途中まで飛ばしてある程度してから30~40㎞/hってところか。だいたい3~4分程度ね)

 

そう算段をつけて、彼女はアクセルを深く踏み込んだ。

 

馬力と反比例して燃費がクソ悪いエンジンが唸りを上げる。

 

 

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とある部屋の前で、米田は自分の戦闘用の弾帯に無線機が付いていることと、集音性、音量を、両方通常よりも大きくしていることを確認する。

 

チェックのために、マイクの部分を何回か叩く。

すると、マイクからも、自分が叩いた回数と同じ数だけ打音が帰ってくる。

 

(…よし!)

 

ニヤリと、悪い笑みを口元に浮かべながら航空管理局局長室のドアをノックした。

 

『入れ』

 

中から、くぐもった声がそう言った。

 

「失礼します」

 

テンポ良くドアを開け放ちながら、新兵がするような律儀なドアの閉め方などせず、おもむろに局長席に座っている神経質そうな初老の男性の前まで歩み寄った。

 

この無礼な行為は、ほぼ毎度のことなので相手も不機嫌さは示しつつも黙認している。

 

「ヘリコプター2機の使用許可をもらいに来ました。フライト計画表も一緒にどうぞ」

 

ニコニコと、まるでテレビ通販の宣伝員のような態度のまま計画表とまだ印を押されていない使用許可証それぞれ2枚をデスクの上に添え置く。

 

「フン……使用理由は何だね? 米田少尉」

 

「つい先程、A08居住区にて人質を伴う準テロ事案が発生しました。人質の中には若い少女もいるし、リンチにあって無視できない状態の少年もいると言った特性から、ヘリボーン作戦による電撃的な襲撃及び制圧、加えて人質の確保という作戦で行こうと考えまして、その次第です」

 

「A08居住区にいる民間人? 奴らは全部税金を納めきれない社会不適合者だろうが。どうしてそんな奴らを助けるために、手間と金をかけなきゃならんのだね?」

 

書類におざなりに目を通した後、局長は目に見えて面倒臭そうな態度と目つきで米田を睨んだ。

 

「我々の至上任務はこの極東支部を囲むアラガミ防壁の内側全体の治安維持です。それを最善の形で完遂するためにも、是非」

 

局長の態度にも関わらず、飄飄と、もう少し言えばいけしゃあしゃあとした態度を崩さない米田。

 

「ふぅ……どうしてそれを今すぐやらねばならんのだね?」

 

苛立ちを隠そうともしない口調で、局長は言った。

 

その発言を聞いたとき、米田は心の中で、しめたっ、とガッツポーズをしていた。無論、表面的な態度ではそれをみじんも悟らせない。

 

「我々フェンリルには! 外部居住区等という社会的弱車達の巣の安寧のために割ける金など本来持ち合わせておらんのだよ!! そもそも、何故税金も払えんクズ共を助けねばならんのだっ!?」

 

ばんっ、とデスクを強く叩いて局長は怒鳴った。

 

そして、突然「無線機」がコール音を響かせた。

 

「もし、こちら米田。重要な案件につき、しばし通信は控えろと言ったはずだが?」

 

『申し訳ありません、隊長。ただ、つい先程笠原兵長が現場に到着してこれより狙撃地点を探す、と報告があったので……』

 

「あぁ、そうか、分かった。車両部隊の方も確実に準備しとけ」

 

『…あの、ところで先程の怒鳴り声は?』

 

「ん? あぁ、さっきのは局長が毎日溜め込んでるストレスがついうっかり爆発したが故の“問題発言”だ。気にするな」

 

人を食ったような嫌らしい笑みを口元に浮かべ、愉快そうな目で局長を見やる。

その先では、しまった、と言わんばかりに青ざめている局長の姿。

 

『この通信も記録保存されているんですが…』

 

そこまできて。

 

「申し訳ありませんねぇ、局長。作戦中につきついうっかり無線機を携帯したままでした。……それに現場にいた頃のクセですかね、集音性も音量も大に設定しがちなんですよね、ハハハ」

 

とってつけたような笑顔。

 

そして。

 

「……さっきのあんたの発言、こっちで黙認しといてやるからさっさと許可出せ」

 

組織内部の腐敗も、利用のしようによってはかなり使えるものである。

 

 

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力強い勢いで第2会議室の扉が開け放たれた。

 

そこに立っていたのは米田。

 

「さっき、局長が“快く”ヘリ2機の使用許可が下りた。フライト計画も通った。お前等、この作戦に必要な条件は全て揃えたんだ。しっかり成功させろよ!!」

 

ニヤリ、と今回は強かそうな笑みを浮かべてそう言った。

 

その場にいる全員がクスクスと笑うのを堪えているが、アレも狙ってやったことなので笑わせておく。

 

「第1分隊のパッケージ護送車両の準備は!?」

 

