新妹魔王の|亡霊者《ゴーストメント》   作:ダーク・リベリオン

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第7話 家族を見捨てるようなマネはできないね

同じ勇者の里の出身であり、転入した学園では澪同様に姫と称される

 

幼馴染である柚稀と再会した霊亜は転入初日後、帰ろうとした直後、彼女に呼び止められ

 

そのまま彼女に連れられてファーストフードの店に

 

「…なぁ柚稀、別に並んで座らんでもよくね?」

 

「ダメ、重要な話なの。他の人に聞かれたくない」

 

そう言って霊亜に自分の体を密着させる

 

「ありがとう来てくれて」

 

「ゆっ柚稀…?」

 

「…会えてとっても嬉しい」

 

「……もう、5年も経つんだっけな。速いもんだな時が経つのは」

 

霊亜は脱力感に苛まれるかのような元気のない返事を返す

 

「柚稀も随分変わったな」

 

「霊亜こそ…前は私が抱きついたら霊亜もぎゅって抱きしめ返してくれた」

 

「…そう、だったな」

 

「…どさくさにお尻も触った」

 

柚稀の一言に霊亜が体をびくつかせる

 

「でも今の霊亜はあの頃と違う」

 

「柚稀?」

 

「霊亜、私を避けてる」

 

「!?」

 

確かに柚稀の言っていることは当たっていた

 

自分は無意識に彼女を避けていたかも知れないと霊亜も内心は気づいていた

 

「やっぱりまだ気にしてるの?5年前のこと」

 

「……あぁ」

 

霊亜は悔しさから持っていたグラスのコップを握り締める

 

「ちがう、あれは霊亜のせいじゃない。霊亜が責任を感じる必要はない」

 

「いや、俺のせいだ。俺がお前に…これをプレゼントしたばかりにお前たちを危険な目に合わせた上に里をあんなことにさせちまった」グヌヌ

 

オレゴーストアイコンを握り締めながら霊亜はつぶやく

 

「絶対ちゃうもん。だって霊亜がいなかったらうちら今頃死どった」

 

「…」

 

「霊亜のおかげでうちらは今こうして生きていられる…」

 

「…柚稀」

 

すると柚稀はさらに霊亜に密着し、頭を霊亜の肩におく

 

「でもそのせいで霊亜はこんな体になってしもうた。うちらのせいで霊亜は一度"死んでしもうた"」

 

「お前が気にする必要はない。俺は守りたいから守ろうとしてこうなったんだ。後悔はしてないよ」

 

「でも…」

 

「心配すんなって。俺はいずれ生き返るんだからさ。余計なことは考えず、お前はお前でいてくれ」ニコ

 

そう言って霊亜は後悔で体を振るわせる柚稀の頭を優しく撫でた

 

柚稀は霊亜がこうしてくれたことが嬉しかった

 

自分が知っている優しい霊亜のままでいることが

 

しかし、そんな霊亜だからこそ柚稀は伝えねばならぬと思った

 

そうして柚稀は口を開く

 

「霊亜。お願いがあるの」

 

「お願い?」

 

「…これ以上、成瀬澪と関わらないで」キリ

 

そう、彼女は霊亜に告げるのだった

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

「まさか澪さまのクラスメイトが勇者の一族だったなんて」

 

「…私、バカだったわ」

 

「仕方ありませんよ。簡単に気づかれるような人を監視役に選ぶ人なんていませんでしょうし」

 

落ち込んでいる澪を万里亜がフォローしようとする

 

「そうじゃないの、霊亜の幼馴染っていう時点で気づくはずなのに…あの子が霊亜に抱きついてきた時、私。気が動転してて気づかなかった」

 

「まぁ、向こうから攻めて来ない限りは大丈夫でしょう。ただでさえ悪魔の刺客たちや眼魔の相手で精一杯なのに。勇者の一族を相手にしてる余裕なんてありませんよ」

 

万里亜はそう言うとジュースをストローでチューチュー吸う

 

「(でも、私が思ってるのはそうじゃない。私は…!?)」

 

その時、澪の首元に呪いの文様が浮かび上がる

 

「どうしました澪さま?」

 

「なっ、なんでもないわ!」

 

「そう…ですか?」

 

万里亜は心配そうな顔をするも澪の言葉を聞いて再び視線をそらす

 

