Devil Sisters   作:千代里

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<9>Side:Clarice-反転する世界

 あなたを守るために拳を握らなかったのは、あなたを殺したことになるのでしょうか。

 問いかけても、答えてくれる人は既にいない。

 息をしている生き物が悪魔なのか人間なのか、もうそれすらもあやふやになっていることを、彼女は自覚せざるをえなかった。

 

 

***

 

 数時間前。

 日としてはキリエの母に調査団への同行を誘われて数日後。クラリスは焚火を取り囲む遺跡調査団の輪の中に加わっていた。緊張のためか、彼女の笑顔はいつもより引き攣って見えたが、団欒の中に紛れてさしたる違和感を与えることもない。

 キリエの母に誘われて気分転換にと参加した調査団は、公的な調査団の割にはアットホームな雰囲気に包まれてクラリスを戸惑わせていた。

 

 

「今日はクラリスがいてくれるから安心して調査が進められるわ」

 

「よしてくれ、今日は非番なんだから。護衛の騎士なら足りているだろう?」

 

 

 日はとっぷりと暮れ、夜風が少し心地よい頃。クラリスは今日の夕飯を渡されながら、本日の探索に誘った相手に苦笑いした。

 その相手こそ、孤児院にいつもやってくるキリエの母であった。シスターたちがクラリスの母代わりであるなら、彼女はきっと近所の気の良いおばさんといったところだ。今のセリフだって嫌味ではなくてからかい半分掛け値なしの賞賛半分なのだ。

 

 

「ついてきた感想は? 遺跡なんて任務でいつも見てるとは思うけど、こういう調査もたまには悪くないでしょう?」

 

「悪くない……が、うん……」

 

 

 確かに任務で来たときには見られなかった遺跡の細部や彫刻に一見の価値はあった。フォルトゥナ島は悪魔さえ出なければ観光名所にもなることができただろうと思うぐらい、独特の建築様式の神殿や礼拝堂がそこかしこにあるのだ。

 だが、それらに感動すると同時にクラリスの脳裏に先日のネロの苛立ちを隠しきれなかった顔が浮かぶ。

 

 

「私がこんな所にいたら、あいつは嫌がるかなと思って……」

 

「ネロのこと?」

 

「おばさんは何でもお見通しだな。ネロは戦っている私が好きらしい。私が騎士になってからネロにって私はヒーローだったのだろう」

 

 

 子供がヒーローに憧れることを、クラリスは知っていた。今でもふと思い出すあの青いコートが嘗ての彼女にも、そして今の彼女にも彼がヒーローであることを如実に示している。

 もっとも彼は最早彼女の中でヒーローではなく、もっと遠く大事な存在となってはいたが。

 

 

「でも、ヒーローはずっとヒーローのままではいられない。ネロもそろそろそういうことを分かってもいい年だと思ってたんだけどね。うちのクレドも、帰ってきたら騎士じゃなくてどこにでもいる普通の子供よ」

 

「おばさん、クレドは流石にもう子供っていう年じゃないだろう」

 

「なあに、まだまだあの子はただの子供よ。勿論あなたもね」

 

 

 ふと言われたその言葉に、クラリスは心の底に何か温かいものが落ちてくることに気が付いた。物心ついた頃には既に両親はおらず、親戚に育てられてしかしそれも悪魔によって亡くし、

 彼女を助けた"彼"だけを追いかけて今の孤児院に辿り着いたクラリスは、誰かに甘えるという子供なら到底持っていた思い出を持っていなかった。

 親戚に迷惑をかけまいとし、"彼"に迷惑をかけまいとし、そして孤児院のシスターたちにも失礼がないように気を付けていた。そんな、少女時代だった。

 

 

「おばさんくらいだよ、私のことを子供なんて言うのは。シスターだってそんなことは言わなかった」

 

「シスターは立場があるからね。誰もかれも甘やかしてあげたいけど、そういうわけにもいかないことも多かったでしょう。特にあんたにはネロがいたから」

 

