新妹魔王の|亡霊者《ゴーストメント》 作:ダーク・リベリオン
眼魔との戦いを終えて
「…なるほど。つまり霊亜さんと迅さんはともに元勇者の里の人間で、あの眼魔という化物が里を襲ってきて、その際に眼魔に命を奪われたところを仙人に助けてもらって生き返り、里のみんなのために自ら出て行って今につながるんですね。おまけに私たちの正体も最初から知ってたなんて。本当に食えない方々ですね」
「あはははごめんごめん」アセアセ
「霊亜さんはなんでも知ってるんですね」
「なんでもは知らないさ、俺が知ってるのは知ってることだけさ」
現在、霊亜は万理亜に自分のことを話しており、澪はその間に入浴中であった
「私たちの正体もしようとしてたこともお見通し…最初から手のひらで踊ってただけなんて、まったく霊亜さんには敵いませんね」
「別にそんなつもりはないさ。俺にとっては万理亜ちゃんたちが人間だろうが魔族だろうが家族には変わらないからな。あのまま正体を隠してい続けてても俺はなんにも触れずに接しようと思ってたし」
「心が広いんですね霊亜さんは」
「まぁ~な」ドヤ
得意げに威張る霊亜だった
入浴を終えて風呂場から出てきた澪は先ほどの戦いのことを思い出す
「万理亜に魔力の使い方を教わったのに、霊亜がいなかったらあのまま私は殺されてた。思い出しただけで震えが止まらない。ダメだ私は…」
澪が落ち込んでいると
『大丈夫だよ澪、お前には俺がついてるからさ』
「霊亜……えっ?霊亜?」
『よっ』
ドア越しから霊亜が澪に話しかける
『ごめんな澪』
「なっ、なんで謝るのよ」
『いろいろ隠してたからさ。俺が勇者の一族であること。俺が……死人だってこととかさ』
澪に謝罪する霊亜はいつになく悲しそうに呟いていた
『驚いただろ?死人だってことを知って』
「…うん」
事実あの時、澪は心底驚いていた
敵に霊亜が刺された時。霊亜の体が透けた時のことが
『…怖かった』
「えっ?」
霊亜から澪にとっては信じられないような言葉が帰ってくる
『俺の秘密を知ったら澪たちが俺の前からいなくなるんじゃないかってさ…俺にとってお前は家族だ。どんなことがあろうと…でも澪はどうなのかって思ってた。もしかしたら俺のことを拒絶するかもしれない、一緒にいられなくなるかもと思うと、それがとてつもなく怖いかったんだ』
「霊亜…」
『でも、もうお前は俺の秘密を知った。…もしお前が俺を拒絶や非難するならそれも覚悟しているよ』
「違う…私は…」グラ
ドテ
『…澪?おい澪大丈夫か?」ガチャ
物音を聞きつけ霊亜が中に入ると澪が倒れていた
「澪!」
気づいた霊亜はあわてて駆け寄る
「大丈夫か?」
「…平気」
「のぼせちゃったんだな。立てるか?」
ペシっ!
「!?」
伸ばした手を叩くように澪は払う
「…澪?」
「バカ」
「えっ?」
「霊亜、私を舐めすぎよ。そりゃ最初は驚いたわよ…でもだからってそんなことくらいで拒絶とかしたりするような安い女だと思わないでほしいわ!」
澪は怒鳴るように霊亜にいった
「…それにあんただってそうだったじゃない。私と万理亜が正体明かしても平然としてたし」
「そっ、そうだな~」
「本当、あんたは超ド級のお人よしよ」
呆れたように澪は呟いた
「いきなり妹としてこの家に来た私たちを…魔王の娘だと知ってもなお私たちをあっさり受け入れて、これをお人よしって言わなければなんだっていうのよ?」
「ふふ、お人よしか…そうかもしんないかな」
照れくさそうに霊亜は答える
「…でも」
「っ!」
すると霊亜は澪の頭を優しく撫でた
「それで澪たちを守れるなら、澪の笑顔を守れるのなら。俺は一生お人よしでいいよ」
「!?」
言い放った。いつになく真剣な表情を浮かべ霊亜は言い放った
その言葉と目には一切の偽りもない。
ただ純粋に澪を万理亜を守るという意思を持った目だった
「…本当にお人よしのバカなんだから」
「照れる顔、やっぱ可愛いな」
「うっ、うるさいわね!」
二人の空間があたりを包む
「おや~?お二人共すっかり打ち解けたようですね~」
「なっ、なによ万理亜、私は別に!」
「霊亜さんの戦う姿に見惚れてたくせに~」
「しっ、してないわよ!!」
澪と澪をからかう万理亜に苦笑いをする霊亜だった
「…で、そろそろ聞きたいんだろ?俺のあの姿のことを」
「うん」
「はい」
リビングへと場所を移して澪たちは霊亜にあの姿について尋ねる
「あの姿の時の名はゴースト。仮面ライダーゴーストだ」
「仮面ライダー…」
「ゴースト…」
二人は聞きなれない単語に小首を傾げる
「そう、俺はゴーストとして眼魔と戦う使命がある」
「あいつらのことね」
澪は自分たちを襲った眼魔たちを思い出す
やつらは強かった。自分の力ではどうすることもできず、無力であることを思い知らされた