「(違うの…これは覗きじゃない!私は霊亜の身を案じてるだけ!…この程度で呪いが発動するなんて)」

 

呪いの影響で体をもじもじさせていると

 

「嫌だね」

 

霊亜たちの席から霊亜のその一言が聞こえた

 

「…れい、あ?」

 

 

 

◆◆◆

 

「…これ以上、成瀬澪と関わらないで」キリ

 

「嫌だね」

 

「どうして…?」

 

柚稀は霊亜の反応に驚く柚稀

 

「いくら柚稀の頼みでも聞けない相談だ。澪と万里亜ちゃんは俺の家族だ。家族を見捨てるようなマネはできないね」

 

「…霊亜」

 

「澪は誰かさん達のくだらない考えのせいで両親を奪われたばかりか自身も狙われてる。でもあいつはなんの罪もない1人の女の子なんだ。だからこそ俺はあいつを守る。俺が…妹であるあいつを守る。それが今の俺のすべきことだ」

 

そう思う霊亜の目には一切の曇りもなかった

 

「もし里のみんなも澪の命を狙うつもりなら俺は戦う…例え本当に里を裏切ることになっても」

 

「…本気なの?」

 

「あぁ…澪を守るのは俺の約目だから」

 

「霊亜」

 

霊亜の覚悟に揺れる思いの柚稀だった

 

そんな時

 

「お客様!お釣りが!?」

 

店員の呼び止めも聞かずに去っていった澪の姿を微かに目視した

 

「澪?」

 

 

 

◆◆◆

 

 

「澪さま~、澪さま~待ってくださ~い!」

 

逃げるように去っていった澪を追いかけていた万里亜は何度も彼女に呼びかける

 

そして止まったところでやっと追いついた

 

「…ねぇ万里亜。どうしよう」

 

「ふぇ?」

 

「…もう、霊亜とどう接していいかわかんないよ!!どうして…どうして霊亜は自分の故郷の人たちを敵に回してまでも私を守ろうとするの?…どうして」涙

 

「いいことじゃないですか。霊亜さんが本当に私たちを大切にしてくれてるってわかったんですから」

 

霊亜の優しさを、さらに思い知った澪は自分の気持ちに戸惑う

 

「霊亜さんが私たちを信じてくれるなら私たちも霊亜さんを心から信じてあげればいいだけの話ですよ」

 

「そっそれだけでいいの?」

 

「後はそうですね~…澪さまが霊亜さんになにかしてあげたいなら、それをしてあげればいいだけのことです」ニコ

 

 

◆◆◆

 

会計を済まし、澪を追おうとする霊亜だったが

 

「霊亜まって!」

 

「…離してくれ柚稀、澪が」

 

「まだ話は終わってない」

 

そんな彼を柚稀が止める

 

「なんど言っても無駄だ。俺の意思は変わらないぞ」

 

「やっぱり霊亜だけで成瀬澪を守りながら戦って勝てるとは思えない」

 

「言ってくれるねぇ」

 

「魔族だけじゃなく里まで相手にするなら尚更」

 

互いに一歩もひけない二人は言い争いを続ける

 

「…なぁ柚稀」

 

「なに?」

 

「逆はできないのか?」

 

「逆?」

 

霊亜の言っていることが理解できず柚稀は小首を傾げる

 

「お前がこのまま監視役として澪を見続けていれば里と対立、もといお前たちと戦う必要はなくなる。このままなにもなく平和に過ごせれば「それは無理」!?」

 

柚稀はそう言い放つと周囲が異様な雰囲気となり柚稀は両腕を魔力で武装し、腰の刀で背後に迫るはぐれ悪魔を切り裂いた

 

だが、それを合図にと言わんばかりあたりに無数のはぐれ悪魔たちが現れた

 

「霊亜さがって、ここは私が「馬鹿言ってんじゃねぇよ」霊亜?」

 

「お前を一人で戦わせるなんざ俺がさせるかよ」

 

そう言うと霊亜はドライバーを出現させアイコンのスイッチを押す、そしてドライバーにアイコンをセットする

 

『バッチリミナー! バッチリミナー!』

 

ドライバーからオレパーカーゴーストが現れた

 

「変身!」

 

『カイガン! オレ! レッツゴー・覚悟! ゴ・ゴ・ゴ・ゴースト!』

 

オレパーカーゴーストが霊亜に覆い被さると変身を完了する

 

「これは?」

 

柚稀は霊亜の変化に驚いた

 

「さぁ、魂、燃やすぜ!」

 

ガンガンセイバーを手に霊亜がはぐれ悪魔たちを切り刻んでいく、柚稀もそれに負けじとはぐれ悪魔たちを切っていく

 

ビリリリリリリ!!