「ネロのおしめを変えたのは私でもあるからな……そう思えば随分と生意気な子供になったものだ、ふふっ」

 

「生意気なことを言ったらね、がつんと言いかえすのよ。誰があんたのおしめを変えてやったんだ!ってね。そしたらきっとぐうの音も出ないわ」

 

 

 もしそんなことをネロに言ったら、彼がどんな顔をするか。想像するだけで笑いがこみあげてくる。漏れ出た微笑は、やがてクラリスの口から大笑いとして飛び出ていった。

 誰もそれを咎めることもなく、寧ろ当たり前のようにそれを受け入れている。そんな空気がどこか懐かしくて、クラリスは目の端に涙がにじむのを隠せなかった。こんなに笑ったのはまだ育ての親が生きていた頃以来かもしれない。

 

 

「ははは……ふふっ、笑いが止まらないな。まったくおばさんのおかげで久々にこんなに笑えたよ」

 

「話のダシにしていたネロには悪いけどね。私はあんたがあんまりも早く大人になりすぎたと思うよ」

 

 

 キリエの母はキリエそっくりの慈愛に満ちた瞳でクラリスを見つめて言った。

 

 

「物わかりがいいこってだけがいいことじゃない。あんたはもう少し周りに頼ることを覚えなさい」

 

「そうだな…………。でも、頼っても私はきっと……」

 

 

 頭ではそうすればいいと分かっていた。だが彼女が内に抱え込んだことは、ただの心理的な悩みだけではなかったのだ。

 

 

「(そばに誰かがいてその人を守るために力を振るったら、きっと私はまた悪魔になってしまうんじゃないか?)」

 

 

 ネロの怯えたような顔は瞼の裏に焼き付いている。自分が可愛がっていた弟のような存在を他でもない自分が傷つけてしまった。

 その事実が恐ろしくて、怖くて、直視することすらできずに逃げ出して、こうして今キリエの母に慰められている。

 みっともないと叱咤する内心と同時にこのまま甘え続けたいという気持ちが湧き上がっていた。その時、

 

 

「悪魔が出たぞーーーー!!!!」

 

 

 護衛の騎士の叫びにクラリス含むその場の全員がはじかれたように立ちあがる。悪魔はフォルトゥナにおいて珍しいものではない。

 それは大雨や竜巻のように突然現れてすべてを奪っていく。だからこそ、悪魔に対処する策も身に沁みついていた。

 

 

「A班のリーダーは避難場所に向けて誘導を開始して! B班は私と夫で引き受けるわ!」

 

「調査員のメンバーは後ろに下がれ!! 悪魔よ、我ら魔剣騎士団が相手になる!!」

 

 

 キリエの母とその夫はすぐさま他の調査員たちの避難誘導を行い始めた。護衛の騎士たちはカリバーンを抜刀し、闇の中の悪魔に向けて突撃していく。

 一糸乱れぬ行動は被害を最小限にとどめるためのものでありその様子を見てクラリスは内心で安堵の息をついた。

 

 

 ――――自分は、戦わなくていいのだなと。

 

 

 キリエの母らと一緒にクラリスは避難を優先した。皆の護衛は私が引き受けるなどととってつけた言い訳を内心で呟きながら。

 

 

 確かに実際、襲ってきたのが普通の悪魔ならば、彼女は戦う必要はなかった。

 だが、

 

 

「なんだこいつら、武器に……鎧をつけている?」

 

 

 襲ってきた悪魔はまるで人間とトカゲの悪魔が合体したような不可思議な姿をしており、そこにはある種の知性すら感じられる動きを見せた。

 騎士団員が呟くように、一部の悪魔は革鎧や剣のような物を装備している。

 

 

「見た目に惑わされるな、来るぞ!!」

 

 

 悪魔らしい無造作な一撃が繰り出される。いつもの手順で殺人に盲目的になっている悪魔を一人が抑え、一人が仕留めようとした。その時、

 

 

「後ろだ! 気をつけろ!!」

 

 