「燃料も入れ終えました! 念のため追加の装甲板を装着しているところです」

 

「良し分かった。第2、3分隊。降下から展開制圧の予行はやってるな!?」

 

「完璧です!! アラガミ以外のイレギュラーなら全て対応できます」

 

「よし! 4分隊の任務は実働部隊の支援任務だが、実質はパッケージをポイントから車両までの誘導が主任務になる。防弾盾を確実に装備しろ!!」

 

「はい!」

 

「良いかお前等!? この作戦、絶対全てのパッケージを無事現場から離脱させるんだ!! 誰1人として死なせるなよ!!」

 

『了解!!』

 

崩壊の火が風に吹かれ始めた。

 

 

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「っ…はぁ……はぁ……」

 

全身が痛い。

 

口の中に鉄臭さと、血液特有の苦いようなしょっぱいような変な味が広がる。

 

身体のあちこちが熱を持っていて、感覚もふやけたような不思議な感じになっている。

 

集団リンチがなりを潜めてから、トモキは必死になって周囲の状況を確かめつつ打開策を探っていた。

 

(ノゾミから銃を取り上げた男は、ここにはいない。僕から銃を奪った男は、いる。……どうにかして奪い返さなきゃ)

 

そうは考えても、これと言った方法も思い浮かばないし、そもそも浮かんだところで身体がちゃんと動くかどうかが怪しい。

 

少なくとも、左の肋骨は何本か折れている。

ズキズキと変な痛みが断続的にそこにたむろしてる。

 

いったん、銃を奪還して現状打破という思考を切り替えて、他の子供達の安否を確認する。

 

そして、彼は唐突に、おかしな喪失感を予感した。

 

大事な物を奪われてしまう予感。

 

大事な者を目の前で壊されてしまう予感。

 

(? 何だ!? 何で僕はこんなに不安なんだ!?)

 

自分の中に生まれた感情が分からなくて、その感情がどこから来るのかを探る。

 

目だけで周囲をくまなく観察する。

 

(何だ? 何が僕を不安にさせている!?)

 

そして、唐突に理解した。

 

ホームレス達の“目”だ。

それぞればらばらな位置に立っているにも関わらず、彼等は1つの場所にチラチラと視線を送っては、お互いに目線で話し合っていた。

 

彼らが何度も確認しているその先にいるのは。

 

1ヶ所に集められた子供達。

 

その中ので子供達を守ろうと一番前に立ってホームレス達を睨む彼女。ノゾミ。

 

そして悟った。

 

生物的な本能か、それとも第六感か。

 

どちらでも構わないが、トモキはあの男達が何を見ているのかを理解し、何のために見ているのかも同時に理解してしまった。

 

(拙い……アイツ、気付いてない……狙われてるのはお前だ、ノゾミ!!!)

 

腫れて狭まった視界の中、彼はそのことを必死に伝えようとノゾミを睨んだ。

 

しかし、それが彼女に届くはずも無く。

 

(イリヤ……誰か……助けてくれ…!!)

 

 

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彼女は、各種装備を収納したアタッシュケースを背中に、ハンドガンを手にしながら静に走っていた。

 

ハンドガンも、無論サプレッサー付きである。

 

遠くからは、下品な笑い声が聞こえてきて、それだけで彼女の内に秘めている怒りと殺意を増長させる。

 

(降下ポイントが工場の南側にある空き地だから、狙撃ポイントはできれば工場から真南の直線上にある高めの建物が望ましい……)

 

小さな路地を音も無く駆け抜ける。

 

(もう少し我慢しててね。すぐ助けるから…!)

 

名も知らぬ13人の子供達に心の中でそう誓い、更に速度を速める。

 

彼女の頭の中に用意されている居住区一帯の地図。彼女は、その地図の上を正確に走る。

 

出撃する前に、最後に確認した3Dマップで狙撃ポイントの候補地点は何カ所か決めていた。

 

そして、月明かり、気温、風、様々な追加情報を下に、候補地点の中から更に適正な狙撃ポイントを割り出して、そこに向かって走る。

 

彼女が目指しているのは、工場の南側430メートルの位置に立てられている3階建ての建物。その建物の背後には更に高い建物が建っており、月明かりで自分の位置が暴露する危険性も少ない。

 

向こうにも戦闘のプロが混じっていればその限りでは無いが、ただのホームレスにそんな人間が混じっている可能性はほぼ無い。

 

そして、見える限りで観察しても、その道のプロはおろか、その道をかじってる人間すら見当たらない。

 

だから、彼女は何の懸念も無く狙撃ポイントと決めた建物向かって、ただ走る。

 

「……ここだ」

 

目標の建物の正面に立ち、間違ってないかを確かめる。

 

正解であることを確認した彼女は、すかさず建物の中に侵入した。

 