 

はぐれ悪魔が魔力の雷を放つ

 

「わっと、危ねぇな!だったらこれだ!」

 

怒った霊亜が02と書かれた黄色のアイコンを取り出しスイッチを押すとそれをドライバーにセットする

 

するとドライバーから発明家エジソンの魂の化身『エジソンパーカーゴースト』が現れて霊亜の周りを飛び回る

 

霊亜はそのままドライバーのトリガーを引く

 

『カイガン! エジソン! エレキ!ひらめき!発明王!』

 

エジソンパーカーゴーストが覆い被さるとともに霊亜はエジソン魂へと変わる

 

はぐれ悪魔は理解が出来ないまま御構い無しに電撃を浴びせる

 

だが、電撃はダメージを与えるどころか逆に吸収されていく

 

ピンポン!

 

「よし!利用しようこれ」

 

霊亜はガンガンセイバーをガンモードに変形させる

 

そしてドライバーの目にガンガンセイバーをかざす

 

『ダイカイガーン! ガンガンミナー!ガンガンミナー!』

 

効果音が流れ、霊亜がガンガンセイバーのトリガーを押す

 

銃口から先ほど吸収した電撃エネルギーをはぐれ悪魔に向ける

 

「柚稀!伏せろ!!」

 

「!?」スッ

 

『オメガ・シュート!』

 

柚稀が伏せたのを合図に霊亜が引き金を引くと電撃エネルギーが放たれ1匹のはぐれ悪魔に当たるとそこから電撃が他のはぐれ悪魔にも襲いかかり次の瞬間爆破し、はぐれ悪魔たちはあっという間に消え去った

 

「うっし!終わり〜っと」

 

消滅を確認し終え、霊亜は変身を柚稀は武装を解いた

 

「いや~びっくりしたわ~」

 

おちゃらけたような態度でそうつぶやいていると

 

「霊亜」

 

「柚稀?」

 

霊亜の前にたち向かい合う柚稀

 

「助けてくれたことは嬉しかった。でも私とて里の人間。成瀬澪の魔王の力に引かれはぐれ悪魔の数も増えてきた…彼女の存在で周囲に危険が及ぶようなら里は成瀬澪を消滅対象へと切り替える。そうなれば私は容赦しない。例えそれで霊亜に恨まれたとしても」キリ

 

「…考え直す気はないと?」

 

「えぇ。世界に害をなすものは斬る。それが私たち…そうでしょ?」

 

柚稀は霊亜に問う

 

霊亜とて元は里の人間、柚稀の言うことも理解はしている

 

しかし今回ばかりはそうだとわかっていても引くわけには行かなかった

 

「なら、俺の答えも、もうわかってんだろ?」

 

「…そうね」

 

二人は互いを見つめ合ったあと、柚稀は霊亜に背中を向け歩き出す

 

見せるわけにはいかなかったのだ。今の自分のこんなにも辛い顔を

 

霊亜がああ言った以上、もう止めることはできない、いずれ自分は霊亜と戦わなければならない

 

自分が愛している人に刃を向けねばならないからだ

 

「柚稀!」

 

「……なに?」

 

霊亜の呼ぶ声でなんとか平常心を保たせ霊亜に対峙する

 

「…悪かったな勝手にいなくなって。迷惑もかけて」

 

「えっ?」

 

「お前らを巻き込まないためとは言えお前の気持ちも考えずに5年もの間、心配をかけてすまなかった!」

 

「霊亜」

 

この時、霊亜は思っていた

 

この期を逃せば、戦うとなればこの言葉を述べるチャンスはない

 

だからこそ霊亜は柚稀に対する思いを余すことなく告げた

 

「…言いたいことは言った。じゃあ俺は行くぜ。またな柚稀」

 

「…霊亜」

 

柚稀にそう告げて霊亜は帰る場所へと戻っていくのだった

 

 

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