 悪魔らしい雄叫びをあげることもなくそっとソレは1人の騎士団員の足下に現れていた。彼が気付いた時は何もかもが遅い。

 

 

「ぐわああああああっっ!!」

 

 

 それの持つ爪が彼の腹を抉り、彼をただの亡骸へと変えてしまった。まるで騎士団員たちの動きを知っているかのように、時に不意打ちで、或いは時に樹上からそれらは巧みに悪魔同士で連携を行いつつ襲ってきた。

 そして護衛の騎士たちは獣じみた悪魔を数多倒したことはあれど、連携をしながら襲ってくる悪魔に対処する術を学んでいなかった。

 

 

 その結果が生み出したものとは?

 

 

***

 

 

「……一人足りないわ」

 

 

 避難してきた調査員たちをここなら安全であろうと考えられる遺跡の中に隠し、人数を数えたキリエの母はそう漏らした。

 一緒に避難してきたクラリスには分からなかったが、瞬時に取り残された調査員が出たことに気が付いた彼女はすぐに踵を返して探しに行こうとした。

 クラリスはそんな彼女を思わず引き留めようと声をあげた。

 

 

「待ってくれ、今外は危険だ! 私が行く。私なら実戦経験があるから……!」

 

 

 だがその声も虚しく、彼女とその夫は連れだってはぐれた調査員を探しに外に飛び出していった。護衛の騎士もいるし、闇夜の奇襲だとしても遅れはとるまいと思っていたが、万が一ということもある。

 彼女はため息をつきながら彼らの後を追って外へと飛び出した。まったく、周りを顧みず行動するところは娘にそっくりだ。そんなことを思いながら。

 

 

***

 

 

 火もない中で歩く森は人間の想像以上に真っ暗であることを彼女は知っている。どこに悪魔が潜んでいるか分からないため警戒は怠らずしかし迅速に三人の人間を探そうとした。

 

 

「うわああっ!」

 

 

 そんな彼女の耳に、か細いが確かに人の声と思しき音が飛び込んできた。すぐさま進行方向を切り替え、茂みをかき分け木立の向こうにあったものは、

 

 

「スパーダ様……!」

 

 

 祈るような、縋るような声がする。それと同時に、肉を無理矢理断ち切る嫌な音がする。目の前が一瞬真っ赤になり、どさりと重たいものが落ちた音がした。真っ赤な男の首がごろごろと転がる。

 その転がり方がどことなく滑稽で、趣味の悪いおとぎ話に迷い込んだような錯覚をクラリスに与える。

 

 だからすぐに彼女は理解できなかった。

 その男がキリエの父だったということに。

 

 

「おじ、さん……?」

 

 見れば茂みから、何対もの赤い目がこちらを見ている。いつもの悪魔のように個々が支離滅裂な動きで襲ってくるようなことはしない。

 じりじりと包囲網を狭め、決して逃がさないようにこちらを追い詰めている。まるで人間の兵士のように。

 

 キリエの父だけでなく彼らが探しにいったと思しき調査員も少し離れた所で倒れていた。頭がないというその事実だけで死亡していることは明白だ。

 

 眼前にいる悪魔は今まで見たこともない姿をしている。人間を真っ黒に焦がしたような人型の影のような存在。ただ顔はどこかのっぺりしており髑髏めいた印象を与える。

 それはおよそ人間と思えぬ姿をしているのに、まるでこちらの出方を伺うかのようにじりじりと距離をとっていた。

 その動きは、まさに強敵に対峙した人間のようだ。

 

 

「(見たことのない悪魔だが……戦わなければ、殺される……)」

 

 

 まだキリエの母の姿が見当たらない。彼女を見つけ、守るためにも今この窮地を切り抜ける必要があった。

 ぐっと拳を構えて姿勢を低くする。カリバーンを騎士団に返してしまったことを悔やんでいる暇もない。

 裂帛の気合いと共に、その拳を繰り出そうとした時、

 

 

「あはっ」

 

 

 自分の口からこの場に不釣り合いな笑いが漏れ出ていることに気が付き、彼女の拳の振りぬきが弱まる。そのせいで悪魔へのダメージは十分と言い切れず、相手は僅かによろめくに留まった。

 

 しかしクラリスはそれ以上に自分から漏れ出た笑いに戦慄していた。こんな時ですら自分は戦いを楽しんでいるというのか?