電力は届いていないから、エレベーターは使えない。

 

階段を駆け上がっていく。

 

そして、屋上に辿り着く。

 

が、昔の人が何を考えたのかは知らないが、そこだけ古びた南京錠でしめられていた。

 

「チッ」

 

舌打ちと共に、ハンドカンで南京錠を破壊。

 

金属と金属の摩擦音が響いたが、感づかれた様子も無い。

 

静に扉を開き、屋上に出る。

 

目視で工場を確認して、最適位置を見いだし、狙撃の準備に入る。

 

アタッシュケースから、分解された状態の狙撃銃を取り出し、組み立てる。ここでも勿論、サプレッサーを忘れない。

 

「月明かりは弱い……。雲も多い」

 

装着するスコープを暗視スコープに取り替える。

 

そして、狙撃手の安定性を上げるためのマットを敷く。

 

更に、少し手の込んだ通信機を組み立てて、準備完了。

 

狙撃体制を取って、通信機から伸びるヘッドセットを装着して、チャンネルを合わせて指揮所と繋ぐ。

 

「マザー、こちらニードル。狙撃準備完了」

 

『ニードル、こちらマザー。了解した。すぐにヘリボーンチームを向かわせる。初弾発射のタイミングはこちらから送るので、しばし待機せよ』

 

「了解…。! マザー、こちらニードル。追加報告。敵勢力の内に2名、小銃を携行している者を確認した。あれは…AK?」

 

『ニードル、こちらマザー。了解した。襲撃チームに伝えておく。他には?』

 

「今見てる限りでは、報告に挙がってたお年頃の少女がいよいよ本気で危ない。男共は今にも輪姦始めそうな目をしてる…。今すぐ殺しても良い?」

 

『耐えろ。すぐにチームが到着する』

 

「……了解。終わり」

 

可変倍率型暗視スコープに映っている世界は緑色。

 

そして、その景色は彼女の嫌悪感を沸き立たせるには充分すぎる。

 

(早く来て……!)

 

彼女が出撃をしてから、8分半。

チームが到着するまでの間に彼女が出来ることはそう祈ることばかりだった。

 

 

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____ヘリポート。

 

いざ空へ飛び立たんと待ち構えるのは、2機の輸送ヘリコプター“ブラックホーク”。

 

それぞれ、8名の襲撃要員が静かにその時を待っている。

 

戦闘マシーンと化した者達の静寂を、ヘリのローターブレードの回転音が包み込み、かき消す。

 

ヘリの機長が、航空無線を通して管制塔と交信する。

 

「管制塔、こちらホーネット01。離陸許可を求む」

 

『こちら管制塔、ホーネット01、離陸を許可する』

 

「管制塔、こちらホーネット02。同じく許可を求む」

 

『ホーネット02。次回からちゃんと報告しろ。離陸を許可する』

 

「んじゃあ、ホーネット01、02。発進する!」

 

2機のブラックホークが宙に浮いた。

 

そして高度を上げてゆき……

 

2つの影は夜の闇へと溶け込んでいった。

 

ヘリポートの隅からその後ろ姿を見送るのは米田。

 

「ふぅむ、どうにもなぁ……。おっさんも現場行くか」

 

そう呟いて、彼はその場を後にした。

 

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肌寒い空気の中、ただジッと機会を待ち続ける。

 

今、彼女が見ている世界は、スコープで見える範囲だけ。

 

それ以外の情報を最低限までそぎ落とし、ほとんどの集中力と神経を来たるべき時のために費やす。

 

唐突。

 

ヘッドセットに、通信が入った。

 

『ニードル、こちらマザー。たった今ヘリボーンチームが出撃した。到着まで約3分だ。狙撃準備しろ。最初に撃つ相手はお前に任せる。ただし、タイミングはこちらの指示に合わせろ。送れ』

 

「……こちらニードル了解。環境データを送る。時間計算して。距離523メートル。風、ほぼ無風。気温、15.6℃」

 

『了解した。お前が今使ってる弾は、308ウィンチェスターだったよな?』

 

「ええ、2.8グレイン。発射薬は弄ってない」

 

『分かった。計算はこっちに任せて、お前はいつでも撃てるように待機しろ』

 

「分かった…」

 

そうして、彼女の下に静寂が戻ってくる。

 

彼女は姿勢が崩れないように注意して、大きく呼吸を3回する。

 

通信で話している間に身体に入り込んだ生温い空気を抜き去って、身体の中に冷たい空気を詰め直すためだ。

 

研ぎ澄まされたその感覚は、時間の概念すら身体から排除してしまう。

 

そして。

 

 

 

『ニードル、こちらマザー。射撃用意……撃て』

 

 

 

____時が満ちた。

 

 

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「……?」

 

最初、それはただの空耳かと思った。

 

しかし、その音は少年の耳から離れることは無く、むしろ次第に大きくなっていく。

 

(……なんだ?)