「あんな奴らがいたなんて」
「私はあのユルセンっておばけがいなければ姿すら見えなかったです」
「当然さ、眼魔は本来人間の目には見えないんだからな。いや、万理亜ちゃんも見えなかったとなると悪魔もか?」
「「えっ?」」
霊亜の驚きの一声に声をあげる二人ではあったが
先の戦いで姿を直視出来なかった万理亜にとっては納得いく話であった
「でもだったらどうして私には眼魔が見えて万理亜には見えなかったの?」
「奴らを直視する方法はいくつかあるが澪が奴らを見れた理由はこれだ」
そう言うと霊亜が見せたのはアイコンだった
「それって」
「そう、武蔵の鍔にカモフラージュしてたこれだ。これを持つ者は普段は見ることができない眼魔を見ることが出来る。後はユルセンが触れてる者もな。ほかの方法は今のところないかな」
「気になってましたがアイコンってなんなんでしょうか?」
「アイコン、これにはかつて歴史に名を轟かせた英雄の魂が宿っている」
「英雄の…魂」
自分がもらっていた鍔がそんなにすごいものだったことに驚きを隠せない澪だった
「そう、そして俺は今、この英雄のアイコンを探し集めているんだ」
「どうしてアイコンを集めるの?」
なぜと霊亜に聞く澪に霊亜は答えた
「このアイコンを15個集めた時、集めた者の願いを叶えてくれると言われてるんだ」
「まるでどこぞの漫画雑誌に出てくる7つ集めるとドラゴンがでる玉みたいな感じですね」
「あはは。まぁそんな感じ、その力で俺を生き返らせてくれと願うのが目的だ」
自分のなそうとしてることを二人に打ち明ける
「なるほどなるほど。それで」
「ただ、集めるのはいいんだが。俺のこの体にもデメリットがあってな」
「デメリットって?」
霊亜の言ったデメリットが気になった澪は問うた
「俺は今、魔力で存在を維持している。つまり俺は魔力が尽きた瞬間にこの世から完全に消滅する」
「「!?」」
消える。その言葉が霊亜の口から放たれた瞬間に二人は驚く
「魔力が尽きたら消滅って…」
「そんな…」
「もしそうなったとしたら俺の魂がどうなるのかはわからない。もしかしたらこの世から消えるだけじゃない、魂すらも消滅するかもしれないんだ」
そういった恐怖と常に霊亜は戦いながら今までを過ごしてきたのだ
「魔力が尽きたら消滅はわかりましたが、魔力を回復することはできないんですか?」
「もちろん魔力を回復させる方法はある。それがこれさ」
そう言って霊亜が見せたのはあの戦いで倒したもう一体の眼魔の魂だった
「これが眼魔たちの魂、眼魔魂さ」
「眼魔魂?」
「そう、眼魔のアイコンに目を描くことで具現化する魂さ。こいつこそ、俺の魔力を回復させることができるアイテムさ。これを食えばおよそで言えば最低1ヶ月は持たせられるかな」
話しを聞いて眼魔魂をまじまじと見つめる二人
「ただ。さっきも言ったがこれはあくまおよそってだけで力を沢山使えば魔力はその分だけ減り、俺がこの世にいられる時間が短くなっちまうんだけどさ」
「じゃあそれまでにアイコンを15集めないと霊亜は…」
「…そう。一応今まで集めたアイコンは澪の持っていた武蔵のアイコンを含めて全部で4つだ」
「では残り11個ということですね」
万理亜の問いに霊亜はうなづいた
澪は少し考え込むと決心した表情で立ち上がる
「……霊亜!」
「えっなに?」
「私たちにもアイコンを探すのを協力させてほしいの!」
「えっ?」
澪の一声に霊亜は驚く
「私、守られてばかりはもう嫌なの!少しでもいい、私は出来ることがしたいの!…それに」
「それに?」
「……あっ、あんたに貸しを作ってばっかじゃ私の気が収まらないの!だから、あんたが生き返るために私が協力してあげるって言ってんのよ!反論なんかさせない。やるったらやるんだから!」
そう言う澪だが内心は少し違っていた
「(きっと霊亜なら私を守るためなら簡単に命を投げ出そうとしちゃうはず。いくらゴーストだからってそんなの危なすぎるわ、私がしっかり見てなきゃ。もう霊亜にあんな危険なことをさせたくないもの!)」
霊亜の身を案じる優しい思いだった
何はともあれはっきりと自身の思いを伝えた澪を見て霊亜は唖然とするもすぐに笑みを浮かべ澪を優しく抱きしめる
「ありがとう澪。なんていい子なんだ…お前が俺の妹で本当に嬉しいよ」
「なっ、何言ってんだか…」
霊亜の言葉に照れくさそうに顔を赤らめる澪だった
「なるほどなるほどそうですか~。実は1つ今後のアイコン集めに役立かもしれない方法があるんですよ」
「えっ?」
「そんな方法あるの?万理亜?」
「おまかせください。ぬふふふふ~」
このあと万理亜の方法のせいで澪が苦労する羽目になるのは言うまでもないお話し…