 

 

「(違う、戦いを楽しんでいるんじゃない)」

 

 

 内に秘めた衝動が囁くことはただ一つ。

 

 

"壊ソウ 壊ソウ 全テ壊ソウ"

"ダッテワタシハ悪魔ダカラ"

 

 

 狂った蓄音機のように破壊衝動の囁きが止まらない。片手で額を押さえ、その囁きを頭から振り払おうとした。

 だが、まるでその衝動は彼女が拒絶すれば拒絶するほどより大きく強く内から外へと膨れ上がった。心臓の鼓動が内なる声に乗っ取られたかのようにドクドクと強く激しく鼓動を繰り返す。

 

 クラリスが自分の内なる衝動と戦っている間に目の前の悪魔は態勢を立て直していた。

 如何に知的といえど、目の前で茫然自失している獲物を放っておくほどの理性は悪魔にはない。それは高らかに喜びの雄叫びをあげ、手に持つ剣のような武器をこちらに向けて振り下ろした。

 気が付いた時にはもう遅い。なすすべもなくそれが彼女の胸に吸い込まれようとした時、

 

 

「クラリス、逃げなさい!!」

 

 

 声と共に、闇夜から一人の女性が悪魔に組み付いた。

 その女性がキリエの母と気が付いたとほぼ同時に、彼女を振り払った悪魔の強力な腕力によって地面に投げ出されてそのまま動かなくなった。

 余程強い衝撃だったのか、頭蓋が陥没していることが暗い視界でも見てとれる。

 

 あまりにも呆気ない一瞬の出来事。

 じわじわと地に染みる血が彼女の夫の末路同様どこか非現実的で、クラリスは眩暈がしそうだった。

 

 実際視界はぶれていた。動悸はより強く激しくなっている。血の気がひいたような感覚がして真っ直ぐ立っていることも難しい。そのくせ悪魔のうめき声だけは何よりも鮮明に聞こえていた。

 

 

「(逃げ出したい……ここから逃げ出して何もかも忘れられたら全部夢になってくれるか……?)」

 

 

 向き合うのも嫌になる惨状。それを止める力が自分にはあったという事実。

 

 

「(私が、殺したようなものじゃないか……)」

 

 

 目の前の死体が付きつける無力感。吐き気がするほどの自己嫌悪。鼓動がひときわ強く鳴った。

 

 

「(私は悪魔にならなくても……結局、人を傷つけてる)」

 

 

 彼女の周りに赤黒い靄が現れる。空色の瞳を朱へと染め上げる。波長のあってないラジオのように、彼女の姿が異形のものと重なって映し出される。

 

 

「アアアアアアァァァアアアアアァァ!」

 

 

 高らかにあげた雄叫びは、どこか慟哭に似ていた。

 

 

***

 

 

 その姿はまさに鬼神。その雄叫びはまさに修羅。

 赤黒い靄が彼女を包んだ時、そこにいたのは最早彼女ではない何かであった。

 

 魔人のような姿を重ねながらクラリスは、その威圧感に圧倒されて逃げ腰になる人型の悪魔を容赦なく捕まえ引き摺り倒し、踏みにじった。

 何度も何度も、まるで今失われた命たちの仇をとらんと言わんばかりに。

 だが、彼女の目はどこまでも無感動で無機質であった。その代わりと言わんばかりに、口元だけは見る者をぞっとさせるような笑みを浮かべている。

 

 彼女の圧倒的な破壊力に恐れをなしたか、周りから様子を伺っていた悪魔は一斉に撤退した。否、しようとした。

 

 

「壊レロ壊レロ壊レロォ!!!」

 