 

もはや動きたくない、と訴える身体をむち打って、ゆっくりとだが、音が聞こえる方に視線を移そうとしたときだった。

 

偶然視線の先にいた男の頭部が、突然爆ぜ、男はその場に崩れ落ちた。

 

「っ!?」

 

子供達が小さく悲鳴を上げる。

 

そしてまた、別の所に立っていた男も、同じように倒れた。

 

その間に、最大限まで大きくなっていた音が自分達の上で止まった。

 

「何だ!? 敵か!?」

 

自分達の上空で止まったままの2つの黒い大きな影を睨みながら、男達は身構える。それが、自分達にとって致命的な行為となることも自覚せずに。

 

そして次の瞬間。

 

強烈な光が彼らを照りつけた。

 

それを直視してしまった者は、一時的に視力を奪われ、その場から移動することを忘れる。

 

「ぎゃあぁあっ!?」

 

「ぐぅっ!? 何だ!? 何が起きてる!?」

 

「ちくしょお! 目が見えねぇ!!」

 

周囲が、訳の分からない事態に混乱し、そしてあおり立てられた形の無い恐怖によって、騒がしくなり始めた。

 

その時。

 

4本のロープが上空から垂れ下がってきた。

 

「降下用意、降下!!」

 

上からその声が聞こえた瞬間、シュルシュルと摩擦音のような音共に。

 

「皆その場から動くな!!!」

 

聞いた覚えの無い、若い男性の怒声と共に銃声が響き始めた。

 

「マザー、こちらシェパード2! パッケージを確認、脅威の排除を開始する!!」

 

「子供達を守れ!!」

 

「要注意パッケージの少女を確認した! まだ手は出されてない!! 少年の方は!?」

 

鳴り響く銃声の嵐の中、男達の怒声が、現状を更にかき乱していく。

 

トモキは、今自分達の目の前で何が起きているのか、全く理解が追いついていない。

 

そして、見覚えも無い武装した男が近付いてきて。

 

「大丈夫か!? おい!! ……呼吸、脈あり!! 大丈夫だ、少年も生きてる!! 第1分隊はまだか!?」

 

トモキが生きていることを確認するやいなや、子供達が集まっているところまで移動させられた。

 

「もう少しかかる!! このエリアを死守しろ!!」

 

もう、トモキには何が何だか分からない。

 

あの男達は、敵なのか? それとも味方か?

 

今まで生きてきた中で、ここにいる家族以外の人間で味方だった人間を知らない彼は、ここに来て、それでも、いま武力の権化のような一方的な振る舞いをしている男達ですら、敵だと認識してしまう。

 

 

____守らなきゃ

 

 

いつの間にか幾分楽になった身体。

周囲を見渡す。

心配そうに、それでいて安心した表情をする子供達。

ホームレスの死体。死体。

絶命しない場所を撃たれてもがき苦しんでいるホームレス。

 

____イリヤがいないときは

 

 

そして、イリヤから託された小銃が彼の視界に入ってきた。

 

 

____一番年上のぼくが、みんなを、まもらナキャ

 

 

そして彼は、銃を手に取った。

 

 

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「隊長、周囲の敵勢力は沈黙しました。現在、生き残した連中を拘束してるところです」

 

「そうか。ホームレス達のことはそっちに任せる」

 

ヘリボーンチームによる襲撃からおおよそ5分。

 

ほとんど、戦闘は決着を見せていた。

 

そして、その了見は自分達とホームレス間におけるものであるということを、その場にいる誰1人として理解していなかった。

 

 

 

____唐突、1発の銃声

 

 

 

「っ!」

 

首をすくめ、反射的に銃声がなった方へ身体を向けつつ射撃姿勢を取る。

 

____が。

 

彼が狙いをつけたその先き立っていたのは。

 

さっきまで相手にしていたホームレスなどでは無く。

 

自分達が助けたはずの、それもかなりの重傷を負っていたはずの。

 

「なっ!?」

 

少年、トモキだった。

 

そして、新しい状況が生まれたことを察した他の隊員達も、一斉にトモキに銃を向ける。

 

「__少年、銃を下ろせ」

 

何も応えない。

 

お互いに銃口を突きつけ合う。

 

男は、迷っていた。もはや、混乱と言っても言い。

 

撃つか?

 

いや、でも相手は少年だぞ!?

 

だが、向こうは銃を持ってしかもこっちを狙っているんだぞ?

 

しかし、彼はパッケージで傷つけるわけにも行かない!

 

子供を撃つのか!?

 

 

男は、決めあぐねる。

 

どうするべきか。

 

 

その答えは、予想していない方向から与えられることになる。

 

 

 

「____お前等、ガキに銃向けんな!!」

 

 

 

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