 

 波長が合わないラジオのような、どこかノイズがかったような声と共に、逃げる悪魔の一匹に肉薄する。

 悪魔にもし心があったならまず間違いなく恐怖の一色に染められるような瞬間。

 悪魔の腕を無造作に掴み引き倒す。その肢体からは考えられないような力で地面に投げつけられた悪魔は、反抗の声をあげる間もなくその首を踏みぬかれていた。

 

 そこからはひたすらクラリスの独壇場が続いた。

 徒手空拳でありながら、彼女の拳は悪魔の腹を貫き彼女の一蹴は悪魔の頭を吹き飛ばした。

 キリエの両親が倒れ伏す凄惨な現場にいた悪魔を掃討しても収まらぬ彼女の破壊衝動は、より人がいる場所を目指す。

 

 ――すなわち、調査団員が隠れた避難場所へと。

 

 

「グウゥゥ……」

 

 

 より気配がある遺跡の中に足を踏み入れて赤目の女性は獣じみた唸り声をあげた。

 彼女の眼前に広がるのはただの血の沼であった。忍び込んできた一匹の悪魔により、避難場所は地獄絵図と化していた。折しもその中心で、先ほどの一団の仲間と思しき悪魔が一人の男の顔を握りつぶしていた。

 

 

 グシャァという耳障りな音に、彼女は嘆息する。

 壊せるものが一つ減ってしまった。しょうがない。ならば目の前のモノだけでも壊してしまおうか。

 

 トンッと何気ない踏み抜きから高速で悪魔に近づき、その頭を素手で鷲掴みにする。

 ぐっと力をこめればそれはあっという間に握りつぶされてしまった。グシャッという耳障りな音がまた一つ鳴る。

 

 何も壊せるものがなくなり、そこで初めて彼女の瞳はいつもの空色に戻った。

 

 

「……今回は記憶が残っているな」

 

 

 ただの確認事項として呟く。目の前の惨状は今更改めて考えることでもなく、彼女に湧き上がった感情は二度目ともなればもう戸惑うこともなかった。

 そこにあるのは、ただの諦念。なるべくしてなった事象の再確認。最早彼女の内に湧き上がる破壊衝動は彼女の制御下を離れていた。

 幸い手にかけたのは悪魔だけであり人間には手を出さずに済んだ。いや、出すべき人間が先に殺されていた。

 

 

「壊せるものを探してここを目指すなんて、なんて悪魔らしい」

 

 

 念のため生きている人がいないか、一人一人死体の様子を確認しながら彼女は自嘲する。調査隊の中に生存者はなく、念のため野営をしていた場所に戻り倒れている護衛の騎士たちの様子も確認する。

 そこに感傷はなく、淡々と事実を確認するための作業を行っているだけだった。そしてその結果、

 

 

「生存者ゼロ……か。ちょっと知恵が回る悪魔が出てきただけで、このありさまなのか」

 

 

 もし私が本当に悪魔になってしまったら。

 教団のことを知りつくしフォルトゥナのことを知り尽くした自分が悪魔になってしまったら。

 これよりもっと大きな被害が生まれてしまう可能性は十分にある。それを防ぐ手段は既に思いついていた。この惨状を歩く中で、実行する決意も定まっている。

 

 

「……でも、約束は守らないとな」

 

 

 砂煙のように曇った思考の中、まだ褪せない2年前の思い出が浮かぶ。彼女は重い足取りで、ゆっくりとその場を離れていった。

 

 

 




(執筆日 2015年10月3日)
ようやく、ここら辺から最近作成した話となります。
元々前後編と分割していましたが、勢いもあるしとそのままくっつけてしまいました。
ネロにとっても1つの運命の分かれ目となる事件ですが、ただ事実としてあるのではなくクラリスには当事者となってもらいました。当初の予定ではあくまで彼女も当事者以上無関係未満ぐらいの立ち位置になっていましたが、より彼女に強く働きかける展開を意識していました。結果としてよりえげつなくなった気がする……。

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